笠井潔著「哲学者の密室」、なんと文庫本にして1600頁を超える超長編ミステリーだ。戦中、戦後の二つの幾重に施された密室殺人事件、主人公の日本人青年矢吹駆とフランス警察警視の令嬢ナディアが捜査に敢然と挑む本格推理小説である。パリを舞台に発生した密室殺人事件は戦中ナチが作った絶滅収容所の囚人なかでもその収容所発生した密室殺人事件と密接な関連を示し事件は複雑な様相を呈していた。伏線の多様性そしてその主軸としてハイデッガー哲学その理論こそナチズムの根底の理論だ、その哲学を通して語られるこの物語は正に哲学的だ。プロットはかなり練られていて容易に犯人を特定できない。
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