木曜日, 6月 01, 2017

ロバート・ゴダード著「隠し絵の囚人」下、物語は第二次世界大戦前の1940年代と現代の間を行きつ戻りつエルドリッチ・スワンの行動と人生をまた叔父であるスティーヴン・スワンとの人生行路をたどってゆく。ピカソの贋作を元にサスペンス展開を予想したが、案に図らず両スワンの苦悩、絶望と恋愛、人間的愛情を豊富に散りばめた作品であった。
ロバート・ゴダード著「隠し絵の囚人」上、スティーヴンは叔父がまだ生きていることを知らされる。叔父の過去第二次世界大戦前後の収監され獄中での生活の過去、さらにピカソの贋作にかかわる出来事、叔父スワンがなにを考え行動しているのか?スティーヴンには不明だ。現在と過去とを織り交ぜて物語は展開してゆく。
ロバート・ゴダード著「闇に浮かぶ絵」下、遂に終盤が訪れた。裁判で勝訴したジェイムズのその先に待っていたものは破滅という現実でした。終盤のプロットの展開は読者の予想を裏切り途轍もなく面白い結末でした。作者はまさに読ませる技をふんだんに盛り込み結末を用意したのでした。思えば人間の感情の全て、人生観、正義、憎悪、悪、絶望、希望、光、愛情、怨念すべてがこの小説にあるような気がします。
畠山健二著「本所おけら長屋」八、江戸は本所亀沢町にあるおけら長屋その住人、万造と松吉それに浪人の鉄斎を含め義理と人情で生きる住人を巻き込んで起こる騒動の数々を様々な角度から解決に導く江戸は人情物語。第一巻から八巻まで全て読破したが、懐かしさと読む面白さは後を引きまた読みたくなってしまう。著者の技量を感じさせる連載短編ものは絶品だ。
ロバート・ゴダード著「闇に浮かぶ絵」上、ダベノール家を中心に失踪した長兄と既に準男爵とした地位にいるヒューゴさらに彼らを取り巻く人間の増愛の醜い争いを描いている。上巻では少し冗長さが伴うが終盤にいよいよ法廷での闘争になる。果たして真実は?ここまでのプロットは至極単純明快だが、肉づけは恐ろしく多彩だ。
宇江佐真理著「雷桜」、江戸からほど近い瀬田山を望む山村に生を受けた游、幼児にして誘拐され森深く閉ざされた峡谷で育てられた父親は忍者らしき者だったという。図らずも游はある日実家、瀬田家に戻ってくる。物語は游を中心に江戸清水家の斎道徳川の殿様の十七男という男と游の兄助三郎との縁で邂逅を果たす。游は後に紀州五十五万国の頭首となる斉道の子を宿すことになる。情景を含めプロットも巧で江戸庶民の人情を底辺に人間関係のそこはとない刹那さを見事に描いている。
ロバート・ゴダード著「千尋の闇」下、いよいよ下巻にてプロットは錯綜し複雑化してゆく。ストラフォードの終生愛したエリザベスを巻き込みクシュナー一族との攻防さらにセリック、マーチンのメモワールを元に調査を依頼した南アメリカの富豪、実はサー・ジェラルドつまりエリザベスの元夫の息子だ、成り行きは錯綜を極めついにマーチンはセリックを殺害する。緻密なプロット上に配置された物語の進展はこれ以上ないといった面白さだ。
ロバート・ゴダール著「千尋の闇」上、著者の作品は過去にも読んだ覚えがあるが、今回の千尋の闇は上巻を読んだだけだが、相当面白い。プロットの優秀さは固より主人公マーティン元教師がふとしたことから元上院銀ストラフォードのメモワール(日記帳)の調査を依頼された。このメモワールに記載された事柄を立証をすべく奮闘する主人公の前に様々な事実が浮かび上がり疑念が次々と浮かびあがる。
P・G・ウッドハウス著「よりぬきウッドハウス Ⅰ」、ジーヴス及びウースターシリーズに先立つ短編集だ。ペッパーが登場する短編はのちにジーヴス・ウースターシリーズを彷彿とさせる。英国的ユーモアの世界は光彩を放ちセンスを伺い知ることができる。
畠山健二著「本所おけら長屋」七、おけら長屋の住人、万造と松吉、金太に島田鉄斎、大屋の徳兵衛と揃い踏みだ。ドタバタ劇は相変わらず続き、長屋の住人の心を一つにする団結力を持って次々と騒動を解決してゆく。貧乏と人情が行きかうおけら長屋の交流はいつでも読者を和ませさらに癒しさえ与えてくれる。
P・G・ウッドハウス著「ウースター家の掟」、ロンドンを離れワトキン邸を訪れたバーティとジーヴス、そこでバーティの友人の婚約を巡る様々な騒動に巻き込まれ窮地にに立たされたバーティを救うのは勿論執事のジーヴスだ。バーティのウースター家の掟が起こす騒動は次から次へと広がり奮闘してゆく二人の姿はまさに人間の信頼とは愛情とはを想起させまさにヤッホーだ。
シャンナ・スウェンドソン著「スーパーヒーローの秘密」、㈱魔法製作所シリーズの最新物だという。著者の作品は初めてだ。ニューヨークを舞台に繰り広げられる魔法会の格闘を描く。主人公は魔法の免疫者ケイティと魔法会のスーパーヒーローオーエンとの愛情と黒魔法との戦いの物語だ。奇抜なプロットには感服するが、何故か面白みに欠ける。
P・G・ウッドハウス著「サンキュー、ジーヴス」著者の最初のジーヴスものの長編作であるという。富豪の娘、ポーリン・ストーカーを回り旧友チャッフィーとウースターとの攻防を如才なく援護するジーヴスの手練手管、そしてバートラム・ウースターとの駆け引きはミュージカルの台詞の掛け合いの様相を呈し、読者に癒しと安ど感を与えてくれる何とも言い難い素晴らしさがある。
畑野智美著「感情8号線」、登場する4~5人の女性と男性との交友とさらに家庭生活を通して、男と女の生きざまを描く。働く女性の生活、人生観、周囲との交友関係と上司、恋人さらに結婚生活での妻と夫、感情と思考のお互いのズレを普通の暮らしの中に描きだしている。不安と大都会に住まう寂寥感が漂ってくるそんな物語だ。

