山崎豊子著「女の勲章 上」、大阪船場の嬢はんとして苦労もなく育てられた式子は父母の死後、大阪で服飾学院を開業した。東京の名門大学での銀四郎をマネージャーとして迎え経営に乗り出した。大庭式子はデザイナーとしての有名になる野望を胸に秘め、また銀四郎は式子を利用しながら経営を拡大し金儲けを企む野望を裡に持つ男だった。この両輪を上手く動作させ次々と学院経営を発展させまた式子は益々デザイナーとしての地位を確実に築いていくのだった。式子を初め主だった女性スタッフとの情交を武器にしたたかに生きる銀四郎の行動も読者の眼を射るような著者の生き生きとした文体が効果的だ。
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