日曜日, 7月 30, 2023

誉田哲也著「ノーマンズランド」、例によって姫川玲子シリーズである、今回殺人事件が錯綜する中で、なんと拉致被害者まで出てくる始末である冒頭の高校生男女の交際から始まりその女子高校生がある日北朝鮮工作員に拉致され船上から身投げし自殺するといったエピソードまで盛り沢山の企画だ。著者の才能は留まることを知らず読者を実に魅了してくれる。
中山七里著「作家刑事毒島」、シチュエーションを変えた5編の短編集である、登場人物は同じで出版界また新人作家を夢見る志望者を元刑事で現在も指導員なる地位にいて、ミステリー作家毒島真理彼の殺人事件を解決する能力たるやまさに名探偵だ。業界の裏に潜む暗い部分を余すと来なく暴露し作家志望者をぼろ糞に言いながら彼毒島の心優しいさうした者達への激励もこめた作品だ。
誉田哲也著「インデックス」、8編を含む短編集で、数々の事件と向き合ってきた姫川玲子のその後の様な回想を交えた事件が完結に綴られ誉田ファンとしては息抜きに丁度良いという感想だ。各々の短編でも姫川玲子の人間を描き切っているところが、何より素晴らしいと思う。簡潔な文体はここでも圧倒的に気持ち良い。
誉田哲也著「ブルーマーダー」、暴力団組長が殺害された事に端を発した今回の物語は、警察組織を揺るがす大事件に発展していった。池袋署に勤務する姫川玲子管内で発生した殺人事件を担当することになった。ヤクザの組織内の攻防、警察組織内の攻防と配される役者は少ないが著者の巧みなテクニックで生き生きとした物語に仕上がっている。正義感の強い玲子の回りの警察官との友情、かって恋した警察官いずれも簡潔な文体とも相まって息を突かせず最終章へと導かれる気持ちよさ最高です。
柴田祐紀著「60%」、中国は福建省のマヒアと日本で蔓延るヤクザ組織の首領と警察組織との攻防をリアルに描き出す著者の力量に唖然とするしかない。ヤクザが経営する会社名それが60%だ、中国との麻薬取引により莫大な資金を基にその資金を洗浄うつまりマネーロンダリングするそして投資をするという会社だ。無機質な抗争ではなく悪まで人間と人間の抗争をこれでもかというほど描いてゆく。
中町信著「暗闇の殺意」、 短編集である、七編の短編勿論全てがミステリーである。トリッキーなプロットもあるが、ほとんどが平凡なトリックで文章にも迫力が欠け読んでいくペースが中々速まらない。密室を取り扱った作品もトリックは平凡で何ら新鮮味のない内容だった。
誉田哲也著「インジブルレイン」、今回も警視庁捜査一課の姫川玲子シリーズの一冊である、暴力団絡みの時間が発生しその後の展開に独断で捜査を進める玲子の感が当たり意外な展開へと進んでいく。9年前に姉を殺され現在下級の組に所属する犯人に強い恨みを持つ青年の殺害に対する強い意志、そして最後に付き合った女性のお腹に自分の子供を宿し一人孤独に自殺する男の人生、玲子もヤクザに好意を持つという意外な一面を見せる今回の物語はプロット伏線といい完璧だ。
誉田哲也著「シンメトリー」、短編集で収録されている7編のそれぞれの物語は著者独特の語り口はダイナミックで読者を引きつける魅力がある。初めての短編に接したが、警察ミステリーとしての魅力を十分に発揮していると思う。
誉田哲也著「ストロベリーナイト」、強烈な出だしから始まる今回の姫川玲子シリーズの第一弾だと。今回も二人の被害者が確認され玲子は捜査に忙殺されっぱなしだ、そして荒川河川沿いの漕艇場で青いビニールシートに包まれた遺体が少なくとも9体発見され 捜査は暗中模索の状況になった。文体が簡潔で状況を適切に表現しプロットと言い、伏線も強烈だ。警察ミステリー小説の至高を貫いている。