火曜日, 5月 02, 2017

P・G・ウッドハウス著「ジーヴスと朝のよろこび」、ウッドハウスの長編である。このユーモアたっぷりの作品を戦時下、ドイツによる捕虜として収容所を転々とした時期に脱稿したというのが信じがたい。ウースター青年と彼を取り巻く親戚、友人、知人を交え様々な事件、困難の渦中でジーヴスの才気溢れる状況判断により窮地を脱する長編物語だ。ジーヴスの登場は控えめだがウースターの窮地を前に登場する彼と青年ウースターのコンビは読者をほのぼのと幸せにしてくれる。
P・G・ウッドハウス著「ジーヴスの事件簿 大胆不敵の巻」、ウッドハウスのジーヴスもの、短編集である。お馴染みのウースターとジーヴスとのやり取りは正に絶品だ。主人と執事という関係において求められる最高の人間関係と言えよう。何故か英国的なユーモアなるものが、根底にあり何とも言えぬ面白さとともに清涼感を与えてくれる。
松永大司著「トイレのピエタ」余命3か月と医師から宣告された園田宏は癌だった。人間の死、死を迎える人間、彼はまだ28歳だった。名前も知らない女子高校生との最後の出会いと交流。死ぬ直前、故郷へ帰郷する両親との団欒にも耐えられない、東京の自分のぼろアパートで最後まで過ごした宏。人間死を意識したその時、心の内は全て浄化され純粋になってゆく全てを受け入れそして死に向かう
アンドレアス・グルーバー著「月の世は暗く」オーストリアはウィーンを舞台に展開する刑事物語だ。次々と女性が誘拐され拷問され殺害される。起動捜査課の刑事ザビーネの母が拷問殺害された。ドイツから来た偏屈で奇人の事件分析官マールテン・スナイデルという人物と捜査を担当することになる。犯人カール・ボーニは幼児虐待を受け精神疾患を患う青年だ。麻薬や強姦で捕まるが裁判所からの通達でセラピーを受けることになる。幼児期に読んだと思われる絵本を題材にそこに書かれた殺人を次々に実行する。セラピストを襲い誘拐し彼女らの指をハサミで次々と切り落としてゆく。二人の執拗な捜査が続き犯人を遂に追い詰めた。
山本文雄著「なぎさ」神奈川県は久里浜を舞台に長野須坂から移住した夫婦とその周りの人々の人間関係を描写し人間の根源的な問いを題材にした物語だ。人間の奥底に潜む感情を表現し、分かり合うことがどんなに困難か?という素朴な疑問を呈しているこの物語は読後心に隙間風的な空虚感が去来する。それぞれの人がそれぞれ生きるこれが人生であり社会だろうか。
畠山健二著「本所おけら長屋」六おけら長屋に住む住人、松吉そして万造いつものドタバタ劇が繰り広げられる。長屋の住人のほか聖庵堂の先生そこに努めるお満を始め数々の人物を配置し物語を盛り上げる。いつもながら作者の大江戸人情話は爽快かつ痛快だ。底には日本人ならではの心意気が込められ今の世の中に足りないものを感じぜずにはいられない。
P・G・ウッドハウス著「ジーヴスの事件簿 才智縦横の巻」久しぶりに著者のジーヴスとウースターものを読んでみた。機転が利き頭脳明晰にして執事たるジーヴスとバーティーの織りなす日常生活の中での事件は読んで楽しいしまた何とも言えぬ面白さがある。主な登場人物は2人の他にはウースターの友人と伯母これらの人々が巻き起こす事件をジーヴスが様々な手段で解決してゆく心地良さとも言うべき物語だ。
青山文平著「つまをめとらば」江戸の時代物短編集である。男と女の物語や友との友情を綴ったものなどが混ざっている。情やなさけそして人情と友情さらに無常とが折り重なった人間の生をそこはかとなく記す。何故かほっとる物語であった。
真山仁著「そして、星の輝く夜がくる」阪神淡路大震災を経験した神戸の小学校教師が、東日本大震災後の東北は東間市の小学校に派遣赴任する。そこで見た現実、地元住民、小学校の生徒達そして大災害が引き起こす虚脱感、家族や友人知人を失い、当てのない袋小路に迷い込んだような生活。こんなにも困難な状況下で子供たちが見せる、何にも負けな強さを赴任教師は教えられる。くしくも、今日3月11日は東日本大震災から丁度6年目にあたる。
道尾秀介著「透明カメレオン」都内某所、うらぶれたバーに集う5人ある日一人の女性がバーに顔を出す三梶恵という。女性の一言コースター(殺した)という言葉が破門を広げ、ラジオのマーソナリティを務める桐畑恭太郎の身にあるいはバーの常連を巻き込んで起こる様々な出来事が、プチミステリー的様相を添えて発生する。青春ミステリー小説だ。人間の持つ何故か根源的な心象をを教えてくれる面白さだ。

ポール・ドハティ著「教会の悪魔」中世13世紀末のイギリスはロンドンを舞台に王座裁判所書記のヒュー・コーベットなる廷吏が、サタン悪魔を崇拝する五芒星形党を組む悪党を追い詰め断罪する物語だ。ある日の殺人事件に端を発し捜査を命じられたコーベットは市内の教会に出向く。そこで自殺したとされる男の死体及び現場を具に見て疑問を呈し捜査を続行する。悲しいかな好意を寄せた居酒屋の女主人アリス、黒魔術の頭目だった。

畠山健二著「本所おけら長屋」五、例によって、おけら長屋に住む住人松造と万吉の二人が引き起こす人情沙汰、長屋の住人の人情で切り抜ける江戸庶民の浮世話とでも言うか読んでいて何故かホッとする。江戸庶民の暮らしぶりと風俗が手に取るように解る。おけら長屋物語の登場人物は絶妙の配置で作者のプロットの確かさと次々と事件を繰り出す才能は見事だ。

