木曜日, 9月 29, 2022

アンソニー・ホロヴィッツ著「モリアーティ」、非常に巧みなプロットで面白い。ホロヴィッツの作品は何冊か読んでいるが、今回の書はスコットランドヤードのジョーンズ警部、アメリカのピンカートン探偵社の雇われ人チェイスが殺人事件を追う、しかもアメリカでも評判の大悪党とされるディバルーなる人物がイギリスに乗り込んだという設定だ。後半にどんでん返しが待っていた。実はチェイスなる人物はイギリスでも有名なホームズの宿敵モリアーティだったという落ちだ。
宮部みゆき著「楽園 下」、等が描いた火事で焼けた場所に横たわる灰色の女の子、それは紛れもなく土居崎家の茜だったのだ、滋子は各方面の手掛かりから手繰り寄せ真相究明の路を歩む。それは結果的には家族あるいは人間の悲しい側面でしかなかった。日常を丁寧に描く作者の器量はとてつもなく凄い。
宮部みゆき著「楽園 上」、フリーライターの前畑滋子が興味を持ったのは、事故死した荻谷等という少年についてだった、彼は幻視、透視能力を持ったと思わずにはいられない少年だった。少年について調査を進める中で家庭、学校環境、友人関係と進めていくうち、やはり幻視能力があるという信念に変わってきた。
ヴァン・ダイン著「僧正殺人事件」、ある教授宅を中心に次々と発生する連続札事件、検事マーカムの要請でファイロ・ヴァンスそして部長刑事ヒースが捜査に乗り出した。マザーグースの詩を真似て起こる殺人事件、捜査は一向に進展なく手掛かりも掴めない状況が続く、そんな中でも検討つけたチェスの名人が自殺を遂げた、衝撃を受けた捜査班は沈黙しかない状態だった。しかしヴァンスは卓越した推理で滔々犯人を特定した、この書のプロットは完璧といっていい、そして伏線も完璧で最後まで繰らせる力があり古典的名著として歴史に残るだろう。
宮部みゆき著「悲嘆の門 下」、結局連続切断魔として殺害された被害者は個々の事由により殺害されたのだと判明し、孝太郎そして都築は協力して殺害犯を特定し逮捕に漕ぎ着けた。勿論ガラの透視能力を借りて。そして幸太郎は、ガラと共に漆黒の闇に向かって歩進め遂に悲嘆の門到着そこで見たものは全てがフェイクでガラもまた想豫したフェイクだった。プロットといい著者のイマジネーションの素晴らしさに感心しきりだ。
宮部みゆき著「悲嘆の門 中」、幸太郎のバイト先クマーの女社長が殺害された、彼は戦士ガラの力を借りて犯人を特定してガラにより制裁を実行した。しかし依然として全国で展開した連続殺人事件切断魔シリアルキラーの正体を掴めない。物語はオカルト的ホラーの様相みせその中にミステリーが詰め込められいく、ガラとの拘わりそして謎が一層深く浸透してゆく中巻だった。
宮部みゆき著「悲嘆の門 上」、三島幸太郎は友人を通してサイバーパトロールを専門にしている会社にバイトで務めた、ある日突然同僚の森永が行方不明になって調査に乗り出した。その頃新宿に建つ廃墟ビルの屋上に置かれたガーゴイル絡みで不審な動きが町内会で話題となり元刑事の都築も調査に乗り出す、新宿の廃ビル周辺でリヤカーを引き資源ごみを蒐集していた老人がゆくえにもなっている。
井上夢人著「ダレカガナカニイル・・・」、作者は、岡島二人の片割れで二人が別れて井上のソロデビュウー作という事らしい、しかも文庫で700頁もあるという超大作である。内容はモダンSFそして恋愛小説さらに加えてミステリー小説というコングロマリット的小説である。ある警備保障会社に勤める西村の脳に女の意識が突然彼の心の中に突入し、彼は混乱しその原因を究明し意識からその得体の知れない女を追い出そうと努力する。その過程は山梨県に新興宗教まがいの建物を警備する西村らの仕事中の出来事だと判明そこからの展開はこの作品に魅了されぱなっしだ。
ヴァン・ダイン著「グリーン家殺人事件」、大金持ちの邸宅グリーン家には、当主は既に他界しその妻は中風で臥せっている、息子二人と女性が二人そして養女が一人と言った家族構成である。ある夜長女が何者かに射殺された、検事のマーカムと部長刑事のヒースそしてヴァンスが捜査に乗り出した。しかし次に長男のチェスターも射殺され事件は手掛かりさえも無く迷宮を彷徨い捜査の進展も期待できない状況だった。長男に続いて次男とグリーン家を構成する者たちが次々と殺害されてゆく。そしてヴァンスが発見したのは過去の書物犯罪便覧にあった事件の概要とそっくりだときずき事件の真相が明らかにされた。本書はミステリー小説傑作古典だ。
望月諒子著「腐葉土」、高級老人ホームで暮らす一人の老婆笹本弥生、彼女は戦前戦中戦後と希望を持って数々の死体を乗り越え悲惨さに屈することなく生き抜いた、闇市で品物を売り売春宿を経営し数十億円という金を稼いだ。そんな老女が何者かによって殺害された雑誌記者の木部道子、東都新聞の亜川と強調して事件の真相を追及する。複雑で的を得た伏線そしてシッカリした文章力、表現力を伴うプロット500頁を超える大作で傑作ミステリーだ。