日曜日, 10月 29, 2023

大沢在昌著「ダブル・トラップ」、元優秀な諜報員として働いてき今は高級レストランのオーナーとして過ごしている加賀哲の下に一本のテープが送られてきた、そのテープは勝手の同僚である牧野からだった、助けてくれというメッセージだった。急遽宇和島に飛んだ加賀は牧野と合うことはできず工作員のと格闘を余儀なくされズルズルと諜報機関との接触を余儀なくされた。松宮貿易という秘密諜報機関そこに群がる秘密警察海外のテロ組織そして公安、これらの標的にされつつ独自に運命を切り開く加賀の勇気と信念を描いた作品だ。
小泉喜美子著「弁護側の証人」、ミミーローイ彼女はストリッパーであったが、彼氏の彼は大会社の富豪の御曹司だった。結婚を機に彼の自宅へと居を構えそこの住人となった。しかしある日その社長つまり祖父が何者かに机上の文鎮で殴打され殺害され容疑は祖父の部屋へ出入りを目撃された若妻に嫌疑かかり逮捕され裁判となった。美人妻を弁護した清家弁護士の必死の弁護により無実を勝ち取り、夫の杉彦が逮捕されるという事件だった。どんでん返し的結末が甘く何故か頁を繰る手が進まない。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 四」、 貧乏小国日本は日露戦争において、弾薬不足に兵器不足とギリギリの戦での戦いに終始しており、打開すべく道はとざされているかに見えた。精神論で戦うこれが日本の現実だった。海軍は旅順を攻略してくれる陸軍を頼みに外洋で碇泊している、その陸軍の隊を率いるのは乃木希典は如何にしても無能で日本兵をやたらと殺させ大本営の意見も聞かず戦況も偵察せず無益な戦闘を繰り広げている。ロシアのバルチック艦隊が近づきつつある現状である。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 三」、極東の弱小貧乏国家は維新後も藩閥の名残を残しながら海洋国家としての歩みを続け、艦船を海外に発注して着実に帝国主義の路を歩んでいた。そして松山で療養中の正岡子規は日に日に体力の衰えを見せ、遂に帰らぬ人となった。極東を回り列強の各国の駆け引きが盛んになり清国及び朝鮮を廻る動きが活発になり中でもロシアは露骨に侵略の意図を示し日本にとってもこの動静は少なからずロシアに脅威し遂に日露戦争の会戦となり秋山兄妹もそれぞれ戦地に赴いた。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 二」、 日清戦争に勝利した日本は、軍備拡張を目指し中でも軍艦を建造といっても外国への発注であるが整備に本腰を入れ真之は海外の海軍及び造船所を具に観察しながら海戦の戦略を計画していた。好古は35歳になり結婚して子供を設けていた、子規は喀血を繰り返し松山での床に伏していたが精力的に俳句及び短歌について論文を書き発表し続けた。明治期の帝国主義国の清を中心とした列強の動静に著者は可成り詳しく調査して著者独自の歴史観を展開して面白く読んだ。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 一」、大政奉還を経て無血革命による明治という時代を生きた伊予松山の秋山兄妹兄は好古で弟は真之そして正岡子規は兄妹にとって親友だった。兄妹とも頭脳明晰で成績も良く兄は陸軍へ弟は海軍へと歩んだ。当時正岡子規は喀血を度々繰り返し医師からは肺結核という当時としては不治の病に罹っていて瀕死の重傷で実家の四畳の間に床へ伏していた。好古はフランスへ留学騎兵術を学ぶため真之は漸く英国に発注した軍艦に乗船し技術を学び始めていた。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 5」、退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は短編4編という形で提供されています、実に様々なネタを考えて作り出す作者の能力というか想像力に感心するばかりです。今回はメゾン・ド・ポリスの成り立ちが、伊達によって明らかにされ人間味のある人生を達観した者の温かさがそこにありました。