火曜日, 10月 24, 2006

江戸川乱歩全集第15巻 三角館の恐怖 を読んで。

相変わらず、乱歩らしいタッチで物語は進む。「青銅の魔人」と「三角館の恐怖」が収められている。青銅の魔人は少年雑誌の連載として書いた物語である。少年探偵団の小林少年の活躍である。昔の少年時代を思い出さずにはいられない。懐かしいの一言である。三角館の恐怖は、洋物を乱歩流に書き直したものだという。最終章まで犯人が判らないという推理小説の定番的物語である。

金曜日, 10月 20, 2006

ホーキング、宇宙を語る を読んで。

宇宙は、どこから始まり何処へいくのであろうか。この壮大な理論物理学の世界へ望む科学者の理論を紹介しながら、あるいは想像主としての神との対峙を含め解説したこの本は宇宙の壮大無限性と人間の極小性を認識させる。改めてアインシュタインの「相対性理論」が持つ意味が如何に深く理論物理学に係わっているかも認識させられる。統一理論が、著者の言う今世紀20世紀には擁立できなかった。ビッグバンに宇宙の創造を提唱した著者は、今後どのような展開もって統一理論へと結びつけて行こうとしているのか。

木曜日, 10月 19, 2006

江戸川乱歩全集第10巻 大暗室 を読んで。

この巻の中に2編が盛られている。「怪人20面相」と「大暗室」だ。どちらも、中学生の時に読んだ興奮を今にしても覚えるということは、やっぱり面白いからだ。懐かしさと興奮が沸々と湧いてくる。主人公と犯人との知恵と知恵の対決、最後には主人公の正義が勝つという少年雑誌の連載に向けての物語だが、実に良くできていると思う。

月曜日, 10月 16, 2006

江戸のおしゃべり を読んで。

江戸庶民の様々な生活を古川柳を通して見ると良く解る。九尺二間長屋の住人から、町屋、吉原、武家それぞれ庶民の生活が古川柳の中に生きている。江戸庶民の文化の研究は原始文献が少ないという。古川柳に二見る江戸庶民の生活は、現代の我々の生活の中に多くを見ることができる。世に言う、渡鬼、嫁姑の争いも古川柳で言うと「憎い嫁かわゆい孫をやたら産み」となる。

日曜日, 10月 15, 2006

公爵家の相続人 を読んで。

第一次世界大戦終了後つまり、1920年代の英国のカントリーハウス、フューエンフォート家の「ジャスティスホール」大邸宅を舞台にした、ローーリー・キング「シャーロックホームズ愛弟子」シリーズ第6巻である。このシリーズをたまたま本屋に立ち寄り発見した。「ホームズ」のファンとしては、期待を持って読み進めたが、海外作家特有の冗長な背景描写には辟易する。570ページある書の250ページは不要と思われるほどだ。古典的なトリックだが、後半はファンにとってはたまらない展開となりつい、朝方まで読んでしまった。戦争の中で、幾多の命が翻弄され第7代公爵の相続人を巡る血なまぐさい古典的殺人計画をホームズ及びメアリ・ラッセルが謎解きをしていく。メアリーはホームズの妻となって活躍する物語である。

アフターダーク を読んで。

村上春樹の本を初めて読んだ。最新刊らしい。午後11時55分から翌朝午前6時50分まで、時系列に物語が美人を姉に持つマリの行動と高橋というトロンボーンを練習する大学生そして、モーテルに勤めるかおりとサラリーマン白川のそれぞれの行動がこの時間帯の中で動いていく。全ての人間がほぼ病的いや病気である。普通の生活とみられる大都市の闇の中で蠢く人間の行き着く先は結局兄弟愛というか家族というか。観念で捉えられない血の繋がり、肌の感触の中にしか無いのであろうか。

