日曜日, 12月 29, 2024

笹沢佐保著「多重人格」、本書も4編からなる短編集である、どの編も素直に面白い独創的なシチュエーションにプロットさらに最後に読者を唖然とさせるどんでん返しそしてそこには常に人間がいるさらに人生がある。
笹沢佐保著「鍵」、9編を含む短編である、著者の短編は独創的なシチュエーションとプロットさらには人間の洞察力が凄いと感じるのは私だけだろうか?どの編も感動して楽しく読めるこんな作家が実際いたのである。
笹沢佐保著「はみ出し刑事」、溜池書刑事課捜査一課のメンバー7人である、その中にカウントされない一人の刑事がいる大和田正人警部補である、彼は事務方から捜査一課に来た新米である。階級は警部補であることからはみ出し刑事として疎まれていた。彼は義理人情に熱く正義感のある男だった。そんな彼が署内で起こす騒動が面白い。この刑事の人間像作る著者の想像力に感嘆する
笹沢佐保著「女の決闘」、嫁姑の対立を極限まで追求した稀有な作品である。まさに女の決闘の題目に相応しい作品である。ここまでやるか?というストーリーでありプロットである、著者の女性を描く筆力にはただただ感心させられる。
東野圭吾著「探偵倶楽部」、 5編の短編集である、それぞれの短編はストーリーはもとよりプロットも良く考えられていて一気読みの感がある。富裕層のお客だけを持つ探偵倶楽部が事件解決に挑むという設定だ。
ソン・ウォンビョン著「アーモンド」、読後何故か印象に残る作品だ、生まれたて感情を持たないソン・ユンジュが生長する過程でさまざまな場面に遭遇しながらも生きてゆき、人との繋がりも愛を持って接してゆく姿に感動する。
東野圭吾著「パラドックス13」、13分13秒に時間が跳躍して歴史が後退するというSFをテーマに極限状況に置かれる人間の心理それは死への決断である生と死極限状況での決断を迫る。強烈に人生を考えさせるプロット的には冗長性が否めないが全体では成功してると思う。
黒川博行著「溶果」、堀内・伊達シリーズを初めて読む、桑原・二宮シリーズは数冊読んだが、堀内・伊達シリーズも面白い、府警を退職した二人の暴対刑事が退職後も意気投合して事に当たる伊達の節度も面白く半グレやヤクザとの対決も面白く、まさに一気読みの感がある。
笹沢佐保著「血の砂丘」、まずプロットに感心する、誘拐の誘拐という発想だ、今まで考えつかなかった視点での展開正に一気読みだった。離婚を余儀なくされた女性三香子の前夫への復讐は前夫の溺愛する娘の誘拐だった、しかし誘拐してから3日目に誘拐した娘がゆうかいされてしまう。
黒川博行著「暗礁 下」、それにしても読者を楽しませてくれる二宮と桑原のさりげない会話の中に何故か安心感・親近感を感じてしまう沖縄での戦闘を終え本当に帰って来た二人は特に二宮は桑原のシノギに突き合わされひどい目に合わされる。疫病神シリーズの最新作が待ち遠しい。

