土曜日, 5月 28, 2016

トルストイ著「戦争と平和」第四巻、ナポレオン率いるフランス軍は敗退を余儀なくされロシア軍の追撃と勝利となる。ピエールの戦争で得た啓示、ロストフ家の没落、ナターシャとの結婚などが描かれる。この書を読破して、そして最も知りたかったのはトルストイの歴史観であった。英雄や一部の天才によって歴史が展開するのではなく、それこそ民衆の総和が歴史を動かすという理論はまさに当時の歴史学者を圧倒するものだったと思われる。


水曜日, 5月 25, 2016

逢坂剛著「カディスの赤い星」、スペイン独裁時代の冒険長編ミステリーだ。大手楽器のPR事業を営む所長漆田亮のもとにスペインからフラメンコギター製作家ラモスが来日するのを契機に物語は進んでゆく。失われた名器フェルナンデスのギターを探して漆田の格闘が開始される。冒険あり恋愛あり当時のスペインの不穏な情勢の中での格闘といった読み手を引き付ける全ての項目が編入され面白い。


月曜日, 5月 23, 2016

ヴァン・ダイン著「グリーン家殺人事件」、古典的な名作だ。莫大な遺産相続することになったグリーン家の家族を次々と悲劇が襲う。犯人は依然として不明、名探偵ヴァンスも手も足も出ない。犯人の殺人に至るプロットとしては、ありふれたものだ。犯人の生い立ちそして事件を記録した著述からのヒントをもってヴァンスの推理が冴える。


金曜日, 5月 20, 2016

トルストイ「戦争と平和」第三巻、愈々もって戦争は激しくナポレオン・フランス軍とロシア軍の戦闘は熾烈を極めた。そして遂にモスクワが陥落する。アンドレイ公爵は戦場で負傷し、モスクワから避難の途中、何というかロストフ家の避難と一緒になり、再び公爵はナターシャと再会する。


日曜日, 5月 15, 2016

逢坂剛著「カディスの赤い星」、日野楽器という大手楽器メーカーとのPR契約を結ぶ漆田、スペインから伝説のギター制作家ラモスが来日する。娘のフローラと同行だ。ラモスの依頼を受け、日野楽器から託された事案は、昔ラモスと親しかったサントスを探せという厳命だ。しかし依頼の本来の目的は、ダイヤが埋め込まれたギターを取り返すことだった。娘フローラに関連しスペインの「FRAP」という過激派と日本の過激派が、漆田の廻りをウロウロする。事態はスペインへと。


トルストイ著「戦争と平和」第二巻、つかの間のナポレオン軍との戦の狭間でのモスクワでの青年貴公子らの生活を綴る。戦争の中で、人生に迷い、懊悩し、死を考えそして恋愛という人間のあらゆる感情が交錯する。ロストフ家のナターシャとアンドレイ公爵との破局、貴族社会の模様が描かれる。


木曜日, 5月 12, 2016

綾辻行人著「霧越邸殺人事件」、以前「十角館殺人事件」を読んだ記憶があるが、内容までは思い出せない。久しぶりに著者の作品を読んだ。吹雪の中、2泊3日の旅行から帰る途中で、劇団員は道に迷い辿り着いたその先それが霧越邸だった。そして劇団員が次々と殺害される。著者の館シリーズでも評判だとこの作品は、館そのものの異常性や威容な佇まいより寧ろ人間の生死、情念の中で起きる殺人事件といった感想だ。


金曜日, 5月 06, 2016

レジナルド・ヒル著「骨と沈黙」、ダルジール・パスコー警察官シリーズらしいが、著者の作品は始めてだ。自宅のアパートから殺人らしいシーンを目撃した警視は、その部屋に飛び込んだが、殺人事件を目撃してしまう。ここから物語は始まる。複数なプロットと数多い登場人物が絡み合い、事件の真相は紆余曲折していく。


トルストイ著「戦争と平和」第一巻、19世紀初頭の来る戦争の足音とロシア貴族の様子が語られる。ベズーホフ伯爵の莫大な遺産を相続するピエール。戦争へと突入し青年将校がオーストリア戦線へと従軍する。アンドレイ公爵も戦争へと、戦地での人間の様々な駆け引きや模様が描かれ、ついに公爵はフランス・ナポレオン軍の捕虜となる。彼、公爵がナポレオンを見て感じた人間のあまりにも狭小な虚栄心そして大空を仰ぎ見て思う人生の悲哀。


篠田真由美著「灰色の砦」、輝額荘という古びたアパートに展開する殺人事件物語。建築家フランク・ロイド・ライトの史実を織り交ぜながらのプロットの展開、さらに複雑な経路を辿り建築探偵桜井京介が追及する事件の謎と盛りだくさんな内容だ。青春の邂逅に出会えるミステリーだ。


月曜日, 5月 02, 2016

三津田信三著「厭魅の如き憑くもの」因習的伝習に捕らわれた深い山村を舞台に発生する連続殺人事件都会から民族学的因習やらを研究する青年が到着する。それにしても憑きもの信仰やら村を二分する部落対立ありとあらゆる不可思議な因習が徘徊し殺人事件が発生する。青年刀城言耶が、様々な体験を通して事件を解決してゆく本格&ホラーミステリーであり横溝作品とは違った味わいがある。



歌野晶午著「密室殺人ゲーム大手飛車取り」5人のネットゲーマーが、チャットを通じて殺人ゲームを次々と実行してゆく。密室殺人ゲームを各々が提案し仲間が解いてゆくといった内容だ。本格的推理小説から逸脱した感は否めない。ドキドキ感、娯楽性は全くない。最先端的ミステリーと評論家は評し二十一世紀の探偵小説だと言うが、面白くてドキドキ感そして最後までページを繰らせる期待感こそミステリーだと思う。




北村薫著「空飛ぶ馬」、題名はミステリアスだが、内容は至って平々凡々とした小説だ。女子大生の視点でその日常生活や友人との交友、そんな中に噺家円紫実は名探偵という人物が登場する。どんで返しやホラーといったミステリーらしさは全くもってない。こんなミステリーもあるんだ。という印象だ。


高木彬光著「人形はなぜ殺される」は、怪奇(ホラー系)とミステリーの融合といった小説だ。名探偵神津恭介と松下研三が、事件に巻き込まれ最後に解決するミステリーだ。魔術協会、福徳経済会・投資会社、精神病院と多彩の場所を描き、殺人が実行されてゆく。