今回も、買い込んだ最後の1冊「リア王」だ。シェイクスピアは、劇作を作るとき種本を利用するという。様々な古典を参考にする。しかし、結果はシェイクスピア独自の作品として、独自のプロットを付加して新しい作品として誕生させる。このリア王も参考本では王と3人の娘の物語で、末娘のコーデェリアを追放し残る2人に全ての財産・領地を分け与えた王の結末は惨憺たる結果となり、不遇の状況の中コーデェリアと遭遇し、打ち解け最後まで仲良く暮らしたという話でつまり、ハッピーエンドで終わる物語であった。しかしシェイクスピアのプロットは、グロスターという部下を配しハッピーエンドどころか、王とコーデェリアは、殺害されてしまう。幾つかのシェイクスピアの物語を読み終えて感ずるのは、彼の人生観だ。シニカルであり、つまり成るように成らない不条理性と人生の偶然性が、彼の底流にある。これが悲劇の本質なのだろうか。
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