木曜日, 11月 28, 2024

黒川博行著「暗礁 上」、お馴染みニ蝶会の生粋のヤクザ極道の桑原と建設コンサルタントの二宮企画の二宮とのドタバタ劇が楽しい。運輸会社と警察組織が絡む癒着が発覚しそこに暴力団が絡んで複雑な様相を呈し桑原と二宮が巻き込まれる。
ポール・ベンジャミン箸「スクイズ・プレー」、ある日元大りーがーのチャップマンからの電話がありマックスは彼からの依頼を受けた、脅迫状がとどいたという絶頂期に自動車事故で片足を失った彼は五年後の今政界進出を考えていた。チャップマンに係わる人物に会い捜査を進め身の危険を体験しながらたどり着いた真実は?このベンジャミンという著者はポール・オースターの筆名であるという。
町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」、主人公キコの数奇な運命必死に生きようとする彼女に降りかかる災厄に人生を翻弄されるその時聞こえる52ヘルツのクジラの声によって救われ必死に正直に生きる姿が共感を呼ぶ。
西村京太郎著「絹の遺産と上信電鉄」、本屋で思わず見つけた我が故郷を題材とした西村京太郎のこの本であった群馬県富岡市の世界遺産、富岡製糸場の中で十津川警部の同僚西村刑事が殺害された、この捜査が開始され意外な結末を迎えるそこには太平洋戦争の中で起きたフィリピンと日本との深い関係があった、プロットといい中々楽しめる内容だった。
東野圭吾著「使命と魂のリミット」、 帝都大学病院に勤務する氷室夕紀は、亡き父健介の動脈瘤の執刀を担当した西園教授に対して疑念を抱いていたしかも夕紀の母友里恵と西園は再婚するというまた宮園は自分の息子がパトカーで追跡され死亡した事件の同時が氷室健介つまり夕紀の父親だという複雑な関係にあった。動脈瘤の手術を待つ自動車会社社長に恨みを持つ男の病院爆破計画による窮地に。。。。
村田沙耶香著「コンビニ人間」、 18年間もコンビニで働いている古倉恵子はコンビニ以外で働けないという女性だ、しかし以前働いていた男と同棲し彼の勧めもあってコンビニを辞めて就活を志すが面接の日コンビニ寄ると本能的に体が動きテキパキと仕事を自然にこなすようになった。現代の象徴とも言えるコンビニを題材に一人の女性の考え方を追う。
畠山健二著「新本所おけら長屋 二」、お決まりの3編の短編集だ。笑いあり、泣きアリ、人情交えたおけら長屋の面々が繰り広げる騒動の数々は読者を和ませる魅力を持つ。
笹沢佐保著「孤独なる追跡」、 商産省の総務課長である利根川四郎は部下の事務官水原姫子のある貿易会社の常務のモーテルでの死亡の件で役所を強制退職させられた。真相を探るべく利根川の孤独な追跡が開始された、北海道から沖縄までしかし姫子足跡は杳として掴めない孤独と焦りが募る。愛、不倫、殺人、家庭、人生をテーマである本書ミステリーは著者の独壇場である。
島田荘司著「夏、19歳の肖像」、19歳の夏、バイク事故で入院した病院の5階の窓から外の景色を日がな一日みていて、きずいたそれはビルの谷間に埋もれた戸建ての家であった、その家を見ていて美少女にきずき今度は双眼鏡を手に入れ詳細に何日も何日も見続けた。そして少年の胸に淡い感情が沸き何とか接触したいと願い尾行する。恋愛小説ぽいがラストは衝撃的でまさに小説の世界を体現させてくれる、どんでん返しが待っている。
森村誠一著「結婚の条件」、本書は全体的にプロットは小気味よく上手く纏められている、夫婦l二組を通して結婚の何たるか女性の社会との係わりと自分の人生を考え逡巡するそこに殺人を絡ませミステリーとする著者のお家芸である。

水曜日, 10月 30, 2024

法月綸太郎著「一の悲劇」、 大手広告代理店の専務の娘を嫁にした山倉史郎は息子一人近所には路子という主婦がいてその息子茂が山倉の息子と一緒に学校に通う同じ小学生、その茂は史郎と路子の不倫によって生を受けた子供だった、ある日その茂が何者かによって誘拐された。史郎は狼狽し犯人探しに没頭するが、杳として見当がつかない所轄の刑事らと遣り取りするが駄目だった、そこへ登場するのが法月綸太郎かれは父親が警視庁の警視で本人は探偵もどきそして究極の事実が判明する。二転三転とする展開で楽しめる誘拐ミステリーだ。
笹沢佐保著「取調室」、佐賀県佐賀市内のホテルから大学生の男子の撲殺死体が見つかった。佐賀中央署の警部補水木と取調官御子柴刑事が状況からして小田垣教授の犯行の可能性が高いことから事情聴取に臨んだ。しかし死亡推定時刻に被疑者小田垣は札幌行きの飛行機に乗っていた完璧と思われるアリバイの元水木は悪戦苦闘する。
笹沢佐保著「悪魔の部屋」、新婚三か月の新妻伏島世志子は誘拐された、伏島家はシルバーホテルグループのオーナーの家で父京太郎は当主であり会長で息子裕之は世志子の夫であった。赤坂のホテルのスウィートルームに監禁され、強姦と凌辱の日々を過ごした世志子は段々と心と体の変化を感じセックスにのめり込んで行くこのあたりの描写は著者の独壇場である。後半の強姦の犯人中戸川と伏島家の地の繋がりが明らかになるミステイーのプロットの設定であった。
笹沢佐保著「霧に溶ける」、全国規模のミスコンテスト上位入賞者の顔ぶれが決まった、その時点から応募者の殺人事件が進行した。所轄の警部補が鋭意捜査に当たり全力を尽くすも用として犯人の目星は付かない闇に中にあった。女性が引き起こす殺人事件の裏にあるのは虚栄心と野望そして悲しい宿命にあった。状況設定も素晴らしく女性の心理をついたミステリーは著者独壇場である。
横山秀夫著「顔」、平の巡査平野瑞穂が配置転換で職場が変わるも鶏鳴に職務を遂行する正義感と義務感で乗り越える、あらゆる事件のシーンに適応する能力と努力に拍手である。
森村誠一著「マーダー・リング」、七編の短編集である。各作品は著者の独創的なシチュエーションの面白さは格別でありそこに事件を絡ませ解決へのミステリーとして描写する、警察ミステリーに分類される。
笹沢佐保著「セブン殺人事件」、七編の短編物が入っている、淀橋署の宮本部長刑事と本庁の佐々木警部補が様々な事件を解決する警察ミステリーで、機智に飛んだプロットは読者にとって楽しめる。
森村誠一著「天の白骨」、様々なシーンを組み合わせ蒸発、殺人と複雑に絡み合う人間模様を描き解決すべく動く刑事達著者が描くプロットはいつも複雑で楽しめるミステリーである。
宮部みゆき著「淋しい狩人」、 下町の小さな古本屋の店主こと岩永幸吉通称イワさんと孫の稔が織りなす物語、ときには殺人事件に遭遇し解決するコンビなのだ。じじいと孫の関係が面白い著者の視点そして短編集ながらプロットといい物語の展開に気をつかい読者を飽きさせない工夫そして文章力がある。