ジェフリー・アーチャー著「百万ドルをとり返せ」アメリカはボストンの富豪の北海油田採掘会社に投資し全財産を騙し取られた4人、オックスフォード大学の数学教授、ロンドンの町医者、イギリスの伯爵の御曹司、フランス人の画商と多彩な顔触れを配置し詐欺にあった百万ドルを奪取すべく詳細かつ緻密なプランの下に作戦を実行するといった物語だ。金を奪い返す作戦と背景がまた面白い。百戦錬磨の富豪相手にとことん騙すテクニックもまた爽快だ。
伊坂幸太郎著「陽気なギャングが地球を回す」, 何故か憎めない4人組が、銀行強盗を働く。少し世間とズレてはいるがこれ庶民の願望というかロマンを含んだ物語で軽快な文体とともに面白く読んだ。強盗の手口も鮮やかでスマートだ。現実味はないものの応援したくなる。4人の人間関係も嘘と希望と落胆と生活苦まで入り混じりそれをまたスマートに解決ししかも再び銀行の前に立つ。
トレビニアン著「夢果つる街」, カナダはモントリオールのダウンタウンで起きる殺人事件、所轄の警部補クロード・ラポワントはこの街区を何よりも愛している刑事だ。他民族国家の中でも東地区は様々な移民と言語が入り交じっている。強盗、強姦、買収、売春、麻薬、恐喝といった様々な犯罪が日常茶飯事だ。ある日三人の男性が殺害された。事件を追うラポワント警部補は必死になって犯人を追うが杳として犯人の軌跡が掴めない。様々な聞き込み調査の中で、語学学校との関連が浮上する。そこの女性経営者は警部補がかって知ったる売春婦の娘であった。事件は意外な展開へと発展してゆくが、冗長とも言える描写だが適度に期待を持たせてくれる作品だ。

日曜日, 4月 02, 2017

ジョン・ディクスン・カー著「三つの棺」カーの1930年代の作品で代表作だという本書は密室殺人の古典的価値を持つと言われている。読後に感ずる印象は、現代と違い少し時代差がつまり古いトリックだ。トリック自体もややこしいし現代の読者が諸手を挙げて賛成しかねる。主人公グリモーの過去、弟の因果を動機と位置づけて事件が起き自らも死を招く究極のトリックをフェル博士が看破する。


ドン・ウィンズロー著「失踪」アメリカ中西部の小さな町で幼い女の子ヘイリーが、失踪した。リンカーン署の刑事フランク・デッカーが捜査に中る。捜査陣の必死の追跡にも関わらず少女の行方は杳として知れなかった。少女の母親は離婚して独り身であり、デッカー刑事は必ず探して連れ戻すと約束する。このあたりが作者ドンらしいと思う。失踪から1年がたとうとする遂にデッカーは刑事の職を辞め捜査に専念する。青いコンチネンタルとともに追跡の旅が始まる。大都会ニューヨークにも足を向けた。

岡島二人著「クラインの壺」ミステリーとしては珍しい二人の作家の共著だという本書は違和感を感じさせないテンポの良さと平易な文体とモ相まって最後までページを繰らせる力がある。大学生の主人公はゲームの元ネタに応募したが落選しかしひょんなことからクラインというゲーム機器を開発するイプシロン・プロジェクトという会社に拾われ開発の動作確認に参加する。主人公上杉と梨沙という女性が参加している、ある日突然梨沙が会社に来なくなった。ここから謎を追及する探偵が始まる。

アガサ・クリスティー著「メソポタミアの殺人」イラクはバグダッド近郊、ヤリミヤ遺跡発掘現場で起こる連続殺人事件に登場する人物は考古学者のライドリー博士を始め、謎のラビイニ神父、直接物語の語り手つまり記述者としての看護婦と丁度良い加減とも言うべき人物配置と現代のミステリーにも十分通用する謎解きの核心は色あせていない。クリスティー作品の魅力が現代の通じる訳がある。
ヘイク・タルボット著「魔の淵」カナダは雪深い別荘での密室殺人事件、そこに集う1組の夫婦が殺害された。謎を事件の真相を解明すべく奮闘するが依然として謎は深まるばかりだ。遂に謎は解明された。しかも魔術師の如く巧妙なトリックを使って引き起こされた。あまりにも翻訳がぎこちなく読みずらい。世評とは一致しないミステリー小説だった。

雫井脩介著「火の粉」梶間家の周囲そして家族それぞれの人間の心理描写の上手さを実感する小説である。裁判長として勤務していた家長勲が退職し高台に5LDKの家を購入し家族6人で暮らすようになった。勲の祖母の介護は妻尋江が面倒みている。その大変さと祖母の娘満喜子との確執、さらに司法浪人としての雪江の夫俊郎と家族構成もバラエティに富んでいる。そこに隣人として武内なる勲が裁判で判決を下した男が移り住んでくる。ここから梶間家に次々と異変が起こる。絆で結ばれた家族も一度事件が持ち上がると簡単に崩壊していく危うさを感じさせる。ミステリー小説としてのプロットはやや平坦ではあるが、関係する人間の心理描写という意味で圧巻であり。別な意味での恐怖を感じさせる好著である。


畠山健二著「本所おけら長屋」四、万造、松吉そして八五郎と浪人島田鉄斎とおけら長屋に住む住人による騒動は多彩で面白い。おけら長屋コミュニティーの結束力はまさに天下一品だ。人助け、お節介で人情を基本とした様々な騒動の解決方法の根本がここにある。現代社会では既に失った江戸の庶民の心意気がここにある。気軽に読めて読後の清涼感はまた格別だ。

麻耶雄嵩著「神様ゲーム」小学生が探偵団を組織し鬼婆屋敷と呼ばれる廃屋を基地として活動する。神降市に連続して発生する猫殺しも背景を盛り上げる。そんな折に芳雄の友人が基地の井戸の中で死体となって発見される。転校生鈴木君は神様と呼ばれ彼が犯人を特定して天誅を下す。なんと芳雄が気お引くミチルという女の子だと。さらに共犯が事もあろうに芳雄を父だと。さらに天誅が下る。この小説こそミステリーだと思わせる何か不条理性を感じさせる。文体は読みづらいが、何故か惹かれる小説だ。

