引き続きゴダードを読む「リオノーラの肖像」は、サスペンスを軸に展開するが恋愛小説とも言える私にとって五つ星と思える出色の小説である。ストーリーの面白さそして心理描写といい、さらにサスペンスを挟む面白さ文章の重厚さの中に小説家でしか表現できないまさに私好みの表現がそこかしこに。主人公リオノーラの幼児期から現在に至る過去を紐解きつつ、つまり回想形式でリオノーラの父親の友人であるトム・フランクリンが語る一部始終は、第一次世界大戦の英国と独逸軍との戦争を境に展開してゆく。著者ゴダールは第一次世界大戦を中心に戦争の悲惨さの中に生きた人々の愛、死、別離と人間の様々な生き様を表現し、戦争が齎す悲惨を描写してゆく。複雑に絡み合う人間模様を実にうまく展開し、サスペンスとして見事に表現する筆者は小説家の中の小説家として絶賛したい。(評価:★★★★★)
土曜日, 11月 03, 2007
月曜日, 10月 29, 2007
ロバート・ゴダード「惜別の賦」を読んで。
ゴダードを始めて読む。最初はミステリーかなと疑問に思いつつ、読み進みにつれ用意周到に練り上げられた人物の伏線が次々と主人公クリス・ネイピアに接近し事件の渦中へと。今日、昨日、明日の3部構成の本書は、昨日の約30年余前に起きた大祖父の殺人事件に絡む一連の追憶に最もページ数を割く。人間の本来持っている姿そのままで生き抜く人生の知恵というか。金を欲張らず、人生を急がず、気の向くままに自分の気に入った趣味を思うがまま行うという、人間の生き方に共感する。
水曜日, 10月 24, 2007
マイクル・クライトン「エアフレーム 機体」を読んで。
航空機事故に纏わるSFというよりは、推理小説である。物語は、香港から米国デンバーへ向けて飛行中のトランスパシフィック航空545便にて、機体が急上昇と急降下を繰り返す所謂「イルカ飛び」現象が発生し、死亡3名、負傷者56名という事故が発生する。航空機メーカであるノートン・エアクラフト社の品質保証部の事故原因究明チームのケイシー・シングルトンが主人公である。事故の渦中での中国とのN22型事故を起こした同型機の商談、事故を回る著名なTV番組クルーとの戦い、さらに社内の副社長マーダーと現社長との派閥抗争と航空機事故を中心に様々な状況の中に主人公を置く設定と航空機なかんずく機体に関する詳細なる科学的情報はクライトンならではである。
火曜日, 10月 16, 2007
ダン・ブラウン「パズル・パレス」を読んで。
読後の感想は、「実に面白い」。スピード感とスリルと、細かく章を分かつ同時進行的筆致は圧巻である。書いたのが1998年だという。当時から米国国家機密情報機関としの国家安全保障局通常「NSA」はネットを介したEメールの全てに検閲を加えていたとは脅威だ。ウィルス、ワームという言葉が既に本書で使用されている。物語は、元NSA職員エンセイ・タンカドがスペインで殺害されるところから始まる。トランスレーターという巨大スーパーコンピュータによる暗号解読さらに政府機関からペンタゴンまで使用するデータベースの破壊という脅威に立ち向かうNSA職員スーザンそしてタンカドが仕込んだ暗号を求めてスペインに送り込まれるスーザンの恋人、Dベッカー、しかしこの著者の背景にはいつも驚かされる用意周到な事実がある。この背景の中で登場人物が様々な場面で交錯しながら展開するその迫力には、拍手を送りたい。(評価:★★★★★)
火曜日, 10月 09, 2007
鍋島美奈子・石川愛「SIS入門」基礎から学ぶGIS を読んで。
GIS(ジオグラフィカル、インフォメーション、システム Geographical Information System)地理情報システムというシステムの入門書である。仮想の(オーバレイ)シート上に地形図やら航空写真やら住宅地図やらを重ねさらに、この図形データと属性としての文字データを重ね様々な空間的分析を行うといったシステムである。ビジネスでは、ある地域の出店計画に利用したり、森林の分布や酸素の供給といった温暖化対策の基礎データを地図図形と合わせた形で視覚的に表示するといった様々な用途に利用されている。中でも、多分であるがイギリスはロンドンの大学生が基礎を作成したといわれる「SIS」は幅広く利用されている。本書は実際の入門書である。驚異的なのは、図形データと文字属性データベース情報との連携で最短経路の検索ができるということである。
岩間健二郎「間違いだらけのゴルフクラブ選び」を読んで。
数年に渡り、このシリーズを読んでいるが、著者の意図的とも思えるあるメーカーに偏った推薦というものが感じられる。各ゴルフクラブメーカにとって、この本での最優秀賞が持つ意味はかなり大きいに違いない。ちなみにダイワについては数年前に著者のシリーズの中で貶されてから出品していないという。
