月曜日, 5月 29, 2023

今野敏著「任侠シネマ」、任侠シリーズは2作目で、前回読んだのは銭湯再建で今回は何とヤクザと関連ある映画館の再興だ。例によって親分を中心に代貸の日村を取り巻くのは健一、稔、テツらのメンバーで今や昔の面影もなく至って真面目だ。ある切っ掛けで映画館の再興の話が出て、親分は例のお節介な気分が本気にさせ再興に真面目に取り組む様子だ。映画館の入る社屋の売却に画策する不動産屋、族議員との繋がるコンサルそれらを相手にしても一向に怯まない親分、そして千住シネマは再興の手掛かりを掴んだ。この任侠ミステリーシリーズの面白さは格別である。
東野圭吾著「クスノキの番人」、表題が面白そうなので本屋で買い求めた。予想通りクスノキ一本でこんなにも素晴らしい物語を発想し書ける著者はやはり天才だ。母を亡くし父親も不明な玲斗はひょんなことから留置場に入れられ途方に暮れていたが、弁護士が訪ねて来て条件付きで叔母の元へと引き取られた、そこは神社でその草深い中にクスノキの大樹が聳えていた、玲斗はそのクスノキの番人として柳沢千舟老婦の下で生活することになった。ようやく番人として色々と経験を積み千舟の過去も知るようになり親しくなった。千舟は自分の後継者として玲斗を指名してきた。この物語の意外性はミステリー通じ人間愛を描きそのシンプルなプロットにも感動だ。
千野隆司著「鉞ばばあと孫娘貸金始末」、貸金業を営むお絹、そこには両親を亡くし頼る相手のないお鈴を引き取り家事やら借金取の仕事を手伝い元気に暮らしている、お絹の弟の倉蔵は居酒屋を営みながら十手を預かる身だ。そんな三人が次々と厄介ごとに巻き込まれるがお鈴の利発さとお絹の鉞を常に肌身離さず持ち歩く鉞ばばあと呼ばれているが実は根は世間の常を心得優しさを持っている、姉を助ける倉蔵も協力して事にあたる江戸人情物語だ。これはひょっとしてシリーズ化されるかもという予感がある。
法月綸太郎著「ノックス・マシン」、中短編4編を含む短編集である。何にも予備知識もなく手に取って読み始めてみてSF的物語にビックリした、宇宙論やら素粒子論やらをタイムトラベルとの関連やら著者の造詣の深さに感服させられる。4編がどれも奇抜でユーモアと自虐的面白さとでも表現しようがない面白さを体現させてくれる絶品だ。
ラーラ・プレスコット著「あの本は読まれているのか」、主に1950年代のアメリカのCIA中央情報局とソ連のスターリンの死前後の時代背景となっている、史実とフィクションが織り交ぜて物語は語られてゆく。CIAは文学がソ連共産主義体制崩壊させると信じて、作戦を実行し成功を納める、CIAのタイピストの中でスパイとしての素養のあるとされたイリーナを抜擢しブリュッセルで行われる万国博覧会に侵入させロシア人にソ連の反体制作家パステルナークの執筆し紆余曲折を経て出版されアメリカでロシア語版として出版した「ドクトル・ジバゴ」を手渡した。ソ連の当時の強制収容所の中での過酷な労働と辛酸を嘗め尽くす悲惨な体験そしてパステルナークとその愛人オルガとの感動的な愛による大作だ。
スティーヴン・キング著「11/22/63 下」、遂にダラスで目的の倉庫そしてリー・オズワルドの行動を把握して恋人セイディーと共に倉庫に辿り着き、オズワルドが居ると思われる6階めざして痛い脚を引き摺りながら登っていく、段ボールに囲まれた隅に暗殺を実行しようとするオズワルドが居たジョージは38口径の拳銃を手にオズワルド狙い銃弾を発射したが、それたそして体が傾き床に倒れたとその時は以後に居たセイディにオズワルドが放った銃弾が命中、セイディは還らぬ人となった。兎の穴から過去の世界へタイムトラベルして50年前の世界へ跳躍するジョージそしてアルが懇願したJFKの暗殺阻止という命題に真っ向から挑んだジョージ、SF的ミステリー恋愛を絡ませつまり読ませる文庫本にして1500頁に及ぶ大作を読了した。