誉田哲也著「ソウルケイジ」、川河川敷の バンの中から切断された手首が発見された。D N A鑑定やら指紋やらと捜査一課各班がそれぞれ役割を与えられ一斉に捜査に乗り出した、勿論姫川玲子も同様だ。捜査は遅々として進まず、被害者と思われる周辺人物から情報を得て深掘りに向かう。人物描写は丁寧に描き、また文章は簡潔にして迫力があり冗長性は否めないものの最後までページをくらせる力がある。プロットは少々無理もあるが全般的にはミステリー警察ミステリーとして上手く纏まっている。

火曜日, 6月 27, 2023

誉田哲也著「ルージュ」、今回も姫川玲子シリーズだ。まず祖師谷残虐事件一家3人を殺害し和室に死体を引き摺り3列に並べ衣服をはぎ取り拳銃で肛門から銃を発射して内臓から頭蓋まで破壊するといった猟奇事件が発生した。当然捜査本部が置かれ玲子たちは加わり捜査に従事することになった。そしてその事件について取材していたフリーライターが殺害された。玲子は仲間たちと必死になって捜査していく過程で28年前に起きた昭島市一家殺害事件と共通するものを感じ出向いて捜査資料を読んで、同一犯だと思わせる記述があった。犯人は外国人と特定され当時日米地位協定の壁で時効になった事件だった。プロットといい伏線の上手さに感銘する出来だ。
誉田哲也著「感染遊戯」、短編集かと思ったら最後で一つの長編として繋がる物語だった。姫川玲子シリーズなので彼女が主人公と思いきや、警視庁殺人課の倉田警部補は長男が交際相手を刺殺して殺害やむなく警官を辞めて警備員として働く傍ら犯罪者を殺害す津と言った鬱屈した人生を送っている。何よりも社会的課題、つまり各省庁のトップエリートの国民の税金をばら撒き使い自ら保身そして幾つもの天下りこれを周到に破滅させるための秘策を企んだ辻内、社会正義としてエリートを殺害する若者と主題は複数ありプロットは良く考えられており面白い。
畠山健二著「おけら長屋 二十」、とうとう二十巻目の完結編だという。初刊から読み進めてここまでの二十巻は笑いと胸に迫る人情を回りおけら長屋の住人の連帯感を面白く可笑しく読めた。著者の発想に完敗だ。こんごまたこんな物語を書いて欲しいと思います。お疲れさまでした。
R・D・ウィングフィールド著「冬のフロスト 下」、殺人事件が重複しにっちもさっちもどうにもならない状況をフロスト警部並びにデントン警察署の人間だれもが認識できるほどだった。そして伝家の宝刀のフロスト警部の頭から浮かんだのは囮作戦だ、女性警官および警部代行の刑事らを娼婦に返送させ車で連れ去られその先を特定するという手筈だったが、情勢警部代行がよもやという連れ去られてしまい。フロスト警部らは仰天同地で何はさておき警部代行の捜査に没頭した。そして見つけた。名探偵のようでもなく秀でた警部でもないフロスト警部というキャラには親近感と思いやりと優しさを感じる、著者の力量が感じられる物語であった。
R・D・ウィングフィールド著「冬のフロスト 上」、ズボラだが人情に厚く部下の面倒見のいいデントン署のフロスト警部は多発する事件の渦中にあった。娼婦の連続殺人事件、小児の誘拐殺害事件とりわけ少女殺人事件の容疑者として勾留したウィーバーなる人物が勾留中に自殺した。そしていもう一人の少女の遺体が発見された。下巻へ
太田忠司著「遺品博物館」、遺品博物館の学芸員と名のる吉田・T・吉夫は、生前書かれた遺言書に従い死者の物語性のある一品を選定し遺品博物館に収蔵するという世にも稀な職業なのである。それぞれ状況の違う家庭を生前遺言者との話合いを基に死後収蔵する一品を決定する。この本の核心は奇異な職業を想像しそこに死者に纏わる家庭及び関係する人間模様を描き様々な様態を作り出す想像力に完敗だ。
今邑彩著「そして誰もいなくなる」、勿論アガサ・クリスティーの著作を念頭に置いてのミステリーだとは誰しも思い浮かぶ、絶海の孤島でインディアン人形が一体づつ消えて行くクリスティの原作どおりではなく、場所は天川学園という高校生の演劇に絡んだ殺人事件つまり連続殺人事件によって女子校生が次々殺害されてゆくといった物語です。しかも殺害方法がなんとクリスティの作と似ているという。そして著者はその連続殺人事件では終わらずどんでん返し的結末を用意していた。なんか無理があるとは思うが中々結末で好感が持てる。
