日曜日, 10月 29, 2023

大沢在昌著「ダブル・トラップ」、元優秀な諜報員として働いてき今は高級レストランのオーナーとして過ごしている加賀哲の下に一本のテープが送られてきた、そのテープは勝手の同僚である牧野からだった、助けてくれというメッセージだった。急遽宇和島に飛んだ加賀は牧野と合うことはできず工作員のと格闘を余儀なくされズルズルと諜報機関との接触を余儀なくされた。松宮貿易という秘密諜報機関そこに群がる秘密警察海外のテロ組織そして公安、これらの標的にされつつ独自に運命を切り開く加賀の勇気と信念を描いた作品だ。
小泉喜美子著「弁護側の証人」、ミミーローイ彼女はストリッパーであったが、彼氏の彼は大会社の富豪の御曹司だった。結婚を機に彼の自宅へと居を構えそこの住人となった。しかしある日その社長つまり祖父が何者かに机上の文鎮で殴打され殺害され容疑は祖父の部屋へ出入りを目撃された若妻に嫌疑かかり逮捕され裁判となった。美人妻を弁護した清家弁護士の必死の弁護により無実を勝ち取り、夫の杉彦が逮捕されるという事件だった。どんでん返し的結末が甘く何故か頁を繰る手が進まない。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 四」、 貧乏小国日本は日露戦争において、弾薬不足に兵器不足とギリギリの戦での戦いに終始しており、打開すべく道はとざされているかに見えた。精神論で戦うこれが日本の現実だった。海軍は旅順を攻略してくれる陸軍を頼みに外洋で碇泊している、その陸軍の隊を率いるのは乃木希典は如何にしても無能で日本兵をやたらと殺させ大本営の意見も聞かず戦況も偵察せず無益な戦闘を繰り広げている。ロシアのバルチック艦隊が近づきつつある現状である。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 三」、極東の弱小貧乏国家は維新後も藩閥の名残を残しながら海洋国家としての歩みを続け、艦船を海外に発注して着実に帝国主義の路を歩んでいた。そして松山で療養中の正岡子規は日に日に体力の衰えを見せ、遂に帰らぬ人となった。極東を回り列強の各国の駆け引きが盛んになり清国及び朝鮮を廻る動きが活発になり中でもロシアは露骨に侵略の意図を示し日本にとってもこの動静は少なからずロシアに脅威し遂に日露戦争の会戦となり秋山兄妹もそれぞれ戦地に赴いた。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 二」、 日清戦争に勝利した日本は、軍備拡張を目指し中でも軍艦を建造といっても外国への発注であるが整備に本腰を入れ真之は海外の海軍及び造船所を具に観察しながら海戦の戦略を計画していた。好古は35歳になり結婚して子供を設けていた、子規は喀血を繰り返し松山での床に伏していたが精力的に俳句及び短歌について論文を書き発表し続けた。明治期の帝国主義国の清を中心とした列強の動静に著者は可成り詳しく調査して著者独自の歴史観を展開して面白く読んだ。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 一」、大政奉還を経て無血革命による明治という時代を生きた伊予松山の秋山兄妹兄は好古で弟は真之そして正岡子規は兄妹にとって親友だった。兄妹とも頭脳明晰で成績も良く兄は陸軍へ弟は海軍へと歩んだ。当時正岡子規は喀血を度々繰り返し医師からは肺結核という当時としては不治の病に罹っていて瀕死の重傷で実家の四畳の間に床へ伏していた。好古はフランスへ留学騎兵術を学ぶため真之は漸く英国に発注した軍艦に乗船し技術を学び始めていた。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 5」、退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は短編4編という形で提供されています、実に様々なネタを考えて作り出す作者の能力というか想像力に感心するばかりです。今回はメゾン・ド・ポリスの成り立ちが、伊達によって明らかにされ人間味のある人生を達観した者の温かさがそこにありました。