金曜日, 6月 28, 2024

桐野夏生著「ダーク 下」、災厄の降りかかるミロの身に次々と困難が待っている愛する徐「ソ」が銃撃を受け下半身不随になり車椅子での生活になってからも一心に愛するミロは一筋の光だ。ダーク暗闇に暗躍するヤクザな男鄭「てい」新宿二丁目のおかま友部そして盲目の大柄な女久恵獄中でひっそりと自死した愛した成瀬そして父村野善三とこれでもか?と人物配置をしてダークの世界を作りミロの周辺を固める著者の主眼はどこにあるのか。
桐野夏生著「ダーク 上」、ある女性の彼氏が獄中自殺したこの女性村野ミロは探偵業やめ、義父を殺害に向かう、ミロを取り巻く様々な人間老ヤクザやホモそして盲目の女と複雑な人間関係を展開して物語はあらぬ方向に何が主題かわからぬまま読み進む不思議な世界だ。
ジョセフ・ノックス著「スリーブウオーカー」、 イギリスはマンチェスター市警の巡査部長エイダン・ウェイツを主人公とした警察小説で十二年前の事件を再捜査して犯人を追い込むという全体的プロットですが、内容は警察内部の暗部との戦いまた事件に関する人間とエイダンの対峙コンビに組まされたナオミ・ブラック巡査lとのやり取りさらにエイダンの過去の内容とノワールと呼称される混沌とした世界に翻弄されるエイダン・ウェイツまさにドン・ウィンズローに似たドラッグと拳銃と暴力の闇の世界を描いた警察小説である
桐野夏生著「柔らかな頬 下」、とうとう内海とカスミは、有香を探す旅に出たしかし依然として有香は見つからず、そしてとうとう高校卒業後に失踪した実家のある場所に戻って来ていた母親は執拗にも生きていて飲み屋を営み且つ結婚していたその飲み屋の二階でとうとう内海は息を引き取った。我が子を失った女の苦悩する姿を執拗に描く著者人生の希望という幻を掴もうと必死に生きていこうとする女、そしてガンに侵され死んでいく元刑事の最後と冗長は否めないが面白く読んだ。
桐野夏生著「柔らかな頬 上」、北海道の片田舎から東京へ家出して来たカスミは製版工場でアルバイトをしながらデザインやら会社の経理を学びじゃがて社長である道弘と結婚し女の子二人を儲け世間一般でいう平凡な暮らしを続けていた。石山という男は会社に仕事を持ち込んで来てくれる得意先だった、その石山とカスミは愛し合うようになった、不倫だった。石山の強い勧めで北海道支笏湖畔の別荘に二家族で夏に出掛けた、そしてカスミの長女有香が失踪して行方がわからなくなり必死でカスミは探したが、行方は用として不明で早4年を迎えカスミの家庭も石山の家庭も崩壊したが、毎年8月11に娘が失踪した日には北海等にやって来ていたカスミは元刑事の内海と知り合い一緒に娘を探すことになった、内海は胃がんを患い余命いくバクという元刑事だった。
井上真偽著「探偵が早すぎる 下」、一華の父上の四十九日がやって来た、様々な身内が来場し様々な手段で一華を殺害せんとする、そのいずれの手段も千曲川光探偵が未然に防ぎ一華の身を守る。滔々最後のホテルでの会食になったが、そこでも熾烈な方法で一華の殺害に挑む身内そして滔々全ての難局を乗り越え橋田とともに帰宅する。発想プロットともに抜けた感じのミステリーだ。
井上真偽著「探偵が早すぎる 上」、五兆円遺産相続するという一華まだ高校生である、彼女を回り様々な人間が遺産目当てに蠢く使用人の橋田は遂に知り合いの探偵千曲川光に依頼し一華の身を守ることを決断する
桐野夏生著「OUT 下」、夜間弁工場で働く4人パートタイマーの主婦達は正に社会のOUTの中に生きその領域からの脱出を夢見て日々果てしない絶望の中で必死に生きている。とくに主人公の雅子にとっては平凡な主婦から脱出しようと藻搔き必死に生きようとする意志の強さそして雅子を襲い人生を棒に振る佐竹との対峙は似た者同士のOUTローである。雅子の生きる意志の力頭良さをOUTからの脱出を目指す生きる力を本書から読む子事ができた
桐野夏生著「OUT 上」、 深夜ある弁当制作工場で働く主婦のパート従業員、ある日その内の一人の従業員が夫の首をバンドで締め上げて殺害した、相談を受けたのはベテランの雅子という従業員だった、彼女は自ら進んで指揮を執り自分のカローラの後ろに死体を積み込み翌日自宅のふろ場でバラバラに死体をバラシて同僚二人にゴミ袋に詰めた死体の処分を命令した。しかし捨てた支配の一部が公園のゴミ箱から発見され警察が捜査を開始した。
そもそものお竜の成り立ちについての巻であり「仕立屋お竜」初刊であった。地獄への案内人チームの面々の登場である、まずはチームの頭は五代紀伊国屋文左衛門であり、文左衛門と懇意にしている鶴屋孫兵衛そしてその店の用心棒である勝之助そして結婚した夫林助に弄ばれおしんという名から竜となった仕立屋お竜である。岡本さとる著「仕立屋お竜」、
岡本さとる著「悲愁の花 仕立屋お竜」、3人でタッグを組み世の中の悪人を死へと屠るのは5代目紀伊国屋文左衛門と剣術使いの井出勝之助そして仕立屋お竜の3人である。悪人に対して許せぬ思いで江戸の町の浄化を企む3人の心の底の親切心が今日も蠢く。
佐野広実著「わたしが消える」、江戸川乱歩賞受賞作品であると、警察官を退職したのちにあるマンションの管理人として20年近く経った今,娘の祐実の研修先の門の前に車椅子に乗った老人が捨て置かれた。娘の依頼で調査に乗り出したが容易に人物の特定が出来ず右往左往する毎日だった、だが手繰り寄せたのは老人が元埼玉県警の警察官で当時頻発していた学生運動に潜入し公安からの指令で爆発物を捜査し負傷させた経緯を見つけ出した、最後は警察内部の隠ぺいそして出世を企む署員との闇を突き止めた真実に辿り着いた。