しかし、クラブが大好きな私にとって出れば、必ず買ってしまう。著者の意図的と思える部分も読めるようになった。実際に著者が、例えばHS40mにて試打したときの、飛距離を何Yardと書くべきではないか。と思う。勿論スピン量そのた要因で実際の読者がクラブを購入してもその飛距離には到達しないかもしれないが、かなり参考になることは間違いない。
しかし、クラブが大好きな私にとって出れば、必ず買ってしまう。著者の意図的と思える部分も読めるようになった。実際に著者が、例えばHS40mにて試打したときの、飛距離を何Yardと書くべきではないか。と思う。勿論スピン量そのた要因で実際の読者がクラブを購入してもその飛距離には到達しないかもしれないが、かなり参考になることは間違いない。
江戸川乱歩全集第21巻「ふしぎな人」を読んで。
21巻は、怪人二十面相いや四十面相のオンパレードというか、昭和30年初期の少年倶楽部とかの少年少女雑誌の連載物である。しかし良くもエネルギッシュにこれだけの物を書いたという感想である。明智探偵から小林少年探偵団団長、少女団員、ポケット小僧と変化をつけ読者を引き込んでゆく。今読み返してみて、昔の記憶が走馬灯のように蘇り夏の暑い午後縁側で寝そべって読んだ雑誌のインクの匂いを蘇らせてくれる。
日曜日, 10月 07, 2007
トマス・ハリス「ハンニバルライジング」を読んで。
1940年代第二次大戦のリトアニアに住む幼いハンニバルは、ナチドイツ軍の襲撃に遭遇する。妹ミーシャは、殺戮され食用とされる。この数奇な運命から彼の人生は劇的に変わり、青年期の殺人者へと変貌する。殺人の連鎖とそれは過酷な運命に弄ばれた妹ミーシャに捧ぐ、鎮魂の歌ではなかったろうか。犯人たちへの憎悪があだ討ちとなって、次々と殺人を犯してゆくハンニバルの心にもはやキリストの神は居ないと誓う。ナチに占領されたフランス、大戦後スターリンの大粛清と西欧は悲劇の真っ只中に置かれる。ハンニバルの性格は、悲惨な戦争の中で育まれた数奇な運命としか思えない。キリストの神ではなく日本的な無と沈黙と東洋的な神秘性を作者は追う。
土曜日, 10月 06, 2007
ダン・ブラウン「デセプション・ポイント」を読んで。
先月は、仕事が忙しく中々読書する時間が取れなかった。ダン・ブラウンの著作を手に取るのは、3作目だ。デェセプション・ポイントは、米国大統領を取り巻く陰謀を主人公であるレイチェル・セクストンNRO国家偵察局に勤務するセジウィック・セクストン上院議員の娘だが、海洋学者マイケル・トーランドとともに陰謀の秘密を暴いてゆく。NASAの無駄な経費を追求し、民間宇宙関連企業を宇宙開発に参入させようとするセクストン上院議員の反駁を躱わす為、NASAエクスとローム長官とNROがミルン棚氷の300m下の氷の中に隕石を発見するというNASAが開発したPODOSなるシステムを使って、この隕石から1億数千万年前の地球外生命体の化石が含まれているというNASAにとって画期的な発見というお膳立てだ。この物語の背景にある詳細な科学的記述は驚嘆に値する。NASA、海溝地質、化石、兵器とその幅広い知識と記述は物語を引き締める。この隕石がミクロネシア海溝の6000m下の海底の岩石だという事実を突き止め、この隕石だという岩石に付着した地球外生命体だという化石は、またこの海底にかつて生息した海洋生物だと判明する。この事実から自分の父親である上院議員、陰謀に加担する組織のトップからザック・ハーニー大統領の窮地を救う。ダヴィンチコード、天使と悪魔に続いて読んでみたがいずれの著作もかなり良い。ただ、やはり「天使と悪魔」が一番面白かった。
日曜日, 9月 09, 2007
ジェフリー・ディーヴァー「ヘルズ・キッチン」を読んで。
2001年の作だ。まだ、大ブレイクする前のジョン・ペラムシリーズの最後作だという。ペラムとマンハッタン西地区一帯の総称としてのヘルズ・キッチンこの地区を舞台に物語は展開する。主人公のジョン・ペラムはインディペンダント系のハリウッドの映画監督またもとスタントマンだった、口述歴史によるドキュメンタリー映画製作を目途にニューヨークへそしてエティ・ワシントンという黒人の老婦人と出会う。一体管轄するマフィアであるマクレイ、そして一帯のビルを放火する放火魔のサニと登場する。特に放火魔の内面に迫る緊迫した心理描写は迫真的である。しかし後のディーヴァーの面影つまりローラコースター的物語の展開はない、最後に歴史を語る老黒人婦人の夫が、ペラムの父親だったと判る。
土曜日, 9月 01, 2007
JK・ローリング「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」を読んで。
