日曜日, 3月 29, 2020

赤川次郎著「マリオネットの罠」、長野県茅野市の山荘は古い洋館でレンガ壁には蔦が配い趣を抱かせる広大な敷地を有していた。館の主は古美術商だという、三人の娘と使用人が男女各1名づつおり、そこに上田修一というフランス旅行から帰って来たフランス語の家庭教師がいた。修一は二人の館の娘、紀子と芳子が出かけた隙に屋敷を見回り偶然地下で追う一人の妹を発見する。親しくなった妹の雅子は修一の計らいで脱出して次々と殺人を犯す。一方姉の紀子は麻薬の闇ルートを束ねるトップとして君臨していた。修一の許嫁と刑事らの情報戦により事件の解明が進んでゆく。この小説のプロットは非常に良く練らていて圧巻だ。
恩田陸著「ユージニア」、田舎町の旧家それも医院で起きた大量毒殺事件が齎す直接の被害者及び家族、友人またその医院の家族医院に務める家政婦等々に与える負の遺産を回り苦悩する人間の物語だ。医院の家族の一人で目の見えない美少女を回り4半世紀を過ぎた今明らかにされる犯人とはやはり少女そして少女に感化された青年による犯行だった。人間の体感と記憶の奥底に潜む疑念そしてそこに自分の人生を重ね合わせ懊悩する人間模様を描いている。
横山秀夫著「ルパンの消息」、高校生3人による期末試験答案用紙強奪作戦、練られたのはいつも屯する喫茶店「ルパン」だったことからルパン作戦と命名した。試験は4日に渡るそして作成も4回実行せねばならない。そして4日目答案用紙があると見なされる金庫を開けた、中から教師の嶺舞子先生の遺体が投げ出された。それからの3人は他殺と断定し捜査よろしく様々な考え巡らし事件を追い詰めたが駄目だった。15年目の時効を迎えた日、刑事の溝呂木が下した決断から急展開となって解決する。複雑な良く出来たプロットを人生の悲哀と希望を感じさせる好著といっていい。
池井戸潤著「果つる底なき」、著者お得意の銀行ものだ、しかし今回の書はミステリー小説だ。銀行と企業の凭れあいと銀行員の上下関係から派閥争いまで、この一冊で銀行が解るほどだ。同僚坂本が不慮の死を遂げ、引き継いだ私主人公は不正送金疑惑を発見した。そこを端緒に次々と追跡する主人公の真摯な生き方、悪を赦さない人間を常に描く著者の信条が見える。好著だ。
有栖川有栖著「46番目の密室」、クリスマスパーティーに集った6人、北軽井沢の推理小説家真壁精一の別荘である。ある夜殺人事件が発生するしかも死亡したのは当の真壁氏と別荘周辺をウロツイテいたと思われる謎の男だった、二人は暖炉に頭を突っ込み灯油を掛けられ顔を酷く損傷していた。参加者の火村助教と有栖川は事件の真相を解明すべく立ち上がる。密室殺人としは絶賛である。
石持浅海著「扉は閉ざされたまま」、大学時代の部活動での分科会のメンバーが絡む成城の別荘後の宿泊施設にての密室殺人事件がテーマだ。伏見が新山を殺害し浴室に閉じ込め溺死として偽装を装う殺人事件。伏見が持参した睡眠薬と風邪薬を混ぜて飲んだ新山は昏睡状態になり、その機を狙って殺害した伏見とメンバーの動向そしてメンバーの中にいた優佳が犯人特定を進め遂に伏見の犯罪と確定する。犯人伏見の殺人動機は今一納得できないが、上手く纏められたミステリー小説だ。
小杉健治著「絆」、弓岡産業の社長である勇一が自宅で殺害された、通報した妻奈緒子は当然嫌疑を掛けられ裁判で被告人として出廷した。被告人奈緒子の弁護を引き受けたのは暫く弁護活動を休止していた原島弁護士だった。被告奈緒子は3人兄弟ですぐ下の弟は軽度の精神薄弱児だった。殺害された奈緒子の夫、さらに愛人と障害者と複座なプロットを見事にカバーする好著だ。
ポーラ・ホーキンズ著「ガール・オン・ザ・トレイン 下」、メガンの死後、レイチェルとトムそして現在の妻アナさらにメガンの死から嫌疑を受け警察の執拗な追及を受け精神的に参っているスコットと四者四用の錯綜した怒り罵声、懊悩がそれぞれに交錯していた。そんな折、レイチェルははっと思い浮かぶトムとメガン二人が親密な関係になっていたのでは?とさらにメガンを殺害したのはトムだと確信した。トムの家でレイチェルは彼を追及し最後に彼女はトムを殺害してしまう。女の妄想というか異常性を見事に表現した作品だ。
伊坂幸太郎著「クジラアタマの王様」、著者のイメージ通りの作品だと思う。現実と夢との相克、夢の中で見たもの事象が現実リアルの世界で実現されてしまう。主人公岸と都議会議員と俳優の小沢との三者が互いに絡み合い物語は複雑怪奇だ。最終章の新型インフルのパンデミック的様相は現実に発生している新型コロナは何故か酷似していて驚愕した。
ポーラ・ホーキンズ著「ガール・オン・ザ・トレイン 上」、著者の本は初めてだ。ロンドンから少し離れた町に住むレイチェルは、離婚をして今は無職しかしキャシーの親切心で彼女にフラットに住んでいる。彼女に解雇された事実を知られない為に毎朝電車でアシュリーからロンドンへ電車通勤して胡麻化している。電車から見える下って住んでいた住居の近くでの家で普段と違う光景が見えた。スコットとメガンの暮らす家でメガンが夫を違う男性とキスをしていた状況を見た。数日後メガンは失踪してそして数週間後に彼女の住まいと10kmも離れていない森の中で死体となって発見された。。
拓未司著「禁断のパンダ」、料理ミステリー小説という新しい発想は著者の調理学校出身という出自からのものか?神戸を舞台にフレンチの料理人を取り巻く様々な人間模様が織りなす殺人事件の底にある人間の業のような得たいの知らない神をも恐れる人間を描いている。欲を言うなら警察刑事コンビを黒川なみに面白く描いてほしかった。
松岡圭祐著「万能鑑定士Qの事件簿 11」,凜田莉子、万能鑑定士Qシリーズ第11作目だ。今回は京都の寺、御隠時に纏わる住職こと水無瀬瞬と莉子との知恵比べとなった。瞬は莉子と同じチープグッズ店で修業した仲だと知った。次々と寺を改革し莫大な利益を上げまさに復興した住職水無瀬がしたのは詐欺師のようなトリックによるものだった。
アンソニー・ホロヴィッツ著「カササギ殺人事件 下」,上巻を読んでから暫く経って下巻が気になり読み始めた次第だ。その一は、ミステリー小説内の事件を廻るアティカス・ピュントの謎解きが進行し、もう一つは現実な私ことスーザンの身の回りや「カササギ殺人事件」の出版や著者アラン・コンウェイとの確執そして最後には同時に物語上と現実の私スーザンの上で起こった事件が一挙に解決するといった複雑精緻なプロットには驚かされる。
松岡圭祐著「万能鑑定士Q 10」,お馴染みの万能鑑定士Q凜田莉子シリーズ第10作目。今回はヤクザが絡みエメラルド不正輸入と売買を豪華客船にて行う組織と警察の対決に割り込んだ莉子の活躍、美容室チェーンで起こるお抱え弁護士の不正、さらに普段お世話になっているチープグッズ店長の騒動と事件満載の痛快解決劇だ。
知念実希人著「ムゲンのi 下」,愛衣は23年前の自分の母親を失った時の犯人、連続殺人魔と事件のデジャブから逃れられないでいる。イレス症候群から三人を覚醒させた現実を見るが心は救われない。自分の妄想に浸り現実世界から夢幻の世界へと移していく自分を理解できないでいる。そんな折、連続殺人魔が院長の袴田と解り漸くデジャブから脱し夢幻から現実世界が繋がった。それは今は無き家族と二匹との愛情に支えられた愛によって叶えらたものだった。