日曜日, 9月 29, 2024

森村誠一著「むごく静かに殺せ」、全9話からなる短編集である。現代版の必殺仕事人という星名五郎となのるトラブル処理業としての仕事は完璧で依頼人に迷惑をかけることはない。発想の面白さ様々な処理方法と読者を喜ばせる物語だ。
森村誠一著「死者の配達人」、定年まじかに離婚した北尾を廻る殺人事件実は彼自身も30数年まえに殺害に関与したことがありその債務に心の奥深く傷ついていた。作者の次から次へと絡んだ糸の結び目を解くようなプロットの構成にさすがと思わせるミステリーである。
横山秀夫著「半落ち」、W県警の警部梶はアルツハイマー型認知症の妻を扼殺した、その後の二日間の空白を待って彼は出頭した新聞社各社もその空白の二日間について様々な憶測が取りざたされた。しかし梶は一切答えなかった。そして起訴され判決が出され刑務所に収監された。そして同僚の警部が一人の青年を連れだって梶に面会を申し込んで内容が明らかになった、ドナーとして梶は一人の青年を救ったのだった。空白の二日間に青年に会いに行き生きる意味を探した二日間だった。
東野圭吾著「名探偵の呪縛」、天下一という名探偵の物語は初めてである。墓礼路市(ボレロ)風致地区という歴史のない街の市長に招待されてやって来た天下一探偵が依頼されたのは?に始まり殺人事件が次々と発生しこれらを明晰な頭脳で解決して行くという物語で、疲れた頭を休ませるにちょうど良いミステリーだ。
アリス・フィーニー著「彼は彼女の顔が見えない」、アメリアとアダムの夫婦は上手くいってなかった。そこで人里離れた山の中へ二人で旅行に出かけた。しかしその宿泊先の建物はチャペルを改装したもので、しかも玄関には鍵が掛かっていた。それからの滞在中に色んな出来事が起こる。冗長的であるが最後に解明する事実はどんでん返しとは行かない平凡な結末だ。
辻真先著「たかが殺人じゃないか」、戦後昭和24年の名古屋を主とした物語である。633制が始まってすぐである風早勝利ら生徒5人で小旅行に出かけた先で起こった密室殺人事件さらに学園祭で起こった首切り殺人事件と周辺で物騒な事件が立て続けに起きた。殺人トリックよりその時代背景の詳細な描写は色濃く面白い。
東野圭吾著「聖女の救済」、愛はとき時として殺人に変わる夫を愛した妻の復讐ともいえる殺人をテーマにした今回の物語は冗長性が否めないものの女性の心理を汲んだミステリーである。
東野圭吾著「虚像の道化師」、 7編からの短編集である。各編とも著者の物理学の視点を軸としたプロットの組み立ては見事で読者を飽きさせない湯川先生ガリレオの知能を余すことなく使い事件を解決へと導くその爽快感は見事だ。
東野圭吾著「沈黙のパレード」、著者の考えるプロットには感動する、ミステリーの壺を的確に捉え読者を飽きさせない構想が素晴らしい落ちも申し分なくミステリーの核心を捉えている。非常に満足がいった読後感であった