ヘニング・マンケル著「北京から来た男 下」、ビルギッタ・ロスリンは友人と中国へ行くことになりそこでホンクイという女性中国人と知り合い友人として親交を温めた。その後物語は昔の中国の歴史虐げられ無惨な死を迎え歴史に刻まれていくそんな時代背景の中でサンという男性の悲惨な生涯に焦点をを当てその子孫を持つヤ・ルーという中国の若き実業家に焦点をあてる、かれはホンクイの弟だった。中国の現状を憂え、アフリカはモザンビークに進出して大量の中国人を迎え新しい歴史を作るというプロジェクトに乗り出す。しかし姉ホンクイとは意見が合わず、彼女を殺害する。一方ビルギッタ・ロスリンはやはり大量虐殺人の犯人は中国人だと考えは変わらなかった。スウェーデンは元よりアメリカ、中国、アフリカ、ロンドンと世界規模で描かれたミステリーそしてそこで書かれた人種差別、経済格差世界を見据えた優れたミステリーの傑作だと思う。
ヘニング・マンケル著「北京から来た男 上」、スエーデンの片田舎で19人が殺害されるという前代未聞の大量虐殺事件が発生、地元警察はてんやわんやの騒動の中、犯人を特定は要として不明だった。ビルギッタ・ロスリンは女性裁判官彼女の親戚も殺害された事を知り現地を訪れ警察署に出向き情報を収集しようとした。殺害された田舎の住民は全て親戚関係にあった。そして警察は犯人を特定した。下巻に続く。
テリー・ヘイズ著「ピルグリム 3」、遂にピルグリムである私は、女刑事ジュマリを 詰まりバイオテロのサラセンの息子を監禁してサラセンと出逢った。サラセンは屈強な仲間を二人連れピルグリムと対峙、壮絶な格闘の末ようやく傷を追いながらも勝利しサラセンから小瓶に小分けした一万のインフルエンザの瓶の行方を大統領に報告した。この物語は数十カ国に跨る壮大なスケールと正義を貫き勝利するまで自分の意志を完徹する人間の生き方をメインにプロットを組立てた正にこれぞミステリーの真髄だ。
テリー・ヘイズ著「ピルグリム 2」、バイオテロを計画し天然痘に様々な物質を加え大痘瘡を作成したサラセンは山奥で三人を実験台にして成功を確かめた、その後小瓶に液を入れ、もはやばら撒く日を選定し臨戦態勢を確保しつつあった。一方命令を受けトルコに飛んだわたしピルグリムは、そこでサラセンと電話で応答した容疑者をジュマリ女刑事だとする確証を得て彼女の部屋に忍び込んだ。
テリー・ヘイズ著「ピルグリム 1」、米国のあらゆる諜報機関の調査員を監視する組織に属し世界を股にかけ活動していた私は退職を決意し過去の全ての自分の情報を消去したいと方々手を尽くした。一方アフガンでのテロ首謀者サラセンは医療の知識を生かしある施設から天然痘の菌を盗み出し、さらに他の物質を加え新たな菌を生み出し米国に敵対すべく準備を整え中だ。世界を駆け抜ける物語だけに著者の見識の深かさと小気味よい展開には圧倒される。
ヘレン・マクロイ著「逃げる幻」、休暇でスコットランドにやって来たピーター・ダンパーは偶然乗り合わせた機内でネス卿と知り合いしかも彼の領地内に滞在することになっていた。機内でも話が出たが、ジョニー少年のたびたびの家出について意見を求められる、ダンパー精神科医でる。周到に用意された伏線と見事なプロットが光を与え最後までページを繰らせる力がある。第二次大戦直後の複雑な世の中ナチスで訓練された少年の行動が全てを決定する物語だ。
