写真に革命を齎した土門の写真について、その技法を紹介した書である。リアリズム写真の神髄とそれを獲得する理論と実践の為に苦悩する土門の人生が描写され、写真撮影入門というタイトル以上の土門その人の紹介の書だ。東北人の土着性と粘りがひしひしと伝わってくる。対象と一体化し、瞬間を切り取る。「絶対非演出の絶対スナップ」とはいい得た土門の表現である。我々素人が風景を撮っても結果を見ると、いつも落胆する。見た時の感動があの四角いファインダーの中に収まり切れない。手前から奥まで隅々までピントがあっていてしかも広大な風景を撮るということは、所詮無理だと土門も言っているには驚いた。生活私的風景を提唱する、切り取られた事象から暗示する象徴化・シンボライズすることだと。対象を研究し、撮るべき対象に真摯に対峙し一体化して、その刹那を切り取るということだと理解する。
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