門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング7、遂に、東南アジアの小島アラス島での国際テロ集団VNとの戦闘が開始された。黒木隊長を始め高浜砂霧と120名ほどの隊員が急襲すつ手筈を整え血行した。そのジャングルでの凄まじい攻防の中、黒木豹介は絶命した。この痛快活劇シリーズは幕を閉じた。
畠山健二著「本所おけら長屋」三、江戸は本所おけら長屋で巻き上がる様々な厄介事を長屋の様々な住人が解決してゆく人情話は、日本人の心に住む何か温かいものを呼び起こしてくれる。事柄事に章を纏めたこのシリーズは、ふと疲れを感じたときに読むと何とも清々しい気持ちにさせてくれる。
門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング6]いよいよ国際テロ組織が迫りくる。黒木とSACの砦、悪四郎山中にも様々な陰と陽を交錯させた激烈な攻撃の最中インド洋に浮かぶ無人島への奇襲作成を実行する。黒木達連帯である。日本の総理、倉脇は元より米国大統領、先進各国首脳を交えての国際テロ組織との戦闘が開始されようとしている。

水曜日, 3月 01, 2017

ディーン・R・クーンツ著「殺人プログラミング」アメリカの田舎人口400人たらずの小さな町、そこは製材業が主な産業で湖を利用しながら木材を加工している「ブラック・リバー」と呼ばれている。オグデンと名乗る研究者が、閾下知覚研究をほぼ完成させた。彼は人間の精神をコントロールする閾下知覚を利用する方法を発見し実施試験地としてブラックリバーを選択した。傭兵による水源地の湖に薬剤を散布し住民をコントロールするべくレイプや強奪、殺害を繰り返した。しかしその閾下プログラムが何故か効果のない4人が存在した。それが主人公ポールであり雑貨屋を営むサムであった。オグデンに殺害され恐怖の中完全と悪に立ち向かうミステリー小説だ。
ローレンス・サンダーズ著「無垢の殺人」離婚してニューヨークのホテル保安課に勤務するアラサーのゾーイ・コウラー、彼女は恐ろしく地味で勤務態度は真面目だ。彼女は激しい生理痛と奇病に苛まれ、生理の周期に合わせるかのように通り魔殺人を次々と犯してゆく。ホテルのカクテルラウンジかバーで男を見繕い部屋に誘い誘われ鋭利な手持ちナイフで喉を掻き切り男性の性器を滅多刺しにしてしまう。これらの殺人の動機は一体何なのか?厳格な家庭で育てられた彼女ゾーイ、巨大な都会で孤独に暮らす日々、愛亡き日常、怠惰、倦怠、絶望とそれら全てが絡まり合う。血を見ることで精神が安定する。そんなアラサーの不遇で恐怖を伴うミステリーだった。
ブライアン・ガーフィールド著「反撃」弁護士のマールは法廷でマフィアの親分・ボスと闘い刑務所へ送り込んだ。時がたち8年を経過しマフィアのボス・バスターが出所した。法廷の証言者4人の家族に脅し恐喝恐怖が四散した。身柄確保証人プログラムによりFBIの担当官と名前を変え住処を転々として逃走していた。そして彼マール及び妻ジャンは気づいた。そう反撃だ。ボスの妻アンナを事もあろうに誘拐した。反撃は殺人計画でなく知性と人間の友情とでマフィアに反撃を開始、そして遂にマフィアのボスは折れた。勝ったのだ。
リチャード・ジェサップ著「摩天楼の身代金」ニューヨークを舞台に繰り広げられる摩天楼のホテル爆破とホテル所有者らとニューヨーク市警と犯人との凄絶な探り合い。この物語では犯人トニオ・ヴェガ青年として最初から分かっている。ベトナム帰還兵でコロンビア大学に籍をおくアルバイトの青年だ。読み終わり、何故かこの青年の事件を起こした動機が不明である。それがまさに現実的な恐怖に繋がっている面がある。実在するニューヨークの場所場所、市警の捜査、市長の登場と現実味を帯びた展開に次々とページを繰らせる迫力があり身代金の奪取方法も奇抜で面白い。
門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング5」日本の首相及び官邸直結のスナイパー黒木豹介と高浜砂霧が活躍シリーズだ。迫りくる悪・国際テロリスト集団との戦闘は頭脳と強靭な肉体を駆使し挑む黒木と特殊捜査隊一丸となって対応する。様々なテロリストの暗躍する状況設定がまさに国際的規模で行われそこに登場する人物・状況設定が著者の豊富な知識と相まって読み応えのある物語に仕上がっている。

ウィリアム・ベイヤー著「顔のないポートレート」主人公ジェフリー・バーネットは写真家である、ある時キンバリーという女性と出会う。ロマンスを育みながら物語は展開してゆく。彼女キムは女優志願でエスコートクラブで働いていた。親友が殺害され一気にミステリーゾーンへと突入する、後半は彼女、彼女の友人や関係者を交えながら物語は進む。ジェフリーも友人フランクを仲間に引き込みダーリングという富豪から現金略奪を計画し実行する。魔性と妖しい魅力を持つキンバリーという女性の天真爛漫さから想像もできないまさに魔性だ。主人公ジェフリーは翻弄されながらも最後は勝利し自分の人生を切り開く。
門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング4」作者の防衛機器、ピストルや戦闘機を様々な殺戮機器に対する知識には感服だ。シリーズ4作目は米国大統領を交え国際テロ組織と闘う黒木豹介と高浜砂霧の活躍を描く。熊野の山中にある戦闘防衛システムに7カ国首脳が顔を合わせ秘密会議を討議中に切迫した事態が発生し凄まじい銃弾の嵐が飛び交う。


ロンジーニ&マルツバーグ著「裁くのは誰か?」米国大統領ニコラスを中心に妻クレア、秘書官、報道官、主席補佐官そして副大統領といった面々との日常、今や支持率を落とし苦悩する大統領そんな中で側近の死、次々と起こる殺人。ある章で突然一人称から複数つまりわれわれという表現となり殺人が行われるという、これは正に二人の作家が分担し書き上げた作品だと思わずにいれない。最後は大統領は警告に身を投げ自殺するそして犯人は?