ミネット・ウォルターズ著「養鶏場の殺人/火口箱」、「養鶏場の殺人」 エルシー26歳でやかましく職場の皆に嫌われていた我が強く人の意見を受け入れない頑なな性格をしていたが、そんな彼女が見つけたのはノーマンという二十歳の男性だった。婚期を過ぎていると家庭でも言われているエルシーにとって最大の幸運に歓喜しノーマンの姿を追い、結婚を迫った。ノーマンは田舎に養鶏場を建てそこで業務を開始したが思ったほど売り上げも無く苦心していた、そんな彼の窮地を知っても彼女は相も変わらずノーマンに結婚迫り続けるのだった。そしてある日エルシーが蒸発した、遺体に一部が養鶏場から発見されノーマンは逮捕された、ノーマンは無罪を主張したが認められず断頭台の露と消えた。かれは遺書の中でも無実を書き残した、これをどう捉えるべきか? 「火口箱」 英国の片田舎で二人の殺害事件が起き、同じ村に住む青年が逮捕された。青年の逮捕を廻って様々な意見がでて村は混乱の坩堝になった。シボーンは自分で捜査し警察にも連絡し真相を述べるが事実は意外なところにあった。偏見と因習が取り巻く小さな村での生活を生き生きと描写している。
ジョーダン・ハーパー著「拳銃使いの娘」、刑務所帰りのネイトが目にしたのは妻の死体だった、娘のポリーと共に刑務所内で暗躍するがギャング組織から逃亡する道を選択する。ギャング一味の追尾にも何とか耐え、さらに悪徳保安官の手からも辛うじてネイトは片目を失うほどの怪我を経て生き延びた、ポリー機転を利かせネイトを助けた。プロットは府口説ではないが逃亡中の様々な場面が生き生きと描かれ好感がもてた。

月曜日, 5月 29, 2023

今野敏著「任侠シネマ」、任侠シリーズは2作目で、前回読んだのは銭湯再建で今回は何とヤクザと関連ある映画館の再興だ。例によって親分を中心に代貸の日村を取り巻くのは健一、稔、テツらのメンバーで今や昔の面影もなく至って真面目だ。ある切っ掛けで映画館の再興の話が出て、親分は例のお節介な気分が本気にさせ再興に真面目に取り組む様子だ。映画館の入る社屋の売却に画策する不動産屋、族議員との繋がるコンサルそれらを相手にしても一向に怯まない親分、そして千住シネマは再興の手掛かりを掴んだ。この任侠ミステリーシリーズの面白さは格別である。
東野圭吾著「クスノキの番人」、表題が面白そうなので本屋で買い求めた。予想通りクスノキ一本でこんなにも素晴らしい物語を発想し書ける著者はやはり天才だ。母を亡くし父親も不明な玲斗はひょんなことから留置場に入れられ途方に暮れていたが、弁護士が訪ねて来て条件付きで叔母の元へと引き取られた、そこは神社でその草深い中にクスノキの大樹が聳えていた、玲斗はそのクスノキの番人として柳沢千舟老婦の下で生活することになった。ようやく番人として色々と経験を積み千舟の過去も知るようになり親しくなった。千舟は自分の後継者として玲斗を指名してきた。この物語の意外性はミステリー通じ人間愛を描きそのシンプルなプロットにも感動だ。
千野隆司著「鉞ばばあと孫娘貸金始末」、貸金業を営むお絹、そこには両親を亡くし頼る相手のないお鈴を引き取り家事やら借金取の仕事を手伝い元気に暮らしている、お絹の弟の倉蔵は居酒屋を営みながら十手を預かる身だ。そんな三人が次々と厄介ごとに巻き込まれるがお鈴の利発さとお絹の鉞を常に肌身離さず持ち歩く鉞ばばあと呼ばれているが実は根は世間の常を心得優しさを持っている、姉を助ける倉蔵も協力して事にあたる江戸人情物語だ。これはひょっとしてシリーズ化されるかもという予感がある。
法月綸太郎著「ノックス・マシン」、中短編4編を含む短編集である。何にも予備知識もなく手に取って読み始めてみてSF的物語にビックリした、宇宙論やら素粒子論やらをタイムトラベルとの関連やら著者の造詣の深さに感服させられる。4編がどれも奇抜でユーモアと自虐的面白さとでも表現しようがない面白さを体現させてくれる絶品だ。
ラーラ・プレスコット著「あの本は読まれているのか」、主に1950年代のアメリカのCIA中央情報局とソ連のスターリンの死前後の時代背景となっている、史実とフィクションが織り交ぜて物語は語られてゆく。CIAは文学がソ連共産主義体制崩壊させると信じて、作戦を実行し成功を納める、CIAのタイピストの中でスパイとしての素養のあるとされたイリーナを抜擢しブリュッセルで行われる万国博覧会に侵入させロシア人にソ連の反体制作家パステルナークの執筆し紆余曲折を経て出版されアメリカでロシア語版として出版した「ドクトル・ジバゴ」を手渡した。ソ連の当時の強制収容所の中での過酷な労働と辛酸を嘗め尽くす悲惨な体験そしてパステルナークとその愛人オルガとの感動的な愛による大作だ。
