松本清張著「分離の時間」、2編の中短編が載っている中の第一編が、「分離の時間」である。九州出身の代議士八木沢が横浜のホテルで殺害されたこの事件に感心を寄せた土井と週刊誌記者の山岸ともに真相に迫るべく自分たちで捜査に臨んだ。石油会社の社長上杉とその愛人でホモの関係にある洋品店経営の高橋による愛憎が絡んだ殺人事件だった。2編目の作品は「速力の告発」である。1960年代のモータリゼーションが齎す交通事故での大量の死者の排出を電気店経営の木谷彼は妻子を事故で喪失している、自動車ディーラーから通産省を始め官庁にも訴えるのだが当然取り合って貰えず、故意に中古車に細工をしてエンコさせ渋滞を発生させ巻き込まれた運転者にメーカー告発のビラ配りをするといった作戦だ。