ロアルド・ダール著「オズワルド叔父さん」まさにユーモア溢れる傑作小説だ。英国作家ダールは、PG・ウッドハウスのジーヴスシリーズを彷彿とさせるウィットに富み大人のユーモアを含みかつまた落ちが素晴らしく一振りの香辛料にも似た面白さだ。コーネリアスが開発したブリスター・ビートル甲虫の粉を主原料とする強烈な精力剤、化学博士が開発した精子の長期安定の凍結保存方法を元に彼が考えた大天才の精液を収集し天才が死去した後で大都市の裕福なマダムに販売するといった大胆な発想作者ならではのプロットと人間の欲とまた人生を感嘆させる物語だ。


ローレンス・サンダーズ著「ホワイトハウスの悪魔」ふとしたことから、米国大統領のブレーン及び預言者として側近となったブラザークリストスを巡り大統領補佐官及び副大統領及びその補佐官さらにロシアKGBのスパイと多彩な顔触れを揃え預言者の抹殺を画策する。プロット自体はそんなに複雑でもないが、何故か魅了する展開に最後のページまで繰らせる力量があるミステリーだ。

木曜日, 2月 02, 2017

中川健一著「日本人に贈る聖書ものがたり」下、アブラハムからイサクそしてヤコブへと続き、ヨセフの死を持って族長たちの巻が完結する。400年という長きに渡りエジプトに留まったへブル人・イスラエル人の苦難の歴史が書かれヤコブの遺言により後にイスラエルに12の部族が誕生しその後の物語へと続いてゆく。


中川健一著「日本人に贈る聖書ものがたり」上、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地エルサレムは各教共通の聖地である。 紀元前21世紀 アブラムからアブラハムへ後のイエスの家系となる物語であるが、作者の物語の展開の功名さが内容を細かく砕き面白さを失うことのないように進めるその手法はまさに聖書に精通した著者ならではのものではないかと思う。アブラハムとその妻サラそして神ヤハウェとアブラハムの息子イサクが妻リベカを娶るところで上巻は終わる。


門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング3」、遂に柳生一族の館にまで殺人者の触手が伸びてきた。さらに刀匠までも。またしても世界を震撼させる闇の殺人集団と黒木豹介・砂霧との対決は迫力抜群だ。混然一体となった闇の集団の素顔は依然として知れず、そんな中次々と事件が発生する。遂に、中国軍に召喚された黒木は軍空軍基地に降り立った。そこで待っていたのはまたもや殺人集団だった。著者の状況から最終の結論が出ないまま物語は完結。残念至極。


門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング2」、ヨーロッパはもとより日本と世界へと黒木豹介検事と高浜砂霧とのコンビが活躍する第二弾だ。強靭な肉体とマシンガンを操る黒木の前に次々と襲う困難に立ち向かう痛快活劇的サスペンスは一服の清涼剤的ドラマだ。次々と展開する暗闘はまさに圧巻であり著者の状況設定プロットに感服だ。


門田泰明著「黒豹ラッシュダンシング1」、ヨーロッパはフランスを舞台に日本の政府総理大臣おも登場させ華麗な展開を繰り広げる壮大なドラマだ。政府公認の用心棒黒木豹介と高浜砂霧とフランスの刺客との激闘が遂にEC推進のドロール委員長が日本へ上陸し郡上八幡での死闘となった。今までの著者の作品は、大阪のヤクザを中心として世界だったが正直驚きを感じぜらるを得ない。2が楽しみだ。


畠田健一著「本所おけら長屋」二、おけら長屋に住む浪人鉄斎は東北は黒石藩の家臣だったが、今や江戸剣術道場の指南役で長屋の住人皆に信頼されている。この鉄斎の身の廻りで起こる数々の事件を通して住民皆が力を合わせ事件に立ち向かう。江戸庶民の生活や風情が様々な場面で伝わり気持ちの良い読後感を与えてくれる。


畠田健一著「本所おけら長屋」一、江戸はある長屋本所おけら長屋に住む住人との人情温まる交流をとおして今は無き義理と人情が交錯する風情を軽快な文体とともに描く。長屋に住む米屋の奉公人万造と酒屋の奉公人松吉が度々起こす騒動を住人皆で泣いて笑って解決する。


ドストエフスキー著「白痴」下巻、いよいよ公爵プーシュキンを取り巻く人々との確執は限度を知らずアグラーヤの奔放な性格と相まって翻弄される日々だ。公爵はこれらの人々との対話を通しても依然と彼自身の狂気の中の純粋無垢な性格は一向変化することなく癲癇をコントロールしながら対処して行く。この混乱の中、ナスターシャとの結婚を決めいよいよ式当日ラゴージンの手によりナスターシャとは連れ去られた。必死に探す公爵が遂にラゴージンの家で見たナスターシャの姿は既に骸となってベッドに横たわっていた。


ドストエフスキー著「白痴」上巻、主人公プーシュキン公爵の生い立ちとともにスイスからドイツを経てロシア・ペテルスブルクへ列車から降り立ったところから物語は始まる。スイスの療養所での五年間の月日を経て公爵の癲癇病も治りかけていた。列車でのラゴージンとの出会いにより、ナスターシャとの邂逅さらにエパンチン家の人々との出会いと公爵を巡るペテルスブルクでの様々な人々との出会いを果たす。ラスコリーニコフと同様公爵プーシュキンの純粋無垢な性格が人々にどんな結果を齎すか。


ジェフリー・ディーヴァー著「死を誘うロケ地」、ニューヨーク州北部の小さな町クリアリーでのロケハン探しの元映画監督ジョン・ペラムは、この町で様々な妨害に遭遇し友人まで失うこととなる。小さな町の巨悪との闘いを決意したペラムの活躍ついに麻薬の生産と密売組織に辿り着く。田舎町の住人とそこの生活感をまた空気を散りばめ物語は進んでいく。最後のどんでん返しは読者の想像を超えたものでもないが、軽快な文体とともに楽しめる作品だ。


火曜日, 1月 03, 2017

エマニエル・トッド著「問題は英国ではない・・EUなのだ」フランスの有名な歴史学者でもあり人類学者でもあるトッド氏の来日に際しての論説集である。英国のEU離脱から、自国フランスは下より中国・日本・EU・英国と幅広い見識と歴史観は今日の各国の社会情勢を検討する際極めて重要な意見だ。日本については、地政学的にもロシアとの友好を最優先課題としアメリカに対しては世界の警察の立場を返上した今日本も相応に軍備を拡張すべきと。また中国は大学への進学率の問題、さらに国内のGDP40~50%がインフラ投資によるものであったり、13億を超える人口の超高齢化社会へ到来、様々な国内の歪を他国に押してけるナショナリズムの発揚といった意見は至極もっともだ。