スティーヴン・キング著「11/22/63 下」、遂にダラスで目的の倉庫そしてリー・オズワルドの行動を把握して恋人セイディーと共に倉庫に辿り着き、オズワルドが居ると思われる6階めざして痛い脚を引き摺りながら登っていく、段ボールに囲まれた隅に暗殺を実行しようとするオズワルドが居たジョージは38口径の拳銃を手にオズワルド狙い銃弾を発射したが、それたそして体が傾き床に倒れたとその時は以後に居たセイディにオズワルドが放った銃弾が命中、セイディは還らぬ人となった。兎の穴から過去の世界へタイムトラベルして50年前の世界へ跳躍するジョージそしてアルが懇願したJFKの暗殺阻止という命題に真っ向から挑んだジョージ、SF的ミステリー恋愛を絡ませつまり読ませる文庫本にして1500頁に及ぶ大作を読了した。
スティーヴン・キング著「11/22/63 中」、ついにオズワルドを捉えた、ダラス郊外にアルのノートにあったように引っ越してくるリー・オズワルドの真向かいにジョージも引っ越し向かいの家に盗聴器を取り付け動向を隈なくチェックした。その後リーはダラスにまたしてもアルのノートにある通り引っ越してきた、ジョージはリーが引っ越してくる前に1階に居を構えリーを待っていた。中編は全編にわたり親しくなった図書館司書セイディーとの恋愛の浮き沈みに費やされ、リーの暗殺計画と同時進行しながらの展開となった。
スティーヴン・キング著「11/22/63 上」、 2011年から1958年へのタイムスリップ、そしてケネディ暗殺を阻止するといった極めてSF的発想のミステリー小説だ。高校教師のジェイクがアルという人物と出会いその彼は肺がんの為余命幾許もない身をジェイクに託し秘密の過去に遡る階段を支持しケネディ暗殺の犯人オズワルドの殺人を阻止してくれという頼みにジェイクは共感して過去の世界へと旅立つ、様々な状況を経験しつつオズワルドへと近づく、何よりも本書のプロットはそもそも伏線が素晴らしい。
アラン・グレン著「鷲たちの盟約 下」、ついにロング大統領とドイツ帝国のヒトラーがポーツマスで会談をする当日、サムの兄トニーはサム自らの手によって襲撃地点を発見されFBIによって射殺された。さらに大統領暗殺に動いたサムの家の間借り人の友人を阻止して大統領暗殺から救い出した人として尊敬され家族救出に成功したが妻のサラはサムの前から去っていった。殺人事件はどんでん返し的に解決を見た。本書は無謀とも言える歴史を作り上げその中で右往左往する国民の飢餓と悲哀、こんなプロットをどしたら考ええられるのか?不思議だ。
アラン・グレン著「鷲たちの盟約 上」、1940年代のアメリカはポーツマス未だに暗黒から抜け出せないでいる世界、そんな街でポーツマス市警の警部補サム・ミラーがある日通報により現場に行ってみると一人の男の死体があった、身元を記すものは何もなく捜査闇の中を進んでいくかの用だった。第二次世界大戦さ中のアメリカもまた惨状に見舞われFBIやゲシュタポや革命を目指す様々な分子が暗躍する世界はまたポーツマスの現状だった。

土曜日, 4月 29, 2023

マーク・グリーニー著「暗殺者の反撃 下」、苦難の連続を絶えぬき自分に向けらた殺意の原因を突き止めるべき凡ゆる情報と関わる人間との接触を果たし最後にカーマイケルの居場所を特定した。要塞に潜んでいるカーマイケルの下に忍び込んだジェントリーは、カーマイケルとサウジの工作員のカザスを捉えた、雪崩れ込んでくるFBIとの銃撃戦を潜り抜け脱出に成功した。本書はスパイ活劇よろしくプロットは素晴らしく脇を固める伏線も全く完璧だ。