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 4」、退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は短編5編という形で提供されています、実に様々なネタを考えて作り出す作者の能力というか想像力に感心するばかりです。退職刑事の中にどっぷりと漬かりこんだ牧野ひよりの成長する姿が微笑ましいかぎりです。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 3」、 退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は爆弾魔との対決3作目にして初めての長編だ。病院やら公園と囮の偽爆弾を仕掛ける犯人を捜査しているのはひよりと退職刑事だ、そして挽弾魔の味とはスメゾン・ド・ポリスの一人迫田の息子が勤務する水族館の建設だった、環境破壊と生物を苦しめる事業について批判的な集団を摘発する。そして間一髪ひよりは命拾いする、テンポのある展開に思わず引き込まれあっという間に読了。
マイクル・コナリー著「バッドラックムーン 下」、ホテルの警備主任グリマルディの依頼を受けたジャック・カーチは執拗にキャシーを追跡し彼女の元の相棒であり異父兄にあたるレオ・レンフロを血祭りにあげた。そしてカーチは刑務所でキャシーが生んだ娘(養女となっている)ジョデーを拉致誘拐し車でラスベガスに向かいホテルのスウィートに投宿した、グリマルディと連絡を取りながらキャシー来るのをホテルの部屋でジョディと一緒に待ち二人を自殺に見せかけて殺害する予定だ、キャシーは天井裏から部屋に侵入しジョディを奪い逃走、そしてカーチはグリマルディ一味まんまと騙され危うく殺されるところ逆に彼ら一味を銃殺してのけた、無事ラスベガスを脱出してジョディを送り届け走り去った。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 2」、退職刑事のシェアハウス通称メゾン・ド・ポリスには5人の元刑事やら科捜研にいた分析官が居住し所轄の牧野ひより刑事と共に様々な事件を解決シリーズで今回は2巻目である。犯罪の設定やらプロットといい実に味付けが微妙で一気読みの感があり楽しく読むことができる。窮地に陥るひよりを退職刑事達つまり人生の先輩が導きながらひよりの成長を見守る構図となっている。悪に対して敢然と戦う姿勢にひよりも全力投球で立ち向かう。
マイクル・コナリー著「バッドラックムーン 上」、窃盗の罪で刑務所に5年間服役し仮釈放中のキャシーは、再び強盗を計画しロサンジェルスからラスベガスへと、カジノに潜入し周到に用意した様々な機器を持ち込みある運搬人の宿泊する部屋に設置し自分は相向かいの部屋に投宿した。そして日付が変わり真夜中を過ぎ午前3時近く眠っているターゲットの部屋に侵入5万ドルの現金を掴みずらかろうとしたところで眠っていたターゲットが目を覚ます瞬間9ミリ口径の拳銃で射殺し早々にホテルをでてボクスターに乗りずらかった。ホテルの警備支配人に現金を取り返すべく依頼された私立探偵のカーチは察策捜索に動き出し、窃盗した人物を特定した。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス」、柳町北署の刑事槙野ひよりと退職警官が住むシェアハウスでメゾン・ド・ポリスに住む5人の叔父さん達と協力して事件の捜査をし解決に導くそんな物語だ。様々な特技を持ちそれを発揮し捜査に生かす事件も実に気の利いたもので、本当に楽しく読める本である。
池波正太郎著「雲霧仁左衛門 後編」、雲霧仁左衛門の最後の盗目を前に江戸での著名菓子補を襲う計画を建てた雲霧一味は仲間配下を江戸に参集させ火付盗賊改との熾烈な情報合戦を展開ついに雲霧一味の陰謀を解明した火付盗賊改に暴かれた。この間、虚々実々の展開は読者を翻弄して楽しくページを繰らせてくれる迫力に圧倒された。そんな展開の中で仁左衛門とお千代との恋愛初め配下を思う仁左衛門の器量の深さ盗賊改めの武士の間の信頼関係等人間を描くことを忘れない著者に人間の深い洞察には感服やはりTVドラマも面白いが原作にも感動。
