日曜日, 12月 21, 2014

東城大学医学部付属病院内のオレンジ新棟と呼ばれる救命救急センターで将軍ジェネラル・ルージュ速水部長を回る様々な救命救急医療と病院長、部長、看護師らとの人間関係を赤裸々に描写する筆致は読者を飽きさせない迫力があり、ミステリー小説とは言えないが面白い。


ディラード家周辺の極狭い範囲で起こる連続殺人事件ヴァンス、地方検事、警察と必死に犯人を追跡するが、一向に目星がつかない。事件を重ねていく中で鬱積した犯人の心理に着目するヴァンスの洞察が解決へと導く。


月曜日, 11月 17, 2014

国本家老の要請で脱藩し江戸に向かう青江又八郎の身に起こる様々な事件を中心に小気味よい文体と相まって読者を楽しませる。


土曜日, 11月 15, 2014

SF小説であるが、現代からみるとプロットは新鮮味に乏しい。時間旅行つまりタイムマシンによる時空を超越するといった趣向とコールドスリープ冷凍睡眠による未来へ辿り着く発送も今やちと古い感を否めない。


水曜日, 11月 12, 2014

時代は、戦国時代後期徳川勢が大阪城の秀吉亡きあとに攻め入るクライマックスを背景に、風太郎という伊賀の忍者が生ける物語である。750ページにも及ぶ大著であるにも拘わらず、最後のページまで繰ることができた。空想の世界にも拘わらず、何故か現実に起こった出来事のような気分で読んだ。



水曜日, 11月 05, 2014

みおつくし料理帖シリーズの「八朔の雪」の初作から一気に最終作「天の梯」へと読んでしまったようだ。幼友達を吉原の廓から年季明けを勝ち取った主人公が、思いを寄せる源斉先生と大阪に旅立っていく最終章だ。


火曜日, 10月 28, 2014

幼くして九州の小藩から上杉藩に養子に来た治憲、世継ぎとして藩主となって疲弊窮乏した藩の財政と藩民の心を再生させる数多くの事業を展開すると言った上杉鷹山の人生を語る歴史物語だ。治憲が目指す真の意味での改革とは?藩民への深い愛情と部下への思いは、現代に通ずるものがあり、何故この時代にこのような理念が彼に備わっていたか不思議な思いである。


水曜日, 10月 22, 2014

ホックの名作短編集だ。時は20世紀初頭米国田舎町に開業した医師サム・ホーソーンによる密室殺人やら様々な事件を解決するといった回顧編で、気軽に楽しめるミステリーだ。


主人公澪の大阪の幼年期から江戸での料理修業を描いた物語だ。取り巻く江戸庶民の人情味溢れる環境の中で腕を上げていく澪の純粋で直向きな生き様は感動に値する。


月曜日, 10月 20, 2014

罪を着て、幽閉されかつ切腹して自害する期限を定めらた武士の生き様を村の情景、村の人々、家族そして監視役として派遣された武士の眼を通して、人の死を描く傑作だ。


貧乏な下級藩士の悲喜交々とした人生の中に光る諦念というか読者の感じる郷愁ノスタルジーを見事に表現した短編集だ。うだつの上がらない下級藩士と藩の命により果たし合いを余儀なくされる心の葛藤が目に見えるようだ。


木曜日, 10月 16, 2014

主人公二人、大都会に生きる青年と少女、孤独と寂寥に苛まれつつ人生を夢見る二人の出会いから終末の事件までを描くミステリーだ。評価は、★★。


火曜日, 10月 14, 2014

戦前へタイムスリップするといったミステリーだ。柿本人麻呂の謎を絡めた殺人事件を回り、事件を解明すべく一人の青年が活躍する。しかもタイプスリップした折口信夫は実際に生きた作家という著者初期の江戸川乱歩賞に輝いた作品で、面白い。星は★★★だ。

火曜日, 10月 07, 2014

読後の何というか清涼感に満たされる。ノスタルジックな情景描写に連想される透明な空気感が、心の底に漂う感がする。3人の武士の連綿と続く友情といつまでも心に残る淡い情念この見事なまでの描写は秀逸だ。


日曜日, 10月 05, 2014

著者は、東大航空学科卒ということで流石に航空爆撃機についての詳細な情報は半端で無い。自衛隊に納入されたTF-1爆撃機と航空機メーカを回る殺人事件は面白い。★★だ。


木曜日, 10月 02, 2014

戦後混乱期に刺青を回る殺人事件が連続で発生する。主人公の若い医師と警視庁の課長が取り組み解決に挑むが、アリバイと殺人の動機がどうしても掴めない。そこへ戦地から帰還した神津という青年が難事件の解決に挑む。プロット的にも面白くできたミステリーだ。★★★だ。


日曜日, 9月 28, 2014

非日常的日常がそこにありかつ生があり、その延長線上に死が存在する。読み進めていく中で、まるで村上氏の作品を読んでいるような気持ちになれる本だ。

火曜日, 9月 23, 2014

江戸末期、直心影流尚武館道場主の坂崎磐音を主人公と道場の門弟らが繰り広げ或いは遭遇する様々な計略・事件を描いた一大物語だ。


月曜日, 9月 22, 2014

多重人格精神障害者との恋をテーマに進展する物語。精神障害者と健常者との境界ボーダーは、恋愛対象となると全く差異はなく進展する。


月曜日, 9月 15, 2014

ある日、サンチャゴ老人はいつもの通り沖に漁に出掛けた。大きな魚が網にかかり格闘しながら沖へ帰ろうとするが、その途中で何度もサメに襲われ尾ひれと頭を残して全て食いちぎられてしまう。一人困難な状況の中で屈強な精神で戦う老人の姿は、報われない労苦を強いる我々の人生しかりかと。