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 4」、退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は短編5編という形で提供されています、実に様々なネタを考えて作り出す作者の能力というか想像力に感心するばかりです。退職刑事の中にどっぷりと漬かりこんだ牧野ひよりの成長する姿が微笑ましいかぎりです。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 3」、 退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は爆弾魔との対決3作目にして初めての長編だ。病院やら公園と囮の偽爆弾を仕掛ける犯人を捜査しているのはひよりと退職刑事だ、そして挽弾魔の味とはスメゾン・ド・ポリスの一人迫田の息子が勤務する水族館の建設だった、環境破壊と生物を苦しめる事業について批判的な集団を摘発する。そして間一髪ひよりは命拾いする、テンポのある展開に思わず引き込まれあっという間に読了。
マイクル・コナリー著「バッドラックムーン 下」、ホテルの警備主任グリマルディの依頼を受けたジャック・カーチは執拗にキャシーを追跡し彼女の元の相棒であり異父兄にあたるレオ・レンフロを血祭りにあげた。そしてカーチは刑務所でキャシーが生んだ娘(養女となっている)ジョデーを拉致誘拐し車でラスベガスに向かいホテルのスウィートに投宿した、グリマルディと連絡を取りながらキャシー来るのをホテルの部屋でジョディと一緒に待ち二人を自殺に見せかけて殺害する予定だ、キャシーは天井裏から部屋に侵入しジョディを奪い逃走、そしてカーチはグリマルディ一味まんまと騙され危うく殺されるところ逆に彼ら一味を銃殺してのけた、無事ラスベガスを脱出してジョディを送り届け走り去った。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 2」、退職刑事のシェアハウス通称メゾン・ド・ポリスには5人の元刑事やら科捜研にいた分析官が居住し所轄の牧野ひより刑事と共に様々な事件を解決シリーズで今回は2巻目である。犯罪の設定やらプロットといい実に味付けが微妙で一気読みの感があり楽しく読むことができる。窮地に陥るひよりを退職刑事達つまり人生の先輩が導きながらひよりの成長を見守る構図となっている。悪に対して敢然と戦う姿勢にひよりも全力投球で立ち向かう。
マイクル・コナリー著「バッドラックムーン 上」、窃盗の罪で刑務所に5年間服役し仮釈放中のキャシーは、再び強盗を計画しロサンジェルスからラスベガスへと、カジノに潜入し周到に用意した様々な機器を持ち込みある運搬人の宿泊する部屋に設置し自分は相向かいの部屋に投宿した。そして日付が変わり真夜中を過ぎ午前3時近く眠っているターゲットの部屋に侵入5万ドルの現金を掴みずらかろうとしたところで眠っていたターゲットが目を覚ます瞬間9ミリ口径の拳銃で射殺し早々にホテルをでてボクスターに乗りずらかった。ホテルの警備支配人に現金を取り返すべく依頼された私立探偵のカーチは察策捜索に動き出し、窃盗した人物を特定した。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス」、柳町北署の刑事槙野ひよりと退職警官が住むシェアハウスでメゾン・ド・ポリスに住む5人の叔父さん達と協力して事件の捜査をし解決に導くそんな物語だ。様々な特技を持ちそれを発揮し捜査に生かす事件も実に気の利いたもので、本当に楽しく読める本である。
池波正太郎著「雲霧仁左衛門 後編」、雲霧仁左衛門の最後の盗目を前に江戸での著名菓子補を襲う計画を建てた雲霧一味は仲間配下を江戸に参集させ火付盗賊改との熾烈な情報合戦を展開ついに雲霧一味の陰謀を解明した火付盗賊改に暴かれた。この間、虚々実々の展開は読者を翻弄して楽しくページを繰らせてくれる迫力に圧倒された。そんな展開の中で仁左衛門とお千代との恋愛初め配下を思う仁左衛門の器量の深さ盗賊改めの武士の間の信頼関係等人間を描くことを忘れない著者に人間の深い洞察には感服やはりTVドラマも面白いが原作にも感動。
畠山健二著「本所おけら長屋 外伝」、20巻を読了して、本屋で見かけたこの書つまり外伝も素晴らしい仕上がりに感服、本所おけら長屋の住人たちの人情と優しさ人間はこうじゃなきゃという人生の指標がいたるところに潜みつくづく著者の筆力に拍手を送ってしまいます。