マーク・グリーニー著「暗殺者の反撃 上」、ワシントンDCに帰ってきた暗殺者ジェントリーはCIAに追われ静かに葬れとの司令の下にシューターを派遣してジェントリーの同棲を隈なくチェックしていた。しかし幾つか殺人事件がありジェントリー絡んでいるのでは?と憶測が流れたが、要として彼の居場所をCIA秘密本部本部長のカーマイケル掴みきれなかった。
ニューヨーク在住の売れない作家、ハリー・ブロックの元に死刑囚として刑務所に収監されているダリアン・クレイから連絡つまり手紙を受け取った。自身を小説にして上梓してもらいたいと。既に4人の女性をバラバラにして殺害した凶悪犯、興味を持ったハリーは面会に行き事情を聴取して本を書こうとする。と同時に殺害、連続札事件の真相を探るべく調査を開始する。そしてまたしても連続殺人事件、事件の真相に漸く達したハリー最後にはダリアンの処刑を見守ることになった。長編でありプロットは見事でオマケにどんでん返し的結末も用意されている。デイヴィッド・ゴードン著「二流小説家」、
ジャック・カーリー著「髑髏の檻」、モビール市警殺人課刑事、カーソン・ライダーは休暇取得のためケンタッキー州の山間のキャビンに宿泊し愛犬との散歩やロッククライミングや川での釣りを楽しんでいた。女性の声で電話があり殺人事件発生を知らされ地元警察へ向かう。次々と殺人が発生され惨殺したいが発見された、FBIが乗り込み地元警察は援護に回る事態となった、チェリー女性刑事とカーソンは協力関係を築き捜査を展開するが中々核心を掴めないでいた。そして被害者の過去を探っているうちに浮かんできたネグレクト、児童虐待が浮かび上がり犯人がわかった。カーソンの物語はPSITシリーズとして第7段だという。
ビル・ビバリー著「東の果て、夜へ」、叔父の命令でLAから2000km離れた地へ、一人の男を殺害しに四人で出かけることになった。仲間のうちの最年長の男とは、途中で喧嘩別れして3人で行動を共にすることになった。そして漸く目的地に着きイーストの弟タイが判事を銃殺した。目的を遂げ帰宅途中様々な事が重なり結局弟タイとも別れイーストは一人旅を続けることになった。ミステリーとはちょっと違う感じで少年が世の中に羽ばたく成長物語でもあり、また旅を続けなくてはならない少年の未来を憂う気持ちにさせてくれる。
湊かなえ著「落日」、日の入りそんな落日を見通せる場所が、幼い頃住んでいた山の中腹、鉄塔の下そこが真尋の思い出の出発点だ。脚本家助手の真尋が書こうとする脚本の現場は笹塚町での一家殺害事件だ。そして真尋の姉千穂と絡んだ一家殺害事件そして書く上での調査をしてゆく内に絡んでいた事実が見えてくる。それは悲しい出来事絡まり合う人間の切なさを見事にプロットとして確立し伏線にも描写の巧妙さを感じる作品だ。
ダニエル・フリードマン著「もう過去はいらない」、勝手メンフィスの殺人課の刑事バック・シャツは、引退して今や87歳という老いぼれ爺となっていた、そしてある日旧来の大泥棒であるイライジャが彼の前に姿を現し助けを求めて来た。高齢ながら日々満足していないバックは引き受けた。そしてイライジャの依頼の捜査に個人として乗り出した。90歳に手が届く爺の生き様、生きる意欲を失わず前へ進む勇気に感激だ。
チャイナ・ミエヴィル著「都市と都市」、SFの正に異世界での殺人事件、対立する二つの都市それはヴェジェルとウル・コーマという交流が無いわけでは無い。カナダからの留学生女子学生が殺害されヴェジェルの犯罪捜査課警部補ポルルが担当刑事として捜査に乗り出し、ウル・コーマに協力を求めヴェジェルからウル・コーマに向かい民警の刑事ダットの協力を仰ぐことになった。このSFファンタジー的な都市と都市の世界が読者としてどうしても違和感があり馴染めない。ファンタジーとミステリーの融合が互いに中途半端な設定に思えページを繰る手が止まってしまう。
