月曜日, 8月 28, 2023

東野圭吾著「嘘をもうひとつだけ」、 加賀恭一郎シリーズで今回は5つの短編集である。短編でのミステリーはかなり難しいと思うが、著者はキレのあるプロットを放ち読者を飽きさせない筆力がありあっという間に読んでしまった。加賀恭一郎の様々面があじわえて面白い。
東野圭吾著「眠りの森」、加賀恭一郎シリーズ、今回はバレエー団の稽古場で起こる連続殺人事件を警視庁捜査一課の刑事加賀が地元管轄の石神井署員と一緒に捜査にあたることになる。バレエ団事務所に強盗が忍び込み女性団員が犯人を金属製の壺で殴り殺害したという事件を皮切りにさらに団の指示役を務める男性まで毒殺されるという殺人事件が発生五里霧中の捜査の中で加賀が粘り強く解決へと。森博嗣を読んだ後でこの本を読み始めたが文章の切れがない、それでも著者独特のプロットの展開には流石と思う。警察ミステリーにありながら、ロマンスを含め読み応えを追及してくれている。
森博嗣著[冷たい密室と博士たち]、 西之園萌絵とN大助教授の犀川創平シリーズである、今回は大学から少し離れた土木工学部の実験棟圏通常「極地研」と呼ばれる施設内での連続殺人事件だ。プロットは良く練られミステリーの要素を全て包含しているし、読者に与える伏線も素晴らしい、愛憎、血縁、嫉妬、競争と人間社会で発生する全ての要素を完全に網羅した上で上質な密室を作りあげている「笑わない数学者」ともに傑作だ。
森博嗣著[笑わない数学者]、人里離れた洋館その建物は希代の高名な建築家が設計したものであった、西之園萌絵と犀川助教授の二人はその建物三ツ星館に招待された、そこで殺人事件を目撃する。そこには天才数学者と呼ばれる人間がいて建物の正面玄関に立っているブロンズ像を消去できると断言し皆の見ている前で実際に消して見せる。まるで江戸川乱歩の小説トリックを地で行ってる感じだ、そして複雑な人間関係と愛憎とよく考えられたプロットで著者のシリーズの最高傑作かもしれない。
森博嗣著[詩私ジャック]、西之園萌絵と犀川創平助教授シリーズである、今回は大学構内で起こる密室連続殺人事件だ。密室も多少無理があるのは否めない、犯人の特定も今一すっきりとしないのはやはりプロットと張られる伏線の微妙さにあるのではないかと思う。
森博嗣著[夏のレプリカ]、雪平夏見シリーズで今回は、夏見の友人の蓑沢杜萌の家庭で起こった殺人事件である。久しぶりに実家に帰省した杜萌は、拉致され蓑沢家の別荘に無理やり男と共に移動し殺人事件に遭遇した、杜萌の兄は盲目であるその兄も誘拐せれ行く会知れすだ。夏見の奔放な推理
森博嗣著[幻惑の死と使途]、 西之園萌絵シリーズÑ大建築工学部助教授犀川創平とのコンビによるミステリーだ。今回は水上で脱出劇を演じるマジシャンの演技中の殺人事件を切っ掛けに発生する殺人事件をテーマに活躍する夏見、しかし結果的にはどんでん返し的結末がいかにもと思われる決着で少々がっかりさせられた。またこのテーマで文庫本で570ページと長編で冗長性は否めない。
秦建日子著「アンフェアな国」、雪平夏見シリーズ今回は、ある日路上で外務省職員がひき逃げに遭い殺害された、事件の真相は思うように中々核心に至らずそして捜査は単なるひき逃げ事件として処理された、これに疑問を持った夏見は個人的に捜査を開始した。そして偶然にもドコモショップで夏見に担当した女性から相談に乗って欲しいとの連絡、捜査は韓国まで及び内密にソウルでの調査になった。正義感と度胸は雪平の持つ先天的な特徴だ。
森博嗣著[封印再度]、 瓢という壺そして鍵箱それらは古くから古民家に伝わる代物で、この二つの物に関わり先代の当主が自殺した因縁付きの物である。たったこの二つの物を回りプロットを組み立て周りを埋めて行く作者の想像力には唯々感心するしかない。冗長性は否めないが展開の速さに読者は翻弄されついつい最後のページまで繰らせる描写力に感心するばかりだ。
秦建日子著「愛娘にさよならを」、 警視庁捜査一課殺人犯警部補雪平夏見シリーズである。今回は雪平は格闘の末大怪我をし刑事生命を危うしとなり管理部へと移動になった。元夫が亡くなった今親権がらみで元夫の父母ともめていた。破天荒なヒロイン雪平夏見の人となりつまり人生と警察官としての活躍を両立させ読者を楽しませてくれる、作者の手腕は絶大なものがある。ヒロインの逆境にも負けない勇気と生き方に胸がすく。
森博嗣著[今はもうない]、僻地の別荘で起きた殺人事件を巡るミステリーだが、まずもって冗長性が否めない展開である、犀川と西之園萌絵とのコラボミステリーとの事だが全く馴染めない、悪戯に結果を引っ張り先伸ばししているしかた思えない展開だ
秦建日子著「殺してもいい命」、雪平夏見警視庁捜査一課の刑事の元夫佐藤和夫が、玉川河川敷で死体となって発見された、警視庁の刑事の捜査が開始されたが目撃証言も手がかりも無く捜査は迷走した。その後殺人請負人として浮上した殺人鬼による殺人が浮かび上がり、捜査陣は暗中模索の中にいた。夏見の元夫佐藤は再婚していた、一人娘の美央は再婚相手の由布子に託されていた。伏線の玻璃回り具合、プロットの面白さそして最後のどんでん返しと面白く読ませてくれる傑作ミステリーだ。
秦建日子著「アンフェアな月」、雪平夏見警視庁刑事シリーズだ、古典的なテーマである誘拐を扱った雪平の魅力を最大限に発揮する痛快シリーズだ。家庭で仕事つづけるイラストレーターである亀山冬美長女瑠子が誘拐されたとの報告の元雪平らの警視庁の捜査を開始、捜査を進める家庭で不可解な殺人が連続して起こる、誘拐に関係があるのかは不明確だ。そして遂に雪平が辿り着いたのは狂言誘拐つまり母親自身の偽装だった。伏線を張り巡らしプロットもなかなかのものだ。
秦建日子著「推理小説」、警視庁殺人課刑事雪平夏見シリーズ第一作と思われる作品だ。子供1人を夫の元へ残し離婚した経緯は薬中を追って銃で射殺したその者は17歳の少年だった、世間からは非難囂々でも雪平は怯まなかったそして家族を失った、そんな彼女は警視庁の敏腕刑事として活躍している。事件は連続殺人事件、捜査にあたった雪平の試行錯誤の捜査が開始され遂に追い詰め最後には犯人を射殺する。誉田作品とどうしても比較してしまうが展開のスピードといいやはり誉田作品にはかなわない。
中山七里著「作家刑事 毒島の嘲笑」、全5編の短編ではないが、続く物語今回は、公安部刑事の淡海と刑事指導員と作家を兼業とする毒島との同行捜査を毒島のキャラクターを前面に露出し事件の解決を図るという趣向だ。プロットはシンプルだが、どんでん返し的結末ありの読者を喜ばせてくれる趣向が入っている哄笑ミステリーに仕上がっている。