ハリー・ポッターシリーズ第四巻だ。三校魔法対抗試合に挑戦する羽目となったハリー。次々と襲い掛かる困難に見事に打ち勝っていく物語だ。ハリーを取り巻く様々な登場人物の過去及び実態を明らかにし過去の物語の伏線を見事に蘇らせ結び付けていく作者ローリングの周到な準備を思う。対抗試合の第三の課題ヴォルデモート卿が蘇りハリーと決闘する。辛くもハリーは、ディゴリーの亡骸を引きずり、ホグワーツに戻れることになった。最終章でハグリッドの人生の教訓が心に響く。「くよくよ心配しても始まらん。来るもんは来る。来たときに受けて立ちゃええ」
火曜日, 8月 28, 2007
ダン・ブラウン「天使と悪魔」を読んで
木曜日, 8月 23, 2007
渡辺信一郎著「江戸の閨房術」を読んで。
閨房とは、簡単に言えばベッドの中でということである。色道指南あり嫁に行く娘の指南ありと、江戸町民は性を解放的に楽しんでいたという。1600年代の初めに既にこうした数々の性に関する著作が出版されていたこと事態、西洋から200年も前であったと。正に驚異的である。女性性器の分類について上品、中品、下品、新開と分類し上品の女性を娶らば一生の宝物を見つけたのと同じ位の値打ちがあるという。世の男性諸君は、江戸の閨房術を学んでから結婚すべきだと。
日曜日, 8月 12, 2007
江戸川乱歩全集第20巻「堀越操作位置課長殿」を読んで。
昭和32年、乱歩最終短編作「堀越操作位置課長殿」を始めこの20巻には、少年・少女雑誌への投稿ものが、収録されている。大人物の焼き直しで過去の作品からの流用がほとんどだが。何故か少年の頃の懐かしさと郷愁からツイツイ最後まで読んでしまう。乱歩を読むと田舎の木造校舎の匂いと澄んだ川の流れ、夏休みにカジカや鮎・ウグイを銛で突いた様々なセピア色のシーンが脳裏を過る。
金曜日, 8月 10, 2007
レイモンド・チャンドラー「ロンググッドバイ」を読んで。
サスペンスでは、古典的な傑作と言われる「ロンググッドバイ」。主人公で私立探偵のフリップ・マーローを取り巻く人間が引き起こす殺人事件は相互に関連しながら物語りは展開してゆく。1953年の出版であるから、既に50年つまり半世紀を過ぎた作品である。著名な作家村上龍による翻訳である。翻訳者村上の覆いいれとは裏腹に、ジェフリー・ディーヴァーやマイクル・クライトンを読んだ後では、もはやサスペンスとは?と疑問が沸き起こるほどの展開もなく、人間との交わりを通しての作者の人間観を垣間見る程度にしか面白みが沸かない。
火曜日, 8月 07, 2007
JKローリング「ハリー・ポッターとアズカバン」の囚人を読んで。
友人二人、ロンとハーマイオイニーそして校長ダンブルドア、囚人シリウスブラックとの運命の出会いをとうしてハリーは成長する。なき父母の仇であるペテグリューさえも許す心を持ったハリーそして亡き父母の友人でありハリーの名付け親のシリウス・ブラックとの物語、後半部分は手に汗をといった展開は見事である。ハーマイオイニーが持つ逆転時計によるサスペンス的展開は見事である。
月曜日, 7月 30, 2007
江戸川乱歩全集 第19巻 「十字路」 を読んで。
江戸川乱歩還暦を迎えての昭和30年頃の長編推理小説「十字路」原案は渡辺剣次なる者の協力を得ているという。愛人との共同殺人と偶然にも死人が自分の運転する車にあるという今や古典的発送であるが、文章はきびきびとした文体で中々読ませる迫力がある。「魔法博士」や「黄金豹」や「天空の魔人」は当時の少年雑誌の連載ものであるが、郷愁の念が読ませる何かがありつい最後まで読んでしまう。
水曜日, 7月 11, 2007
江戸川乱歩全集第18巻「化人幻戯」を呼んで。
乱歩60歳還暦の時の連載長編ミステリだという。「化人幻戯」は、海外ミステリからトリックを引用などと批判されたようだが、数十年経過した昨今読んでもやはり面白い。小学生の頃だったか、学校の図書館から借りた乱歩の本、本のタイトルは忘れたが家に帰り夢中になって読んだ記憶が走馬灯のように浮かんできた。
月曜日, 7月 02, 2007
「在庫管理の基本と仕組みがよーくわかる本」を読んで。
月曜日, 6月 25, 2007
マイクル・クライトン「失われた黄金都市」を読んで
地球資源開発技術社通称ERTSは、世界各地の現在の状況をデータベース化し提供する会社である。様々な調査隊を編成し世界各地に派遣する。女性天才数学者のキャレン・ロスを隊長とする班は、ブルーダイヤモンドを探して旧コンゴ現ザイールの探査に赴く。ブルーダイヤは、コンピュータを飛躍的に演算処理速度を上げるチップに採用される可能性があるといわれている。この隊の編成は、アフリカ大陸をガイドとして何度も経験を積んだマンローと動物学者エリオットそして人間の言葉を理解し手話を使えるゴリラのエイミーが同行する。鬱蒼とした森林ジャングルの中で様々な困難に立ち向かう調査隊そして終に幻の都市ジンジを発見する。ジャングルそして調査隊が持ち込む様々なハイテク機器そして日欧合弁会社との覇権争いとゴリラの生態そのディティールを描くクライトンの筆致はこの上なく面白い。
登録:
投稿 (Atom)

