ギャビン・ライアル著「深夜プラスⅠ」、著者の作品は初めてだ。長編ミステリーとはいかないエンターテインメント小説或いは冒険小説的風合いだ。マガンハルト弁護士は暴行罪の汚名を着せられたが、自己の所有する会社の株主会に出席するため警察の追手を逃れスイスとオーストリアに挟まれた小国リヒテンシュタインに向かうため、二人のガンマンを雇い弁護士の秘書と4人で行くことになった。スイス国境付近での銃撃線を辛くも突破し目的地に辿り着くことになった。だがそこで判明したのはガンマンを手配したはずの人物が実は殺し屋だった。小さなどんでん返しで終わる。
金曜日, 9月 28, 2018
吉村昭著「朱の丸御用船」、史実に基ずく歴史小説だという。大阪より江戸へ米俵を運ぶ御用船幾つもの航路難所を切り抜け江戸へ。歴史の舞台は現三重県の一寒村で起こった現実の騒動である。幕府御用の米を千俵近く積み込み御用米船として出航する定助舟と次三郎船は各港に碇泊しながら江戸へ向かうことに、しかし両船は碇泊地で御用米を売り捌き故意に天候により破船したと偽った。しかしその片割れの船が漂流して名切村沖に漂着し村民総出で米俵を瀬取りし分配した。その事実がバレて役人により調査が開始され、村民は甚大な被害を被ったと。作者は現地に足を運び資料を丹念に調査しまた聞き取り史実其の儘に弥吉という若い漁師を仕立て暗い現実を描きながら希望の光をも書き留めることを忘れない。
木曜日, 8月 30, 2018
エラリー・クイーン著「中途の家」、1930年代のクイーンの代表作とされる本書は、私にとってはベストだと思わせる出来栄えだ。ある男は二重生活、つまり重婚をして日々を最新の注意を払いながら暮らしていた。ある日男は現在の自分を嘘偽りなく話そうと二人の人間に自分の人格を変える目的を持つ家表題にもなっている中途の家へ来るよう手紙を出す。そして彼及び彼女が見たのは殺害された男の死体であった。犯人は女性と断定され公判でも禁固20年の刑に処せられた正妻そして事件の関係者であり正妻の兄であり弁護士を救うためクイーンの灰色の脳細胞が活躍する。当時の面影を残しながら相変わらず人物設定およびプロットの見事さは秀逸でミステリーの本質を突いた名著である。
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