火曜日, 7月 30, 2024

ジョセフ・ノックス著「堕落刑事」、イギリスマンチェスター市警の刑事エイダン・ウェイツに与えられた任務はマンチェスターを牛耳る闇の組織フランチャイズに潜入することだった、ボスであるゼイン・カーヴァーに接近し情報を警察上部に提供する役割だ。ドラッグの世界を牛耳るカーヴァーは国会議員とも繋がりしかも警察組織にも知り合いを作り闇を跋扈しれいた、そんな中議員の娘ロシターが殺害されエイダンに嫌疑がかかり四苦八苦する。どこまでも信念を貫き通すエイダン・ウェイツ刑事闇に葬られた数々の死体その原因を自らの手で追い詰める真っ当な刑事である。
桐野夏生著「夜また夜の深い夜」、主人公マイコと七海という女性同士の文通が主体となって物語は進んで行くマイコの極貧の状態からナポリの貧民街から家出してマンガカフェに潜り込んで人生の展望が開けたような強烈なインパクトを彼女に与えた。そのごアナとエリスと知り合い盗みlを繰り返しながら地下の洞窟で暮らすハメに。プロットは全く予想できない結論に行きつくそしてマイコの生き方を提示するどんなに極貧の状態での中でも精神的には清貧で希望を持ち友達との友情を育むその生き方にその強さに感動する。著者の作品は翻弄されて、最後まで展開が読めない面白さがある。
アンソニー・ホロヴィッツ著「殺しのライン」、著者である「わたし」とロンドン警視庁の元刑事で現在は警視庁の諮問探偵でいるダニエル・ホーソーンとのコンビの作品である。出版されてないが宣伝の為、戦時中ナチスの要塞の島オルダニー島の文芸フェスにわたしとホーソーンは行くことになった。その島を牛耳る富豪メジュラー夫妻が殺害される当初捜査線上に浮上したアボットは自殺を遂げ線上から外されホーソーンの巧みな頭脳により新たな犯人が浮上する冗長性が否めない作品でさいごのどんでん返しがあるわけでもない。

金曜日, 6月 28, 2024

桐野夏生著「ダーク 下」、災厄の降りかかるミロの身に次々と困難が待っている愛する徐「ソ」が銃撃を受け下半身不随になり車椅子での生活になってからも一心に愛するミロは一筋の光だ。ダーク暗闇に暗躍するヤクザな男鄭「てい」新宿二丁目のおかま友部そして盲目の大柄な女久恵獄中でひっそりと自死した愛した成瀬そして父村野善三とこれでもか?と人物配置をしてダークの世界を作りミロの周辺を固める著者の主眼はどこにあるのか。
桐野夏生著「ダーク 上」、ある女性の彼氏が獄中自殺したこの女性村野ミロは探偵業やめ、義父を殺害に向かう、ミロを取り巻く様々な人間老ヤクザやホモそして盲目の女と複雑な人間関係を展開して物語はあらぬ方向に何が主題かわからぬまま読み進む不思議な世界だ。
ジョセフ・ノックス著「スリーブウオーカー」、 イギリスはマンチェスター市警の巡査部長エイダン・ウェイツを主人公とした警察小説で十二年前の事件を再捜査して犯人を追い込むという全体的プロットですが、内容は警察内部の暗部との戦いまた事件に関する人間とエイダンの対峙コンビに組まされたナオミ・ブラック巡査lとのやり取りさらにエイダンの過去の内容とノワールと呼称される混沌とした世界に翻弄されるエイダン・ウェイツまさにドン・ウィンズローに似たドラッグと拳銃と暴力の闇の世界を描いた警察小説である
桐野夏生著「柔らかな頬 下」、とうとう内海とカスミは、有香を探す旅に出たしかし依然として有香は見つからず、そしてとうとう高校卒業後に失踪した実家のある場所に戻って来ていた母親は執拗にも生きていて飲み屋を営み且つ結婚していたその飲み屋の二階でとうとう内海は息を引き取った。我が子を失った女の苦悩する姿を執拗に描く著者人生の希望という幻を掴もうと必死に生きていこうとする女、そしてガンに侵され死んでいく元刑事の最後と冗長は否めないが面白く読んだ。
