竹本健治著「涙香迷宮」、黒岩涙香を主題に殺人ミステリーを組み立てるという作者の奇抜な発想には驚きのほかない。そもそも黒岩涙香なる作家は日本のミステリー作家の草分け的存在ということくらいしか覚えていない。しかしこの著者による涙香の多彩ぶりは脅威ですらある。こんなミステリーを書く著者に乾杯だ。
金曜日, 8月 04, 2017
日曜日, 7月 02, 2017
木曜日, 6月 01, 2017
火曜日, 5月 02, 2017
トレビニアン著「夢果つる街」, カナダはモントリオールのダウンタウンで起きる殺人事件、所轄の警部補クロード・ラポワントはこの街区を何よりも愛している刑事だ。他民族国家の中でも東地区は様々な移民と言語が入り交じっている。強盗、強姦、買収、売春、麻薬、恐喝といった様々な犯罪が日常茶飯事だ。ある日三人の男性が殺害された。事件を追うラポワント警部補は必死になって犯人を追うが杳として犯人の軌跡が掴めない。様々な聞き込み調査の中で、語学学校との関連が浮上する。そこの女性経営者は警部補がかって知ったる売春婦の娘であった。事件は意外な展開へと発展してゆくが、冗長とも言える描写だが適度に期待を持たせてくれる作品だ。
日曜日, 4月 02, 2017
雫井脩介著「火の粉」梶間家の周囲そして家族それぞれの人間の心理描写の上手さを実感する小説である。裁判長として勤務していた家長勲が退職し高台に5LDKの家を購入し家族6人で暮らすようになった。勲の祖母の介護は妻尋江が面倒みている。その大変さと祖母の娘満喜子との確執、さらに司法浪人としての雪江の夫俊郎と家族構成もバラエティに富んでいる。そこに隣人として武内なる勲が裁判で判決を下した男が移り住んでくる。ここから梶間家に次々と異変が起こる。絆で結ばれた家族も一度事件が持ち上がると簡単に崩壊していく危うさを感じさせる。ミステリー小説としてのプロットはやや平坦ではあるが、関係する人間の心理描写という意味で圧巻であり。別な意味での恐怖を感じさせる好著である。
水曜日, 3月 01, 2017
ディーン・R・クーンツ著「殺人プログラミング」アメリカの田舎人口400人たらずの小さな町、そこは製材業が主な産業で湖を利用しながら木材を加工している「ブラック・リバー」と呼ばれている。オグデンと名乗る研究者が、閾下知覚研究をほぼ完成させた。彼は人間の精神をコントロールする閾下知覚を利用する方法を発見し実施試験地としてブラックリバーを選択した。傭兵による水源地の湖に薬剤を散布し住民をコントロールするべくレイプや強奪、殺害を繰り返した。しかしその閾下プログラムが何故か効果のない4人が存在した。それが主人公ポールであり雑貨屋を営むサムであった。オグデンに殺害され恐怖の中完全と悪に立ち向かうミステリー小説だ。
ローレンス・サンダーズ著「無垢の殺人」離婚してニューヨークのホテル保安課に勤務するアラサーのゾーイ・コウラー、彼女は恐ろしく地味で勤務態度は真面目だ。彼女は激しい生理痛と奇病に苛まれ、生理の周期に合わせるかのように通り魔殺人を次々と犯してゆく。ホテルのカクテルラウンジかバーで男を見繕い部屋に誘い誘われ鋭利な手持ちナイフで喉を掻き切り男性の性器を滅多刺しにしてしまう。これらの殺人の動機は一体何なのか?厳格な家庭で育てられた彼女ゾーイ、巨大な都会で孤独に暮らす日々、愛亡き日常、怠惰、倦怠、絶望とそれら全てが絡まり合う。血を見ることで精神が安定する。そんなアラサーの不遇で恐怖を伴うミステリーだった。
木曜日, 2月 02, 2017
火曜日, 1月 03, 2017
エマニエル・トッド著「問題は英国ではない・・EUなのだ」フランスの有名な歴史学者でもあり人類学者でもあるトッド氏の来日に際しての論説集である。英国のEU離脱から、自国フランスは下より中国・日本・EU・英国と幅広い見識と歴史観は今日の各国の社会情勢を検討する際極めて重要な意見だ。日本については、地政学的にもロシアとの友好を最優先課題としアメリカに対しては世界の警察の立場を返上した今日本も相応に軍備を拡張すべきと。また中国は大学への進学率の問題、さらに国内のGDP40~50%がインフラ投資によるものであったり、13億を超える人口の超高齢化社会へ到来、様々な国内の歪を他国に押してけるナショナリズムの発揚といった意見は至極もっともだ。
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