月曜日, 3月 27, 2023

東野圭吾著「希望の糸」、著者はまずどんな著作でも読ませてくれる。今回の物語は、産科系病院で発生した受精卵の取り違えから端を発し取り違え妊娠して女児を出産した側と、ずーと解らず告白された本来の親である側とそれぞれ事情は違うがそれぞれに複雑な事情があって物語が進展して行く。松宮という刑事の過去をも絡ませ周到な伏線を張って展開を複雑かつ読者の期待を掻き立てる著者の表現力も素晴らしい。
中村文則著「掏摸」、スリ師の話である。僕主人公は掏摸をして生活している、掏摸の仲間やたまたま出会った母子との因縁そして遂にヤクザの大ボスに認められ強盗に加担する。それからの運命は完全にボスである木崎という男に握られてしまい、さらに厳しい掏摸を3件実行するように命じられ苦労して約束を果たしたが木崎によって刺されてしまう。一人の人間としての生きざまを掏摸を続ける男の運命に重ねた傑作だ。
ミッチェル・スミス著「ストーン・シティ 下」、チャールズ・バウマンは捜査を開始にあたり州刑では、抜群な美男子と称されるカズンズを協力相手に進んだが杳として犯人の特定には至らなかった。しかし二人は金の巡りに視点を憑け賭博に注目した、つぎつぎと浮かび上がる不審者に一人一人アタックして解明を急いだ。ついにその全貌が解明されたときバウマンは目を抉られていた。刑務所の過酷な状況を生きる人間の根源的生の何かを激しく問おうとした作品だと思う。
ミッチェル・スミス著「ストーン・シティ 上」、 ある事故つまり吉見運転でもないが、突然自転車で飛び出してきた👧少女を轢き殺して仕舞い州刑務所に収監されたチャールズが塀の中で体験する模様は刑務所独特な縄張り争い幾つもの団体など筆舌に尽くし難い過酷な状況を乗り越えなくてはならない。ある日チャールズは個別隔離房に入れられそこをぎゅじっているナッシュの指令で隔離房を出た後先日発生した殺人事件の捜査をするように命じられる。
パトリック・デウィット著「シスターズ・ブラザーズ」、 1850年代のアメリカはカルフォルニアを舞台に現地で知名度のある殺し屋兄妹、兄のチャーリーと弟のイーラー性格は全く違う兄弟だ、兄は冷血漢で殺し屋家業にピッタリ、弟は優しい性格ではあるがカチンと頭にくると手に負えないという性格だった。二人は町の大ボスの命令で殺しを否応なしに請負旅を続け、そこで出会う人間達のあからさまな生き様を体験し自分の生きる道を探し始める。ミステリーとはちょっと違う雰囲気だが面白く読破できた。
ジョエル・ディケール著「ハリー・クバート事件 下」、白骨死体で発見されたノラの生前の様子を探るべくあらゆる方法で持って臨むが杳として掴めない。オーロラの町の住民との接触、そして警察官とも友達になり徐々にではあるが謎が解けて来た。それは驚愕すべき事実だった、本書の卓越したプロットそして幾つもの複雑で面白い伏線これでもかというどんでん返し的結末は読者を圧倒する。
ジョエル・ディケール著「ハリー・クバート事件 上」、 ニューヨークから来た作家ハリーは、海沿いの田舎町ニューハンプシャー州オーロラの邸宅を借りて住んでいた、勿論作家として作品を書くためだ、そして15歳の少女ノラと海岸で出会い恋に落ちた。少女は15歳でハリーは当時34歳だった、歳の離れた二人にとってハリー後ろめたさを感じ苦悩の末ノラと別れると決心する。そしてノラが殺害された。33年後邸宅の庭から白骨死体が掘り出され当時の少女ノラと判明しハリーが警察の手に拘束された。同じくニューヨークで作家として成功したマーカスは恩師の困難を知り海辺の田舎町へ来てハリーの無罪を信じ開放すべく調査に乗り出した。ノラに纏わる意外な事実が次々と判明する。
東野圭吾著「パラレルワールド・ラブストーリー」、米国が本社のIT企業バイテック社その会社で働く敦賀崇史と親友の智彦は同じ会社の同僚である友野麻由子に好意を抱きお互いにパラレルに悩み続けどちらともいえない状況に陥っていた。会社でもの仕事はVR的で人間の脳にパルスをインプットして記憶を改編するといった最先端の研究テーマであった、そして遂に彼女を失ったと自覚した智彦がとった行動は記憶改変を自ら実験台に付き記憶をリセットするというものだった、しかし事態は最悪のものになり、智彦は意識のない眠りについた。著者のプロットは意外性を孕み伏線はミステリーよりホラーに近い少し冗長性は否めないが全般的には面白かった。
