アイリス・ジョハンセンという女流作家の本を初めて読んだ。18世紀インドを舞台にロマンスと冒険活劇とでも形容できそうな壮大な物語である。上巻の100ページ先より徐々に作者の意図に引き込まれてゆく読んでいて心地よい。下巻は一気に読ませる迫力がある。スコットランドより来た夫婦イアンとマーガレットそして、身体不自由な身になるイアン、金細工師のカールタウクの3人が織りなす大人の恋、そして恋人同士の主人公ジェーン・バーナビーとリュエル・マクラレンの恋、若い二人のロマンスと中年のロマンスを同時に見事に描いている。
火曜日, 12月 26, 2006
土曜日, 12月 16, 2006
定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう を読んで。
イギリスでのゴルフ中でもリンクスを主体としたゴルフ場及び個人ツアーの紹介は、過去スコットランドの「セントアンドリューズ オールドコース」を訪れた私にとって、非常に興味があった。しかしこの本を読み終わって、スコットランドやアイルランドでのリンクスゴルフのようにストウィックなゴルフ、人生を彷彿とさせるゴルフもあれば本当に南国東南アジアでの暖かいいや暑いところでのリゾートゴルフもまたゴルフではないか。と最近思うようになった。朝涼しいうちに、ラウンドしシャワーを浴びてビールを飲みながらゆっくりと昼食をとり、そのごマッサージにかかった後、昼寝をして読書、さて今日の夕食はどうしようかと考える。これもゴルフだ、人生を豊かにしてくれるゴルフではないか。
金曜日, 12月 15, 2006
月曜日, 12月 11, 2006
江戸川乱歩全集 第9巻 黒蜥蜴 を読んで。
黒蜥蜴、人間豹、石榴が収められた乱歩全集第9巻である。この三作品の中では、「石榴」(ざくろ)が一番面白いと思う。「黒蜥蜴」は後に三島由紀夫の脚本による舞台化などが行われ衆知となったが、私は石榴が、現代に通ずる傑作だと思う。昭和9年の作だという。思想統制が進む社会で思い切った表現もままならぬ時代下でのサド的表現を描いているのも面白い。最後の大逆転劇は痛快である。
コーヒー一杯のジャズ を読んで。
1960年頃のジャズのレコードを良く聴き、スウィングジャーナルも読んだ。植草甚一なる人は、雑誌での紹介記事で知った。おしゃれなコーヒーが好きな「ジャズ」評論家というイメージがあった。Mデイビスの「死刑台のエレベーター」から1970年の「Bitches Brew」に至る10年間は、ジャズの激動の時代であった。ついて行けなくなったジャズファンも多い。J・コルトレーンはまだしもアーチー・シェップやアルバート・テイラーにはついて行けないという。私がジャズファンになったのは、1970年の2年ほど前からである。前衛ジャズを聴き、ウィントン・ケリーを聴くとほっとする気持ちが今でも忘れられない。
米国社会も戦争や恐慌から立ち直り冷戦時代へと突入する時代背景である。またビートルズが世界を席巻した時代でもあった。ビートとインプロビゼーションをトコトン突き詰め精神的内部を表現しようとした時代だが、それは音楽ではなかった。少なくとも「楽しく」は無かった。70年のジャズをこの頃勉強したいと思っている。
米国社会も戦争や恐慌から立ち直り冷戦時代へと突入する時代背景である。またビートルズが世界を席巻した時代でもあった。ビートとインプロビゼーションをトコトン突き詰め精神的内部を表現しようとした時代だが、それは音楽ではなかった。少なくとも「楽しく」は無かった。70年のジャズをこの頃勉強したいと思っている。
土曜日, 12月 09, 2006
獣たちの庭園 を読んで。
J・リーヴァーの歴史長編小説である。しかも、今から丁度70年前の1936年ベルリンの夏第11回オリンピックが開催されたその年。一人の米国人がある使命を帯びてベルリンに入る。3年前にアドルフ・ヒトラー政権が誕生し思想統制やユダヤ人とアーリア人を強制収容所を送りが激しくなって来たベルリンの街を舞台に、殺し屋がヒトラーの幹部の一人を射殺するという設定だ。殺し屋ポール・シューマンが、自ら死に至る可能性のある極限状況下で収容所で今ガスにて殺戮されようとする青年を助け出す。J・リーヴァーの「良心」をみる。
火曜日, 12月 05, 2006
インヴィジブル・モンスターズ を読んで。
チャック・パラニュークを初めて読んだ。訳者の池田真理子のシリーズを追っての海外小説。カバーノーツに記載された過激小説という言葉が何故か空虚に感ずる。読後、この小説は何なんだ。何も残らないものが、残った。というべきか。この社会に生ける人間はがこの社会の枠を超えて生きようとしても、この枠を破壊し生きようとしても、あるいは逃避し生きようとしても、訓練された生き方しかできないのである。最早人生は言葉を超えた、椀の水の中でもがく蚊のように生きるしかないのだろうか。
月曜日, 12月 04, 2006
ボーンコレクレクター を読んで。
リンカーン・ライムシリーズの第1作目か。アメリア・サックス巡査が警邏課からリンカーンの要請で鑑識に回る。いつもながら、息もつかせぬ展開にはただただ睡眠を奪う。現場で収集した微細証拠物件がライムの博学な鑑識技術知識により犯人を追い詰めてゆく。海外探偵推理小説につきものの冗長性が、J・リーヴァーの中では心地良い。リンカーン・ライムシリーズは実は恋愛小説かも知れないと思う。凶悪犯に極限状況の中で対峙してゆく課程で除々に育まれてゆく愛。
日曜日, 12月 03, 2006
縦並び社会 を読んで。
予想以上に、格差が広がっている現実に危惧を覚えるのは私だけではないかもしれない。米国なみの競争原理の導入、時代の寵児と持てはやされたホリエモンと村上と対局に国保さえ資格を失う老人とその家族、相変わらず官庁の無駄金使い等々、一体この国はどこへ行こうとしているのか。防衛庁の昇格、核の論議、日本を支えてきた官僚は最早地に落ちた。海外への移住はこの先東南アジアの国々で日本人のホームレスが出現する日もそんなに遠い世界ではない。2007年問題が近づきつつある。大量の富める日本の貧民を創出する。まさに日本の警告の書である。
金曜日, 12月 01, 2006
江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 を読んで。
この巻には、「孤島の鬼」と「猟奇の果」が収録されている。ときに奇形児を扱った孤島の鬼は息もつかせぬ展開の迫力があり、非常に面白い。併読しているJ・リーヴァーの「ボーン・コレクター」にも引けを取らぬ面白さがある。「猟奇の果」は乱歩が、雑誌に連載するスタイルで何とか明智小五郎を登場させて、繕うような格好と体裁が読み取れてしまうが、それなりに面白い。数巻読んだ中では、この全集第4巻がベストであり、推薦したい。
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