逢坂剛著「裏切りの日日」、 警視庁公安一課係長である桂田渉警部補と浅見刑事とのコンビで事件にあたっていた。右翼のフィクサーと知られる東山に告げられたのは脅迫状が舞い込んだという知らせで明らかに左翼からの物だった。桂田の過去は女房に浮気され離婚した悲しい過去そして一人娘をこよなく愛するそんな一面のする男で浅見には尊敬心も芽生えていた。そして事件が発生暴漢がビルを占拠して、かつバルコニーに出た東山がライフルで射撃を受け死亡するといった事件が重なり警視庁の監察官が動いた。桂田は大物政治家の意向及び密命を受けたスパイとして東山に接近して殺害されるというオチだ。ミステリーとしてはプロット伏線といい良く練られた展開に なっている。
胡桃沢耕史著「翔んでる警視正」、警視庁殺人課を統括する警視正こと岩崎が遭遇する様々な事件に部下と共に機敏に対応して解決してゆく内容だが、その内容がまた吉に富み面白いそして文書の歯切れが良く軽快だ。著者の知識の豊富さとプロットに感心する。
ボストン・テラン著「その犬の歩むところ」、 小さなモーテルを経営するアンナのもとにギブは生まれた。ところがミュージシャンのひとりにギブは誘拐盗まれた。そこから犬ギブの果てしない旅がはじまる。そして最後に遭遇したのは元イラク派兵海軍三等軍曹のディーン・ヒコックだ、彼ら二人の旅の目的はギブを飼い主に返すことだった。何度も傷つきながら静観するギブの逞しさ、そして彼ディーンとの愛情を交えた交友には仄かな涙せさそうミステリーとはちょっと違った感動がある傑作だ。
鴨崎暖炉著「密室黄金時代の殺人」、 山の中のホテルに監禁された面々が遭遇したのはまさに密室殺人事件だった。主に葛白を通して物語が語られ探偵役の美少女蜜村が密室のトリックを解く役だ。様々な密室トリックはそんな突飛なものではなく、かなり想像できるトリックだ。純粋にミステリーとして楽しめる以外に無い。
横山秀夫著「ノースライト」、 建築士の青瀬は岡嶋建築設計事務所に勤めていた、ある依頼主から長野県の信濃追分に青瀬さんが住みたい家を建てて下さいと言われY邸という家を設計し建てた。そしてその家主は引っ越しもせずに突然行方を青瀬の下から消した。不審に思った青瀬は調査を開始、だが行方は杳として知れずにいた。その頃パリに在住し800点もの絵画を収蔵する美術館を建てるコンペが開始され、所長の岡島は粉骨砕身コンペの参加の為に賄賂もどき手管で見事勝ち得たが新聞記者の記事により糾弾され体調を崩して入院した。岡嶋の意を継ぎ摂家事務所を継続しなおかつコンペで勝つことを目途に事務所の皆で努力して何とか仕上げた。そして行方不明の家主からの連絡で全てを理解した、よく練られたプロットと伏線はミステリーとして傑作だ。
ミネット・ウォルターズ著「遮断地区」、ヴァシンデール地区と呼称される地区は労働者階級で低所得者が居住する地区だ。そこに小児性愛者と呼ばれる一家が越してきた、これを排斥しようとデモを計画したが、事態は飛んでもない状態に暴徒化し収拾がつかなくなった、火炎瓶が投げ込まれ少年が全身に火が取りつき焼死した。様々な人間達が蠢く様は地獄を思わせた、それと少女の失踪事件も絡み複雑な様相を呈し混乱を極める。著者がこの混乱の中で真っ当な思考と生きる力を見せる人物を描いたのには感動した。
阿津川辰海著「紅蓮館の殺人」、館・紅蓮館に住む大人気作家財田雄山、高校生の二人、葛城と田所彼葛城は高校生ながら名探偵と呼ばれる存在だった。彼ら二人は合宿と称して二人山に登りそこで草原の山火事に出会い逃れて紅蓮館に辿り着いたそこには雄山はじめ息子と称する二人そして他に3人いた。彼らの中で遂に殺人事件が起きた雄山の娘つばさが動力で動作する吊り天井で圧死させられ殺害された。この事件を巡り葛城を始め事件捜査が開始され館にいる人間達の過去が葛城よって次々に暴かれてゆく、ここでの描写は尚早であり脈絡なく一人歩きしているようだ。全般的にプロットは平凡であり伏線は突然といった形で取り留めない描写でさらに冗長性は否めない。