日曜日, 9月 29, 2024

森村誠一著「死者の配達人」、定年まじかに離婚した北尾を廻る殺人事件実は彼自身も30数年まえに殺害に関与したことがありその債務に心の奥深く傷ついていた。作者の次から次へと絡んだ糸の結び目を解くようなプロットの構成にさすがと思わせるミステリーである。
横山秀夫著「半落ち」、W県警の警部梶はアルツハイマー型認知症の妻を扼殺した、その後の二日間の空白を待って彼は出頭した新聞社各社もその空白の二日間について様々な憶測が取りざたされた。しかし梶は一切答えなかった。そして起訴され判決が出され刑務所に収監された。そして同僚の警部が一人の青年を連れだって梶に面会を申し込んで内容が明らかになった、ドナーとして梶は一人の青年を救ったのだった。空白の二日間に青年に会いに行き生きる意味を探した二日間だった。
東野圭吾著「名探偵の呪縛」、天下一という名探偵の物語は初めてである。墓礼路市(ボレロ)風致地区という歴史のない街の市長に招待されてやって来た天下一探偵が依頼されたのは?に始まり殺人事件が次々と発生しこれらを明晰な頭脳で解決して行くという物語で、疲れた頭を休ませるにちょうど良いミステリーだ。
アリス・フィーニー著「彼は彼女の顔が見えない」、アメリアとアダムの夫婦は上手くいってなかった。そこで人里離れた山の中へ二人で旅行に出かけた。しかしその宿泊先の建物はチャペルを改装したもので、しかも玄関には鍵が掛かっていた。それからの滞在中に色んな出来事が起こる。冗長的であるが最後に解明する事実はどんでん返しとは行かない平凡な結末だ。
辻真先著「たかが殺人じゃないか」、戦後昭和24年の名古屋を主とした物語である。633制が始まってすぐである風早勝利ら生徒5人で小旅行に出かけた先で起こった密室殺人事件さらに学園祭で起こった首切り殺人事件と周辺で物騒な事件が立て続けに起きた。殺人トリックよりその時代背景の詳細な描写は色濃く面白い。
東野圭吾著「聖女の救済」、愛はとき時として殺人に変わる夫を愛した妻の復讐ともいえる殺人をテーマにした今回の物語は冗長性が否めないものの女性の心理を汲んだミステリーである。
東野圭吾著「虚像の道化師」、 7編からの短編集である。各編とも著者の物理学の視点を軸としたプロットの組み立ては見事で読者を飽きさせない湯川先生ガリレオの知能を余すことなく使い事件を解決へと導くその爽快感は見事だ。
東野圭吾著「沈黙のパレード」、著者の考えるプロットには感動する、ミステリーの壺を的確に捉え読者を飽きさせない構想が素晴らしい落ちも申し分なくミステリーの核心を捉えている。非常に満足がいった読後感であった

土曜日, 8月 31, 2024

標野凪箸「こんな日は喫茶 ドードーで雨宿り。」、小さな丘の上にある喫茶店ドードー店長は中年男性で自称「そろり」さんいろんな人がふと訪れるといった喫茶店である。そりさんは何時でもようこそ喫茶ドードーへと挨拶し客を招き入れる客の表情をみて何やら話しかけ客の心を和ませるその会話は深く優しく客の心に響くそんな喫茶店なのです。
山口恵以子著「幸せのカツサンド」、東京は佃にある大衆食堂、名は「はじめ食堂」切り盛りするのは3人の女性で二三と一子と皐旬を取り入れた絶品料理で常連客が押し掛ける。こんな店が近所にあったらとつくづく思う。やはり処場代が自宅である要素が安く提供できる理由だ。
住野よる著「また、同じ夢を見ていた」、小学生の小柳を通して幸せとは何か?人生とはを語りかける本書を読んで感慨に浸れる、そして根底には著者のそこはかとなく優しさが溢れています。人生で無くしたものを思い出してくれます。