畠山健二著「本所おけら長屋 外伝」、20巻を読了して、本屋で見かけたこの書つまり外伝も素晴らしい仕上がりに感服、本所おけら長屋の住人たちの人情と優しさ人間はこうじゃなきゃという人生の指標がいたるところに潜みつくづく著者の筆力に拍手を送ってしまいます。

木曜日, 9月 28, 2023

池波正太郎著「雲霧仁左衛門 前編」、雲霧仁左衛門はNHKのドラマを見て面白かったので原作を読んでみようかと思った次第である。読んでみてこれはドラマが数段上で脚本家力量をまざまざと感じだせてくれた。江戸で盗人一味として知られた雲切一味が次の標的としたのは尾州名古屋の地であった、そこで暗躍していたのは同じ稼業の一味暁だった。雲切配下の寝返り知った仁左衛門は突然松屋を襲い五千両の略奪にまんまと成功した、一方江戸より長屋の地に出向した火付け盗賊改め一行は雲霧仁左衛門一味を捉えるべく執念を燃やし雲切一味に近ずきつつあった。
東野圭吾著「祈りの幕が下りる時」、 日本橋署の捜査一課加賀恭一郎が体験した事件は、過去彼に係わる事だった。実の母親の死それは彼女が暮らす仙台の出来事だった。彼女の知人関係は実に悲惨な人生を抱え苦しんでいる過去そして現在だった。そこに横たわるのは貧困だった、何とか乗り越えようと必死の努力の先にあるのはつかの間の安寧と幸福だった、そして過去の出来事の復讐が始まり敢え無くその軍門に下った。人生とは格も悲惨で何と悲しいことなのか?著者のプロットは読者のページを繰らせる手を止めず最後まで最後のページまで一気呵成に進める、幸著である。
東野圭吾著「新参者」、離婚してこれからという40代の女性がマンションで考察された。彼女の交際範囲また離婚の原因と加賀刑事は詳細な捜査を開始、日本橋署の刑事として些細な疑問にも足で稼ぐ彼独特な捜査手法を駆使し犯人を追い詰めて行く捜査手法だ。一人の女性の殺人事件を契機に辛抱強く捜査を続ける加賀の姿勢を著者はプロットは単純ながら描きとうすことで読者の関心を最大限引き出した感がある。
森博嗣著[数奇にして模型]、西之園萌絵と大学助教授の犀川創平シリーズの長編ミステリーだ。N工大の実験棟で女性が殺害された、同じ時刻公会堂で実施された模型の交換会の会場の片隅で首のない死体が発見された。萌絵と犀川は様々な状況下で翻弄されながら事件の真相に近づいていく、一人の大学生の夢と妄想を体現すべく仕組まれたものだった。プロットは凝ったものではなく、伏線を豊富に散りばめた体裁でぐんぐんと読者を引き込んでいく筆力は著者の持つ類を見ない能力だ。
東野圭吾著「卒業」、卒業を前にした学生が体験する密室殺人事件が発生、加賀と沙都子は協力して事件について調査を開始、女子学生同士の確執と男子学生との恋愛それらが混ざり合い事件は複雑な様相を呈し解決は困難を極める。著者の殺人現場の設定が学校から離れた今回のように茶会の席で毒を飲まされ殺害される又はアパートで一人手首を切って自殺と青春ミステリーにありがちな安易な設定を避け、絡み合う伏線とミステリーとして仕上がりに納得。
西之園萌絵と大学助教授犀川創平シリーズの一冊で、中でも文庫本で860頁を超える大作である。著者の小気味良い文体と相まって快適に読書ができるのは有難い。長崎のある場所に建設されたユーロパークはヨーロッパの建築を模倣して建てられた壮大なドリームアイランドでありこの施設の中にナノクラフトというIT企業の本社及び研究所も併設されている。萌絵はこのナノクラフトに出資している関係で社長の塙とは面識がありこの施設に招待を受け現地に友人二人と赴いた。しかしそこで見たのは殺人事件だった。あとから参上した犀川と共に事件解明に向けて乗り出すが、施設そのものはVR等最新のテクノロジーで覆われ実態が中々掴めない、その施設に住まうという真賀田四季という天才科学者と出会う、現代版魑魅魍魎の世界が展開され思わぬ結果となった。森博嗣著[有限と微小のパン]、