フレッド・カサック著「殺人交差点」、 法学部の学生がある夫人ルユールの家に集まり恋愛ごっこに浸り次々と相手を変えて楽しんでいた。そんな折、一人の学生ボブに恋した夫人は彼が夫人以外の女性に恋をしたことを知るとボブと一緒でいた彼女とも二人を拳銃で殺害してしまう。それから十年が経過し今や時効が成立するか同課の瀬戸際、そして突然犯行を記録した8ミリフィルムが発見される。 「連鎖反応」 観光協会に勤務する平社員のジルベールは、婚約者がいるにも係わらず愛人を解体させた、薄給の彼がとった行動が奇抜で面白い。それは協会の社長を何とかして消すつまり殺害することだった。協会の規約により直下の者が昇進するといる規律によりジルベールは管理職の階段を昇って行ったそして結末は意外な展開をみせた。2編の中編を纏めた本書はフランスミステリー傑作としての地位を確立したと。
坂口安吾著「不連続殺人事件」、昭和24年当時の探偵作家クラブ賞を獲得した戦前の作品であり、当時探偵小説は忌み嫌わあれて低俗小説を標榜する分野であった。その後クイーンやくクリスティーの翻訳物が流布され漸く日本のミステリーも黎明期が訪れ以後著名な作家が輩出され、その一人が著者であった。本書は日本の古典的名著である。しかし読み出してすぐに登場人物の多さに度肝を抜かれた人も多いのではないかと、プロットは綿密に練られかつ伏線が多岐に渡り読者を翻弄すること間違い無い。

日曜日, 2月 26, 2023

東野圭吾著「悪意」、著名な売れっ子作家が殺害された、その犯人を見破ったのは加賀恭一郎刑事だった、彼は数年前まで犯人と同じ中学校で教鞭をとっていた。犯人が既に分かっていてその動機を探すというのが本書の主眼である。話は中学校時代まで遡り犯人の行動性格情動まで明らかにしようとする加賀の捜査は人間の持っている何でもな悪意の正体を見つけ出す為だった。癌に犯され長くない人生を前に犯人野々口がとった行動は過去の柵を断ち切り嫉妬に狂いその全てを被害者一人に向ける直向きな殺意だった。
アーナルデュル・インドリダソン著「緑衣の女」、アイスランドはレイキャビク近郊で発生した土中に埋もれた白骨死体2体を巡り捜査が開始された。白骨死体は60から70年前のものと判明した、物語はその時代のある家族を描いていく。夫婦2人と3人の子供の家族の悲惨な、極貧でしかも夫はdvつまりドメスティックバイオレンスという最悪の家族の歴史を詳細に描写する、そんな家庭環境の中で育つ子供達の行先は?悲惨な家族から起こる殺人事件、殺人の背景を丁寧に描写していく。
デニス・ルヘイン著「夜に生きる 下」、遂にジョーはフロリダのタンパ地区を牛耳るギャングのボスとなった。ラム酒密造は莫大な利益を齎しグラシエラとの生活も順風満帆に過ぎていた。刑務所で知り合ったジョーのボスであるマソと遂に一戦を交えることになりマソとその仲間を死の闇へと葬った。ジョーと妻グラシエラはその後キューバ片田舎に住居を持ち地元民とともに煙草を栽培し地域に貢献して生活していて、トマスジョーの幼い息子も元気にしていた、そんな折に妻グラシエラに賞が貰えるということで家族三人でタンパに向かったが途中で妻グラシエラ銃弾を浴びて絶命した。破天荒な主人公のジョー・コグリンの生き様を通して人生の意味御探るミステリーだった。
デニス・ルヘイン著「夜に生きる 上」、米国はボストンのギャングの部下のジョーはボスの愛人エマに魅了され深い中になったが、銀行強盗に及んで捕縛されたが父が軽視正であることから5年の刑期でシャバに出てこられた。刑務所で服役中知り合ったマソという老人はやはり闇のボスだった、服役したジョーをマソは命令を与えられ禁酒法時代にラムを醸造し販路を広げ地域の頂点を目指すべく地元のギャングと手を組み、アメリカ海軍の船から爆薬を掠め取る作戦を実行しようとした。