湊かなえ著「リバース」、大学時代のゼミ仲間総勢4人だ別荘の持ち主である村井が遅れて今駅に着いたと連絡が来たとき周辺は土砂降りになっていて仲間はすでに酒を飲んでいて誰が迎えに行くか口論の末少しだけ飲んだ広沢が迎えに行くことになった。そして事件が起こった崖から車ごと転落して車は炎上して広沢は命を落としたこれを契機に仲間の一人深瀬が広沢の生前を訪ねて回るそれもあんたが殺したという文書が3人に配られたからだ。深瀬の心理描写を丹念に描き独語何故か心に残るそんな作品だ。
雨穴著「変な家」、 一枚の家屋の間取り図、この図からの発想さらに複雑な血縁関係へと次々と展開されていく物語は読者にぺーじをくる手を強要する。館シリーズとはひと味違う面白さだ。
カルロス・ルイス・サフォン著「風の影 下」、内戦も終結しダニエルは友人の妹仲良くなり交際しやがて彼女は妊娠する、同時代的に進行する物語が迫力を増し読者を混乱させる。一人の少年をバルセロナの歴史の中に放り込み右往左往しながら彼の人生を見つめ著者の忍耐強い視点は壮大な歴史ドラマだ。
カルロス・ルイス・サフォン著「風の影 上」、スペインはバルセロナの内戦前から内戦そして戦後と歴史を俯瞰してその状況下で生きる一人の青年の遍歴を辿る壮大なドラマだ。少年ダニエルがふとしたことからフリアン・カラックスの一冊の本に巡り合うことから物語が始まる、彼は夢中になりこの本の著者フリアンを探求することになった。
東野圭吾著「ガリレオの苦悩」、5編短編集である。例によって帝都大学物理学部第十三研究室に勤務する湯川学準教授のことを世間ではガリレオと呼ぶ湯川と同じく帝都大学を卒業した警視庁の刑事草薙の依頼でしばしば協力している経緯がある。今回も物理学的な根拠を持つ犯罪が起き依頼された湯川の奮闘がすごい。犯罪の核心を解き明かすさまは読者に驚愕を与え感心するしかない。
ソン・ウオンビヨン著「アーモンド」、韓国はソウル在住の高校生ユンジェは幼い頃より精神的疾患があり世の中の様々な状況に少し対応に難があった。この物語は彼の視点から書かれており簡潔な文章スタイルと相まって淡々と進んで行くがユンジェが成長する過程を描いていく。不良少年ゴニとの出会いと彼を救う勇気と愛は読者を感動させる。
東野圭吾著「探偵ガリレオ」、5編からなる短編集である。夫々に科学的要素を盛り込み鰤学教授として湯川学が解き明かしてゆく過程が面白いまた刑事の草薙と湯川との丁々発止的会話もまた絶妙だ。5編の中の物理学的核心も妙に感心してしまうのも面白。

火曜日, 7月 30, 2024

畠山健二著「新本所おけら長屋 一」、たまたま本屋でこの本「おけら長屋」を見つけたそこには新の字が早速手に取り読んで見るといつものおけら長屋の面々の優しい顔が並んでた。長崎から帰ったお満は松造とおけら長屋に住み居酒屋お栄の隣に診療所を開設、松吉と八五郎は何でも屋を開設いつものようにドタバタ劇が始まる著者の日本人を知り尽くしたこの書が長く続くことを願う。
ハリー・クルーズ著「ザゴスペルシンガー」、1960年代ジョウージア州エニグマ出身の歌手ザゴスペルシンガーが織りなす姦淫貧困暴力の田舎町で繰り広げる種々雑多な事件、但しこれはミステリーではなく腐敗した田舎町で息をする神の物語だ。最後に彼ゴスペルシンガーが大樹に吊るされ死亡するのもキリストを彷彿とさせる。
