場所はギリシャのロードス島、主人公ハリー・バーネットの島での友人である女性ヘザー・マレンダーが突然姿を消す。真相を追うハリーの追跡が始まる。ギリシャとイギリスを舞台に物語は、前半はやや冗長感は否めないが、後半は読み応えがあり、意外な結末へと展開する。前作「リオノーラの肖像」のように文章に重圧感は無いものの、ミステリーの設計はかなりなものである。ヘザーが残した写真をたよりに、彼女の軌跡を辿りながら核心へとハリーが突き進む。恩義がある親友アラン・ダイサートへと、上巻を読みながらアランの存在が気にかかるが、しかしこの結末は予想だにできない。大学時代の友人二人、ヘザーの姉クレア・マレンダーと殺人を繰り返すアランの正体は、ハリーが少年時代線路上に置き去りにされた箱の中に入っていた捨て子であったと言う。人生とは運命とはと考えさせられる、運命、偶然が人の生きる道を様々にくねらせる。。。
月曜日, 12月 31, 2007
火曜日, 12月 25, 2007
村上春樹著「海辺のカフカ」を読んで。
僕こと主人公である田村カフカ自称15歳の青春の旅路に邂逅する人々との交流が一つの線で、もう一つは主人公田村少年の叔父にあたるナカタさんと徳島生まれのトラック運転手の星野青年との邂逅と旅路がもう一つの線である。この二つの線が、最後高松の甲村図書館に勤務する女性に接続する。物語はこの二つの線が同時に進行してゆく、主人公と四国行きの高速バスで出会うさくらという女性、そして甲村図書館での大島青年実は女性であるが、さらに一緒に勤務する謎の過去を持つ女性佐伯、青春の出会いというべき運命的な邂逅と徳島生まれの青年と旅するナカタさんが、邂逅する人々ジョニー・ウォーカー、カーネル・サンダース、そして最後に佐泊という女性、ナカタさんは静かに息を引き取る。書名である「海辺のカフカ」は佐泊という女性が作った曲名である。著者は、真摯な心を持ち人生を探求するものには必ずやそれが死であろうと安らかな結果があるという。
水曜日, 12月 05, 2007
ロバート・ゴダード著「日輪の果て」を読んで。
R・ゴダードにも乱歩の明智小五郎なみの探偵がいたのである。ハリー・バーネットである。スタンドのパートタイマーとして働く風采のあがらぬダメ男が自分の子供である天才数学者の破滅そして死に際し、彼独特の手法で真相の核心へと突き進む。理論物理学や数学的な科学的事項が随所に出没する。J・ディーヴァーの結末みたいなジェットコースター的展開は無いものの最後の犯人は意外な人物である。
江戸川乱歩全集第22巻「ぺてん師と空気男」を読んで。
昭和34年乱歩の終末期の長編探偵推理小説「ペテン師と空気男」は、かってこれまでの乱歩の作品とは一線を画すものであるという。プラクティカル・ジョーカーと呼ばれる遊びの中で殺人へとのめり込んでゆく主人公野間五郎とジョーカーである伊藤錬太郎と美人妻の美耶子とその仲間の異常な遊びを主題に物語は展開し意外な結末へと。この作品は確かに乱歩の中では異色である。
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