桐野夏生著「柔らかな頬 上」、北海道の片田舎から東京へ家出して来たカスミは製版工場でアルバイトをしながらデザインやら会社の経理を学びじゃがて社長である道弘と結婚し女の子二人を儲け世間一般でいう平凡な暮らしを続けていた。石山という男は会社に仕事を持ち込んで来てくれる得意先だった、その石山とカスミは愛し合うようになった、不倫だった。石山の強い勧めで北海道支笏湖畔の別荘に二家族で夏に出掛けた、そしてカスミの長女有香が失踪して行方がわからなくなり必死でカスミは探したが、行方は用として不明で早4年を迎えカスミの家庭も石山の家庭も崩壊したが、毎年8月11に娘が失踪した日には北海等にやって来ていたカスミは元刑事の内海と知り合い一緒に娘を探すことになった、内海は胃がんを患い余命いくバクという元刑事だった。
井上真偽著「探偵が早すぎる 下」、一華の父上の四十九日がやって来た、様々な身内が来場し様々な手段で一華を殺害せんとする、そのいずれの手段も千曲川光探偵が未然に防ぎ一華の身を守る。滔々最後のホテルでの会食になったが、そこでも熾烈な方法で一華の殺害に挑む身内そして滔々全ての難局を乗り越え橋田とともに帰宅する。発想プロットともに抜けた感じのミステリーだ。
井上真偽著「探偵が早すぎる 上」、五兆円遺産相続するという一華まだ高校生である、彼女を回り様々な人間が遺産目当てに蠢く使用人の橋田は遂に知り合いの探偵千曲川光に依頼し一華の身を守ることを決断する
桐野夏生著「OUT 下」、夜間弁工場で働く4人パートタイマーの主婦達は正に社会のOUTの中に生きその領域からの脱出を夢見て日々果てしない絶望の中で必死に生きている。とくに主人公の雅子にとっては平凡な主婦から脱出しようと藻搔き必死に生きようとする意志の強さそして雅子を襲い人生を棒に振る佐竹との対峙は似た者同士のOUTローである。雅子の生きる意志の力頭良さをOUTからの脱出を目指す生きる力を本書から読む子事ができた
桐野夏生著「OUT 上」、 深夜ある弁当制作工場で働く主婦のパート従業員、ある日その内の一人の従業員が夫の首をバンドで締め上げて殺害した、相談を受けたのはベテランの雅子という従業員だった、彼女は自ら進んで指揮を執り自分のカローラの後ろに死体を積み込み翌日自宅のふろ場でバラバラに死体をバラシて同僚二人にゴミ袋に詰めた死体の処分を命令した。しかし捨てた支配の一部が公園のゴミ箱から発見され警察が捜査を開始した。
そもそものお竜の成り立ちについての巻であり「仕立屋お竜」初刊であった。地獄への案内人チームの面々の登場である、まずはチームの頭は五代紀伊国屋文左衛門であり、文左衛門と懇意にしている鶴屋孫兵衛そしてその店の用心棒である勝之助そして結婚した夫林助に弄ばれおしんという名から竜となった仕立屋お竜である。岡本さとる著「仕立屋お竜」、
岡本さとる著「悲愁の花 仕立屋お竜」、3人でタッグを組み世の中の悪人を死へと屠るのは5代目紀伊国屋文左衛門と剣術使いの井出勝之助そして仕立屋お竜の3人である。悪人に対して許せぬ思いで江戸の町の浄化を企む3人の心の底の親切心が今日も蠢く。
佐野広実著「わたしが消える」、江戸川乱歩賞受賞作品であると、警察官を退職したのちにあるマンションの管理人として20年近く経った今,娘の祐実の研修先の門の前に車椅子に乗った老人が捨て置かれた。娘の依頼で調査に乗り出したが容易に人物の特定が出来ず右往左往する毎日だった、だが手繰り寄せたのは老人が元埼玉県警の警察官で当時頻発していた学生運動に潜入し公安からの指令で爆発物を捜査し負傷させた経緯を見つけ出した、最後は警察内部の隠ぺいそして出世を企む署員との闇を突き止めた真実に辿り着いた。

木曜日, 5月 30, 2024

岡本さとる著「名残の袖 仕立屋お竜」、普段はつましい仕立屋として働くお竜であるが、裏の顔は悪を容赦しない殺人者にかわる、つまり痛快時代劇で全編にお竜の優しさと魅力が溢れていて充分楽しめる時代物である。金持ちの文左衛門を筆頭に剣術使いの勝之進そして一膳飯屋の御老体とチームお竜の快進撃が止まらない。
高田郁著「幾世の鈴」、あきない世傳金と銀の特別編というところだろうか。五十鈴屋江戸本店並びに大阪天満、高島店の近況を伝える内容とともに係わる人間の現状と幸と賢輔が願う今後五十鈴屋の100年を思う気持ちが強くでていた。中でも幸の妹結の現状は中々大変な状況で50歳になりながらも過去に拘り一向に安寧を見せてない生活は苦しい。
