前に読んだ「昭和史」同様、講義調で実に判り易く解説された物語風歴史書である。江戸城無血開城となった1863年を機に明治維新として日本の歴史が新たな展開を見るが、この明治維新は日本独特のものでビジョンも未来の国家建設のための思想も哲学もなく、流れて或いは流されていく今日に見る政治的、社会的状況と同一なものと認識されつくづく日本的だと思う。幕末に於いての雄として勝海舟と西郷隆盛両人が歴史に深く関わり度々重要な場面で登場してくるが、この二人が幕末史の両極思想を代表する。戊辰戦争そして西南戦争から、日本の軍事独立と軍国主義国家の基礎ができつつあるとみる著者の歴史への理解に同感するものである。
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