二十数年間、IT業界の末端に身をおく者として、この本を手に取った。著者の言わんとする日本のITコストの高い理由とは、「保守料金体系」だと言う。21世紀のIT・情報通信技術の進化はSaaSに代表されるクラウド・コンピューティングにいきつつあるとして、こうしたコスト削減を目指す世界的動向からかけ離れた存在が日本のIT社会の中での保守料金だという。しかし中身は大・中堅企業の開発費にしても数十億円という莫大なシステムそして保守料も年間数億円という規模の話であって、我々の小規模な世界の話ではない。年間IT投資額が12兆円でそのうち保守料は1兆円だという。そして79万人がIT関連企業の元で働いている。欧米では既に保守のサービス及びサポートは分業化されているようだ。しかし、日本の企業が求めるシステムは、その企業独自のシステムである場合がほとんどで、一部はSaaSに移行するにしても基幹及び勘定系システムは当分画期的な技術が現れない限り無理だと思う。最近の話では、日本の携帯情報端末の通信方式が、南米の各国で採用されつつあるという。日本独自の技術は日本の風土の中で生まれた特異なものであるが、それが他国で認められるというのは何故か嬉しい気持ちにさせてくれる。
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