笹沢佐保著「海賊船幽霊丸」、 徳川家光の時代に瀬戸内を仕切っていた来島海賊の物語である、頭を務めるのは新九郎と新八郎の兄弟でありこの二人は双子であった。小島の洞穴にあった和船に乗りまさに出航しようとしていた船の名前は幽霊丸といい大海原に漕ぎ出し南方を目指して出航した。途中現在のフィリピンにあたるミンダナオ島あるいはツソン島を見てそこで捉えられている日本人を救出する作戦であるその後補給をするためダバオに立ち寄る予定だったが、思わず鉢合わせたのはイスパニアの軍艦だった、新八郎の号令下二隻の軍艦と補給艦を奪取した。この物語は著者の晩年の作で最終章を盟友の森誠一氏が輔弼したそうである、笹沢氏の著作は380作にも及ぶ膨大な物である。
今西マサテル著「名探偵のままでいて」、六章からなる連作短編集である、教師を務める楓と碑文谷に一人で住む祖父との掛け合いそして楓の同僚二人が絡み事件解決えと導く、ちょっとしたミステリーだ。しかし読後感じるのはやさしいという言葉が浮かび何故か自然と心が温かくなるそんな感じがする物語でした。
まさきとしか著「あなたが殺したのは誰」、小樽に近い小さな島鐘尻島での過去の話として描き、現在進行する捜査なんら脈絡も無く物語は進んで行く、バブルが弾けた後の島内は様々な人が悩みそして次々と起こる殺人事件、その過去が現状に見事に繋がり収束して行く。プロットは練りに練ったという印象で伏線もまた読者を唸らせる設定だ。刑事三ツ矢と田所との造形も興味深くシリーズとしては三作目に当たるようだ。
笹沢佐保著「空白の起点」、著者の空想的トリックと用意周到な伏線に只只管感激するしかない、大手保険会社の調査員である新田が調査にあたったのは戦後の時代で600マンという保険金を契約していた契約者小梶が自殺した、この件を調査した新田の前に次々とと疑問が浮かんでくるのであった。読者の予測できない最後のどんでん返しが待っていた。私としては真夜中の詩人が著者の中でベストだと思う。
笹沢佐保著「真夜中の詩人」、今回のミステリーは誘拐物だ、しかしそのプロットは秀逸で予測できない面白さを存分に味あえるまさに傑作長編ミステリーである。ひねりに捻りを加えたプロットは絶品で楽しめる、昭和の時代の誘拐事件は記憶の中に存在し今回の物語にしても状況設定としては違和感は無い。作者は人間のゴウという物と人生の悲哀そして女性の我が子に対する愛と強さを感じさせてくれる。
笹沢佐保著「突然の明日」、小山田家は平和な家庭を営んでいたある日の夕食時長男の勝手知ったる久米桧佐絵を銀座四丁目の交差点で見かけ声を掛け追いつこうとしたが突然消えたという話をした、ここから事件が始まる。長男晴光がアパートの屋上から転落死した、料理屋を経営する男もまた殺害された、警察は事故としてかたずけたが、小山田義久を父に持つ涼子つまり父娘は疑念を持ち独自に調査を始めた、著者らしいプロットと伏線の素晴らしさは相変わらずである。
柚木裕子著「暴虎の牙 下」、様々な犯罪に手を染め20年という刑期を終えて出所した沖は再び呉虎会のメンバーを集め賭場を襲い現金を巻き上げさらにシャブの隠し場所を抑えて搔っ攫うという暴挙を達成した、しかし彼沖は収監された刑務所のなかでチクった元を赦すことはできなかった幼馴染の元を殺害した、さらに三島も殺害し広島を乗っ取る計画に向かい突進する。暴力に洗脳される沖の人生のなかで幼い時の貧乏と親父の無謀なふるまいの下で暮らした影響が如実に成人した沖の意識を変えた、非常に面白く読んだ。
柚木裕子著「暴虎の牙 上」、広島北署捜査二課刑事つまり暴力団対策課の大上はベテランであり独自に行動をする座にいる、署内の暴力団の趨勢はおろか愚連隊や暴走族にも情報を得て動き回る、敏腕刑事だ。数年前に妻子を交通事故で無くし今は独身だ。そんな彼が目に付けたのは暴力団の組ではなく呉原から広島に来た沖虎彦を中心にした呉虎会という準暴力団組織だ。大型の薬物取引に絡む窃盗及び障害事件が起きており大上は呉虎会が絡んでいると診て情報収集に当たっている。