金曜日, 10月 13, 2006

江戸川乱歩全集第7巻 黄金仮面 を読んで。

実に、面白い「黄金仮面」は、仏蘭西のアルセーヌルパンと明智小五郎との対決。また「白髪鬼」は、イギリスの女流作家マリイ・コレルリ「ヴェンディッタ」を乱歩流に書き直したものであるという。この「白髪鬼」の中に人間の復讐心というものが、どこまでも果てしなく深く広がり鬼畜ごときに成り下がるということだろうか。信頼せる人間に裏切られた時の復讐心を持って人間の本質に迫る乱歩にある人間観とは。。しかし面白いとくに、怪奇ものに乱歩の真骨頂があるようだ。

水曜日, 10月 11, 2006

臆病者のための株入門 を読んで。

何冊か株式投資入門の本を読んだが、初めて「マトモ」だと思われる本である。投資には、リスク及びリターンがあるという。また銀行、証券会社、生命保険会社などが、商品化するパッケージものに、如何に「嘘」が多いか。どうしたら、善良なる投資家を騙し自らの会社の損失を防げるか?を念頭にパッケージ化する商品の裏側を見極める必要があるという。投資に王道なし、過去米国の偉大な投資家を例に語る投資法の数々を分析し、「トーシロ投資法」を指南する。世界市場ポートフォリオへの投資、インデックス投資という方法を推奨する。これらを研究してみようと思う。

火曜日, 10月 10, 2006

博士の愛した数式 を読んで。

主人公とその息子は、2人暮らしで主人公は家政婦である。家政婦紹介組合より数学博士の家へ派遣される。博士は1975年に交通事故に遭い、それ以来75年で記憶が停止したままである。かつ記憶が80分しか持続しないという。主人公と博士そして息子の3人が織りなす、日々の生活の中に著者の何とも言えぬ「やさしさ」「愛情」を行間から読み取れる。設定も奇抜だが、一気に読める面白さだ。また、余談だが数学についても、素数とか有理数とか勉強になる。

日曜日, 10月 08, 2006

極楽タイ暮らし を読んで。

タイ人の性格や日常の慣習そして生活について語ったこの本は、少し古いがどうだろう。仏教を背景とするが、タイ人は現実的であるという。輪廻という思想が、タイ仏教の根本にあるため死者への参拝等は一切しないという。暑いので歩くのが大嫌いだと、自転車よりバイク、そして自動車タイは全て自動車は輸入である。物品税が高いため、本田のシビックでも300万もすると聞いたことがある。月給数万円の生活で、車を購入することは大変なことだ。でもタイ人は車が大好きだ。エアコンのついた自動車に乗ることが、庶民の夢なのかもしれない。

土曜日, 10月 07, 2006

江戸川乱歩全集第2巻 パノラマ島綺譚 を読んで。

「湖畔亭事件』「一寸法師」と比較的初期の作品が収められている「江戸川乱歩全集』の第2巻である。昭和初期の作品であるにも関わらず、圧倒する臨場感は今読んでも迫力があり面白い。当時は探偵小説といったそうだ。湖畔亭事件は横溝正史の小説を彷彿とさせる。一寸法師で、懐かしい明智小五郎に出会う。中学生の頃読んだことを覚えている。懐かしいの一言だ。全集は一巻凡そ600頁もある。

月曜日, 10月 02, 2006

仏教のこころ を読んで。

仏教と現代との関わり、はたまた現代の殺伐とした多くの事件が発生する状況下での仏教の役割といったものがあるとすれば、何なのか?について著者の率直な心情を著わした書である。私が興味を持つのは、日本あるいは日本人の自然との係わりである。中国から伝来して以来、日本人の自然観の中に昇華した仏教は、私たちの生活の隅々まで浸透している。また「神仏混淆」など当たり前、田舎のどの家にも仏壇と神棚はある状況である。このいい加減さこそ「日本人」であると思う。がしかし世界の人々に理解してもらうのは、正直難しい。小動物から草木にまで命があるという、日本人にとってごく当たり前の考えが、グローバルスタンダードになり得ない「もどかしさ」を常々感じる。