東野圭吾著「禁断の魔術」、姉とふたりで暮らす少年小芝伸吾は頭の良い科学が好きな少年だった、その姉が代議士の愛人となってホテルで死んだ。このことに衝撃を受け固く復讐を誓った伸吾は高校生時代から実験的制作してきたレールガンこれの製作については湯川が指導した経緯があり責任を感じ捜査に協力し犯罪阻止にむかう。
ホリー・ジャクソン著「受験生は謎解きに向かない」、初めて読む作家でそれも3部作の前日檀を読むことになってしまった。物語は富豪からきた誕生日パーティーの招待状だった、それも孤島一日に正午一便でしか島に渡れないという不便さそこで催されたのはなんと1920年代に起こった殺人事件について犯人当てゲームするという、衣装も当時のコスチュームで参加するといった凝りようだ。参加した高校生のピップが抜群の推理力で犯人を当てるというミステリーだ。
東野圭吾著「予知夢」、お馴染みのガリレオシリーズで今回は短編5編が含まれている。各作品は著者の物理学的知識随所に見られそれを実際の推理に生かし事件を解決するというものである。著者の科学的G0知識にまさに脱帽だ。
ジョセフ・ノックス著「笑う死体」、著者のエイダン・ウェイツものの2作目で、私は3作目から読み始め1作目、そして今回2作目へと、堕落刑事の異名を遺憾なく発揮した今回の作も社会の銃とドラッグとセックスが蔓延する底辺あらをウロツクエイダン・ウェイツの姿が目撃される。事件は稼働していないホテルで起きた、死体が横たわり笑っているような表情していた死体の詳細から捜査を開始していくうち次々と現れる闇と人間に翻弄されながら真相に迫る。今回エイダン・ウェイツの出生の秘密が明らかにされた。
桐野夏生著「だから荒野」、東京に住む4人家族、息子二人は高校生と大学生夫はサラリーマンで日々忙しくまた週末はゴルフと妻の朋美は自分の時間がとれないばかりか侘しさを日頃感じていた、ある日それは朋美の誕生日家族で新宿へ行き食事会となったその席で朋美は失踪した。一人の主婦の冒険ともとれる家出を通した人生を考えさせる設定だ。
ジョセフ・ノックス著「堕落刑事」、イギリスマンチェスター市警の刑事エイダン・ウェイツに与えられた任務はマンチェスターを牛耳る闇の組織フランチャイズに潜入することだった、ボスであるゼイン・カーヴァーに接近し情報を警察上部に提供する役割だ。ドラッグの世界を牛耳るカーヴァーは国会議員とも繋がりしかも警察組織にも知り合いを作り闇を跋扈しれいた、そんな中議員の娘ロシターが殺害されエイダンに嫌疑がかかり四苦八苦する。どこまでも信念を貫き通すエイダン・ウェイツ刑事闇に葬られた数々の死体その原因を自らの手で追い詰める真っ当な刑事である。
桐野夏生著「夜また夜の深い夜」、主人公マイコと七海という女性同士の文通が主体となって物語は進んで行くマイコの極貧の状態からナポリの貧民街から家出してマンガカフェに潜り込んで人生の展望が開けたような強烈なインパクトを彼女に与えた。そのごアナとエリスと知り合い盗みlを繰り返しながら地下の洞窟で暮らすハメに。プロットは全く予想できない結論に行きつくそしてマイコの生き方を提示するどんなに極貧の状態での中でも精神的には清貧で希望を持ち友達との友情を育むその生き方にその強さに感動する。著者の作品は翻弄されて、最後まで展開が読めない面白さがある。
アンソニー・ホロヴィッツ著「殺しのライン」、著者である「わたし」とロンドン警視庁の元刑事で現在は警視庁の諮問探偵でいるダニエル・ホーソーンとのコンビの作品である。出版されてないが宣伝の為、戦時中ナチスの要塞の島オルダニー島の文芸フェスにわたしとホーソーンは行くことになった。その島を牛耳る富豪メジュラー夫妻が殺害される当初捜査線上に浮上したアボットは自殺を遂げ線上から外されホーソーンの巧みな頭脳により新たな犯人が浮上する冗長性が否めない作品でさいごのどんでん返しがあるわけでもない。