東野圭吾著「どちらかが彼女を殺した」、愛知県豊橋署の交通課に勤務する👮警察官和泉の妹園子は東京で一人暮らし、ある日園子から不吉と思われる電話を受け心配した兄の康正lは急遽妹を訪ね発見したのは妹の死体だった。勿論康正は犯人特定へ独自の捜査を行い必ず捕まえることを妹に誓う。現場は練馬警察署管内であり当然加賀恭一郎刑事が捜査に乗り出す。物証が中々集まらず捜査は暗中模索の状態であり特定が困難とされた。
東野圭吾著「赤い指」、公園のトイレで女の子死体が発見されたその死体は近所に住む前原家の長男によって殺害されたものだった。前原昭夫は妻八重子と相談し痴呆が進んでいる母親にその責任つまり犯人として警察に連絡する案を実行した、妻と長男と3人で口裏を合わせ万事抜かりなく行くと思ったが、思わぬところで水が漏れた。家族内での緊張感が伝わり面白かった、加賀恭一郎刑事のしたたかな捜査に完敗だ。
東野圭吾著「私が彼を殺した」、高名な作家兼映画製作という男が、結婚式場バージンロードを歩いている途中で倒れそのまま息をひきとたそれは新郎が常日頃服用していた鼻炎薬そのカプセルの中に毒薬が仕込まれていたと判明した。彼穂高は女性との確執がとかく多く冷淡で、その彼に轢かれた神林美和子はよりによって結婚することになり、兄の貴弘がっかりさせる。緻密に練られたプロット、愛憎、兄妹間の愛情、怨嗟と人間の持つ暗い裏を描写しながらミステリーと仕立てていく筆力はさすがだ。
東野圭吾著「麒麟の翼」、一人の中学生の父親が日本橋近辺でナイフで刺され殺害された、そして現場近くでいた若い男が殺害された男の金品を盗み自動車に接触して亡くなった。事件としては単純な構造だったが、加賀恭一郎は不信に思い捜査を続行し殺害された男の足取りを掴み、そこから事件の全貌へと迫り遂に犯人を特定するという、警察ミステリーの王道行く物語だった。

月曜日, 8月 28, 2023

東野圭吾著「嘘をもうひとつだけ」、 加賀恭一郎シリーズで今回は5つの短編集である。短編でのミステリーはかなり難しいと思うが、著者はキレのあるプロットを放ち読者を飽きさせない筆力がありあっという間に読んでしまった。加賀恭一郎の様々面があじわえて面白い。
東野圭吾著「眠りの森」、加賀恭一郎シリーズ、今回はバレエー団の稽古場で起こる連続殺人事件を警視庁捜査一課の刑事加賀が地元管轄の石神井署員と一緒に捜査にあたることになる。バレエ団事務所に強盗が忍び込み女性団員が犯人を金属製の壺で殴り殺害したという事件を皮切りにさらに団の指示役を務める男性まで毒殺されるという殺人事件が発生五里霧中の捜査の中で加賀が粘り強く解決へと。森博嗣を読んだ後でこの本を読み始めたが文章の切れがない、それでも著者独特のプロットの展開には流石と思う。警察ミステリーにありながら、ロマンスを含め読み応えを追及してくれている。
森博嗣著[冷たい密室と博士たち]、 西之園萌絵とN大助教授の犀川創平シリーズである、今回は大学から少し離れた土木工学部の実験棟圏通常「極地研」と呼ばれる施設内での連続殺人事件だ。プロットは良く練られミステリーの要素を全て包含しているし、読者に与える伏線も素晴らしい、愛憎、血縁、嫉妬、競争と人間社会で発生する全ての要素を完全に網羅した上で上質な密室を作りあげている「笑わない数学者」ともに傑作だ。
森博嗣著[笑わない数学者]、人里離れた洋館その建物は希代の高名な建築家が設計したものであった、西之園萌絵と犀川助教授の二人はその建物三ツ星館に招待された、そこで殺人事件を目撃する。そこには天才数学者と呼ばれる人間がいて建物の正面玄関に立っているブロンズ像を消去できると断言し皆の見ている前で実際に消して見せる。まるで江戸川乱歩の小説トリックを地で行ってる感じだ、そして複雑な人間関係と愛憎とよく考えられたプロットで著者のシリーズの最高傑作かもしれない。
森博嗣著[詩私ジャック]、西之園萌絵と犀川創平助教授シリーズである、今回は大学構内で起こる密室連続殺人事件だ。密室も多少無理があるのは否めない、犯人の特定も今一すっきりとしないのはやはりプロットと張られる伏線の微妙さにあるのではないかと思う。
森博嗣著[夏のレプリカ]、雪平夏見シリーズで今回は、夏見の友人の蓑沢杜萌の家庭で起こった殺人事件である。久しぶりに実家に帰省した杜萌は、拉致され蓑沢家の別荘に無理やり男と共に移動し殺人事件に遭遇した、杜萌の兄は盲目であるその兄も誘拐せれ行く会知れすだ。夏見の奔放な推理