月曜日, 4月 29, 2024

夢枕獏著「陰陽師」、 平安時代に十四以下で仕えていた陰陽師こと安倍晴明と源の博雅との掛け合いによる魔物妖物を退治する痛快な物語である。様々な状況設定が中々楽しい場面を描いてくれ鬼が出たり牛車が出て消え後に女人が現れ最後には青炎を吐き出しながら消えて行くといった幻想的な描写が楽しい。
辻村深月著「傲慢と善良」、 東京育ちの西村架(かける)は父親の死亡に伴い小さなビール輸入販売の会社の社長に収まっていた、30代後半になってようやく結婚を意識して婚活する中で知り合った坂庭真実(まみ)と付き合いながらも架は当面結婚はと先延ばしにしていた、真実は群馬県庁で臨時職員としてl働いていた30代の後半の女性で両親からも結婚について日頃からうるさく言われ両親の意見に従い結婚相談所で婚活をしてきた自分で決められない性格の女性だった。その彼女が東京に出て架と知り合い結婚に動き出していながら、ストーカ被害を理由に蒸発してしまう。彼女を追う彼の心理を深く捉えまた真実の心理そして内省を冗長ながら見事に描いた大恋愛小説である
道尾秀介著「鏡の花」、人はそぞれを生き悩みそして与えられた運命や宿命に沿って生き死んで行くそんな人生の機微と情感感じさせてくれる本書の物語である連結短編の構成で別々の様相を呈しているが繋がっている不思議な構成は正に道尾ワールドなのか。それぞれの章で人が死ぬ、事故あるいは病に斃れて取り巻く家族人間の悲しみと何故か背景に自然曼殊沙華や森そして蝶や昆虫を配し効果を生んでいる。
笹沢佐保著「求婚の密室」、トリックと言いプロットといい完璧である。伏線も考え抜かれた密室トリックに繋がり読者を翻弄すること間違いないまでに完璧な密室ミステリーだ。夏の軽井沢で開かれたパーティーある大学教授の引退あるいは誕生会を兼ねたパーティーに招待された13人の客それぞれが過去を持つ身の人々であった、あくる朝パーティーの主催者である教授夫妻が古い倉庫で死体となって発見される。招待客のひとりジャーナリストの天知昌二朗の命推理によって見事解決されるが、読み処満載のミステリーで完璧だ。
中山七里著「ラスプーチンの庭」、犬養隼人及び高千穂明日香刑事シリーズで今回はカリスマを擁するる偽医療団体に絡む物語である。大手の著名な大学附属病院で絶望的な病気で入院している患者が退院し民間の医療団体に転院するという話から事態は暗転していく。患者二名が死亡しさらに高額な医療人も献金ともつかない金を毟り取られ闇に葬られた。この医療団体を主宰する織田豊水という導師を抱えている、そしてある日導師織田が撲殺され犬養刑事の捜査が開始され最終的には大学病院で身内を殺害されたとして積年の恨みを持つ看護師兄弟が浮上する。
笹沢佐保著「招かれざる客」、 初期の作品だと言うが著者の特徴を遺憾なく発揮した作品である。細川マミ子は長崎の片田舎で極貧な生活からはいずり出て来て同郷の鶴飼を頼りに上京してきた、そんな彼女と鶴飼は衝突して彼を殊更に憎むようになり遂に鶴飼を殺害そして事実を隠すために次々と犯罪に手を染め深みに嵌っていくその心理をうまく描写する筆力を著者は持っている
町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」、都会で一人暮らしの若き女性に降りかかる様々な苦難と絶望、出自は妾の子だという貴瑚の絶望感は際限なく己を痛めつけられ死おも希望する状態であった。ふと決断したのはかって祖母が住んでいた大分県の海辺の小さな町へ移住した、そこで言葉を出せない愛(いとし)という13歳の少年と出会う。52ヘルツのクジラとは声を発するが周波数が52ヘルツで他のクジラへ信号が送れない孤独なクジラを意味する、それは少年であり且つまた主人公の態様だった。そんな二人に連帯感が生まれ生への希望が芽生えるといった物語である。