池井戸潤著「ようこそ、わが家へ」青葉銀行から執行となりナカノ電子部品の経理部長として倉田太一は赴任する。ある日、混雑した電車に人を跳ね除け乗車して来た若い男に憤り捕まえ文句を言った。その名も知らぬ若い男からの執拗なストーカ行為と嫌がらせを次々と受ける倉田の家族であった。会社では、営業部長間瀬との確執そして不渡り手形を受け取るといった会社の存亡危機と小心者倉田の苦悩と日常で起こる小さなサスペン・サラリーマンの悲哀と相まって読み手を飽きさせないいつもの作者だった。


ジェフリー・ディーヴァーほか著「ショパンの手稿譜」ハロルド・ミドルトンなる米軍の勤務を終え調律師としてポーランドワルシャワを訪れて、ここから事件が始まる物語だ。十数人のミステリー作家によるリレー作品であるにも関わらず、マダンのない物語の軽快な展開には感動すら覚える。ショパンの手稿に秘められたVXガスの生成法を巡りテロリストとの激しい攻防が始まる。最後の最後まで息もつかせぬ展開に翻弄されミステリーエンタテインメントとして絶品だ。


宮下奈緒著「羊と鋼の森」主人公外村(とむら)は、山間の村に生まれピアノの調律専門学校に通い、調律師を目指し就職し様々な試練を通して成長して姿を描く、何故か清々しい物語だ。人生や仕事でも一生涯探求し情熱を持って生ける物を見つける大切さ、それは運でもあり宿命でもあるのだと思う。日々一生懸命考えそして悩み成長するそしてその人の心にある純真さが結局奏功する。


ダニエル・キイス著「アルジャーノンに花束を」主人公チャーリーは白痴として誕生しもちろん脳発達障害児でIQも60位として生活を続けた。ある時2人の心理学の博士が彼を実験台として実施した結果チャーリーは天才として再生した。数カ国語に通じ独自の研究成果として論文を発表するなど世界的に著名な学者となった。彼が32歳の時であった。そうこうするうちに、彼の頭脳は再び元のチャーリーへと逆戻りしてゆく。人間の人生とはIQでは語れない、幸福とは何かを改めて考えさせてくれる稀有な作品だ。


ジェフリー・ディーヴァー著「限界点」アメリカ政府機関の警護専門のプロ・コルティと殺し屋ラビングとのこれでもかという追跡・激闘をやはりこれでもかと描く本書はディヴアーの最新作だ。リンカーン・ライムやキャサリン・ダンスシリーズとは一味違った趣向がある。殺し屋との対峙での執拗な頭脳戦を余すところなく描く今回の「限界点」は、作者の新たな挑戦とも思える生への激しい執着が見える。今後の展開が楽しみだ。またディーヴァーと言えばローラコースター的落ちだが今回もちゃんと用意されたいる。


門田泰明著「奥傳 夢千鳥」浮世絵師宗次の住む八軒長屋の前に倒れた美貌の女・冬、ここから宗次の身に様々な苦難が降りかかる。尾張紀州の女賊くノ一集団との壮絶な戦いを陽進流奥傳夢千鳥の刃が乱舞する。纏えた文体とともに作者の時代サスペンスが読者を魅了してやまない。


ジェフリー・ディーヴァー著「ブラディ・リバー・ブルース」著者が脚光を浴びる前の作品ミステリーだ。ジョン・ペラムシリーズの第2作目の作品だと。映画のロケーション現場を担当するという役柄のペラムが殺人事件に遭遇し次第に犯人を追い詰めて行くといった。まさにかっこいい役柄だ。派手などんでん返しは無いものの、何故か気持ちをのほほんとさせる要素を絡め次第に現在の作者に近づき彷彿とさせるものを持っている作品だ。


山本周五郎著「五辦の椿」薬種問屋に暮らすおしの父親喜兵衛は労咳である。余命いくばくもない身ながら仕事に打ち込む姿をしのは目に焼き付ける。そんな日常の中、妻のおそのは遊び呆け淫らな生活を送っている。いよいよ喜兵衛の病状が悪化しその喜兵衛に懇願されおそのの暮らす長屋へとしかし喜兵衛の命は途中で尽きた。ここからしのの復讐の情念が燃え上がり、おその情交のあった男どもを次々と簪で胸を刺し貫いて殺害してゆく。この物語はしのの悪に対する復讐が焦点なのか?そこに潜む女の悲しい運命、そして一般世間の人々の普通の暮らしや感情がテーマなのか?作者の著作を読むのは始めてだが相当面白い。



東野圭吾著「手紙」東野圭吾著「手紙」、貧困家庭に育った二人の兄弟、兄剛志は弟の為に弟を大学に入学させる為に何としても金が欲しかった。そんな兄が強盗殺人事件を起こして刑務所に送られた。貧困と殺人者を兄に持つ弟直貴の人生その周りで起こる様々な苦難嫌がらせに耐えながら生きて行く。刑務所で暮らす兄からの手紙が最終的に兄弟を繋ぎとめた。何故か読者の気持ちを複雑にさせる読後感だ。



月曜日, 12月 05, 2016

エマニュエル・トッド他著「グローバリズムが世界を滅ぼす」、仏で著名な歴史、経済、人類学と幅広い知識を持つE・トッド氏を迎えてのシンポジウムをまとめたのが本書だ。2008年のリーマンショック以降グローバリゼイションの危機が先進国特有なものだと。グローバリズムが自由貿易を生み近隣諸国との競争を必須として経済格差が拡大する。すると経済循環が緩慢になりひずみが生じ企業が賃金抑制に向かい改めて格差拡大を促すという悪循環が派生する。この不況、デフレの時代に何をどのようにすれば良いのか。過去の歴史的事実により、公共投資を増やし社会保護を徹底し市場を統制するということである。しかし現実には緊縮財政、規制緩和、資本移動の自由化つまりグローバリゼイションの推進といった状況である。トッド氏は、グローバリゼイションの危機そのものが、民主主義の危機でもあると。