森博嗣著[幻惑の死と使途]、 西之園萌絵シリーズÑ大建築工学部助教授犀川創平とのコンビによるミステリーだ。今回は水上で脱出劇を演じるマジシャンの演技中の殺人事件を切っ掛けに発生する殺人事件をテーマに活躍する夏見、しかし結果的にはどんでん返し的結末がいかにもと思われる決着で少々がっかりさせられた。またこのテーマで文庫本で570ページと長編で冗長性は否めない。
秦建日子著「アンフェアな国」、雪平夏見シリーズ今回は、ある日路上で外務省職員がひき逃げに遭い殺害された、事件の真相は思うように中々核心に至らずそして捜査は単なるひき逃げ事件として処理された、これに疑問を持った夏見は個人的に捜査を開始した。そして偶然にもドコモショップで夏見に担当した女性から相談に乗って欲しいとの連絡、捜査は韓国まで及び内密にソウルでの調査になった。正義感と度胸は雪平の持つ先天的な特徴だ。
森博嗣著[封印再度]、 瓢という壺そして鍵箱それらは古くから古民家に伝わる代物で、この二つの物に関わり先代の当主が自殺した因縁付きの物である。たったこの二つの物を回りプロットを組み立て周りを埋めて行く作者の想像力には唯々感心するしかない。冗長性は否めないが展開の速さに読者は翻弄されついつい最後のページまで繰らせる描写力に感心するばかりだ。
秦建日子著「愛娘にさよならを」、 警視庁捜査一課殺人犯警部補雪平夏見シリーズである。今回は雪平は格闘の末大怪我をし刑事生命を危うしとなり管理部へと移動になった。元夫が亡くなった今親権がらみで元夫の父母ともめていた。破天荒なヒロイン雪平夏見の人となりつまり人生と警察官としての活躍を両立させ読者を楽しませてくれる、作者の手腕は絶大なものがある。ヒロインの逆境にも負けない勇気と生き方に胸がすく。
森博嗣著[今はもうない]、僻地の別荘で起きた殺人事件を巡るミステリーだが、まずもって冗長性が否めない展開である、犀川と西之園萌絵とのコラボミステリーとの事だが全く馴染めない、悪戯に結果を引っ張り先伸ばししているしかた思えない展開だ
秦建日子著「殺してもいい命」、雪平夏見警視庁捜査一課の刑事の元夫佐藤和夫が、玉川河川敷で死体となって発見された、警視庁の刑事の捜査が開始されたが目撃証言も手がかりも無く捜査は迷走した。その後殺人請負人として浮上した殺人鬼による殺人が浮かび上がり、捜査陣は暗中模索の中にいた。夏見の元夫佐藤は再婚していた、一人娘の美央は再婚相手の由布子に託されていた。伏線の玻璃回り具合、プロットの面白さそして最後のどんでん返しと面白く読ませてくれる傑作ミステリーだ。
秦建日子著「アンフェアな月」、雪平夏見警視庁刑事シリーズだ、古典的なテーマである誘拐を扱った雪平の魅力を最大限に発揮する痛快シリーズだ。家庭で仕事つづけるイラストレーターである亀山冬美長女瑠子が誘拐されたとの報告の元雪平らの警視庁の捜査を開始、捜査を進める家庭で不可解な殺人が連続して起こる、誘拐に関係があるのかは不明確だ。そして遂に雪平が辿り着いたのは狂言誘拐つまり母親自身の偽装だった。伏線を張り巡らしプロットもなかなかのものだ。
秦建日子著「推理小説」、警視庁殺人課刑事雪平夏見シリーズ第一作と思われる作品だ。子供1人を夫の元へ残し離婚した経緯は薬中を追って銃で射殺したその者は17歳の少年だった、世間からは非難囂々でも雪平は怯まなかったそして家族を失った、そんな彼女は警視庁の敏腕刑事として活躍している。事件は連続殺人事件、捜査にあたった雪平の試行錯誤の捜査が開始され遂に追い詰め最後には犯人を射殺する。誉田作品とどうしても比較してしまうが展開のスピードといいやはり誉田作品にはかなわない。
中山七里著「作家刑事 毒島の嘲笑」、全5編の短編ではないが、続く物語今回は、公安部刑事の淡海と刑事指導員と作家を兼業とする毒島との同行捜査を毒島のキャラクターを前面に露出し事件の解決を図るという趣向だ。プロットはシンプルだが、どんでん返し的結末ありの読者を喜ばせてくれる趣向が入っている哄笑ミステリーに仕上がっている。

日曜日, 7月 30, 2023