金曜日, 6月 28, 2024

桐野夏生著「ダーク 下」、災厄の降りかかるミロの身に次々と困難が待っている愛する徐「ソ」が銃撃を受け下半身不随になり車椅子での生活になってからも一心に愛するミロは一筋の光だ。ダーク暗闇に暗躍するヤクザな男鄭「てい」新宿二丁目のおかま友部そして盲目の大柄な女久恵獄中でひっそりと自死した愛した成瀬そして父村野善三とこれでもか?と人物配置をしてダークの世界を作りミロの周辺を固める著者の主眼はどこにあるのか。
桐野夏生著「ダーク 上」、ある女性の彼氏が獄中自殺したこの女性村野ミロは探偵業やめ、義父を殺害に向かう、ミロを取り巻く様々な人間老ヤクザやホモそして盲目の女と複雑な人間関係を展開して物語はあらぬ方向に何が主題かわからぬまま読み進む不思議な世界だ。
ジョセフ・ノックス著「スリーブウオーカー」、 イギリスはマンチェスター市警の巡査部長エイダン・ウェイツを主人公とした警察小説で十二年前の事件を再捜査して犯人を追い込むという全体的プロットですが、内容は警察内部の暗部との戦いまた事件に関する人間とエイダンの対峙コンビに組まされたナオミ・ブラック巡査lとのやり取りさらにエイダンの過去の内容とノワールと呼称される混沌とした世界に翻弄されるエイダン・ウェイツまさにドン・ウィンズローに似たドラッグと拳銃と暴力の闇の世界を描いた警察小説である
桐野夏生著「柔らかな頬 下」、とうとう内海とカスミは、有香を探す旅に出たしかし依然として有香は見つからず、そしてとうとう高校卒業後に失踪した実家のある場所に戻って来ていた母親は執拗にも生きていて飲み屋を営み且つ結婚していたその飲み屋の二階でとうとう内海は息を引き取った。我が子を失った女の苦悩する姿を執拗に描く著者人生の希望という幻を掴もうと必死に生きていこうとする女、そしてガンに侵され死んでいく元刑事の最後と冗長は否めないが面白く読んだ。
桐野夏生著「柔らかな頬 上」、北海道の片田舎から東京へ家出して来たカスミは製版工場でアルバイトをしながらデザインやら会社の経理を学びじゃがて社長である道弘と結婚し女の子二人を儲け世間一般でいう平凡な暮らしを続けていた。石山という男は会社に仕事を持ち込んで来てくれる得意先だった、その石山とカスミは愛し合うようになった、不倫だった。石山の強い勧めで北海道支笏湖畔の別荘に二家族で夏に出掛けた、そしてカスミの長女有香が失踪して行方がわからなくなり必死でカスミは探したが、行方は用として不明で早4年を迎えカスミの家庭も石山の家庭も崩壊したが、毎年8月11に娘が失踪した日には北海等にやって来ていたカスミは元刑事の内海と知り合い一緒に娘を探すことになった、内海は胃がんを患い余命いくバクという元刑事だった。
井上真偽著「探偵が早すぎる 下」、一華の父上の四十九日がやって来た、様々な身内が来場し様々な手段で一華を殺害せんとする、そのいずれの手段も千曲川光探偵が未然に防ぎ一華の身を守る。滔々最後のホテルでの会食になったが、そこでも熾烈な方法で一華の殺害に挑む身内そして滔々全ての難局を乗り越え橋田とともに帰宅する。発想プロットともに抜けた感じのミステリーだ。
井上真偽著「探偵が早すぎる 上」、五兆円遺産相続するという一華まだ高校生である、彼女を回り様々な人間が遺産目当てに蠢く使用人の橋田は遂に知り合いの探偵千曲川光に依頼し一華の身を守ることを決断する