木曜日, 12月 01, 2016

門田泰明著「汝香るが如し」西條家令嬢美雪とその一行が、四代将軍家綱のご名代として大和の国現在の奈良県に旅するシリーズ編である。美雪の亡き母雪代の生家曽我家への旅である。逗留した曽我家で起こる数々の災難にも打ち勝ち晴れて江戸で天才浮世絵師と呼ばれる宗次と帰途に着くというスリルとサスペンスを存分にまた大和の国の歴史を丹念に盛り込んだ傑作である。


門田泰明著「命賭け候」浮世絵宗次日月抄シリーズだ。くノ一の子供梅を巡り、暗闘が起こるそこで宗次の出生の秘密が暴露された。徳川宗徳、将軍家の血筋を引き祖母に春日局を持つ由緒ある出自であった。活劇あり人情あり江戸は下町町民の暮らしぶりや人々の生活を通してスリルとサスペンスを満喫できるシリーズである。


門田泰明著「任せなせえ」江戸で起こる連続辻切殺人事件、浮世絵師の宗次に関連する人物も殺害される。俄かに浮上した京都公家800石宮小路家、徳川幕府となり京都公家は様々な仕打ちにより石高を減ぜられたりおとり潰しとなる現状に反旗を翻し殺人集団と化した宮小路家が江戸に。密かに調査する過程で京に上る宗次は、果たして宮小路殺人集団と対決する羽目に陥った。


門田泰明著「半斬の蝶」上下巻平安の昔、徳川時代か数百年の昔、応仁の乱の日野富子と今参りの局との遺恨が江戸の徳川幕府に影を落とし、浮世絵師宗次の身に次々と襲い掛かる痛快時代劇だ。軽妙な文体とともに読者を飽きさせない面白さは格別だ。


門田泰明著「冗談じゃねえや」4編を含む短編集だ。浮世絵師宗次の活躍が軽快に踊る。徳川家の血筋をまた豊臣家の母方の血筋をも隠し江戸の貧乏長屋に暮らす宗次こと徳川宗徳は、陽心流剣法の奥義を極めた剣聖としてもひた隠し長屋住民との交流から数々の旗本、大名、大店と絵仕事を熟している。宗次の周辺で起こる様々な事件を人情と類まれな剣術で解決する痛快時代小説である。


門田泰明著「夢剣 霞ざくら」浮世絵宗次日月抄シリーズだ。天才絵師宗次が活躍する痛快時代小説である。絵師であるとおもに剣豪でもあり徳川宗徳の名を伏せた宗次は、旗本六千石西條家の出戻り令嬢と巡り合う。江戸の人情豊かな町民との付き合いから、刺客との決闘シーンやら気軽に読める時代小説である。



黒川博行著「文福茶釜」大阪を中心とした古美術品を巡り暗躍する美術品蒐集家、道具屋と美術図書出版社と多彩な顔触れを背景に贋作を巡り奮闘する稀な書だ。著者の軽快な文体と合わせてその世界の裏側を剥ぎ取り提示する。



門田泰明著「皇帝の剣」下巻、江戸の長屋に住む剣法の達人であり浮世絵師宗次の今日の都へ帝の拝謁の為に参内する物語だ。京都を舞台に刀剣、旅籠、茶そして公家、大名など江戸時代の京都の風情と物語を絡ませ痛快活劇で楽しく時間を潰すことのできる時代小説である。



門田泰明著「秘剣 双ツ竜」浮世絵師宗次日月抄シリーズ、徳川四代将軍家綱を父とした扇姫に襲い掛かる様々な苦難を浮世絵師宗次が奮闘する物語だ。大老酒井清忠らの陰謀の元、青装束の忍びの手練れとの切りあいに始まり、甲斐は武田家の血筋を引くくノ一集団やらと、凄まじい程練りに練ったプロットは圧巻だる。


金曜日, 11月 04, 2016

黒川博行著「キャッツアイはころがった」、著者の出世作でミステリー大賞に輝いた作品だ。湖で発見された死体の口からキャツアイが転がり出た。さらに京都での大学生の死体、大阪での浮浪者の死体とこの殺人事件は広域捜査の対象となった。殺された大学生の級友が犯人を捜す、広域捜査官の捜査と著者のプロットは冴えを見せ軽快な文体と軽妙な関西弁の語り口が、読者を最終ページへと繰らせる。


火曜日, 11月 01, 2016

高橋克彦著「鬼」、平安時代の京の都で出没する鬼をテーマに陰陽師の悪霊怨霊払いをテーマにした物語だ。短編5編からなる本書は、権力を志向する者たちと取り巻く悪霊の狭間で活躍する陰陽師、滋岳川人、弓削是雄、安部晴明といった人々の登場である。いつの世も恐ろしきは、人の心である。



東野圭吾著「魔球」、高校野球に絡んだ殺人事件、貧困に喘ぐ家庭で暮らす天才的野球少年の苦悩と苦闘の渦中で発生した殺人事件を刑事が追う。少年の生い立ちを含め様々な伏線プロットを用意し事件の真相に迫る。著者の軽快な文体が最後まで楽しませてくれる佳作だ。



東野圭吾著「11文字の殺人」、Y島という離島で行われた殺人、その殺人を調査した女性推理作家と友人の冬子がその謎を追走する。クルーザーでY島へ行った人々を調査する過程で様々な予期せぬ殺人が次々と実行される。著者の軽快な文体とあいまって読者を一気に最終ページまで繰らせる魅力がある。



新海誠著「君の名は」、空想と現実のファンタジーとでも言ったら良いのだろうか?そして青春の妄想と忘却、希望、恋愛。忘却いな現実の中に生まれ育った故郷がある糸守町、神社、湖、役場の防災無線と。生き続けることそれは一種ファンタジーだ。



高橋克彦著「だましゑ歌麿」、江戸で絵師を絡めた殺人事件が発生する。歌麿の伴侶おりよが、無残な形で殺害される。南町奉行所の仙波一之進が事件の捜査に乗り出す。世は松平定信のお触れによる緊縮そして贅沢禁止だ。妻を殺害された絵師歌麿を始めとして版元蔦屋、南町、北町奉行所を交えての混沌とした状況の中で仙波遂に犯人を特定する。火付け盗賊改の中山であった。