誉田哲也著「ノーマンズランド」、例によって姫川玲子シリーズである、今回殺人事件が錯綜する中で、なんと拉致被害者まで出てくる始末である冒頭の高校生男女の交際から始まりその女子高校生がある日北朝鮮工作員に拉致され船上から身投げし自殺するといったエピソードまで盛り沢山の企画だ。著者の才能は留まることを知らず読者を実に魅了してくれる。
中山七里著「作家刑事毒島」、シチュエーションを変えた5編の短編集である、登場人物は同じで出版界また新人作家を夢見る志望者を元刑事で現在も指導員なる地位にいて、ミステリー作家毒島真理彼の殺人事件を解決する能力たるやまさに名探偵だ。業界の裏に潜む暗い部分を余すと来なく暴露し作家志望者をぼろ糞に言いながら彼毒島の心優しいさうした者達への激励もこめた作品だ。
誉田哲也著「インデックス」、8編を含む短編集で、数々の事件と向き合ってきた姫川玲子のその後の様な回想を交えた事件が完結に綴られ誉田ファンとしては息抜きに丁度良いという感想だ。各々の短編でも姫川玲子の人間を描き切っているところが、何より素晴らしいと思う。簡潔な文体はここでも圧倒的に気持ち良い。
誉田哲也著「ブルーマーダー」、暴力団組長が殺害された事に端を発した今回の物語は、警察組織を揺るがす大事件に発展していった。池袋署に勤務する姫川玲子管内で発生した殺人事件を担当することになった。ヤクザの組織内の攻防、警察組織内の攻防と配される役者は少ないが著者の巧みなテクニックで生き生きとした物語に仕上がっている。正義感の強い玲子の回りの警察官との友情、かって恋した警察官いずれも簡潔な文体とも相まって息を突かせず最終章へと導かれる気持ちよさ最高です。
柴田祐紀著「60%」、中国は福建省のマヒアと日本で蔓延るヤクザ組織の首領と警察組織との攻防をリアルに描き出す著者の力量に唖然とするしかない。ヤクザが経営する会社名それが60%だ、中国との麻薬取引により莫大な資金を基にその資金を洗浄うつまりマネーロンダリングするそして投資をするという会社だ。無機質な抗争ではなく悪まで人間と人間の抗争をこれでもかというほど描いてゆく。
中町信著「暗闇の殺意」、 短編集である、七編の短編勿論全てがミステリーである。トリッキーなプロットもあるが、ほとんどが平凡なトリックで文章にも迫力が欠け読んでいくペースが中々速まらない。密室を取り扱った作品もトリックは平凡で何ら新鮮味のない内容だった。
誉田哲也著「インジブルレイン」、今回も警視庁捜査一課の姫川玲子シリーズの一冊である、暴力団絡みの時間が発生しその後の展開に独断で捜査を進める玲子の感が当たり意外な展開へと進んでいく。9年前に姉を殺され現在下級の組に所属する犯人に強い恨みを持つ青年の殺害に対する強い意志、そして最後に付き合った女性のお腹に自分の子供を宿し一人孤独に自殺する男の人生、玲子もヤクザに好意を持つという意外な一面を見せる今回の物語はプロット伏線といい完璧だ。
誉田哲也著「シンメトリー」、短編集で収録されている7編のそれぞれの物語は著者独特の語り口はダイナミックで読者を引きつける魅力がある。初めての短編に接したが、警察ミステリーとしての魅力を十分に発揮していると思う。
誉田哲也著「ストロベリーナイト」、強烈な出だしから始まる今回の姫川玲子シリーズの第一弾だと。今回も二人の被害者が確認され玲子は捜査に忙殺されっぱなしだ、そして荒川河川沿いの漕艇場で青いビニールシートに包まれた遺体が少なくとも9体発見され 捜査は暗中模索の状況になった。文体が簡潔で状況を適切に表現しプロットと言い、伏線も強烈だ。警察ミステリー小説の至高を貫いている。
誉田哲也著「ソウルケイジ」、川河川敷の バンの中から切断された手首が発見された。D N A鑑定やら指紋やらと捜査一課各班がそれぞれ役割を与えられ一斉に捜査に乗り出した、勿論姫川玲子も同様だ。捜査は遅々として進まず、被害者と思われる周辺人物から情報を得て深掘りに向かう。人物描写は丁寧に描き、また文章は簡潔にして迫力があり冗長性は否めないものの最後までページをくらせる力がある。プロットは少々無理もあるが全般的にはミステリー警察ミステリーとして上手く纏まっている。