金曜日, 4月 03, 2009

C・J・ボックス著「ブルー・ヘブン」を読んで。

著者の作品は始めてである。550ページにも及ぶ長編ミステリーだが、読者を飽きさせない背景と主人公とその周辺人物の多様な描写と展開が、多分最後のページを繰るまでにさせるのだろう。物語はアイダホ州の田舎町で起きた、アニーとウィリアムの幼い姉弟が釣りに出掛け殺人現場を目撃してしまうところから始まる。殺人を犯した犯人は元ロサンジェルス市警の警官4人であった。シンガー、ゴンザレス、スワン、そしてニューカークが、もう一人の仲間を銃殺したのだ。彼らは、13年前に競馬場で現金強奪事件を起こした犯人仲間の市警察官であった。強奪した現金をアイダホの銀行に少しずつ預金し後で、分け前とする筈であった。銀行家のジム・ハーンは、マネー・ロンダリングとしりながら預金について目を瞑った。そして殺人を目撃した姉弟を匿う事になった牧場主のジェス・ロウリンズは、妻にも離婚され、息子は精神障害、親父からの遺産の牧場の経営は行きづまっていた。そんな彼を主人公として、昔見た西部劇の主人公ばりに仕立てて、事件は壮絶な銃撃線を交えて解決へ。犯人ら、またもう一人のロス市警退職警官ヴィアトロ、幼い姉弟、そして魅力的で奔放な母親モニカは銀行家ジム・ハーンとの子供がアニーだと、様々な伏線を用意した著者の周到な展開に読者は魅了され、遂に最後のページへ、そして読後何故か不思議な安堵感を覚えるのは私だけであろうか。

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