スティーヴン・キング著「11/22/63 中」、ついにオズワルドを捉えた、ダラス郊外にアルのノートにあったように引っ越してくるリー・オズワルドの真向かいにジョージも引っ越し向かいの家に盗聴器を取り付け動向を隈なくチェックした。その後リーはダラスにまたしてもアルのノートにある通り引っ越してきた、ジョージはリーが引っ越してくる前に1階に居を構えリーを待っていた。中編は全編にわたり親しくなった図書館司書セイディーとの恋愛の浮き沈みに費やされ、リーの暗殺計画と同時進行しながらの展開となった。
スティーヴン・キング著「11/22/63 上」、 2011年から1958年へのタイムスリップ、そしてケネディ暗殺を阻止するといった極めてSF的発想のミステリー小説だ。高校教師のジェイクがアルという人物と出会いその彼は肺がんの為余命幾許もない身をジェイクに託し秘密の過去に遡る階段を支持しケネディ暗殺の犯人オズワルドの殺人を阻止してくれという頼みにジェイクは共感して過去の世界へと旅立つ、様々な状況を経験しつつオズワルドへと近づく、何よりも本書のプロットはそもそも伏線が素晴らしい。
アラン・グレン著「鷲たちの盟約 下」、ついにロング大統領とドイツ帝国のヒトラーがポーツマスで会談をする当日、サムの兄トニーはサム自らの手によって襲撃地点を発見されFBIによって射殺された。さらに大統領暗殺に動いたサムの家の間借り人の友人を阻止して大統領暗殺から救い出した人として尊敬され家族救出に成功したが妻のサラはサムの前から去っていった。殺人事件はどんでん返し的に解決を見た。本書は無謀とも言える歴史を作り上げその中で右往左往する国民の飢餓と悲哀、こんなプロットをどしたら考ええられるのか?不思議だ。
アラン・グレン著「鷲たちの盟約 上」、1940年代のアメリカはポーツマス未だに暗黒から抜け出せないでいる世界、そんな街でポーツマス市警の警部補サム・ミラーがある日通報により現場に行ってみると一人の男の死体があった、身元を記すものは何もなく捜査闇の中を進んでいくかの用だった。第二次世界大戦さ中のアメリカもまた惨状に見舞われFBIやゲシュタポや革命を目指す様々な分子が暗躍する世界はまたポーツマスの現状だった。

土曜日, 4月 29, 2023

マーク・グリーニー著「暗殺者の反撃 下」、苦難の連続を絶えぬき自分に向けらた殺意の原因を突き止めるべき凡ゆる情報と関わる人間との接触を果たし最後にカーマイケルの居場所を特定した。要塞に潜んでいるカーマイケルの下に忍び込んだジェントリーは、カーマイケルとサウジの工作員のカザスを捉えた、雪崩れ込んでくるFBIとの銃撃戦を潜り抜け脱出に成功した。本書はスパイ活劇よろしくプロットは素晴らしく脇を固める伏線も全く完璧だ。
マーク・グリーニー著「暗殺者の反撃 上」、ワシントンDCに帰ってきた暗殺者ジェントリーはCIAに追われ静かに葬れとの司令の下にシューターを派遣してジェントリーの同棲を隈なくチェックしていた。しかし幾つか殺人事件がありジェントリー絡んでいるのでは?と憶測が流れたが、要として彼の居場所をCIA秘密本部本部長のカーマイケル掴みきれなかった。
ニューヨーク在住の売れない作家、ハリー・ブロックの元に死刑囚として刑務所に収監されているダリアン・クレイから連絡つまり手紙を受け取った。自身を小説にして上梓してもらいたいと。既に4人の女性をバラバラにして殺害した凶悪犯、興味を持ったハリーは面会に行き事情を聴取して本を書こうとする。と同時に殺害、連続札事件の真相を探るべく調査を開始する。そしてまたしても連続殺人事件、事件の真相に漸く達したハリー最後にはダリアンの処刑を見守ることになった。長編でありプロットは見事でオマケにどんでん返し的結末も用意されている。デイヴィッド・ゴードン著「二流小説家」、