マイクル・コナリー著「素晴らしき世界 下」、 ロス市警を抜けフェルナンデス市警の予備警察官そしてロス市警の夜勤勤務の女性警察犬バラードとのタッグは9年前の街娼クレイトン少女の拉致殺害の事件について執拗な捜査を続け、遂に犯人にたどり着いた。犯人は清掃業者で拉致後に漂白剤に付け焼却炉に放り込むといった惨忍な手口で彼女を殺害していた。
マイクル・コナリー著「素晴らしき世界 上」、ロス市警を引退し現在フェルナンデス市警の臨時雇刑事として働いているハリー・ボッシュはロス市警時代に起きた未解決事件について一人単独で捜査すべく当時9年前の聞き取り調査カードを捲る作業に没頭していた、その様子を見たレネイ・バラードロス市警の夜勤勤務の女性警官はボッシュと知り合い一緒に捜査するこちに同意し二人で分担しカード情報を調べ始めた。
中山七里著「切り裂きジャックの告白」、私の中で社会派ミステリーとしての著者は確実に評価を上げてきている。そして今回は移植手術つまり臓器移植という難題に対して正面から挑戦し生と死つまりドナーとレシピエント提供する側と受ける側双方の苦悩を描き出してこれを殺人事件に絡ませ病床で臓器提供を待つ自身の娘をもつ警視庁刑事部捜査一課刑事犬養隼人が解決するというプロットが物語に奥行きを与え最後のどんでん返しに繋がる設定だ読み応えのある内容になっている。
中山七里著「カインの傲慢」、日本社会での永遠の課題、今回は臓器移植をテーマに貧困という要素も加え生と死という主題に犬養隼人刑事と明日香助手を交え犯人を追走する物語はプロットといい伏線も鮮やかに嵌りこんでの傑作だ。貧困家庭での臓器売買は売るものは自分の体しかないという状況での結果に読者を釘ずけにする。現代社会での格差にも言及し一段と社会性を帯びた描写は清張なみに素晴らしい。
中山七里著「ハーメルンの誘拐魔」、警視庁の刑事犬養隼人彼がこの誘拐事件の捜査の中心となり犯人を追う、子宮頸がんワクチンの副反応に悩む家族を主題に産婦人科協会および製薬会社そして厚労省が絡む利害と癒着が副反応が確認しているにも関わらずワクチン接種の義務化を推奨するとう状況でハーメルンの笛吹という犯人が次々と誘拐をする。ストリー自体は面白いが、どんでん返しは想像上で判断できるレベルでイマイチではないだろうか。
細谷正充編「江戸の漫遊力」、時代物股旅物で著名な9名の作家の短編を収録した短編集である。テーマは江戸時代の旅である、お伊勢参りあり富士講ありと多彩である、人々は気楽に或いは決死の形相でというように旅人は様々であり、それは人の人生に通ずるのである。
松嶋智左著「出署拒否」、 警務課教養係の巡査部長である野路が任されたのは、成績優秀で警察官になって二年の友枝が出署を拒否しているという彼を見舞い説得工作だ。そんな折に事件が起きる一人暮らしの老女が土鍋で頭を殴られ死亡した、彼女の息子も階段から落ち頭を石にぶっつけて死んだ。野路と友枝は相談して警察署に知れず捜査を開始した。プロットにも新鮮味はなく平凡な伏線と相俟って興味を失わせてしまうようだ。
ジェレミー・ドロンフィールド著「飛蝗の農場」、 サイコロジカルスリラーと呼称される分野に当てはまるそうである、まず関連の無い描写が次々と展開され読者を翻弄する。プロットはどうなっているかと疑問のまま読み進めて行くと展開が収束して一つの筋に向かって突き進むそこにはおどろおどろしい内容になって最後に向かう。元刑事と双子の兄弟の確執に収束してゆく。

金曜日, 3月 29, 2024

杉井光著「世界でいちばん透きとおった物語」、著名なミステリー作家が死んで、彼の遺稿があると言うので藤崎燈真かれは作家と自分の母親との不倫で生まれた息子だったそして実の息子と二人で遺稿捜しを始めることになった。生前付き合いのあった人たちへ会いに生き様々な意見を聞いたが遺稿の原稿は無く遂に突き止めた時には作家の元妻によって償却されてしまっていた。遺稿捜しに協力してくれた女性編集担当の霧子さんから自分の秘密を知ることになる。プロットこそ単純だが最後の衝撃的どんでん返しに魅了された。
