金曜日, 9月 28, 2018

吉村昭著「朱の丸御用船」、史実に基ずく歴史小説だという。大阪より江戸へ米俵を運ぶ御用船幾つもの航路難所を切り抜け江戸へ。歴史の舞台は現三重県の一寒村で起こった現実の騒動である。幕府御用の米を千俵近く積み込み御用米船として出航する定助舟と次三郎船は各港に碇泊しながら江戸へ向かうことに、しかし両船は碇泊地で御用米を売り捌き故意に天候により破船したと偽った。しかしその片割れの船が漂流して名切村沖に漂着し村民総出で米俵を瀬取りし分配した。その事実がバレて役人により調査が開始され、村民は甚大な被害を被ったと。作者は現地に足を運び資料を丹念に調査しまた聞き取り史実其の儘に弥吉という若い漁師を仕立て暗い現実を描きながら希望の光をも書き留めることを忘れない。

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