日曜日, 12月 25, 2022

高田郁著「あきない世傳金と銀 十二」、念願だった太物飽きないから呉服へと浅草太物組合は願いを遂げた。困難辛苦の後の達成感は五十鈴屋店主幸に希望を与え商いも順調に推移した。浴衣と呉服撞木に下げたその様は見事なものになった。江戸での商売はやはり大名家さらに大奥や吉原の廓の花魁が纏う呉服が呉服商の商いを発展させる元であった。そんな折吉原の楼主から五十鈴屋店主に齎されたのは衣装競べという趣向に出店しないかとの相談であった。
ギョーム・ミュッソ著「夜と少女」、南フランスは、コート・ダジュールを舞台に展開する本格ミステリーでどんでん返しあり先の読めない読者を深く惑わす物語に只管感銘を覚える。アメリカはニューヨークで作家生活を送る人気作家トマ・ドウガレが久しぶり凡そ25年ぶり40歳になったいまコートダジュールの高校の記念パーティーに出席するために来仏した。過去の殺人事件の真相を自分の眼で確かめるためだった。複雑な家族関係そしたトマを取り巻く人間達の常軌を逸した行動そして事件は急速に解明されてゆく。仰天プロットと伏線そして展開の速さは著者独自の物で秀逸だ。
津本陽著「前田利家 中」、いよいよ秀吉の健勢は勢いを付け、諸城を開城して天下を取るべく粉塵し諸大名を臣下に抱え強大な勢力となった。利家も秀吉に降り秀吉の近習としては家康と同様に太閤秀吉の側近となった。大阪城及び名古屋城を築城し城下は経済も潤し発展して秀吉の懐には金銀遍く入りこの財貨を使うべく朝鮮半島に派兵し明国を陥れる算段となった。しかし朝鮮も手強く手を焼く結果となった。その頃利家の妾側室のちよに赤子が誕生しまた秀吉にも寧々の方にお子が誕生し秀吉は狂喜乱舞し名古屋から大阪へ帰城した。
高田郁著「あきない世傳金と銀 十一」、五十鈴屋店主の幸が考案した浴衣は予想外に売れに売れた。江戸では大火が続き庶民はそれこそ苦労の連続であった、音羽屋に嫁いだ妹の結との仲も荒んだ状態のままだった。一緒に住む菊英の簪商売もようやっと日の目を見る段になって幸は安堵した。そんな折太物商売仲間に幸が提案したのは浴衣地を仲間の店でも商売したらというものだった。それから相撲に関わる者が五十鈴屋を訪ね勧進大相撲の初日に力士に染め抜きの浴衣を着せたいとの申し出があり苦労して何とか間に合わせ、太物商仲間と共に売り出したところ好評で全て売り切るという事態になり仲間は幸に対しての恩を忘れず呉服も扱える許可を貰おうと提案してくれた。
長岡弘樹著「傍聞き」、本の題名は「かたえぎき」と読むとおのこと、本書には短編四篇が収録されていて日常の生活、そして登場する人物も普通だがそこに事件が発生するつまりミステリーが絡んで来る。微妙なニュアンスというかつまりミステリーの重さというかが後になってわかるという好著だ。
津本陽著「前田利家 上」、16世紀の戦国時代信長の野望の只中に生きた前田利家の豪儀な性格と槍つかいの名手として知られた男であった、若い妻まつと共に戦乱の中を搔い潜って生きた。信長の容赦ない下知に部下は皆戦々恐々として時を過ごしたのである。明智光秀による謀反で信長は殺害され透かさず天下を取ったのは秀吉であった、親父と信頼してきた柴田勝家は秀吉の命で無残にも自害に追いやられ利家はこれを機に秀吉の下につくことになった。
ジェフリー・ディーヴァー著「スキン・コレクター 下」、タツーアーティスト通称未詳115号の犯罪計画は、壮大で邪悪な企みにあった、それはニューヨークの地下に配置された無数の水道管にポツリヌス菌を投入し一瞬にして毒殺するといった計画だった。リンカーン・ライムとサックスのコンビは未詳の裏を描いて水道管に穴を開けた犯人を死亡させた。しかしその犯人は未詳ではなかった。次々と展開が進み、過去のボーン・コレクターそしてウヲッチメーカーなどが飛び出してきて、そして著者のどんでん返しも秀逸で最後まで楽しめた傑作だった。
ジェフリー・ディーヴァー著「スキン・コレクター 上」、お馴染みの四肢麻痺ながらもニューヨーク市警のコンサルタントを務めるリンカーン・ライムと背丈が180cmもある美人の相棒アメリア・サックス刑事の事件捜査物語だ。今回の事件はタツーアーティストを自称する人間の肌に異常に興味を示すビリー・ヘイヴンが女性を襲い眠らせ麻痺状態で毒物でタツーを施し死に至らしめるといったサイコパスを追跡する物語だ。ニューヨーク市街地の地下で若い女性がターゲットにされ連続殺人事件が発生リンカーンとアメリアそしてニューヨーク市警の若手の科学捜査が開始された。
