本願寺再生復興に向けて、8代目法王となる親鸞亡き後の蓮如の物語である。先に同著者の「親鸞」を読んでいるので、続編を読むような気分であった。時は、室町幕府戦や飢饉による大量の死者が、京の都の川辺に投げ捨てられるそんな暗黒な時代背景の中民衆は極楽浄土を願い一向念仏を説く蓮如の元へと集まる。親鸞聖人の深い教えを如何に民衆に平易な言葉でもって伝えるかを苦悩する蓮如の姿がある。84才の生涯の中で5人の妻をめとり27人の子供を設けた蓮如は、偉大なる煩悩を持ち合わせた聖人であった。
水曜日, 7月 28, 2010
月曜日, 7月 26, 2010
湊かなえ著「告白」を読んで。
ストックしていた本も、シェイクスピアの「リア王」で切れた。近くのスーパーの中の小さな本屋、ここで「告白」を手に取った。2009年本屋大賞第一位とポスターの前に数冊置かれていた。300ページほどの文庫本を購入。昨日と今日の2日間で読破。何か物足りなさを覚える。母と息子の愛情物語か?その息子らに向かう教師、ある中学校のクラスの担任の女性教師の愛娘が、自分の教え子2人によって殺害される。教師の執拗な独自捜査によって遂に2人の教え子渡辺と下村に行き着く。そして復讐へと。女性教師としての母と子、犯人である教え子2人それぞれの母と子、歪な愛情が愛憎に変わってゆく過程を描く、何故か父親は影の薄れた存在だ。子に対する親の愛情を教師と殺害された愛娘そして教え子2人とそれぞれ母との関係を教師の側そしてそれぞれ息子の側から描く。
土曜日, 7月 24, 2010
シェイクスピア著「リア王」を読んで。
今回も、買い込んだ最後の1冊「リア王」だ。シェイクスピアは、劇作を作るとき種本を利用するという。様々な古典を参考にする。しかし、結果はシェイクスピア独自の作品として、独自のプロットを付加して新しい作品として誕生させる。このリア王も参考本では王と3人の娘の物語で、末娘のコーデェリアを追放し残る2人に全ての財産・領地を分け与えた王の結末は惨憺たる結果となり、不遇の状況の中コーデェリアと遭遇し、打ち解け最後まで仲良く暮らしたという話でつまり、ハッピーエンドで終わる物語であった。しかしシェイクスピアのプロットは、グロスターという部下を配しハッピーエンドどころか、王とコーデェリアは、殺害されてしまう。幾つかのシェイクスピアの物語を読み終えて感ずるのは、彼の人生観だ。シニカルであり、つまり成るように成らない不条理性と人生の偶然性が、彼の底流にある。これが悲劇の本質なのだろうか。
月曜日, 7月 19, 2010
シェイクスピア著「マクベス」を読んで。
戦闘から帰還途中で、魔女3人と遭遇する。魔女の予言が、マクベスの運命を翻弄することになる。スコットランドの王であるダンカンを殺害、さらに友人で同士であるバンクオーをも殺害する。殺人が殺人を呼び、もはや後戻りできない。血でもって制裁を加えたマクベスは、殺人し逃亡する者の心理状態に陥る、もはや正常な判断ができなくなる。シェイクスピアの著作の中でも、血なまぐさい物語である。マクベスは言う「いったん悪を始めたからには、悪を重ねること以外、強くなる道はどこにもない。」恐ろしい人生の教訓かと。
日曜日, 7月 18, 2010
R・D・ウィングフィールド著「フロスト気質」下巻を読んで。
デントン警察署のフロスト警部の人柄を想像するに、イギリス人もこうだったかと思い知らされる面がある。ガムシャラに事件にあたる警部そして同僚部下デントン警察署長マレットとのやり取り、何故かほのぼのとした警部およびイギリスの田舎警察署の風景が冗長性を伴って、好感が持てる。
署管轄内で次々と発生する殺人事件をフロスト警部は、定石どおり捜査を進める。警部独特のカンを頼りに、最後まで犯人を追いつめる執拗な捜査こそフロスト警部の持ち味だ。幼児誘拐から殺人事件へと展開する犯罪に全身全霊で捜査に邁進する警部の推理と苦悩が何故かイギリス人の人間性をも描く、著者の警察探偵小説の神髄だろうか。
署管轄内で次々と発生する殺人事件をフロスト警部は、定石どおり捜査を進める。警部独特のカンを頼りに、最後まで犯人を追いつめる執拗な捜査こそフロスト警部の持ち味だ。幼児誘拐から殺人事件へと展開する犯罪に全身全霊で捜査に邁進する警部の推理と苦悩が何故かイギリス人の人間性をも描く、著者の警察探偵小説の神髄だろうか。
月曜日, 7月 12, 2010
R・D・ウィングフィールド著「フロスト気質」上巻を読んで。
著者の警察探偵小説は、初めてである。気さくな愛すべき警部フロストが、誘拐事件に巻き込まれる。警部の同僚から署の署長そして部下とさらに他の殺人事件が発生する、幾分冗長さは否めないが、次から次へと展開するプロットは十分楽しめる。
日曜日, 7月 04, 2010
マイクル・コナリー著「天使と罪の街」下巻を読んで。
連続殺人犯として元FBIの捜査官バッカスはハリーの中で決定的となってきた。独自にバッカスの行方を追うハリーにFBIはレイチェルを監視として彼に向ける。そして友人マッケイレブが残した地図のメモを解き明かしロスからべガスそしてザイジックス・ロード1マイル先へと、遂に犯人バッカスを追い詰めた嵐の夜ハリーは、犯人が潜む建物の裏手のロス川の濁流に。。クライマックスは、それなりにワクワクするものだが、どうもディーヴァーやトム・ロブ・スミスはたまたミレニアムを読んだ後では、今一の感が拭えない。
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