高田郁著「あきない世傳 金と銀 十三」、江戸は田原町三丁目にある五十鈴屋江戸本店の店主幸は屋敷売り專門の新店を出すべく菊英と一緒に場所探しをしていた、そんな折り知り合いの菊次郎から朗報が漏らされ間口十間と広いが菊英と店を半分づつ分けることにして売買を成立させた。しかし新店舗を開店してから二ヶ月後その家屋敷は二重売買だと判明しまたもや幸の前に苦難が発生した。さらにその後近隣に火災があり浅草太物仲間の店や寄合所が焼けるなど甚大な被害を被り店が並ぶ界隈は暗く客もなく息詰まって何から手をつけたら良いのか途方に暮れる毎日だった。幸は店の蓄え百両を寄合所再建に為に差し出し再建を果たし知恵を出し会話を活気ある通りにすべく幕や昇りさらに店の配置図を一目で確認できる双六として客に提供して喜ばれた。時を同じく音羽屋が大番屋に引きたてられ闕所となり幸の妹、結とともに江戸を去った。著者の考えだす様々な事件、その渦中でも決して自分を見失わず凛とした体で皆に接するその姿こそ人間として生きかたを教えてくれる。
ロジャー・ホッブス著「時限紙幣」、ラスベガスで麻薬常習者の母から世に出た子供は里親に引き取られその後銀行強盗を繰り返す犯罪者となった。名前も明かさず犯罪後は一人静かにギリシャの古典の翻訳に時間を費やす孤独な犯罪者で世間ではゴーストとして犯罪者仲間に知られるようになった。過去と現在を描写して銀行強盗の手口から成就するまでの詳細な描写はまさに度肝を抜く、一人称つまりゴーストによって語れる本書は犯罪小説の原点だ。
ダニエル・フリードマン著「もう年はとれない」、米国はメンフィスでも数十年も前に引退した矍鑠とした元刑事バック・シャツに絡む殺人事件の物語である。第二次世界大戦の折りユダヤ人であるバック・シャツが強制収容所で虐待を受けた、その名はハインリヒ・ジーグラーが生存していて米国にいるという情報を得た彼はナチの金塊を奪って去ったその人だった。孫のビリー通商テキーラはITの知識があり老人とのコンビは最強だ。漸くジーグラーの老人ホームを見つけまんまと金塊を奪ったが、そこにジェニングズ刑事の犯罪計画の二人は餌食となった。そして最終的に怪我をしたバックが療養している病院で殺害されそうになったバックが最後の抵抗はマグナム357でジェニングズを殺害するというオチで愛でたくおわりとなった。
ケイト・モートン著「秘密 下」、ローレルは大学で研究を続けているジェリー末弟と連絡を取り、二人で共同で真相を突き止める決心をした。様々な人間模様を独自の視点で深く掘り下げるその眼には圧倒される。また戦時下のロンドン、郊外の牧歌的情景と眼に見えるような描写に慨嘆する。そしてローレルが母の死後認識した事実それは母ドロシーは実はヴィヴィアンだったという衝撃的事実だった。どんでん返しも見事に決まり結末を見た。プロットといい伏線はたまた描写力そして人間に対する深い意洞察まさにミステリーの基本だ。
ケイト・モートン著「秘密 上」、1940,1960そして2011年の現在を交互に描写していく語り手法で展開してゆく物語はミステリアスであり、興味はに憑かれてページを繰る手がとまらない。母と父そして4人の兄弟姉妹の長女ローレンスは今では女優となり2011年現在老齢な母を病院に見舞いに来ていた、そしてローレンスが胸のうちにある疑問と秘密それは16歳だった頃見た母が訪ねてきた男性をナイフで刺して死亡させたことだった。そして年を重ねても当時の情景が浮かびローレンスはその理由と原因を突き止める決断をしたと同時に母の結婚前の情報も取得すべく決意を新たにするのだった。
竹吉優輔著「襲名犯」、漸く安堵を取り戻した市民が第二のブージャムに遭遇、警察署律子、図書館の兄を殺害された仁そして二人の幼馴染霜野三人は第二の犯人について検討調査する。図書館を取り巻く環境やら警察やらと冗長性は否めないが最後のどんでん返し的結末は見事なまでに収斂し結末を見た。本作品は江戸川乱歩賞受賞作品である、改めて乱歩賞受賞作品は楽しめると思う。栄馬市で発生した連続殺傷事件、首謀者をブージャムと呼ばれ恐怖とともに恐れられた。そして無事犯人が逮捕され死刑台の露となって消えた。