月曜日, 11月 30, 2020

松本清張著「水の炎」、1960年代初頭の作品である。主人公は東都相互銀行常務塩川弘治を夫に持つ妻信子である。野心に燃える夫は観光開発会社の社長徳山を踏み台に今や財界の大物とされる是土慶次郎に身を寄せて出世を願う男であった。夫婦の間は冷え切り、夫は若い愛人を持ち妻は学問に興味を惹かれ通信教育で夏はスクーリングに通う。そこで知り合ったのが助教授の浅野であった。彼は信子を一途に思い続け志ならず、自殺するはめになる。錯綜する現代社会で塩川がまた信子が翻弄されてゆく中で自らの立ち位置を確かめ、未来へ踏み出す決意をする信子であった。

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