又吉直樹著「火花」、お笑い芸人同志の付き合いの中で、主人公徳永と別の漫才師神谷との情感と寂寥感がひしひしと伝わってくる人生物語だ。少し欠陥のある神谷を徳永が見つめる眼は冷静で人生の悲哀と孤独と様々な関連を振りまきながら生きて行く。生きるとはこういつことかもしれない。



スタンダール著「赤と黒」下巻、ジュリヤンは、レーナル家を離れ、神父の推薦でラ・モール邸の公爵の執事として採用される。1830年代のフランスの貴族階級の様々な社会情勢を背景として物語は進む。ジュリヤンはその公爵の娘ラ・モール嬢に恋心を抱き煩悶する。作者がレーナル夫人と対象的に描くこの公爵令嬢は、自尊心が強く我儘でかつ純粋さを持ち合わせた性格だった。この恋愛によりジュリヤンは破滅へと突き進む。当時の階級下層の出身のジュリヤンと公爵令嬢、さらにレーナル夫人との恋愛を通して社会の偏見と闘い死に至る主人公の物語だ。



スタンダール著「赤と黒」上巻、1830年代フランス片田舎ヴぇりエールでの若きジュリヤンは、貧民層の生まれだが、その容姿と頭脳は飛び抜けて素晴らしく神学校生活からレーナル家の家庭教師へ。その家の美しい夫人と恋に落ち苦悩と煩悩さらに神への不信の生活を送る。そしてパリの神学校に移住しそこでかれジュリヤンは才能を発揮する。



門田泰明著「皇帝の剣」上巻、著者の書は本書が初めてである。浮世絵宗次日月抄シリーズの一作だと思う。江戸の長屋に住む天才浮世絵師宗次が、京の都の天皇の命で江戸から京都へと赴く。京では滞在中様々な苦難が待ち受けている。そして天皇に仙洞御所にて拝謁できるまでが上巻である。


木曜日, 10月 13, 2016

ジェフリー・ディーヴァー著「クリスマス・プレゼント」、久しぶりにディーヴァーの書を読んだ。16篇収められた短編集だ。最近の著者の作品は従来の切れがないが、この古い短編集は長編作に劣らず面白い。


水曜日, 10月 12, 2016

黒川博行著「大博打」、大阪を舞台にして、富豪な老人誘拐事件が発生し捜査に当たる大阪府警と犯人家族を巻き込んで身代金として犯人からの提示の金塊1トン余を巡りの攻防だ。著者な軽快な文体とともに最後まで飽きさせないプロット、余りにも使い古された誘拐というテーマは蘇る。


火曜日, 10月 11, 2016

百田尚樹著「カエルの楽園」、ナパージュという名のツチガエルの楽園がありました。ソクラテスとロベルトという別のカエルがナパージュにやってきて、楽園の様子を観察した物語となっています。楽園には山戒という、争わないという憲法がありました。ツチガエルはその山戒を最後まで死守しよとしてウシガエルに征服されてしまいました。著者の思想が凝縮した物語となっています。



月曜日, 10月 10, 2016

黒川博行著「煙霞」、高校教師2人と勤務する高校の理事長取り巻きのブローカらとの果てしなくスリリングな抗争が始まる。果ては、3億円を超える金塊100キロの争奪と読者を飽きさせない。高校の学園ものと思いきや、やはり著者の本領発揮だ。


日曜日, 10月 09, 2016

黒川博行著「悪果」、例によって、大阪を舞台にした刑事とヤクザの世界を超リアリティを持って描く作者の力量には、目を見張るものがある。警察内部は元よりヤクザの世界、殺人、賭博、シノギ等々読んでいて読者を飽きさせないリアリティがちりばめられている。


木曜日, 10月 06, 2016

黒川博行著「暗礁」、大阪を舞台にした破門に続くヤクザと堅気の主人公が絡む物語。ヤクザの桑原と主人公の掛け合いがたまらなく面白い。人間味とヤクザ特有の金に対する執念、抗争、血どこまでも裏社会をこんなにもユーモラスに描く作家はいない。


土曜日, 10月 01, 2016

池井戸潤著「陸王」、埼玉県行田市で足袋製造を営む「こはぜ屋」創業から100年もの歴史を持つ老舗だ。社長の宮沢は業務の販売の衰退傾向、先細り感は否めない。何か新しい商品の開発をと靴シューズに目をつける。それが、陸王の誕生になった。死蔵の特許権者を抱き込みシルクレイという新たな素材をソールにと開発し大手企業アトランティスに挑戦する。資金繰りや従業員の面倒等々小企業が抱える問題の全てを抱え込む宮沢社長の苦悩は経営者の実像で決して小説の中だけではない。そして新たな展開についてもやはり経営者の人となりだと思う。楽しく最後までページを繰らせる力のある作品だ。



トルストイ著「アンナ・カレーニナ」下巻、遂に破局を迎えるアンナとヴロンスキー、様々な葛藤や妄執の只中に暮らすアンナがとった最後の手段は自殺であった。アンナの自殺に至る心理は女性特有の妄想の中に只あり、愛という実態のない精神世界を見事に描いている。一方対比としてキチイとリョーヴィンの幸福な生活さらにリョーヴィンが、人生に苦悩し農事生活の中で信仰に目覚め希望を見出す。社交界やら苦悩、懊悩、不義不倫、愛とさらに戦争そして上巻でも指定したマルクスの唯物論的思想とまさに百花繚乱的小説であった。



トルストイ著「アンナ・カレーニナ」上巻、ペテルブルグでのアンナの生活の変化そしてヴロンスキーに対しての心情の変化は、遂に愛へと変化し不倫へと発展してゆく。この上巻の中で、リョービンの兄ニコライの発した言葉の中にマルクスの理論があったのは驚嘆すべき事柄だった。著者は「資本論」を読んでいたのか?とおもった。

黒川博行緒「破門」、大阪を舞台に主人公二宮と腐れ縁となったヤクザの世界を描く。シノギに汲々として暮らすヤクザの世界は、極道の非情さよりも何故か滑稽で愛着を感じる。人生どの世界も生きて行くって大変だなとつくづく思う。