金曜日, 1月 27, 2012

ヴァランダー刑事の必死の捜査により、いよいよ犯人を追いつめ遂に郵便配達代理人のオーケ・ラースタムに行き着く。8人を殺害し、9番目はヴァランダーであった。このミステリーの根底にあるスウェーデン社会の病理、1997年の著作であるが既にこの時社会の病理を突き、最近あった銃の乱射事件による十数人の若者の死という現実は、著者の警告であったのであろうか。パターン化しない、意味を持たない、理由のない、不条理な殺人こそ現代社会が抱える闇だ。



日曜日, 1月 22, 2012


スウェーデンの作家によるミステリーは、「ミネニアム」に続く2冊目だ。ヴァランダー刑事が活躍するミステリーだがかなり読み応えのある長編小説だ。3人の若者が自然保護地区の公園でパーティを開きその場で殺害され、さらに同僚の刑事スベードヴェリもまた殺害される。事件は次から次へと展開し事態は悪化し捜査班は右往左往し行き詰まる状況だ。ヴァランダー刑事の必死の捜査にもかかわらず、さらに犠牲者が増えてゆく。

著者の書は「ゴールデンスランパー」に次ぐ2冊目だ。大学生4人が繰り広げる東北は仙台が舞台の日常の中で起こりうる事件を主題に登場人物の心理描写を中心にしたミステリとはちょっと違う面白さがある。

木曜日, 1月 19, 2012


「ジェノサイド」に続く、日本人作家の意外なファンタジーを織り交ぜたミステリーで秀逸だ。ロンドンから少し離れ北海に面して浮かぶソロン島が舞台だ。島を統治するエイルウィン家の頭首が何者かに殺戮される。12世紀の雰囲気が随所に感じられ、面白い。魔術を使う暗殺騎士団デーン人の襲来と戦うソロン島を守る騎士団、変遷騎士としてエイルウィン家に雇われる個性溢れる戦士達との壮絶な戦いは、読んでいて情景が鮮やかに浮かぶ。最後まで頭首を殺戮した犯人が解らないというプロットも上手い。

日曜日, 1月 15, 2012

著者は、ミュンヘン生まれの高名な弁護士で扱った事件について「犯罪」として小説として纏めた感がある。短編集ながら特異な事件を扱ったミステリーは面白く一気読みといった本であった。



土曜日, 1月 14, 2012

以前写楽は誰だったか?を小説にした書を読んだが、本書は美術史家、研究者の写楽=北斎節を唱える学者のものである。近年斎藤十郎兵衛が、写楽だとする説が跋扈していることに警鐘を鳴らす著者の怒りの書である。矛先はNHKの番組批評から登場する学者まで一蓮托生として批判する。世界に冠たる日本の絵画としての写楽絵の研究が進み。写楽が誰だったか?が解明される時が来るかもしれない。いずれにしても興味が尽きない題材だ。



水曜日, 1月 11, 2012

米国は地方都市の刑事カーソンが、ある日上司よりニューヨーク市警に行く命令が下る。そこで待っていたのは、サイコ的連続殺人事件だ。女性をターゲットに無残な殺戮者犯人の捜査だ。理論的計算されたプロットは、J・ディーヴァーとは違った魅力を持った作家だ。登場人物そして複雑に交錯する物語の展開とスリルはまさにこれぞミステリーだと思う作品だ。



日曜日, 1月 01, 2012

松村寧雄著「マンダラ思考で夢は必ずかなう!」を読んで。

昨年暮れ「MANDART」に出会ったが、その開発した著者の手帳についてつまりマンダラ手帳の進めを書いた本である。やはりマンダラとは仏教でいう曼荼羅であった。3×3の9マス思考の中心にあるのは、密教の曼荼羅絵図と同様なものであった。著者は仏教の考え方や世界観・宇宙観を持って思考し、人生を豊かにすることができないかを考えマンダラートを考案したようだ。この曼荼羅の思考は、発想や情報の整理に役立つと思うが取り分け発想の整理という意味で自分にとって有意義だと思う。

D・Mディヴァイン著「三本の緑の小壜」を読んで。

英国人ミステリー作家である著者の書は初めてだ。英国の田舎町で連続殺人事件が発生する。登場人物の心理描写を中心に事件を追う青年医師、医師を取り巻く人物をもその心理描写は細かい。最終頁まで、読者を導くプロットはそれなりだが、少し退屈気味になる。そして結末は、あっけなく幕を閉じる。2012本格ミステリーベスト第一位と言われた本書は、私の中では今一の感が否めない。