土曜日, 8月 31, 2024

標野凪箸「こんな日は喫茶 ドードーで雨宿り。」、小さな丘の上にある喫茶店ドードー店長は中年男性で自称「そろり」さんいろんな人がふと訪れるといった喫茶店である。そりさんは何時でもようこそ喫茶ドードーへと挨拶し客を招き入れる客の表情をみて何やら話しかけ客の心を和ませるその会話は深く優しく客の心に響くそんな喫茶店なのです。
山口恵以子著「幸せのカツサンド」、東京は佃にある大衆食堂、名は「はじめ食堂」切り盛りするのは3人の女性で二三と一子と皐旬を取り入れた絶品料理で常連客が押し掛ける。こんな店が近所にあったらとつくづく思う。やはり処場代が自宅である要素が安く提供できる理由だ。
住野よる著「また、同じ夢を見ていた」、小学生の小柳を通して幸せとは何か?人生とはを語りかける本書を読んで感慨に浸れる、そして根底には著者のそこはかとなく優しさが溢れています。人生で無くしたものを思い出してくれます。
湊かなえ著「リバース」、大学時代のゼミ仲間総勢4人だ別荘の持ち主である村井が遅れて今駅に着いたと連絡が来たとき周辺は土砂降りになっていて仲間はすでに酒を飲んでいて誰が迎えに行くか口論の末少しだけ飲んだ広沢が迎えに行くことになった。そして事件が起こった崖から車ごと転落して車は炎上して広沢は命を落としたこれを契機に仲間の一人深瀬が広沢の生前を訪ねて回るそれもあんたが殺したという文書が3人に配られたからだ。深瀬の心理描写を丹念に描き独語何故か心に残るそんな作品だ。
雨穴著「変な家」、 一枚の家屋の間取り図、この図からの発想さらに複雑な血縁関係へと次々と展開されていく物語は読者にぺーじをくる手を強要する。館シリーズとはひと味違う面白さだ。
カルロス・ルイス・サフォン著「風の影 下」、内戦も終結しダニエルは友人の妹仲良くなり交際しやがて彼女は妊娠する、同時代的に進行する物語が迫力を増し読者を混乱させる。一人の少年をバルセロナの歴史の中に放り込み右往左往しながら彼の人生を見つめ著者の忍耐強い視点は壮大な歴史ドラマだ。
カルロス・ルイス・サフォン著「風の影 上」、スペインはバルセロナの内戦前から内戦そして戦後と歴史を俯瞰してその状況下で生きる一人の青年の遍歴を辿る壮大なドラマだ。少年ダニエルがふとしたことからフリアン・カラックスの一冊の本に巡り合うことから物語が始まる、彼は夢中になりこの本の著者フリアンを探求することになった。
東野圭吾著「ガリレオの苦悩」、5編短編集である。例によって帝都大学物理学部第十三研究室に勤務する湯川学準教授のことを世間ではガリレオと呼ぶ湯川と同じく帝都大学を卒業した警視庁の刑事草薙の依頼でしばしば協力している経緯がある。今回も物理学的な根拠を持つ犯罪が起き依頼された湯川の奮闘がすごい。犯罪の核心を解き明かすさまは読者に驚愕を与え感心するしかない。
ソン・ウオンビヨン著「アーモンド」、韓国はソウル在住の高校生ユンジェは幼い頃より精神的疾患があり世の中の様々な状況に少し対応に難があった。この物語は彼の視点から書かれており簡潔な文章スタイルと相まって淡々と進んで行くがユンジェが成長する過程を描いていく。不良少年ゴニとの出会いと彼を救う勇気と愛は読者を感動させる。
東野圭吾著「探偵ガリレオ」、5編からなる短編集である。夫々に科学的要素を盛り込み鰤学教授として湯川学が解き明かしてゆく過程が面白いまた刑事の草薙と湯川との丁々発止的会話もまた絶妙だ。5編の中の物理学的核心も妙に感心してしまうのも面白。

火曜日, 7月 30, 2024

畠山健二著「新本所おけら長屋 一」、たまたま本屋でこの本「おけら長屋」を見つけたそこには新の字が早速手に取り読んで見るといつものおけら長屋の面々の優しい顔が並んでた。長崎から帰ったお満は松造とおけら長屋に住み居酒屋お栄の隣に診療所を開設、松吉と八五郎は何でも屋を開設いつものようにドタバタ劇が始まる著者の日本人を知り尽くしたこの書が長く続くことを願う。
ハリー・クルーズ著「ザゴスペルシンガー」、1960年代ジョウージア州エニグマ出身の歌手ザゴスペルシンガーが織りなす姦淫貧困暴力の田舎町で繰り広げる種々雑多な事件、但しこれはミステリーではなく腐敗した田舎町で息をする神の物語だ。最後に彼ゴスペルシンガーが大樹に吊るされ死亡するのもキリストを彷彿とさせる。