日曜日, 4月 29, 2018

松岡圭祐著「ヘーメラーの千里眼」、ミステリーだと読んでは少し物足りない。防衛大学及び防衛庁そして航空隊基地と戦闘機パイロットの二人岬美由紀と伊吹直哉との恋愛を織り交ぜる物語だ。自衛隊を見る作者の眼、そこで生きる隊員たちの日常と人生について作者なりの国家感ともいうべき思想を披歴する。訓練中誤って少年を死に至らしめたと絶望の淵に佇む伊吹を身をもって蘇生させる彼女美由紀の愛情と自衛隊内での精神の相克それらが見事に描かれ長編ながら頁を繰らせる力がある。

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