桐野夏生著「OUT 下」、夜間弁工場で働く4人パートタイマーの主婦達は正に社会のOUTの中に生きその領域からの脱出を夢見て日々果てしない絶望の中で必死に生きている。とくに主人公の雅子にとっては平凡な主婦から脱出しようと藻搔き必死に生きようとする意志の強さそして雅子を襲い人生を棒に振る佐竹との対峙は似た者同士のOUTローである。雅子の生きる意志の力頭良さをOUTからの脱出を目指す生きる力を本書から読む子事ができた
桐野夏生著「OUT 上」、 深夜ある弁当制作工場で働く主婦のパート従業員、ある日その内の一人の従業員が夫の首をバンドで締め上げて殺害した、相談を受けたのはベテランの雅子という従業員だった、彼女は自ら進んで指揮を執り自分のカローラの後ろに死体を積み込み翌日自宅のふろ場でバラバラに死体をバラシて同僚二人にゴミ袋に詰めた死体の処分を命令した。しかし捨てた支配の一部が公園のゴミ箱から発見され警察が捜査を開始した。
そもそものお竜の成り立ちについての巻であり「仕立屋お竜」初刊であった。地獄への案内人チームの面々の登場である、まずはチームの頭は五代紀伊国屋文左衛門であり、文左衛門と懇意にしている鶴屋孫兵衛そしてその店の用心棒である勝之助そして結婚した夫林助に弄ばれおしんという名から竜となった仕立屋お竜である。岡本さとる著「仕立屋お竜」、
岡本さとる著「悲愁の花 仕立屋お竜」、3人でタッグを組み世の中の悪人を死へと屠るのは5代目紀伊国屋文左衛門と剣術使いの井出勝之助そして仕立屋お竜の3人である。悪人に対して許せぬ思いで江戸の町の浄化を企む3人の心の底の親切心が今日も蠢く。
佐野広実著「わたしが消える」、江戸川乱歩賞受賞作品であると、警察官を退職したのちにあるマンションの管理人として20年近く経った今,娘の祐実の研修先の門の前に車椅子に乗った老人が捨て置かれた。娘の依頼で調査に乗り出したが容易に人物の特定が出来ず右往左往する毎日だった、だが手繰り寄せたのは老人が元埼玉県警の警察官で当時頻発していた学生運動に潜入し公安からの指令で爆発物を捜査し負傷させた経緯を見つけ出した、最後は警察内部の隠ぺいそして出世を企む署員との闇を突き止めた真実に辿り着いた。

木曜日, 5月 30, 2024

岡本さとる著「名残の袖 仕立屋お竜」、普段はつましい仕立屋として働くお竜であるが、裏の顔は悪を容赦しない殺人者にかわる、つまり痛快時代劇で全編にお竜の優しさと魅力が溢れていて充分楽しめる時代物である。金持ちの文左衛門を筆頭に剣術使いの勝之進そして一膳飯屋の御老体とチームお竜の快進撃が止まらない。
高田郁著「幾世の鈴」、あきない世傳金と銀の特別編というところだろうか。五十鈴屋江戸本店並びに大阪天満、高島店の近況を伝える内容とともに係わる人間の現状と幸と賢輔が願う今後五十鈴屋の100年を思う気持ちが強くでていた。中でも幸の妹結の現状は中々大変な状況で50歳になりながらも過去に拘り一向に安寧を見せてない生活は苦しい。
笹沢佐保著「海賊船幽霊丸」、 徳川家光の時代に瀬戸内を仕切っていた来島海賊の物語である、頭を務めるのは新九郎と新八郎の兄弟でありこの二人は双子であった。小島の洞穴にあった和船に乗りまさに出航しようとしていた船の名前は幽霊丸といい大海原に漕ぎ出し南方を目指して出航した。途中現在のフィリピンにあたるミンダナオ島あるいはツソン島を見てそこで捉えられている日本人を救出する作戦であるその後補給をするためダバオに立ち寄る予定だったが、思わず鉢合わせたのはイスパニアの軍艦だった、新八郎の号令下二隻の軍艦と補給艦を奪取した。この物語は著者の晩年の作で最終章を盟友の森誠一氏が輔弼したそうである、笹沢氏の著作は380作にも及ぶ膨大な物である。