水曜日, 2月 26, 2020

知念実希人著「ムゲンのi 上」、神経精神科付属病院に勤務する識名愛衣彼女は神経科の医師で彼女の患者はイレス症候群という原因不明の病名で40日以上眠ったままの状態だ。そんな時に実家に帰った彼女に祖父母が彼女に告げたマブイグミという言葉が発端になり深い闇の中に侵入し病室の患者のマブイを探し始める。侵入した彼女を援助してくれるのはククルという卯西猫とともに二人の患者のマブイを発見し患者を覚醒させる。現実のリアルと精神世界を交互に描きながらの不思議な物語である。。
伊坂幸太郎著「モダンタイムス 下」、渡辺が向かった盛岡で耳にした情報は、安藤商会やその裏で仕切る安藤潤也について、また遠い親戚であることも判明。物語は多岐に渡り展開し妻佳代子と大石内蔵助や五反田正臣らと学校での小学生惨殺事件の真相を突き止めようと危険な状況を潜り抜けならが核心へと、そこで登場した学校の用務員だった永嶋丈は国会議員になっており、作者の国家観も垣間見せるといった波乱の展開に読者は翻弄されっぱなしといった嬉しい悲鳴だ。
伊坂幸太郎著「モダンタイムス 上」、IT会社に勤務し恐妻家の渡辺は、依頼された案件である会社のシステム変更に回され、そこで発注元のゴッシュという会社を知る。プログラムを分析する内にある検索語を待って誘導するシステムだと理解する。そこからある二つの検索語により検索した人間に不幸が襲い掛かる。渡辺はそんな状況の中で安藤商会なる単語を知り、その商会を知るべく東北は盛岡へと有給を取り出掛ける。。。下巻へと
伊坂幸太郎著「ホワイトラビット」、著者の書を読むのは久しぶりか?恥じてなのか記憶にない。物語は誘拐を業とする犯罪グループ内の抗争に端を発し籠城事件に発展する警察小説だ。場所は宮城県仙台市のノースタウン高級住宅街で起きた籠城事件だ。県警の課長夏之目は過去の自らの犯罪を引き摺りながらも捜査の指揮を執る。グループ内の内ゲバの仲間同士の遣り取りを著者はユーモアを交えて展開させる。
中山七里著「悪徳の輪舞曲」、少年の時少女を殺害し遺体をバラバラにしtその欠片を方々にばら撒いたという御子柴礼司は医療少年院で更生を遂げ、今や弁護士としてそれも悪徳弁護士として名を馳せている。その彼が寄りによって自分の母親を弁護することになった。彼女は再婚相手を自殺に見せかけ謀殺したという事件だ。妹梓から依頼された御子柴が見せた弁論は度肝を抜くものだった。過去に犯歴を持つ弁護士て現実を生きる御子柴の人生を賭しての償いは哀愁をも感じさせる。