火曜日, 1月 30, 2024

司馬遼太郎著「峠 下」、遂に継乃助が理想とする一藩として独立国家としての道程を示すことは困難な状況になり、自体は一路戦争へと傾斜していく運命にあった。官軍に一矢報いたが、遂に長岡城は官軍の手に落ちた、継乃助は配送し会津への途中で部下に棺を作らせ火葬させた。一人の侍否人間としての生き方を追求した作品だと思う。若い頃、放蕩遊学を繰り返し思想を育ててきた継乃助にとってこの時代に家を藩を出ることはできなかった運命にあった。超大作であるが非常に面白く読んだ。
司馬遼太郎著「峠 中」、 風雲急を告げる幕末、京都を中心に薩長土藩は朝廷を持ち上げ既に大政奉還をした慶喜は引退を願い出て大阪より江戸へ逃げ帰り蟄居してしまっている。混乱の中長岡藩牧野家の継之助は家老に抜擢され政治家として藩を支えて行くことになり多忙な日々を送り再度江戸へ出て異人とあったりまた福沢諭吉とも親しくして改めて御身の思想を自覚した、どこまでも武士であり長岡藩士であると。江戸に官軍が迫る中継之助も決断せねばならない状況である
司馬遼太郎著「峠 上」、幕末の時代に生きた越後藩牧野家七万五千石は、この時節にあっては裕福のようであった、この班での河井継乃助という当時としては考えられない理論を持った人物がいた。江戸や京都で放浪しこれはと思えば何処へでも出掛けその人物に師として請うという継乃助であった。横花ではスイス人と親交を結び長崎ではオランダ人とそして継乃助は広く世界を見て現状を分析能力に優れ、遂に長岡藩の殿様に請われ登城することに、しかし世の中は不穏になり激動の時代に入っていくことになる。
笹沢佐保著「見かえり峠の落日」、著者の股旅物は今回初めてである。都合5篇の短編集であって、興味深いのは物語の背景が私の住む群馬県あり知れた地名が頻々と出てきて興味深いものがある。渡世人の悲哀と旅行く姿は正に人生を生きる男の世界を哀愁と共に描かれている。当時の時代背景は良く調査されていて勉強になる。
司馬遼太郎著「燃えよ剣 下」、京都での新選組の活動が名を馳せ市井の人々の認識が上がりもはや新選組の知名度頂点を極めた。そんな中においても政変が次々と起こり激しい戦闘を繰り返し幕府軍と官軍の闘争は熾烈を極め遂に新選組は京を離れ江戸に降りることになった、近藤は怪我をし沖田は病床に臥した。著者は土方歳三の目を通して幕末から明治維新の激動の世界と蠢く人間模様を詳細に描いていく、歳三の稀なる人間像を描き幕末の動乱と土方の人生を通して十分人生を学ばせてくれる長編小説だ。
司馬遼太郎著「燃えよ剣 上」、時は江戸末期日野の田舎剣法理心流の兵、近藤勇そして土方歳三が田舎から京に上り新選組として京を仕切るまでに活躍する隊になる話である。土方歳三を中心に物語は展開し、薩長同盟が云々という物騒な時代背景を必死に生きる新選組と組みに関わる人間の機微を詳細に描いてゆく。
司馬遼太郎著「関ケ原 下」、関ケ原の盆地に武装して集結した軍勢は東軍、西軍を合わせ十万余であり日本最大の合戦、その東軍を束ねるは徳川家康であり方や西軍は石田光成であった。巧緻な戦略を遺憾なく発揮した家康の策謀は間諜を使い次々と西軍の諸将に働きかけ寝返りをさせ自軍の重要な戦力とした、一方で光成は計算知能に優れているが孟子の言う義でもって戦争を乗り越えようと全く現場を把握できなかった得意の性格の持ち主だった。家康の知略と胆力に完全に光成は敗れた。戦場に集う武将たちの置かれた状況と右往左往する気持ちの描写力はまさに著者の得意とするとこれである。
司馬遼太郎著「関ケ原 上」、関ケ原合戦に至る家康の野望それを支える老獪な本田正信の知略、秀吉亡き後誓紙を秀頼に捧げ遺訓尊び秀頼を補佐することを誓った豊臣諸侯もまた家康正信の巧緻な戦略の中で次々と家康側に屈していった。著者の人間を描写する鋭さと情景を描く繊細な筆力には何を読んでも感嘆するしかない。