今西マサテル著「名探偵のままでいて」、六章からなる連作短編集である、教師を務める楓と碑文谷に一人で住む祖父との掛け合いそして楓の同僚二人が絡み事件解決えと導く、ちょっとしたミステリーだ。しかし読後感じるのはやさしいという言葉が浮かび何故か自然と心が温かくなるそんな感じがする物語でした。
まさきとしか著「あなたが殺したのは誰」、小樽に近い小さな島鐘尻島での過去の話として描き、現在進行する捜査なんら脈絡も無く物語は進んで行く、バブルが弾けた後の島内は様々な人が悩みそして次々と起こる殺人事件、その過去が現状に見事に繋がり収束して行く。プロットは練りに練ったという印象で伏線もまた読者を唸らせる設定だ。刑事三ツ矢と田所との造形も興味深くシリーズとしては三作目に当たるようだ。
笹沢佐保著「空白の起点」、著者の空想的トリックと用意周到な伏線に只只管感激するしかない、大手保険会社の調査員である新田が調査にあたったのは戦後の時代で600マンという保険金を契約していた契約者小梶が自殺した、この件を調査した新田の前に次々とと疑問が浮かんでくるのであった。読者の予測できない最後のどんでん返しが待っていた。私としては真夜中の詩人が著者の中でベストだと思う。
笹沢佐保著「真夜中の詩人」、今回のミステリーは誘拐物だ、しかしそのプロットは秀逸で予測できない面白さを存分に味あえるまさに傑作長編ミステリーである。ひねりに捻りを加えたプロットは絶品で楽しめる、昭和の時代の誘拐事件は記憶の中に存在し今回の物語にしても状況設定としては違和感は無い。作者は人間のゴウという物と人生の悲哀そして女性の我が子に対する愛と強さを感じさせてくれる。
笹沢佐保著「突然の明日」、小山田家は平和な家庭を営んでいたある日の夕食時長男の勝手知ったる久米桧佐絵を銀座四丁目の交差点で見かけ声を掛け追いつこうとしたが突然消えたという話をした、ここから事件が始まる。長男晴光がアパートの屋上から転落死した、料理屋を経営する男もまた殺害された、警察は事故としてかたずけたが、小山田義久を父に持つ涼子つまり父娘は疑念を持ち独自に調査を始めた、著者らしいプロットと伏線の素晴らしさは相変わらずである。
柚木裕子著「暴虎の牙 下」、様々な犯罪に手を染め20年という刑期を終えて出所した沖は再び呉虎会のメンバーを集め賭場を襲い現金を巻き上げさらにシャブの隠し場所を抑えて搔っ攫うという暴挙を達成した、しかし彼沖は収監された刑務所のなかでチクった元を赦すことはできなかった幼馴染の元を殺害した、さらに三島も殺害し広島を乗っ取る計画に向かい突進する。暴力に洗脳される沖の人生のなかで幼い時の貧乏と親父の無謀なふるまいの下で暮らした影響が如実に成人した沖の意識を変えた、非常に面白く読んだ。
柚木裕子著「暴虎の牙 上」、広島北署捜査二課刑事つまり暴力団対策課の大上はベテランであり独自に行動をする座にいる、署内の暴力団の趨勢はおろか愚連隊や暴走族にも情報を得て動き回る、敏腕刑事だ。数年前に妻子を交通事故で無くし今は独身だ。そんな彼が目に付けたのは暴力団の組ではなく呉原から広島に来た沖虎彦を中心にした呉虎会という準暴力団組織だ。大型の薬物取引に絡む窃盗及び障害事件が起きており大上は呉虎会が絡んでいると診て情報収集に当たっている。