水曜日, 3月 01, 2017

ディーン・R・クーンツ著「殺人プログラミング」アメリカの田舎人口400人たらずの小さな町、そこは製材業が主な産業で湖を利用しながら木材を加工している「ブラック・リバー」と呼ばれている。オグデンと名乗る研究者が、閾下知覚研究をほぼ完成させた。彼は人間の精神をコントロールする閾下知覚を利用する方法を発見し実施試験地としてブラックリバーを選択した。傭兵による水源地の湖に薬剤を散布し住民をコントロールするべくレイプや強奪、殺害を繰り返した。しかしその閾下プログラムが何故か効果のない4人が存在した。それが主人公ポールであり雑貨屋を営むサムであった。オグデンに殺害され恐怖の中完全と悪に立ち向かうミステリー小説だ。
ローレンス・サンダーズ著「無垢の殺人」離婚してニューヨークのホテル保安課に勤務するアラサーのゾーイ・コウラー、彼女は恐ろしく地味で勤務態度は真面目だ。彼女は激しい生理痛と奇病に苛まれ、生理の周期に合わせるかのように通り魔殺人を次々と犯してゆく。ホテルのカクテルラウンジかバーで男を見繕い部屋に誘い誘われ鋭利な手持ちナイフで喉を掻き切り男性の性器を滅多刺しにしてしまう。これらの殺人の動機は一体何なのか?厳格な家庭で育てられた彼女ゾーイ、巨大な都会で孤独に暮らす日々、愛亡き日常、怠惰、倦怠、絶望とそれら全てが絡まり合う。血を見ることで精神が安定する。そんなアラサーの不遇で恐怖を伴うミステリーだった。
ブライアン・ガーフィールド著「反撃」弁護士のマールは法廷でマフィアの親分・ボスと闘い刑務所へ送り込んだ。時がたち8年を経過しマフィアのボス・バスターが出所した。法廷の証言者4人の家族に脅し恐喝恐怖が四散した。身柄確保証人プログラムによりFBIの担当官と名前を変え住処を転々として逃走していた。そして彼マール及び妻ジャンは気づいた。そう反撃だ。ボスの妻アンナを事もあろうに誘拐した。反撃は殺人計画でなく知性と人間の友情とでマフィアに反撃を開始、そして遂にマフィアのボスは折れた。勝ったのだ。
リチャード・ジェサップ著「摩天楼の身代金」ニューヨークを舞台に繰り広げられる摩天楼のホテル爆破とホテル所有者らとニューヨーク市警と犯人との凄絶な探り合い。この物語では犯人トニオ・ヴェガ青年として最初から分かっている。ベトナム帰還兵でコロンビア大学に籍をおくアルバイトの青年だ。読み終わり、何故かこの青年の事件を起こした動機が不明である。それがまさに現実的な恐怖に繋がっている面がある。実在するニューヨークの場所場所、市警の捜査、市長の登場と現実味を帯びた展開に次々とページを繰らせる迫力があり身代金の奪取方法も奇抜で面白い。
門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング5」日本の首相及び官邸直結のスナイパー黒木豹介と高浜砂霧が活躍シリーズだ。迫りくる悪・国際テロリスト集団との戦闘は頭脳と強靭な肉体を駆使し挑む黒木と特殊捜査隊一丸となって対応する。様々なテロリストの暗躍する状況設定がまさに国際的規模で行われそこに登場する人物・状況設定が著者の豊富な知識と相まって読み応えのある物語に仕上がっている。

ウィリアム・ベイヤー著「顔のないポートレート」主人公ジェフリー・バーネットは写真家である、ある時キンバリーという女性と出会う。ロマンスを育みながら物語は展開してゆく。彼女キムは女優志願でエスコートクラブで働いていた。親友が殺害され一気にミステリーゾーンへと突入する、後半は彼女、彼女の友人や関係者を交えながら物語は進む。ジェフリーも友人フランクを仲間に引き込みダーリングという富豪から現金略奪を計画し実行する。魔性と妖しい魅力を持つキンバリーという女性の天真爛漫さから想像もできないまさに魔性だ。主人公ジェフリーは翻弄されながらも最後は勝利し自分の人生を切り開く。
門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング4」作者の防衛機器、ピストルや戦闘機を様々な殺戮機器に対する知識には感服だ。シリーズ4作目は米国大統領を交え国際テロ組織と闘う黒木豹介と高浜砂霧の活躍を描く。熊野の山中にある戦闘防衛システムに7カ国首脳が顔を合わせ秘密会議を討議中に切迫した事態が発生し凄まじい銃弾の嵐が飛び交う。


ロンジーニ&マルツバーグ著「裁くのは誰か?」米国大統領ニコラスを中心に妻クレア、秘書官、報道官、主席補佐官そして副大統領といった面々との日常、今や支持率を落とし苦悩する大統領そんな中で側近の死、次々と起こる殺人。ある章で突然一人称から複数つまりわれわれという表現となり殺人が行われるという、これは正に二人の作家が分担し書き上げた作品だと思わずにいれない。最後は大統領は警告に身を投げ自殺するそして犯人は?



