土曜日, 8月 14, 2010

五木寛之著「仏教のこころ」を読んで。

現代の於ける「仏教」の意味というか役割はどのようなものか?著者の真摯な問いがこの本を書いた動機でもある。この本の中で面白いと思ったのは、キリスト教布教の日本と韓国の違いである。日本のキリスト教信者は推定百数十万、これに対して韓国は一千二百五十万にも上るという。国民の25%にも達する。この違いこそが日本人の特性であると。神仏の区別なく混淆した日本人の精神構造は、私はその風土に今風に言えば、自然環境にあると思う。四方を海に囲まれ清らかな山河と四季は、日本人の精神構造を規定した大きな要因だと思う。仏があり、神様がある。この宗教観は世界的に見ても唯一無二の日本人特有なコンプレックス(複合的)な寛容と共生を可能とする意識構造を獲得したように思う。今イスラムとキリストの宗教対立が伴う戦争が、21世紀の世界に暗い影を落としている状況下で、この日本人の思想こそが世界を救うのではないかと著者は言う。

0 件のコメント: