月曜日, 5月 29, 2023

今野敏著「任侠シネマ」、任侠シリーズは2作目で、前回読んだのは銭湯再建で今回は何とヤクザと関連ある映画館の再興だ。例によって親分を中心に代貸の日村を取り巻くのは健一、稔、テツらのメンバーで今や昔の面影もなく至って真面目だ。ある切っ掛けで映画館の再興の話が出て、親分は例のお節介な気分が本気にさせ再興に真面目に取り組む様子だ。映画館の入る社屋の売却に画策する不動産屋、族議員との繋がるコンサルそれらを相手にしても一向に怯まない親分、そして千住シネマは再興の手掛かりを掴んだ。この任侠ミステリーシリーズの面白さは格別である。
東野圭吾著「クスノキの番人」、表題が面白そうなので本屋で買い求めた。予想通りクスノキ一本でこんなにも素晴らしい物語を発想し書ける著者はやはり天才だ。母を亡くし父親も不明な玲斗はひょんなことから留置場に入れられ途方に暮れていたが、弁護士が訪ねて来て条件付きで叔母の元へと引き取られた、そこは神社でその草深い中にクスノキの大樹が聳えていた、玲斗はそのクスノキの番人として柳沢千舟老婦の下で生活することになった。ようやく番人として色々と経験を積み千舟の過去も知るようになり親しくなった。千舟は自分の後継者として玲斗を指名してきた。この物語の意外性はミステリー通じ人間愛を描きそのシンプルなプロットにも感動だ。
千野隆司著「鉞ばばあと孫娘貸金始末」、貸金業を営むお絹、そこには両親を亡くし頼る相手のないお鈴を引き取り家事やら借金取の仕事を手伝い元気に暮らしている、お絹の弟の倉蔵は居酒屋を営みながら十手を預かる身だ。そんな三人が次々と厄介ごとに巻き込まれるがお鈴の利発さとお絹の鉞を常に肌身離さず持ち歩く鉞ばばあと呼ばれているが実は根は世間の常を心得優しさを持っている、姉を助ける倉蔵も協力して事にあたる江戸人情物語だ。これはひょっとしてシリーズ化されるかもという予感がある。
法月綸太郎著「ノックス・マシン」、中短編4編を含む短編集である。何にも予備知識もなく手に取って読み始めてみてSF的物語にビックリした、宇宙論やら素粒子論やらをタイムトラベルとの関連やら著者の造詣の深さに感服させられる。4編がどれも奇抜でユーモアと自虐的面白さとでも表現しようがない面白さを体現させてくれる絶品だ。
ラーラ・プレスコット著「あの本は読まれているのか」、主に1950年代のアメリカのCIA中央情報局とソ連のスターリンの死前後の時代背景となっている、史実とフィクションが織り交ぜて物語は語られてゆく。CIAは文学がソ連共産主義体制崩壊させると信じて、作戦を実行し成功を納める、CIAのタイピストの中でスパイとしての素養のあるとされたイリーナを抜擢しブリュッセルで行われる万国博覧会に侵入させロシア人にソ連の反体制作家パステルナークの執筆し紆余曲折を経て出版されアメリカでロシア語版として出版した「ドクトル・ジバゴ」を手渡した。ソ連の当時の強制収容所の中での過酷な労働と辛酸を嘗め尽くす悲惨な体験そしてパステルナークとその愛人オルガとの感動的な愛による大作だ。
スティーヴン・キング著「11/22/63 下」、遂にダラスで目的の倉庫そしてリー・オズワルドの行動を把握して恋人セイディーと共に倉庫に辿り着き、オズワルドが居ると思われる6階めざして痛い脚を引き摺りながら登っていく、段ボールに囲まれた隅に暗殺を実行しようとするオズワルドが居たジョージは38口径の拳銃を手にオズワルド狙い銃弾を発射したが、それたそして体が傾き床に倒れたとその時は以後に居たセイディにオズワルドが放った銃弾が命中、セイディは還らぬ人となった。兎の穴から過去の世界へタイムトラベルして50年前の世界へ跳躍するジョージそしてアルが懇願したJFKの暗殺阻止という命題に真っ向から挑んだジョージ、SF的ミステリー恋愛を絡ませつまり読ませる文庫本にして1500頁に及ぶ大作を読了した。
スティーヴン・キング著「11/22/63 中」、ついにオズワルドを捉えた、ダラス郊外にアルのノートにあったように引っ越してくるリー・オズワルドの真向かいにジョージも引っ越し向かいの家に盗聴器を取り付け動向を隈なくチェックした。その後リーはダラスにまたしてもアルのノートにある通り引っ越してきた、ジョージはリーが引っ越してくる前に1階に居を構えリーを待っていた。中編は全編にわたり親しくなった図書館司書セイディーとの恋愛の浮き沈みに費やされ、リーの暗殺計画と同時進行しながらの展開となった。
スティーヴン・キング著「11/22/63 上」、 2011年から1958年へのタイムスリップ、そしてケネディ暗殺を阻止するといった極めてSF的発想のミステリー小説だ。高校教師のジェイクがアルという人物と出会いその彼は肺がんの為余命幾許もない身をジェイクに託し秘密の過去に遡る階段を支持しケネディ暗殺の犯人オズワルドの殺人を阻止してくれという頼みにジェイクは共感して過去の世界へと旅立つ、様々な状況を経験しつつオズワルドへと近づく、何よりも本書のプロットはそもそも伏線が素晴らしい。
アラン・グレン著「鷲たちの盟約 下」、ついにロング大統領とドイツ帝国のヒトラーがポーツマスで会談をする当日、サムの兄トニーはサム自らの手によって襲撃地点を発見されFBIによって射殺された。さらに大統領暗殺に動いたサムの家の間借り人の友人を阻止して大統領暗殺から救い出した人として尊敬され家族救出に成功したが妻のサラはサムの前から去っていった。殺人事件はどんでん返し的に解決を見た。本書は無謀とも言える歴史を作り上げその中で右往左往する国民の飢餓と悲哀、こんなプロットをどしたら考ええられるのか?不思議だ。
アラン・グレン著「鷲たちの盟約 上」、1940年代のアメリカはポーツマス未だに暗黒から抜け出せないでいる世界、そんな街でポーツマス市警の警部補サム・ミラーがある日通報により現場に行ってみると一人の男の死体があった、身元を記すものは何もなく捜査闇の中を進んでいくかの用だった。第二次世界大戦さ中のアメリカもまた惨状に見舞われFBIやゲシュタポや革命を目指す様々な分子が暗躍する世界はまたポーツマスの現状だった。

土曜日, 4月 29, 2023

マーク・グリーニー著「暗殺者の反撃 下」、苦難の連続を絶えぬき自分に向けらた殺意の原因を突き止めるべき凡ゆる情報と関わる人間との接触を果たし最後にカーマイケルの居場所を特定した。要塞に潜んでいるカーマイケルの下に忍び込んだジェントリーは、カーマイケルとサウジの工作員のカザスを捉えた、雪崩れ込んでくるFBIとの銃撃戦を潜り抜け脱出に成功した。本書はスパイ活劇よろしくプロットは素晴らしく脇を固める伏線も全く完璧だ。
マーク・グリーニー著「暗殺者の反撃 上」、ワシントンDCに帰ってきた暗殺者ジェントリーはCIAに追われ静かに葬れとの司令の下にシューターを派遣してジェントリーの同棲を隈なくチェックしていた。しかし幾つか殺人事件がありジェントリー絡んでいるのでは?と憶測が流れたが、要として彼の居場所をCIA秘密本部本部長のカーマイケル掴みきれなかった。
ニューヨーク在住の売れない作家、ハリー・ブロックの元に死刑囚として刑務所に収監されているダリアン・クレイから連絡つまり手紙を受け取った。自身を小説にして上梓してもらいたいと。既に4人の女性をバラバラにして殺害した凶悪犯、興味を持ったハリーは面会に行き事情を聴取して本を書こうとする。と同時に殺害、連続札事件の真相を探るべく調査を開始する。そしてまたしても連続殺人事件、事件の真相に漸く達したハリー最後にはダリアンの処刑を見守ることになった。長編でありプロットは見事でオマケにどんでん返し的結末も用意されている。デイヴィッド・ゴードン著「二流小説家」、
ジャック・カーリー著「髑髏の檻」、モビール市警殺人課刑事、カーソン・ライダーは休暇取得のためケンタッキー州の山間のキャビンに宿泊し愛犬との散歩やロッククライミングや川での釣りを楽しんでいた。女性の声で電話があり殺人事件発生を知らされ地元警察へ向かう。次々と殺人が発生され惨殺したいが発見された、FBIが乗り込み地元警察は援護に回る事態となった、チェリー女性刑事とカーソンは協力関係を築き捜査を展開するが中々核心を掴めないでいた。そして被害者の過去を探っているうちに浮かんできたネグレクト、児童虐待が浮かび上がり犯人がわかった。カーソンの物語はPSITシリーズとして第7段だという。
ビル・ビバリー著「東の果て、夜へ」、叔父の命令でLAから2000km離れた地へ、一人の男を殺害しに四人で出かけることになった。仲間のうちの最年長の男とは、途中で喧嘩別れして3人で行動を共にすることになった。そして漸く目的地に着きイーストの弟タイが判事を銃殺した。目的を遂げ帰宅途中様々な事が重なり結局弟タイとも別れイーストは一人旅を続けることになった。ミステリーとはちょっと違う感じで少年が世の中に羽ばたく成長物語でもあり、また旅を続けなくてはならない少年の未来を憂う気持ちにさせてくれる。
湊かなえ著「落日」、日の入りそんな落日を見通せる場所が、幼い頃住んでいた山の中腹、鉄塔の下そこが真尋の思い出の出発点だ。脚本家助手の真尋が書こうとする脚本の現場は笹塚町での一家殺害事件だ。そして真尋の姉千穂と絡んだ一家殺害事件そして書く上での調査をしてゆく内に絡んでいた事実が見えてくる。それは悲しい出来事絡まり合う人間の切なさを見事にプロットとして確立し伏線にも描写の巧妙さを感じる作品だ。
ダニエル・フリードマン著「もう過去はいらない」、勝手メンフィスの殺人課の刑事バック・シャツは、引退して今や87歳という老いぼれ爺となっていた、そしてある日旧来の大泥棒であるイライジャが彼の前に姿を現し助けを求めて来た。高齢ながら日々満足していないバックは引き受けた。そしてイライジャの依頼の捜査に個人として乗り出した。90歳に手が届く爺の生き様、生きる意欲を失わず前へ進む勇気に感激だ。
チャイナ・ミエヴィル著「都市と都市」、SFの正に異世界での殺人事件、対立する二つの都市それはヴェジェルとウル・コーマという交流が無いわけでは無い。カナダからの留学生女子学生が殺害されヴェジェルの犯罪捜査課警部補ポルルが担当刑事として捜査に乗り出し、ウル・コーマに協力を求めヴェジェルからウル・コーマに向かい民警の刑事ダットの協力を仰ぐことになった。このSFファンタジー的な都市と都市の世界が読者としてどうしても違和感があり馴染めない。ファンタジーとミステリーの融合が互いに中途半端な設定に思えページを繰る手が止まってしまう。
逢坂剛著「裏切りの日日」、 警視庁公安一課係長である桂田渉警部補と浅見刑事とのコンビで事件にあたっていた。右翼のフィクサーと知られる東山に告げられたのは脅迫状が舞い込んだという知らせで明らかに左翼からの物だった。桂田の過去は女房に浮気され離婚した悲しい過去そして一人娘をこよなく愛するそんな一面のする男で浅見には尊敬心も芽生えていた。そして事件が発生暴漢がビルを占拠して、かつバルコニーに出た東山がライフルで射撃を受け死亡するといった事件が重なり警視庁の監察官が動いた。桂田は大物政治家の意向及び密命を受けたスパイとして東山に接近して殺害されるというオチだ。ミステリーとしてはプロット伏線といい良く練られた展開に なっている。
胡桃沢耕史著「翔んでる警視正」、警視庁殺人課を統括する警視正こと岩崎が遭遇する様々な事件に部下と共に機敏に対応して解決してゆく内容だが、その内容がまた吉に富み面白いそして文書の歯切れが良く軽快だ。著者の知識の豊富さとプロットに感心する。
ボストン・テラン著「その犬の歩むところ」、 小さなモーテルを経営するアンナのもとにギブは生まれた。ところがミュージシャンのひとりにギブは誘拐盗まれた。そこから犬ギブの果てしない旅がはじまる。そして最後に遭遇したのは元イラク派兵海軍三等軍曹のディーン・ヒコックだ、彼ら二人の旅の目的はギブを飼い主に返すことだった。何度も傷つきながら静観するギブの逞しさ、そして彼ディーンとの愛情を交えた交友には仄かな涙せさそうミステリーとはちょっと違った感動がある傑作だ。
鴨崎暖炉著「密室黄金時代の殺人」、 山の中のホテルに監禁された面々が遭遇したのはまさに密室殺人事件だった。主に葛白を通して物語が語られ探偵役の美少女蜜村が密室のトリックを解く役だ。様々な密室トリックはそんな突飛なものではなく、かなり想像できるトリックだ。純粋にミステリーとして楽しめる以外に無い。
横山秀夫著「ノースライト」、 建築士の青瀬は岡嶋建築設計事務所に勤めていた、ある依頼主から長野県の信濃追分に青瀬さんが住みたい家を建てて下さいと言われY邸という家を設計し建てた。そしてその家主は引っ越しもせずに突然行方を青瀬の下から消した。不審に思った青瀬は調査を開始、だが行方は杳として知れずにいた。その頃パリに在住し800点もの絵画を収蔵する美術館を建てるコンペが開始され、所長の岡島は粉骨砕身コンペの参加の為に賄賂もどき手管で見事勝ち得たが新聞記者の記事により糾弾され体調を崩して入院した。岡嶋の意を継ぎ摂家事務所を継続しなおかつコンペで勝つことを目途に事務所の皆で努力して何とか仕上げた。そして行方不明の家主からの連絡で全てを理解した、よく練られたプロットと伏線はミステリーとして傑作だ。
ミネット・ウォルターズ著「遮断地区」、ヴァシンデール地区と呼称される地区は労働者階級で低所得者が居住する地区だ。そこに小児性愛者と呼ばれる一家が越してきた、これを排斥しようとデモを計画したが、事態は飛んでもない状態に暴徒化し収拾がつかなくなった、火炎瓶が投げ込まれ少年が全身に火が取りつき焼死した。様々な人間達が蠢く様は地獄を思わせた、それと少女の失踪事件も絡み複雑な様相を呈し混乱を極める。著者がこの混乱の中で真っ当な思考と生きる力を見せる人物を描いたのには感動した。
阿津川辰海著「紅蓮館の殺人」、館・紅蓮館に住む大人気作家財田雄山、高校生の二人、葛城と田所彼葛城は高校生ながら名探偵と呼ばれる存在だった。彼ら二人は合宿と称して二人山に登りそこで草原の山火事に出会い逃れて紅蓮館に辿り着いたそこには雄山はじめ息子と称する二人そして他に3人いた。彼らの中で遂に殺人事件が起きた雄山の娘つばさが動力で動作する吊り天井で圧死させられ殺害された。この事件を巡り葛城を始め事件捜査が開始され館にいる人間達の過去が葛城よって次々に暴かれてゆく、ここでの描写は尚早であり脈絡なく一人歩きしているようだ。全般的にプロットは平凡であり伏線は突然といった形で取り留めない描写でさらに冗長性は否めない。

月曜日, 3月 27, 2023

東野圭吾著「希望の糸」、著者はまずどんな著作でも読ませてくれる。今回の物語は、産科系病院で発生した受精卵の取り違えから端を発し取り違え妊娠して女児を出産した側と、ずーと解らず告白された本来の親である側とそれぞれ事情は違うがそれぞれに複雑な事情があって物語が進展して行く。松宮という刑事の過去をも絡ませ周到な伏線を張って展開を複雑かつ読者の期待を掻き立てる著者の表現力も素晴らしい。
中村文則著「掏摸」、スリ師の話である。僕主人公は掏摸をして生活している、掏摸の仲間やたまたま出会った母子との因縁そして遂にヤクザの大ボスに認められ強盗に加担する。それからの運命は完全にボスである木崎という男に握られてしまい、さらに厳しい掏摸を3件実行するように命じられ苦労して約束を果たしたが木崎によって刺されてしまう。一人の人間としての生きざまを掏摸を続ける男の運命に重ねた傑作だ。
ミッチェル・スミス著「ストーン・シティ 下」、チャールズ・バウマンは捜査を開始にあたり州刑では、抜群な美男子と称されるカズンズを協力相手に進んだが杳として犯人の特定には至らなかった。しかし二人は金の巡りに視点を憑け賭博に注目した、つぎつぎと浮かび上がる不審者に一人一人アタックして解明を急いだ。ついにその全貌が解明されたときバウマンは目を抉られていた。刑務所の過酷な状況を生きる人間の根源的生の何かを激しく問おうとした作品だと思う。
ミッチェル・スミス著「ストーン・シティ 上」、 ある事故つまり吉見運転でもないが、突然自転車で飛び出してきた👧少女を轢き殺して仕舞い州刑務所に収監されたチャールズが塀の中で体験する模様は刑務所独特な縄張り争い幾つもの団体など筆舌に尽くし難い過酷な状況を乗り越えなくてはならない。ある日チャールズは個別隔離房に入れられそこをぎゅじっているナッシュの指令で隔離房を出た後先日発生した殺人事件の捜査をするように命じられる。
パトリック・デウィット著「シスターズ・ブラザーズ」、 1850年代のアメリカはカルフォルニアを舞台に現地で知名度のある殺し屋兄妹、兄のチャーリーと弟のイーラー性格は全く違う兄弟だ、兄は冷血漢で殺し屋家業にピッタリ、弟は優しい性格ではあるがカチンと頭にくると手に負えないという性格だった。二人は町の大ボスの命令で殺しを否応なしに請負旅を続け、そこで出会う人間達のあからさまな生き様を体験し自分の生きる道を探し始める。ミステリーとはちょっと違う雰囲気だが面白く読破できた。
ジョエル・ディケール著「ハリー・クバート事件 下」、白骨死体で発見されたノラの生前の様子を探るべくあらゆる方法で持って臨むが杳として掴めない。オーロラの町の住民との接触、そして警察官とも友達になり徐々にではあるが謎が解けて来た。それは驚愕すべき事実だった、本書の卓越したプロットそして幾つもの複雑で面白い伏線これでもかというどんでん返し的結末は読者を圧倒する。
ジョエル・ディケール著「ハリー・クバート事件 上」、 ニューヨークから来た作家ハリーは、海沿いの田舎町ニューハンプシャー州オーロラの邸宅を借りて住んでいた、勿論作家として作品を書くためだ、そして15歳の少女ノラと海岸で出会い恋に落ちた。少女は15歳でハリーは当時34歳だった、歳の離れた二人にとってハリー後ろめたさを感じ苦悩の末ノラと別れると決心する。そしてノラが殺害された。33年後邸宅の庭から白骨死体が掘り出され当時の少女ノラと判明しハリーが警察の手に拘束された。同じくニューヨークで作家として成功したマーカスは恩師の困難を知り海辺の田舎町へ来てハリーの無罪を信じ開放すべく調査に乗り出した。ノラに纏わる意外な事実が次々と判明する。
東野圭吾著「パラレルワールド・ラブストーリー」、米国が本社のIT企業バイテック社その会社で働く敦賀崇史と親友の智彦は同じ会社の同僚である友野麻由子に好意を抱きお互いにパラレルに悩み続けどちらともいえない状況に陥っていた。会社でもの仕事はVR的で人間の脳にパルスをインプットして記憶を改編するといった最先端の研究テーマであった、そして遂に彼女を失ったと自覚した智彦がとった行動は記憶改変を自ら実験台に付き記憶をリセットするというものだった、しかし事態は最悪のものになり、智彦は意識のない眠りについた。著者のプロットは意外性を孕み伏線はミステリーよりホラーに近い少し冗長性は否めないが全般的には面白かった。
フレッド・カサック著「殺人交差点」、 法学部の学生がある夫人ルユールの家に集まり恋愛ごっこに浸り次々と相手を変えて楽しんでいた。そんな折、一人の学生ボブに恋した夫人は彼が夫人以外の女性に恋をしたことを知るとボブと一緒でいた彼女とも二人を拳銃で殺害してしまう。それから十年が経過し今や時効が成立するか同課の瀬戸際、そして突然犯行を記録した8ミリフィルムが発見される。 「連鎖反応」 観光協会に勤務する平社員のジルベールは、婚約者がいるにも係わらず愛人を解体させた、薄給の彼がとった行動が奇抜で面白い。それは協会の社長を何とかして消すつまり殺害することだった。協会の規約により直下の者が昇進するといる規律によりジルベールは管理職の階段を昇って行ったそして結末は意外な展開をみせた。2編の中編を纏めた本書はフランスミステリー傑作としての地位を確立したと。
坂口安吾著「不連続殺人事件」、昭和24年当時の探偵作家クラブ賞を獲得した戦前の作品であり、当時探偵小説は忌み嫌わあれて低俗小説を標榜する分野であった。その後クイーンやくクリスティーの翻訳物が流布され漸く日本のミステリーも黎明期が訪れ以後著名な作家が輩出され、その一人が著者であった。本書は日本の古典的名著である。しかし読み出してすぐに登場人物の多さに度肝を抜かれた人も多いのではないかと、プロットは綿密に練られかつ伏線が多岐に渡り読者を翻弄すること間違い無い。

日曜日, 2月 26, 2023

東野圭吾著「悪意」、著名な売れっ子作家が殺害された、その犯人を見破ったのは加賀恭一郎刑事だった、彼は数年前まで犯人と同じ中学校で教鞭をとっていた。犯人が既に分かっていてその動機を探すというのが本書の主眼である。話は中学校時代まで遡り犯人の行動性格情動まで明らかにしようとする加賀の捜査は人間の持っている何でもな悪意の正体を見つけ出す為だった。癌に犯され長くない人生を前に犯人野々口がとった行動は過去の柵を断ち切り嫉妬に狂いその全てを被害者一人に向ける直向きな殺意だった。
アーナルデュル・インドリダソン著「緑衣の女」、アイスランドはレイキャビク近郊で発生した土中に埋もれた白骨死体2体を巡り捜査が開始された。白骨死体は60から70年前のものと判明した、物語はその時代のある家族を描いていく。夫婦2人と3人の子供の家族の悲惨な、極貧でしかも夫はdvつまりドメスティックバイオレンスという最悪の家族の歴史を詳細に描写する、そんな家庭環境の中で育つ子供達の行先は?悲惨な家族から起こる殺人事件、殺人の背景を丁寧に描写していく。
デニス・ルヘイン著「夜に生きる 下」、遂にジョーはフロリダのタンパ地区を牛耳るギャングのボスとなった。ラム酒密造は莫大な利益を齎しグラシエラとの生活も順風満帆に過ぎていた。刑務所で知り合ったジョーのボスであるマソと遂に一戦を交えることになりマソとその仲間を死の闇へと葬った。ジョーと妻グラシエラはその後キューバ片田舎に住居を持ち地元民とともに煙草を栽培し地域に貢献して生活していて、トマスジョーの幼い息子も元気にしていた、そんな折に妻グラシエラに賞が貰えるということで家族三人でタンパに向かったが途中で妻グラシエラ銃弾を浴びて絶命した。破天荒な主人公のジョー・コグリンの生き様を通して人生の意味御探るミステリーだった。
デニス・ルヘイン著「夜に生きる 上」、米国はボストンのギャングの部下のジョーはボスの愛人エマに魅了され深い中になったが、銀行強盗に及んで捕縛されたが父が軽視正であることから5年の刑期でシャバに出てこられた。刑務所で服役中知り合ったマソという老人はやはり闇のボスだった、服役したジョーをマソは命令を与えられ禁酒法時代にラムを醸造し販路を広げ地域の頂点を目指すべく地元のギャングと手を組み、アメリカ海軍の船から爆薬を掠め取る作戦を実行しようとした。
高田郁著「あきない世傳 金と銀 十三」、江戸は田原町三丁目にある五十鈴屋江戸本店の店主幸は屋敷売り專門の新店を出すべく菊英と一緒に場所探しをしていた、そんな折り知り合いの菊次郎から朗報が漏らされ間口十間と広いが菊英と店を半分づつ分けることにして売買を成立させた。しかし新店舗を開店してから二ヶ月後その家屋敷は二重売買だと判明しまたもや幸の前に苦難が発生した。さらにその後近隣に火災があり浅草太物仲間の店や寄合所が焼けるなど甚大な被害を被り店が並ぶ界隈は暗く客もなく息詰まって何から手をつけたら良いのか途方に暮れる毎日だった。幸は店の蓄え百両を寄合所再建に為に差し出し再建を果たし知恵を出し会話を活気ある通りにすべく幕や昇りさらに店の配置図を一目で確認できる双六として客に提供して喜ばれた。時を同じく音羽屋が大番屋に引きたてられ闕所となり幸の妹、結とともに江戸を去った。著者の考えだす様々な事件、その渦中でも決して自分を見失わず凛とした体で皆に接するその姿こそ人間として生きかたを教えてくれる。
ロジャー・ホッブス著「時限紙幣」、ラスベガスで麻薬常習者の母から世に出た子供は里親に引き取られその後銀行強盗を繰り返す犯罪者となった。名前も明かさず犯罪後は一人静かにギリシャの古典の翻訳に時間を費やす孤独な犯罪者で世間ではゴーストとして犯罪者仲間に知られるようになった。過去と現在を描写して銀行強盗の手口から成就するまでの詳細な描写はまさに度肝を抜く、一人称つまりゴーストによって語れる本書は犯罪小説の原点だ。
ダニエル・フリードマン著「もう年はとれない」、米国はメンフィスでも数十年も前に引退した矍鑠とした元刑事バック・シャツに絡む殺人事件の物語である。第二次世界大戦の折りユダヤ人であるバック・シャツが強制収容所で虐待を受けた、その名はハインリヒ・ジーグラーが生存していて米国にいるという情報を得た彼はナチの金塊を奪って去ったその人だった。孫のビリー通商テキーラはITの知識があり老人とのコンビは最強だ。漸くジーグラーの老人ホームを見つけまんまと金塊を奪ったが、そこにジェニングズ刑事の犯罪計画の二人は餌食となった。そして最終的に怪我をしたバックが療養している病院で殺害されそうになったバックが最後の抵抗はマグナム357でジェニングズを殺害するというオチで愛でたくおわりとなった。
ケイト・モートン著「秘密 下」、ローレルは大学で研究を続けているジェリー末弟と連絡を取り、二人で共同で真相を突き止める決心をした。様々な人間模様を独自の視点で深く掘り下げるその眼には圧倒される。また戦時下のロンドン、郊外の牧歌的情景と眼に見えるような描写に慨嘆する。そしてローレルが母の死後認識した事実それは母ドロシーは実はヴィヴィアンだったという衝撃的事実だった。どんでん返しも見事に決まり結末を見た。プロットといい伏線はたまた描写力そして人間に対する深い意洞察まさにミステリーの基本だ。
ケイト・モートン著「秘密 上」、1940,1960そして2011年の現在を交互に描写していく語り手法で展開してゆく物語はミステリアスであり、興味はに憑かれてページを繰る手がとまらない。母と父そして4人の兄弟姉妹の長女ローレンスは今では女優となり2011年現在老齢な母を病院に見舞いに来ていた、そしてローレンスが胸のうちにある疑問と秘密それは16歳だった頃見た母が訪ねてきた男性をナイフで刺して死亡させたことだった。そして年を重ねても当時の情景が浮かびローレンスはその理由と原因を突き止める決断をしたと同時に母の結婚前の情報も取得すべく決意を新たにするのだった。
竹吉優輔著「襲名犯」、漸く安堵を取り戻した市民が第二のブージャムに遭遇、警察署律子、図書館の兄を殺害された仁そして二人の幼馴染霜野三人は第二の犯人について検討調査する。図書館を取り巻く環境やら警察やらと冗長性は否めないが最後のどんでん返し的結末は見事なまでに収斂し結末を見た。本作品は江戸川乱歩賞受賞作品である、改めて乱歩賞受賞作品は楽しめると思う。栄馬市で発生した連続殺傷事件、首謀者をブージャムと呼ばれ恐怖とともに恐れられた。そして無事犯人が逮捕され死刑台の露となって消えた。
高野史緒著「カラマーゾフの妹」、ドストエフスキーの原著「カラマーゾフの兄弟」の続編を書くという極めて大胆な発想で、しかも江戸川乱歩賞受賞した作品である。13年前父フョードルの殺害事件の見直し再検証をするというイワンは墓を掘り起こし検証を行った頭蓋骨の陥没痕から狂喜は杵だと判明した。腹違いの弟スメルジャコワの証言により殺害されたのはドミートリとして確定して長兄はシベリアへ流刑となり事故でその後に死亡した。イワン特別捜査官として再検証する中であらゆる関連を調査したにも拘わらず真犯人を特定するには至らなかった。その後図らずも父親が一番愛していたアレクセイ・アリョーシャの独白で自分がやったと証言した。18世紀のロシアでのロケットというSFじみた発想といい楽しく読ませてもらった。
川瀬七緒著「よろずのことに気をつけよ」、佐倉真由の祖父が殺害されたその殺害は肉を刻み舌を切断し内蔵はめちゃくちゃという酷さだった、殺害現場つまり祖父宅に残された呪術府・札に記されていた呪文を基に真由は文化人類学者の中澤に辿り着き二人して真由の祖父の殺害の捜査をすることになった。呪術つまり呪いは古くからあり地方では様々な古代の神を祭っている、滔々辿り着いたのは福島の田舎だった、そこに殺害された祖父の過失の過去があった、少し冗長性は否めないが、最後まで頁を繰る力はさすが、江戸川乱歩賞受賞作品だけある。
斎藤詠一著「到達不能極」、江戸川乱歩賞受賞作品は、非常に面白い様々なシチエーションやプロットが目白押しでどれも秀逸である。今回の物語は南極を舞台に科学的見地から情報戦さらに戦後の混乱の中で繰り広げられる人間模様と多彩だ。
川澄浩平著「探偵は友人ではない」、札幌にある中学校の生徒達が繰り広げる物語で、ミステリーとは言えなくもない、ソフトミステリーだ。謎を解決すべく語りかけ役が海砂真史で難問を解決するのが鳥飼歩だ。歩は無類の甘党でケーキを簡単に4個も食べるくらいだ。二人の微妙な関係その感じでていて描写力に感心させられる。
遠藤武文著「プリズン・トリック」、 選評でも指摘している通り中盤の展開は、無理があり視点が様々に移り変わり読者を困惑させるプロット的には考え抜かれていて最後のどんでん返し的結末も非常に面白い、江戸川乱歩賞受賞作品だ。交通刑務所という異常な場所での殺人事件から出発する本作品は卓越したミステリーとしている。そして社会的問題にも踏み込み、さらに憲法三十九条にもふれる気合のこもった作品である。