ロアルド・ダール著「オズワルド叔父さん」まさにユーモア溢れる傑作小説だ。英国作家ダールは、PG・ウッドハウスのジーヴスシリーズを彷彿とさせるウィットに富み大人のユーモアを含みかつまた落ちが素晴らしく一振りの香辛料にも似た面白さだ。コーネリアスが開発したブリスター・ビートル甲虫の粉を主原料とする強烈な精力剤、化学博士が開発した精子の長期安定の凍結保存方法を元に彼が考えた大天才の精液を収集し天才が死去した後で大都市の裕福なマダムに販売するといった大胆な発想作者ならではのプロットと人間の欲とまた人生を感嘆させる物語だ。


ローレンス・サンダーズ著「ホワイトハウスの悪魔」ふとしたことから、米国大統領のブレーン及び預言者として側近となったブラザークリストスを巡り大統領補佐官及び副大統領及びその補佐官さらにロシアKGBのスパイと多彩な顔触れを揃え預言者の抹殺を画策する。プロット自体はそんなに複雑でもないが、何故か魅了する展開に最後のページまで繰らせる力量があるミステリーだ。

木曜日, 2月 02, 2017

中川健一著「日本人に贈る聖書ものがたり」下、アブラハムからイサクそしてヤコブへと続き、ヨセフの死を持って族長たちの巻が完結する。400年という長きに渡りエジプトに留まったへブル人・イスラエル人の苦難の歴史が書かれヤコブの遺言により後にイスラエルに12の部族が誕生しその後の物語へと続いてゆく。


中川健一著「日本人に贈る聖書ものがたり」上、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地エルサレムは各教共通の聖地である。 紀元前21世紀 アブラムからアブラハムへ後のイエスの家系となる物語であるが、作者の物語の展開の功名さが内容を細かく砕き面白さを失うことのないように進めるその手法はまさに聖書に精通した著者ならではのものではないかと思う。アブラハムとその妻サラそして神ヤハウェとアブラハムの息子イサクが妻リベカを娶るところで上巻は終わる。


門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング3」、遂に柳生一族の館にまで殺人者の触手が伸びてきた。さらに刀匠までも。またしても世界を震撼させる闇の殺人集団と黒木豹介・砂霧との対決は迫力抜群だ。混然一体となった闇の集団の素顔は依然として知れず、そんな中次々と事件が発生する。遂に、中国軍に召喚された黒木は軍空軍基地に降り立った。そこで待っていたのはまたもや殺人集団だった。著者の状況から最終の結論が出ないまま物語は完結。残念至極。


門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング2」、ヨーロッパはもとより日本と世界へと黒木豹介検事と高浜砂霧とのコンビが活躍する第二弾だ。強靭な肉体とマシンガンを操る黒木の前に次々と襲う困難に立ち向かう痛快活劇的サスペンスは一服の清涼剤的ドラマだ。次々と展開する暗闘はまさに圧巻であり著者の状況設定プロットに感服だ。


門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング1」、ヨーロッパはフランスを舞台に日本の政府総理大臣おも登場させ華麗な展開を繰り広げる壮大なドラマだ。政府公認の用心棒黒木豹介と高浜砂霧とフランスの刺客との激闘が遂にEC推進のドロール委員長が日本へ上陸し郡上八幡での死闘となった。今までの著者の作品は、大阪のヤクザを中心として世界だったが正直驚きを感じぜらるを得ない。2が楽しみだ。


畠田健一著「本所おけら長屋」二、おけら長屋に住む浪人鉄斎は東北は黒石藩の家臣だったが、今や江戸剣術道場の指南役で長屋の住人皆に信頼されている。この鉄斎の身の廻りで起こる数々の事件を通して住民皆が力を合わせ事件に立ち向かう。江戸庶民の生活や風情が様々な場面で伝わり気持ちの良い読後感を与えてくれる。


畠田健一著「本所おけら長屋」一、江戸はある長屋本所おけら長屋に住む住人との人情温まる交流をとおして今は無き義理と人情が交錯する風情を軽快な文体とともに描く。長屋に住む米屋の奉公人万造と酒屋の奉公人松吉が度々起こす騒動を住人皆で泣いて笑って解決する。


ドストエフスキー著「白痴」下巻、いよいよ公爵プーシュキンを取り巻く人々との確執は限度を知らずアグラーヤの奔放な性格と相まって翻弄される日々だ。公爵はこれらの人々との対話を通しても依然と彼自身の狂気の中の純粋無垢な性格は一向変化することなく癲癇をコントロールしながら対処して行く。この混乱の中、ナスターシャとの結婚を決めいよいよ式当日ラゴージンの手によりナスターシャとは連れ去られた。必死に探す公爵が遂にラゴージンの家で見たナスターシャの姿は既に骸となってベッドに横たわっていた。


ドストエフスキー著「白痴」上巻、主人公プーシュキン公爵の生い立ちとともにスイスからドイツを経てロシア・ペテルスブルクへ列車から降り立ったところから物語は始まる。スイスの療養所での五年間の月日を経て公爵の癲癇病も治りかけていた。列車でのラゴージンとの出会いにより、ナスターシャとの邂逅さらにエパンチン家の人々との出会いと公爵を巡るペテルスブルクでの様々な人々との出会いを果たす。ラスコリーニコフと同様公爵プーシュキンの純粋無垢な性格が人々にどんな結果を齎すか。


ジェフリー・ディーヴァー著「死を誘うロケ地」、ニューヨーク州北部の小さな町クリアリーでのロケハン探しの元映画監督ジョン・ペラムは、この町で様々な妨害に遭遇し友人まで失うこととなる。小さな町の巨悪との闘いを決意したペラムの活躍ついに麻薬の生産と密売組織に辿り着く。田舎町の住人とそこの生活感をまた空気を散りばめ物語は進んでいく。最後のどんでん返しは読者の想像を超えたものでもないが、軽快な文体とともに楽しめる作品だ。