日曜日, 9月 14, 2014

ボブ・リー・スワガーなるスナイパーを主人公にベトナム戦争での活躍米国とソ連の秘密諜報員間の戦闘と本ミステリーのプロットは、巧みであり複雑だ。ライフルと人生を共に真摯に生ける主人公のスナイパーの活躍は前回読破の極大射程とともに面白い。★★★だ。


日曜日, 8月 31, 2014


ウェディングプランナーのジャックリンが所属するプランナー会社のプレミアのクライアントの殺人事件を契機に物語は進展し、エリックという刑事との恋愛を含めて捜査が進展してゆく。ミステリーのプロットおよび出来はいまいちの感がある。評価星★★二つだ。



奇想天外な状況設定に唖然とするが、中身は一人の女性図書館隊員を巡り様々な事件の渦中で奮闘するといった筋書きだ。図書館の自由を堅守するという隊員たちの活躍や奮闘が主題で、題名からしてもう少し面白さが欲しいとことだ。


月曜日, 8月 25, 2014

ベトナム戦争を経験した孤独な名ライフル射撃主ボブとFBI捜査官ニックが繰り広げる大統領銃撃事件、CIAを絡めた複雑な人間模様と痛快とも思えるプロットは読者を魅了する。
星は、★★★★だ。


火曜日, 8月 12, 2014

ある日、二流小説家と自称するハリー・ブロックの元へ死刑囚から伝記の依頼が舞い込む。物語は展開し、新たな連続殺人事件も発生し孤軍奮闘するハリーの悲しくも可笑しいミステリードラマだ。


金曜日, 8月 08, 2014

まさにお手軽ミステリーといった感じだ。短編集だ。大学教授湯川が警視庁に捜査協力しミステリーを解決していっくといった件だ。私の評価は★★だ。


木曜日, 7月 31, 2014

血縁関係から生ずるありきたりのミステリープロットだ。登場人物は様々だが、物語の展開は、今一だ。
評価は、★★だ。


日曜日, 7月 27, 2014

少し冗長性は伴うが、綿密用意周到に計画されたミステリーのプロットは、読者を飽きさせず最後のページを繰るまで読ませる魅力があると思う。


水曜日, 4月 23, 2014

著者の新刊で中身は短編集だ。各短編いずれもが、正に村上ワールドだと思う。孤独、空虚、絶望、人生からの乖離それらが複雑に交錯し作品と仕上がるワールド村上春樹は健在だ。


月曜日, 4月 21, 2014

銀行内部や取引先とのトラブル不祥事で臨店チーム相馬と花咲舞が活躍する痛快な物語だ。


日曜日, 4月 20, 2014

江戸時代の中下層の武士の幼年時代から大人になるまでの物語。戸田勘一と彦四朗の友情とそれぞれが歩む人生を描く。運命・運とか友情そして人生の妙を考えさせられる作品だ。


火曜日, 4月 15, 2014

著者自らが、ドイツの弁護士であるという異色の作家だ。ミステリー短編集だが、様々な状況から起こる殺人事件に際して弁護士が語る事件の記録は印象深く面白い。2012年の翻訳小説部門の本屋大賞に輝いている。

月曜日, 4月 07, 2014

佃製作所社長の佃航平が率いる中小企業と大企業間での奮闘ぶりは、読後清々しさを感ぜずにはいられない。企業経営と経営者の夢そして運と感ずるものは多い。


太平洋戦争中、ゼロ戦のパイロットだった祖父の実像を探るべく生き残ったパイロットの証言を集め祖父宮部久蔵の実像を探る物語だ。生と死の狭間で過酷な戦況の中で日々ゼロ戦パイロットとして生きる祖父の姿をとうして戦争とは、生きるとは、愛とはを語りかける著者渾身の処女作だ。


12世紀末英国海域のソロン島及び小ソロン島を舞台に展開するサスペンスだ。ソロン島を統括するエイルウィン家の頭首が殺害される。殺人犯を追って展開するミステリーは、プロット事体は単純だが展開する情景は12世紀を空想させる筆致は感動だ。

木曜日, 3月 20, 2014

警察学校訓練所内での警察官の日常だ。本屋大賞2014ノミネート作品ということで読んでみたが、全然面白くもなく、どこがミステリーだという感じ。



金曜日, 3月 14, 2014

主人公、上訴裁判所判事ラスティ・サビッチと検察側のトミー・モルトとの対決だ。法曹・裁判ミステリーとも言うべき小説だ。裁判の描写は冗長で迫力に欠けるが、主人公の屈折した家庭の営みや不倫、妻バーバラの急逝に端を発した今回の裁判は、ミステリーとまではという感じだ。

日曜日, 3月 09, 2014

一向宗の寺、大阪本願寺への兵糧運搬を回る難波海での信長側の海賊と毛利側との海賊の海上での戦を舞台に村上海賊の景姫を中心とした物語である。詳細な史実と迫力ある展開は読者を一気に読み進めさせる力を持った小説だ。