ジャック・カーリー著「髑髏の檻」、モビール市警殺人課刑事、カーソン・ライダーは休暇取得のためケンタッキー州の山間のキャビンに宿泊し愛犬との散歩やロッククライミングや川での釣りを楽しんでいた。女性の声で電話があり殺人事件発生を知らされ地元警察へ向かう。次々と殺人が発生され惨殺したいが発見された、FBIが乗り込み地元警察は援護に回る事態となった、チェリー女性刑事とカーソンは協力関係を築き捜査を展開するが中々核心を掴めないでいた。そして被害者の過去を探っているうちに浮かんできたネグレクト、児童虐待が浮かび上がり犯人がわかった。カーソンの物語はPSITシリーズとして第7段だという。
ビル・ビバリー著「東の果て、夜へ」、叔父の命令でLAから2000km離れた地へ、一人の男を殺害しに四人で出かけることになった。仲間のうちの最年長の男とは、途中で喧嘩別れして3人で行動を共にすることになった。そして漸く目的地に着きイーストの弟タイが判事を銃殺した。目的を遂げ帰宅途中様々な事が重なり結局弟タイとも別れイーストは一人旅を続けることになった。ミステリーとはちょっと違う感じで少年が世の中に羽ばたく成長物語でもあり、また旅を続けなくてはならない少年の未来を憂う気持ちにさせてくれる。
湊かなえ著「落日」、日の入りそんな落日を見通せる場所が、幼い頃住んでいた山の中腹、鉄塔の下そこが真尋の思い出の出発点だ。脚本家助手の真尋が書こうとする脚本の現場は笹塚町での一家殺害事件だ。そして真尋の姉千穂と絡んだ一家殺害事件そして書く上での調査をしてゆく内に絡んでいた事実が見えてくる。それは悲しい出来事絡まり合う人間の切なさを見事にプロットとして確立し伏線にも描写の巧妙さを感じる作品だ。
ダニエル・フリードマン著「もう過去はいらない」、勝手メンフィスの殺人課の刑事バック・シャツは、引退して今や87歳という老いぼれ爺となっていた、そしてある日旧来の大泥棒であるイライジャが彼の前に姿を現し助けを求めて来た。高齢ながら日々満足していないバックは引き受けた。そしてイライジャの依頼の捜査に個人として乗り出した。90歳に手が届く爺の生き様、生きる意欲を失わず前へ進む勇気に感激だ。
チャイナ・ミエヴィル著「都市と都市」、SFの正に異世界での殺人事件、対立する二つの都市それはヴェジェルとウル・コーマという交流が無いわけでは無い。カナダからの留学生女子学生が殺害されヴェジェルの犯罪捜査課警部補ポルルが担当刑事として捜査に乗り出し、ウル・コーマに協力を求めヴェジェルからウル・コーマに向かい民警の刑事ダットの協力を仰ぐことになった。このSFファンタジー的な都市と都市の世界が読者としてどうしても違和感があり馴染めない。ファンタジーとミステリーの融合が互いに中途半端な設定に思えページを繰る手が止まってしまう。
逢坂剛著「裏切りの日日」、 警視庁公安一課係長である桂田渉警部補と浅見刑事とのコンビで事件にあたっていた。右翼のフィクサーと知られる東山に告げられたのは脅迫状が舞い込んだという知らせで明らかに左翼からの物だった。桂田の過去は女房に浮気され離婚した悲しい過去そして一人娘をこよなく愛するそんな一面のする男で浅見には尊敬心も芽生えていた。そして事件が発生暴漢がビルを占拠して、かつバルコニーに出た東山がライフルで射撃を受け死亡するといった事件が重なり警視庁の監察官が動いた。桂田は大物政治家の意向及び密命を受けたスパイとして東山に接近して殺害されるというオチだ。ミステリーとしてはプロット伏線といい良く練られた展開に なっている。
胡桃沢耕史著「翔んでる警視正」、警視庁殺人課を統括する警視正こと岩崎が遭遇する様々な事件に部下と共に機敏に対応して解決してゆく内容だが、その内容がまた吉に富み面白いそして文書の歯切れが良く軽快だ。著者の知識の豊富さとプロットに感心する。