松本清張著「火の器 下」、イランへの旅は通子にとって研究をさらに推し進め、帰国後の「史脈」という雑誌への投稿にも反映された。石造遺跡就中酒船石については飛鳥時代に既にイラン人が渡来していて酒船石の穿たれた穴は薬を作成する際の壺を現しているという見解を挙げた。ここに至る詳細な論考は作者の力量を凄さを感じさせる。在野の歴史雑誌の通子の論考は予想どおり無視され、四国の私立女子大学への赴任という思わぬ結果を齎した。公費を使いながら私的流用は元より陰湿ないじめという大学内の腐敗した状況は憂える。一方知り合った海津信六を回るミステリー彼の自殺という思わぬ結果を齎した。
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