笹沢佐保著「不倫岬」、吉祥寺署捜査一課部補である向坊長一郎は大富豪のサラ金女社長黒柳千秋の殺害現場に立ち会い捜査に乗り出すが、向坊は捜査本部の指針と違う結論を出し独自に捜査を進めることになった、容疑者は死亡した社長の秘書小田切丈二だった。小田切は向坊が妻由紀子と結婚する前の恋人であり、由紀子の体を不妊に貶めた男であった。事件は錯綜して次々と死体となって見つかる異常な状況、しかし向坊の意思は変わらず小田切の飽くなき追及であった。プロットの組み立てさらに複雑な伏線そしてロマンと人生下敷きにした本格ミステリーそして結末は意外な事実を告げる、読者が楽しく読める工夫が何か所にも隠されて最後のぺーじを繰らせる。
笹沢佐保著「逃亡岬」、薬品大手の会社に勤務する九門愛一郎は、銀座のホステスのミサと不倫関係にあった、既に妻とは断絶し彼女は勝手に愛人と仲良くしていた。ミサと別れ話を持ち出し関係は最悪な状況になりアパートを出た、そして間もなくミサは刺殺されたことを知る。そして九門に嫌疑がかかり四苦八苦する中でマンション近く富豪の娘千秋と知り合い一緒に逃亡することになる。ミサのマンションを出て間もなく一人の女性と会話を交わしている途中窓からミサがリンゴを階下に投げた、このことが殺人容疑となった九門を救う方法、つまり名前も判らない女性を探すべく千秋と一緒のアリバイ探しをして何か所も地方を訪れた、遂に彼女の正体がわかるが死体となって佐渡島で発見された。著者の人物描写はに細微に入り入念に描く技術は松本清張を彷彿とさせる、しかし最後の落ちは今一迫力にかける。

金曜日, 12月 29, 2023

ギョーム・ミュッソ著「人生は小説」、不思議なミステリーと、最後まで一直線的に結末へ突進していく読者をドキドキさせる感じがまるでないミステリーだ。本書の中盤では何かミステリーから逸脱し話がどこへ行くのだろうか?と不安になる。最後はすべてが明らかになった時に著者のどんでん返し的結末がまっていた。著者独特な異端ミステリーと思える出来栄え。
アガサクリスティ著「秘密組織」、本書はクリスティ作家としての第二作目作品だと、1910年代つまり第一次世界大戦前後のロンドンを舞台にしたミステリー、プロットを始め伏線としては当時の政治状況を随所に取り入れ広範な知識を余す事無く描いている。トミーとタペンスという相性のいい二人が冒険に挑み数々の困難を克服して犯人迫る、ドキドキしながら現在でも読めるミステリー教科書のようだ。
五十嵐律人著「法廷遊戯」、作者は法のプロ即ち弁護士であるという。家庭に恵まれず施設で育った二人正義と美鈴が卒園後に法学部を目指して大学へと、そこの大学での超優秀な馨という同期生と遭遇し三人の複雑な関係が成立し苦悩する。そして馨の父親悟が刑務所で自殺をしたことで、息子である馨の衝撃的な計画を回り遂に裁判となった、この時正義は既に駆け出しの弁護士だった、美鈴の意図馨の計画そして正義の決断とどんでん返し的結末がまっていた。
笹沢佐保著「他殺岬」、誘拐を題材にしたミステリーとしては、想像もつかない最後の結末だ。敏腕のルポライター天知昌二郎の一人息子が誘拐され犯人から五日後の午後9時に息子を殺害するという連絡が入った。これに苦悩する天知は出版社の編集長の田部井と相談して警察に連絡することにした。しかし当初天知の目論んだ犯人環日出夫を納得させる結果を得られなく刻々と時間は過ぎて焦りだけが胸を圧迫する日々だ。プロットといい伏線も良く考えられどんでん返し的結末が最高に面白い。
ロス・トーマス著「愚者の街 下」、 メキシコ湾を望む小さな街スワンカートン、ルシファ・ダイは裏のジン脈を最大限活用して潜り込みとうとう現市長を追い出しネサセリーを市長に据え自分は市長の次席に納まりスワンカートンに巣食う悪漢どもの締め出しにかかった。このミステリーは冗長性を伴い前後の脈絡を掴む要するにジックリ読む必要があると考えた。
ロス・トーマス著「愚者の街 上」、 第二次世界大戦前後の中国香港上海を舞台に諜報員として活動するダイと彼を取り巻く虚々実々の諜報選が繰り広げて遂にある街を腐らせるという珍しい任務に就くこと奈なった。秘密組織セクション2という組織を指揮する大佐の家に寝泊まりしているうちに大佐の一人娘と結婚したが妻を殺害されてしまう。
笹沢佐保著「アリバイの唄」、夜明日出夫シリーズの傑作ミステリーだ。プロットはよく練られていてアリバイ崩しの面白さを堪能できるが、TVドラマの渡瀬恒彦の顔を思い出しながら読んだ。二重にも三重に重なるトリックを夜明がその謎を解きアリバイを崩してゆく面白さに作者の力量を感じぜずにはいられない。
笹沢佐保著「シェイクスピアの誘拐」、 8篇を含む短編集である。正に短編としてこうあるべきという出来栄えであり、読んでいて楽しいし予想のつかない結末をつい期待してしまう内容だ。松本清張と同じく女性の心理描写あるいは女性という人間を深く理解していると思う。ほとんどが女性が主人公になっている短編である。
笹沢佐保著「暗い傾斜」、 何と言っても後半のドンデン返しに感動、プロットといい伏線の考えらた細密な状況設定は感動すべきな描写である。人間の根源的な生に対する作者の視点、女性の理解の深さ正に松本清張を彷彿させる展開にいたく感銘した次第である。
笹沢佐保著「後ろ姿の聖像」、巧みなプロットとしっかりとした伏線で描く著者の犯人当ては、読者を悩ませ欺く。殺人を犯し八年間の刑期を終え出所した沖圭一郎は、北海道にいる友人に今後の相談ということで話をしたが断られた、最愛の人アキは死亡し美貌の妹マリとの結婚の夢も見事に瓦解した。そして電車に飛び込み自殺、疑念を深めた経堂署の二人の刑事が必死に捜査する、そして追い詰めた。面白いし傑作だ。
笹沢佐保著「泡の女」、小学校長の父が大洗海岸近くの松林で縊死したと連絡があった、木塚奈津子はその不自然な死に疑問を抱いた、夫の達也が犯人として勾留された。夏子は呆然としんがらも自分で父の縊死を証明して夫達也を釈放するという困難な道を選択せざるを得ない状況に追い込まれ。父の足跡を探り続け遂に昔の教え子との不倫の末に妊娠させたことと掴んだ。その女、千里は夏子の夫達也とも関係を持ち夏子を殺害すべく大洗に誘った。非常に考えられたプロットと伏線で好著であった。
笹沢佐保著「結婚て何さ」、真弓と三枝子は同時に勤めている会社を辞めて鬱憤晴らしに有り金をはたいて飲み屋に出掛けしこたま飲んだ、その場で男と知り合いまた飲んで滔々男が進める旅館に三人で宿泊する羽目になった。翌日男が死んでいた、ここから始まるミステリー小気味よく読者を翻弄して週末へ交換殺人というトリックを滔々看破できなかった。プロットといい伏線といい上手くまとまったミステリーには感銘を受ける。
誉田哲也著「背中の蜘蛛」、警察ミステリーで長編である。第一部、二部、三部と続きそれぞれテーマは違い犯行も勿論犯人も違う、だが捜査する側警察官であり生身の人間警察内部での人間関係そして警察官としての個人そして一国民としての意識にはそれぞれ見解は分かれる。そんな中で人間としての警察官を見牛うことなく追及する著者の真摯な人間に対する愛情を深く感じぜずにはいられない、傑作だ。
大藪春彦著「青春は屍を超えて」、戦後の復興期の目標も無くどこに突き進んだらよいのか混迷の時代に生きる若者の生態を描いた8篇の短編集である。著者の拳銃に対する造詣の深さに 感心するその拳銃を若者が使用して犯罪を犯してゆく不条理な過程を真摯に追及してゆく、当時の世相も垣間見えて懐かしく読みました
アン・クリーヴス著「哀惜」、彼女の作品はぺレス警部シリーズを読んでいたが、今回マシュー・ベン警部の物語は初めてである。イギリス南西部のとある町の警部であるマシュが海岸で殺害さ有れた男サイモンについて捜査を開始、依然として暗中模索の中に捜査班はいるだけだ。町の複合施設に通うそれぞれの人たちの人間描写を丁寧に描きながら事件の関連性を手繰り寄せていく。作者の周到なプロットそして人間描写が素晴らしい最後に判明する犯人は意外な人物だった。

水曜日, 11月 29, 2023

早瀬耕著「未必のマクベス」、香港、マカオそしてサイゴンとクアラルンプールといった東南アジアを股にかけ活躍する男、中井優一は某IT企業の営業マンだ。ICチップ入りのカードの拡販が想を来たし遂に支社長に就任する。香港に会社を置くこの会社は関連会社との軋轢に加え本社印刷会社の取締役やからプレッシャーを受け右往左往する展開だ。副社長を殺害して難局を乗り越え、以後順調かと思われるも次々と関連会社の社員が殺害された。しかし優一にとって高校時代に思い描いた鍋島という女性を一貫して20年間も恋愛していたこの一貫性については並みの恋愛小説どころではない。文章も平易で頁を繰る手がとまらない。
中山七里著「能面検事」、大阪地検の検事は喜怒哀楽に始まり一切顔色を変えず只管自分の責任を全うする検察官としての業務を淡々とこなしていくそんな検察官不破俊太郎の下で検察事務官として働くことになった惣領美晴が殺人事件を独自のルートで追い詰め起訴に持ち込んで行く二人の確執を中心に能面検事の素顔を美晴によって徐々に暴いていくのも面白い。その後府警本部で起こった捜査資料の大量紛失事件が勃発この事件で不破は一人で突き止め府警は恐怖のどん底に陥りはては検事の銃撃を伴うまでになった。ここでも不破の手段は絶妙で犯人を特定する。
藤崎翔著「逆転美人」、小さい頃から可愛いと皆に言われた少女は大人になって益々美人となり、小学生中学生高校生といわず陰湿な虐めを受けた優子は居たたまれなくなり高校を中退しキャバクラへそこで知り合った不動産屋の男と遂に結婚し一児を設けた。そして二人は保険金殺人を共謀して彼女の祖父そして前夫の子供香織に重症を負わせ歩行困難にそんな折彼女の勉強を見てくれている教師に共謀殺人を感ずかれ教師も殺害と殺人を重ねた。その後美人故辛酸を舐めた優子の反省を手記という形で出版しないかと持ち掛けられ承諾した、前半はこんな推移で物語は進行し後半は実際に手記を書いたのは香織であるという事実を明白にし香織の殺人への暴露が始まる。この特異な形態のミステリーには唖然とするしかない。実に面白い。
田島斗志之著「黒百合」、 戦後の混乱期に夏休み東京から神戸は六甲の別荘にやって来た少年進は友達として2人と知り合い仄かな恋心抱きながら夏休みを過ごす。戦前のドイツでの旅行に付き添った時のヒトラーに支配されたドイツの情景やらが生々しく描かれている、そこで知り合った二十歳の女性一人旅だというそれが戦後に思わぬ邂逅につながる。ここに描かれてる翁は宝塚歌劇団の創始者であるという、六甲の山と森の中で静かに繰り広げられる幼い恋愛感情そして殺人が挟まり一挙にミステリーになってゆく。
倉知淳著「過ぎ行く風はみどり色」、例によって猫丸先輩が登場する話、しかも今回は文庫本で600頁近い長編ミステリーなのである。世田谷の豪邸での一室で隠居した老人が不審死を遂げた。事件から数日後に叔父が連れて来た霊媒師と言われた穴山、彼は後日降霊会を開くという事で当日又もや殺人事件が発生当の霊媒師が殺害された。そして最後になって方城家の家政婦のフミが犯人と特定される男を毒を持って殺害と算段重ねでプロットを組み立て冗長性はあるが上手く書き込んでいて面白かった。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 八」、遂に最終巻。ロシアのバルチック艦隊との会戦となり、双方激しく攻防が実施され天才戦略家の秋山真之の指揮のもと片やロジェストヴェンスキー提督率いるバルチック艦隊は迷走し戦艦スワロフは海底に沈み助け出されたロジェストヴェンスキーは負傷し佐世保へと送られた。ロシア軍の完敗だった、欧米各国は脅威の眼で日本軍の勝利に目を向けた。こうして日露戦争戦争は終結し明治の時代の終焉となった。日本の歴史の一時期を二人のまた子規を含めた三人の人生を重ね合わせ約10年という歳月を賭けた時代を著者の執拗な調査と歴史観による大作だった。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 七」、泰天の会戦は激烈を極め、日本側は右往左往し危うく退却することに、しかし救われたのはロシア軍を率いる提督クロポトキンの性格による臆病風による退却に次ぐ退却によって日本軍はまさに救われた。しかし著者の執拗にして素晴らしい調査そして歴史を達観する能力には驚きを隠せない。その頃ロシア軍のバルチック艦隊は一路極東に向かって進軍していたが、この艦隊の総司令官であるロジェストヴェンスキーは奇妙な性格で日本海での決戦を前にして躊躇しその戦略すら下士官やら水平までも不信がられていた。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 六」、辛くも旅順で勝利した日本軍はまさにどん底の闘いであった、借金の上で戦争の装備弾薬を調達し戦地に回すという危ない橋を渡りながら旅順を陥落させたことは日本陸軍にとって朗報であった。ロシア軍はその後も中国清に着々と領土を拡大し遂に泰天に強大な城を築き日本軍との会戦の準備をしてきている、戦力は圧倒的にロシア軍が有利で日本の大本営は苦肉の策で左右展開し攻撃し動揺するロシア軍の中央突破という戦策を考えていた。海上ではロシアのバルチック艦隊はいよいよマダガスカル島から石炭及び食糧の補給を最大限実施して遂に極東に向けて錨をあげた。
倉知淳著「幻獣遁走曲」、5編の短編集である。猫丸先輩と呼称される永遠のアルバイターであり、頭脳明晰にしてあらゆる問題を解決する懐の深さを持つ作者が創造した名探偵集である。猫丸と取り囲む人間達を作者は悪人でなく、通常の普通の人間として描きそこに何ら悪の匂いを感じさせない優しさがある。対して猫丸は平等に接し決して非難するこなく事件を解決する何かこの5編すべてに優しさを感じるのである。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 五」、乃木希典の無能ぶりにあきれ果てた陸軍大将の児玉は、遂に自ら旅順に行く決心をして戦略と共に自ら指揮して203高知を手中にすべく奮闘し奪還した。この奪還は予想外の効果を齎し正に起死回生の逆転劇であった。一望できる旅順湾に停泊中の軍艦を強大な大砲を発狂喜させた。その頃バルチック艦隊は極東に向け南下を続けたが旅順に停泊の艦隊と合同で戦うべき戦艦が絶滅したことを知ると意気消沈し配送まで考えるようになっていた。

日曜日, 10月 29, 2023

大沢在昌著「ダブル・トラップ」、元優秀な諜報員として働いてき今は高級レストランのオーナーとして過ごしている加賀哲の下に一本のテープが送られてきた、そのテープは勝手の同僚である牧野からだった、助けてくれというメッセージだった。急遽宇和島に飛んだ加賀は牧野と合うことはできず工作員のと格闘を余儀なくされズルズルと諜報機関との接触を余儀なくされた。松宮貿易という秘密諜報機関そこに群がる秘密警察海外のテロ組織そして公安、これらの標的にされつつ独自に運命を切り開く加賀の勇気と信念を描いた作品だ。
小泉喜美子著「弁護側の証人」、ミミーローイ彼女はストリッパーであったが、彼氏の彼は大会社の富豪の御曹司だった。結婚を機に彼の自宅へと居を構えそこの住人となった。しかしある日その社長つまり祖父が何者かに机上の文鎮で殴打され殺害され容疑は祖父の部屋へ出入りを目撃された若妻に嫌疑かかり逮捕され裁判となった。美人妻を弁護した清家弁護士の必死の弁護により無実を勝ち取り、夫の杉彦が逮捕されるという事件だった。どんでん返し的結末が甘く何故か頁を繰る手が進まない。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 四」、 貧乏小国日本は日露戦争において、弾薬不足に兵器不足とギリギリの戦での戦いに終始しており、打開すべく道はとざされているかに見えた。精神論で戦うこれが日本の現実だった。海軍は旅順を攻略してくれる陸軍を頼みに外洋で碇泊している、その陸軍の隊を率いるのは乃木希典は如何にしても無能で日本兵をやたらと殺させ大本営の意見も聞かず戦況も偵察せず無益な戦闘を繰り広げている。ロシアのバルチック艦隊が近づきつつある現状である。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 三」、極東の弱小貧乏国家は維新後も藩閥の名残を残しながら海洋国家としての歩みを続け、艦船を海外に発注して着実に帝国主義の路を歩んでいた。そして松山で療養中の正岡子規は日に日に体力の衰えを見せ、遂に帰らぬ人となった。極東を回り列強の各国の駆け引きが盛んになり清国及び朝鮮を廻る動きが活発になり中でもロシアは露骨に侵略の意図を示し日本にとってもこの動静は少なからずロシアに脅威し遂に日露戦争の会戦となり秋山兄妹もそれぞれ戦地に赴いた。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 二」、 日清戦争に勝利した日本は、軍備拡張を目指し中でも軍艦を建造といっても外国への発注であるが整備に本腰を入れ真之は海外の海軍及び造船所を具に観察しながら海戦の戦略を計画していた。好古は35歳になり結婚して子供を設けていた、子規は喀血を繰り返し松山での床に伏していたが精力的に俳句及び短歌について論文を書き発表し続けた。明治期の帝国主義国の清を中心とした列強の動静に著者は可成り詳しく調査して著者独自の歴史観を展開して面白く読んだ。
司馬遼太郎著「坂の上の雲 一」、大政奉還を経て無血革命による明治という時代を生きた伊予松山の秋山兄妹兄は好古で弟は真之そして正岡子規は兄妹にとって親友だった。兄妹とも頭脳明晰で成績も良く兄は陸軍へ弟は海軍へと歩んだ。当時正岡子規は喀血を度々繰り返し医師からは肺結核という当時としては不治の病に罹っていて瀕死の重傷で実家の四畳の間に床へ伏していた。好古はフランスへ留学騎兵術を学ぶため真之は漸く英国に発注した軍艦に乗船し技術を学び始めていた。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 5」、退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は短編4編という形で提供されています、実に様々なネタを考えて作り出す作者の能力というか想像力に感心するばかりです。今回はメゾン・ド・ポリスの成り立ちが、伊達によって明らかにされ人間味のある人生を達観した者の温かさがそこにありました。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 4」、退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は短編5編という形で提供されています、実に様々なネタを考えて作り出す作者の能力というか想像力に感心するばかりです。退職刑事の中にどっぷりと漬かりこんだ牧野ひよりの成長する姿が微笑ましいかぎりです。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 3」、 退職警官が居住する通称スメゾン・ド・ポリスには5人元刑事やら科警研出の人物その5人と柳町北署の牧野ひより刑事とのタッグでこれまで事件を解決してきていた。今回は爆弾魔との対決3作目にして初めての長編だ。病院やら公園と囮の偽爆弾を仕掛ける犯人を捜査しているのはひよりと退職刑事だ、そして挽弾魔の味とはスメゾン・ド・ポリスの一人迫田の息子が勤務する水族館の建設だった、環境破壊と生物を苦しめる事業について批判的な集団を摘発する。そして間一髪ひよりは命拾いする、テンポのある展開に思わず引き込まれあっという間に読了。
マイクル・コナリー著「バッドラックムーン 下」、ホテルの警備主任グリマルディの依頼を受けたジャック・カーチは執拗にキャシーを追跡し彼女の元の相棒であり異父兄にあたるレオ・レンフロを血祭りにあげた。そしてカーチは刑務所でキャシーが生んだ娘(養女となっている)ジョデーを拉致誘拐し車でラスベガスに向かいホテルのスウィートに投宿した、グリマルディと連絡を取りながらキャシー来るのをホテルの部屋でジョディと一緒に待ち二人を自殺に見せかけて殺害する予定だ、キャシーは天井裏から部屋に侵入しジョディを奪い逃走、そしてカーチはグリマルディ一味まんまと騙され危うく殺されるところ逆に彼ら一味を銃殺してのけた、無事ラスベガスを脱出してジョディを送り届け走り去った。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス 2」、退職刑事のシェアハウス通称メゾン・ド・ポリスには5人の元刑事やら科捜研にいた分析官が居住し所轄の牧野ひより刑事と共に様々な事件を解決シリーズで今回は2巻目である。犯罪の設定やらプロットといい実に味付けが微妙で一気読みの感があり楽しく読むことができる。窮地に陥るひよりを退職刑事達つまり人生の先輩が導きながらひよりの成長を見守る構図となっている。悪に対して敢然と戦う姿勢にひよりも全力投球で立ち向かう。
マイクル・コナリー著「バッドラックムーン 上」、窃盗の罪で刑務所に5年間服役し仮釈放中のキャシーは、再び強盗を計画しロサンジェルスからラスベガスへと、カジノに潜入し周到に用意した様々な機器を持ち込みある運搬人の宿泊する部屋に設置し自分は相向かいの部屋に投宿した。そして日付が変わり真夜中を過ぎ午前3時近く眠っているターゲットの部屋に侵入5万ドルの現金を掴みずらかろうとしたところで眠っていたターゲットが目を覚ます瞬間9ミリ口径の拳銃で射殺し早々にホテルをでてボクスターに乗りずらかった。ホテルの警備支配人に現金を取り返すべく依頼された私立探偵のカーチは察策捜索に動き出し、窃盗した人物を特定した。
加藤実秋著「メゾン・ド・ポリス」、柳町北署の刑事槙野ひよりと退職警官が住むシェアハウスでメゾン・ド・ポリスに住む5人の叔父さん達と協力して事件の捜査をし解決に導くそんな物語だ。様々な特技を持ちそれを発揮し捜査に生かす事件も実に気の利いたもので、本当に楽しく読める本である。
池波正太郎著「雲霧仁左衛門 後編」、雲霧仁左衛門の最後の盗目を前に江戸での著名菓子補を襲う計画を建てた雲霧一味は仲間配下を江戸に参集させ火付盗賊改との熾烈な情報合戦を展開ついに雲霧一味の陰謀を解明した火付盗賊改に暴かれた。この間、虚々実々の展開は読者を翻弄して楽しくページを繰らせてくれる迫力に圧倒された。そんな展開の中で仁左衛門とお千代との恋愛初め配下を思う仁左衛門の器量の深さ盗賊改めの武士の間の信頼関係等人間を描くことを忘れない著者に人間の深い洞察には感服やはりTVドラマも面白いが原作にも感動。
畠山健二著「本所おけら長屋 外伝」、20巻を読了して、本屋で見かけたこの書つまり外伝も素晴らしい仕上がりに感服、本所おけら長屋の住人たちの人情と優しさ人間はこうじゃなきゃという人生の指標がいたるところに潜みつくづく著者の筆力に拍手を送ってしまいます。