阿津川辰海著「蒼海館の殺人」、600ページを超える大作であり、冗長性は否めないできだ。山中のY村の葛木家の法事に立ち寄った二人の高校生、そして大雨が台風となり曲川が氾濫寸前となり地区住民とも協力して葛木家を守り避難していた、そんな中で殺人事件が発生し葛木家の面々は疑心暗鬼となり互いを疑うという事態に。彼ら高校生の友人であり頭の回転も早く推理に長けた葛木輝義が事件を解決へと導く。プロットと殺人トリックは平凡でワクワク感がない。
沢村浩輔著「夜の床屋」、 読む前に目次を確認すると5作の短編集であると思ったが、読了してみて正に不思議な感覚に衒われて思わず物語自体を再考するようになる。平凡な短編だと思いながら行き着く所は正にファンタジーの世界であった。唖然とすると同時に、作者の発想の斬新さを称賛することになる。
笹沢佐保著「異常者」、都内を中心にして連続暴漢魔殺人事件が発生、弁護士の波多野は自分の妹が暴漢魔に襲われ死亡した、幼馴染の山城警部補と連携して犯人を追跡することに、そして遂に被害者の共通点を見出し逮捕になった。しかし以前の7人の被害者の共通点は見いだせなかった、ふと接点がひょんなことから旅行者を通じてギリシャ旅行で同じホテルヒルトンに宿泊した仲間であることが判明とこの小説のプロットは良く考えられていてさすがだと思うと同時に面白く読ませていただいた。
松岡圭祐著「瑕疵借り 奇妙な戸建て」、瑕疵借りを生業にしている賃借人藤崎は依頼により千葉県は八街市郊外の戸建てに向かう、その家主は依然知り合った松崎だった。奇妙にも松崎つまり所有者と一緒に住むことになる。築35年になる戸建ては郊外の分譲住宅地にあり住人は全て高齢者であり戸建てに住もうとする藤崎や松崎の言動にいちいち批判の声を上げる、なかでも交通事故で死亡した元妻とその娘の死を超え高に叫び二人を震撼とさせる。そして元調査会社での勤務経験がある藤崎は遂に犯人を特定した。
笹沢佐保著「軍師 竹中半兵衛」、 戦国時代に合って織田信長配下の秀吉の軍師として生きた竹中半兵衛の生涯を描いた作品である。著者の小説に見る絶妙な展開が素晴らしい。生涯裏方に徹し欲を持ち出さず軍師として生きた半兵衛こそ男道つまり武士道を全うした稀有な人物であり、そこに一凛の花として信長の妹お市とのプラトニックラブを絡ませ色を添える展開に小説に厚みを加え一層面白くさせている。
笹沢佐保著「死人狩り」、伊豆下田から沼図へ向かう定期運航の海南交通のバス、乗務員含め27人乗りのバスが猟銃で射撃され崖下へ転落し全員の命を奪った、浦上と伊集院の両刑事は捜査を担当し死んだ遺族の下を訪れ聞き込み調査を行ったが、果たして成果も無く暗中模索となり捜査は暗礁に乗り上げた。伊集院刑事がある日何者かに襲撃され鈍器で頭を殴られ昏倒したそして刑事の背中に置いて行かれた靴ベラ、その靴ベラを端緒に遂に犯人に行きついた。
笹沢佐保著「死にたがる女」、5編の短編集である、いずれも珠玉な作品でテーマは勿論人間の生であり生きることの不思議というか意味を問う作品である。著者の卓抜な視点が随所に鏤められ読者を楽しませてくれる、何時読んでも面白い。
笹沢佐保著「白い悲鳴」、4編を含む短編集である。いずれも短編としてはミステリー感タップリと楽しませてくれる設定で著者の女性の心理描写といい官能表現といい見事でそれでいて人生を考えさせてくれる、本物のミステリー短編集だとおもいました。
笹沢佐保著「天鬼秘剣」、若狭湾の近くの山に住んでいた青年は近くの村では鬼と呼ばれていた図体はでかく顔は赤黒くまるで確かに見た目まさしく鬼のような相貌であった、青年は伊藤一刀斎という剣の達人と一緒に住み日々剣の研鑽に精進していた。青年は17歳の時に日本海の砂浜で一刀斎に拾われ育てられたという過去を知っていたがその出自は自分では一切記憶が無かった。29歳になり鬼は一刀斎に海渡天鬼と命名され一人武者修行に出かけ各地で事件に向き合う、そして熊本に渡った時に遂に自分の出自が判明する、彼は日本海の荒波台風の時沈没したイスパニア船に乗船していたイスパニア人の青年だっという落ちである。