日曜日, 2月 27, 2022

ジョセフ・ノックス著「スリープウォーカー」、マンチェスター市警巡査部長のエイダン・ウェイツの三部作を全部読んだ事になる。印象から言うと作者の並々ならぬ能力を思い知らされるといったことだ。市警の警視、警部、エイダン・ウェイツの仲間の軋轢、次々と発生する殺人事件何故かその事件の担当となってしまうエイダン・ウェイツの面白さ。自分の過去を取り混ぜ物語は最後のどんでん返しまで続く。複雑なプロットから推理する面白さ、本書シリーズには警察小説の神髄がある。
新川帆立著「元彼の遺言状」、女性弁護士で大手法律事務所に勤務する麗子は、知り合いからの相談で奇妙な遺言状を廻る案件に乗り出す、その遺言状は自分の遺産を殺害された後にその犯人に譲るさらには過去に自分に関係した人達にも遺贈するといった誠に奇妙なものであった。登場人物達の描写が伏線となり最後のどんでん返しも巧みに用意したプロットといい主人公麗子の現代女性の描写といいこのミスの大賞となる理由が解る。
法月棆太郎著「頼子のために」、作者自ら探偵として活躍するシリーズらしい。大学教授西村は十数年前に交通事故で妻を身障者にさらに身ごもっていた子供を死なせた経験をしていた、今は一人娘頼子と3人家族だ。頼子は有名女子高校に通い妻に良く似てきていた、そんな頼子が殺害され法月の親父である警視からの依頼で警察とは別個に調査を依頼され事件に関わっていく。作品に登場する人物の過去を描きながら真相に迫っていく。伏線は数少ないがプロットとして、最後のどんでん返しを含め十分楽しまる。変形な歪な愛というテーマが浮かぶ。
ジョセフ・ノックス著「笑う死体」、マンチェスター警察の刑事、エイダン・ウェイツ彼の休暇中にパレスホテルで殺人事件が発生した。ホテルに着いてみると殺害された犠牲者は何故か笑っているようだった。前回の衝撃から辛くも刑事として留まり通常夜勤勤務に戻ったエイダンはサティ警部補を上司として仕事に励んでいた。複雑な伏線、エイダン兄妹の子供時代の悲惨な生活を挿入しながら物語は展開するプロットは複雑だ。
米澤穂信著「氷菓」、高校の古典部姉貴の勧めもあり入部した折木は、学園祭に部が依然30年以上歴史のある文集を発行しようという事に決まった。過去の文集を捜して見つけたのが題名「氷菓」という文集だった。序文を見て読んで疑問が浮かび皆で調査した結果は33年前の出来事だった。
ジョセフ・ノックス著「堕落刑事」、マンチェスター警察署刑事エイダン・ウェイツは、潜入捜査の目途して麻薬密売組織に入り、密売の実態を探る。そんな中で国会議員の娘17歳と出会う、彼女は家から逃亡し密売組織の元で集金係として働いていた。エイダンは彼女を無事に自宅に帰宅させる使命をも担っていた。しかし彼女がある日フラットで死んでいた。そこから事態は複雑に伏線を配して展開を早める。マンチェスターの夜に展開する麻薬、売春、警察官の不正とダークな世界で正義を貫く刑事の物語だ。
我孫子武丸著「探偵映画」、映画界の鬼才と言われる大柳監督が撮影の途中で失踪した。このことで制作スタッフやら俳優やら大わらわの態だ。しかし何としても期日までにはフィルムを完成するしかなく一同必死に考えて考えて遂に完成させた。そんな時突然監督が姿を現し映画はすでに完成していると豪語する。どこがミステリーなのかわからないミステリーというのが落ちだ。
歌野晶午著「動く家の殺人」、小劇団が回る舞台つまり動く家で演技中に起こる殺人、それは劇団員の皆にとって不可思議で考えても考えても真相は掴めなかった。物語は冗長だが、最後のどんでん返しは意外な結末を用意し制作担当者は実は詐欺師だったという落ちだ。プロットといい伏線といい今では読者を驚嘆させることはできないミステリーだ。
アンソニー・ホロヴィッツ著「絹の家」、コナン・ドイルの正当な後継者というべき出色の作品の出来栄えだ。幾つもの伏線をよういして、最後に全てが連携し事件解決への糸口を披露するその手腕に感銘し、ドイルの作品としても優秀なものである。
P・Dジェイムズ著「女には向かない職業」、本書のタイトルが示しているのは私立探偵のことである。プライド探偵事務所を経営するプライドが不治の病に倒れ助手のコーデリアは探偵事務所を継続していくべきを悩んだがある日依頼が飛び込んだ。微生物学者の卿からの依頼で死亡した息子の原因を調査して欲しいというものだった。伏線を絡ませ最後のどんでん返しに持っていく描写は正当で本格ミステリーの領域に入る名著だと思う。
まさにSFの名著といわれる本書である。宇宙市とニューヨークシティとの交流そして一刑事とヒューマノイドロボットとタッグを組み殺人事件の解決捜査する中で様々な困難にぶつかる、つまりSFミステリーだ。現代では許容できる範囲にある描写だが半世紀以上前に書かれた作品だと思うと著者の想像力と知識は格別だ。SFミステリーといっても全てが破天荒なわけではなく、人間の心理、欲望、絶望、不正といった事象もキチンと描かれている。アイザック・アシモフ著「鋼鉄都市」、
今邑彩著「卍の殺人」、久しぶりに日本のミステリーだ。亮子は恋人の安東匠に言われて匠の実家に行くことになった、そこは東京からは2時間も掛かる場所だった。家に着いてみるとその家は卍の形をした相似形の建物だった。2家族が居を共にしていた不思議な形をした住居に。そして殺人事件が発生した、しかもそんなに時も空かず二人が殺害された。そしてさらにもう一人。卍屋敷を知り尽くし、愛情と財産を渇望する二人の犯行だと解る。
アリス・フィーニー著「彼と彼女の衝撃の瞬間」、ロンドンから車で2時間ほど離れた田舎町ブラックダウンで死体が発見される。その後次々発生する連続殺人事件に地元の警察署警部ハーパーと部下の女性刑事、そしてこの事件を取材するBBCの女性アナが事件の中心に巻き込まれて行く。過去と現在、そしてジャック・ハーパー彼とBBCの女性記者アナ彼女との間の確執そしてアナの母親の存在これら全てが複雑な伏線となり物語が進行してゆき、最後に思いもよらぬ犯人が浮かび上がるといった読者の翻弄する傑作ミステリーだ。
著者の古典的な作品で、ミステリーとしての面白さを全開で出力した名著といいと思う。フーダニットとハウダニットが上手く調合して雰囲気を出している。最後まで殺人犯が不明で、その後に待っているのはまさにどんでん返しだ。ある数学者教授の妻が不倫して身投げする。この謎を解明すうのにヘンリー卿やら関係者らが奮闘し二転三転しながら追い詰め最後に辿り着く経緯は読者を翻弄すること間違いない。カーター・ディクソン著「貴婦人として死す」、
アンソニー・ホロヴィッツ著「その裁きは死」、前回読了した著者のメインテーマは殺人の続編ホーソーンをホームズそしてワトソン役はアンソニーそう著者その人の殺人ミステリーである。物語は仲良し3人の趣味の洞窟探検で起こった悲劇つまり一人が洞窟内に侵入した大量の水ぜめで死亡した、それから数年後に起きた当時の残り二人が次々と死に至る。さて犯人はホーソーンとアンソニーが動き出す。冗長さ相変わらずだが、最後まで読者を煙に巻く描写は必見だ。
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