山本巧次著「八丁堀のおゆう」、ファンタスティックミステリーとでも言おうか奇抜な発想としっかりとした文体と相まって無難に親しめるミステリーに仕上がっている。おゆうは平成の東京から江戸中期徳川家斉の時代にワープした時の名前だ。定回り同心の鵜飼伝三郎や岡っ引きの源七らを手伝い捜査に当たるというのが主題だ。今回は薬問屋回りで藤屋という薬種問屋の大店の長男坊の死を回り店主より死因の特定を依頼され捜査に当たる。奉行所の役人から上の方の役人、盗賊を交えて多彩な顔触れの中で犯人を特定するといった面白い展開が続く、最後にはどんでん返し的結末がまっている。