戸松淳矩著「名探偵は千秋楽に謎を解く」、昭和50年代の作品だというが、面白さと斬新なアイデアは今でも驚きに満ちたプロットそして状況設定が素晴らしい。相撲部屋を中心に描き不動産業者の社長、置屋のおねーさんさらに部屋を取り巻く植木屋、牛乳屋、曹操たる顔触れつまりユーモワミステリーとでもナズケテいいのではないか。
高田郁著「あきない世傳金と銀 十」、妹結に小紋染めを持ち去られ、不調が続く幸五十鈴屋にとって苦難の中にあった。絹織物から太物商売に転じて幸は困難の最中に遭っても創意工夫の路を求め続けるそして浴衣地の藍色と白字抜きの柄、絵描の賢介が必死になって描いた花火の図柄を浴衣にするという試みは遂に江戸中の評判になるほど一世風靡となって幸そして五十鈴屋の従業員一同を満足させるもんだった。困難の中にあっても希望捨てず只管考え実行する幸の心情が見事に花を咲かすそんな今回の物語であった。
まさきとしか著「あの日、君は何をした」、平々凡々な家庭の息子水野大樹が警官に追われ駐車していたトラックに自転車で激突し死亡した。母は大樹が死んだことにより徐々に精神がおかしくなり、遂に関係した人物を次々と殺害する。捜査を担当する刑事二人は綿密な聞き込みから、やがて事件の全貌を掴むことになる。母親と子供の関係をいやでも思い知らされるこれこそが愛情だと言わんばかりだ。そしてミステリーが絡む秀逸だ。
ジョン・ダニング著「死の蔵書」、米国はデンヴァー警察署警部補のジェーンウェイは、警察官ではあるが無類の本好きだ。そんな彼の前に本の掘り出し屋のボビーが死体で見つかった。捜査を進めると次々と難題にぶつかりながらも進行していった。往年の仇であるジャッキーとは相変わらずの間柄で、ある時決闘になり彼を散々殴り倒した後、警察を追われ長年夢だった古書店を開店させた。ある日書店で雇った女性ピンキーと違う書店の店員が殺害されたしかもジェーンウェイの古書店内で、真相を掴めないまま右往左往する。長編であるが物語に色んな作家や作品名が出てきて、十分楽しめた。
ミネット・ウォルターズ著「女彫刻家」、ロズ・リーは、フリーライターで友人アイリズから本の執筆を依頼される、それはオリーヴ・マーチンという女性の犯罪についてだ。ともかく一度彼女に面会しようとロズは刑務所を訪れる。彼女オリーヴはでっぷりとした女性だった。ロズの調査はこの時点から開始され生きたの困難さらにロマンスも絡ませ最後に犯人の特定にいたる、ミステリー&ロマンス小説だ。
高田郁著「あきない世傳金と銀 九」、江戸本店として商売を続けて3年が立ち店も順調に繁盛している五十鈴屋だった。十二支を染めた小紋が売り上げを伸ばしたさなかに事件は起こった、幸の妹結が行方不明となった、見つかった結が起こした行動は意外なもので姉である幸に反旗を翻し日本橋音羽屋に嫁ぐというものだった、しかもそこで呉服屋を営むといった予想外の結末だった。幸の心労は極限に達したが太物商に転落した五十鈴屋を再興すべく必死に知恵を絞る姿を店のもの全員で幸を応援してゆく。
マリナ・Ⅴ・スナイダー著「毒見師イレーナ」、殺人の罪で生きるか死ぬかの選択を迫られたイレーナは、毒見師として生きる決意をした。それは最高司令官のもとで食事の毒見をする仕事だった。日々仕事に打ち込んだイレーナに次々と災難が襲い掛かりその旅に上司のヴァレクに救われる。隣国の魔術に陥った最高司令官を救うべく隣国に乗り込んだイレーナは死闘を繰り返し遂に魔術師を倒した。プロットは冗長性があるものの最後まで読ませる面白さがあった。

月曜日, 11月 28, 2022

ゾラン・ドヴェンカー著「沈黙の少女」、三人称で進行していく物語は一貫して緊張感を孕み読者を離さない。私一人称は平凡な中学校教師である、ある日突然娘が誘拐され行方がようとして不明だ。このことがキッカケで妻とは別居、そして私は自分で見つけると決意する。二人称のきみは、施設からやはり誘拐されたが命は取り留めた。三人称の彼らは誘拐犯であり小児性愛者でサイコパスの軍団だ。これらが複雑に絡み合い物語は進展してゆくドイツミステリーだ。
ジェームズ・M・ケイン著「郵便配達は二度ベルを鳴らす」、放蕩男フランクがふと街道筋の安食堂に立ち寄ったそこにはギリシャ人の亭主と豊満な肉体を持つ妻コーラが営んでいた。亭主に要請され彼フランクはそこの食堂で働くことになり、等々妻コーラと出来てしまった。そして二人は亭主殺害計画を練り実行すること二度目にして遂に殺害に成功する。物語のプロットはごく普通の話題でタイトルとは全然似ていない、人間の真と真理が普通に語れていいる。
クリスチアナ・ブランド著「ジェゼベルの死」、何千人が見守る演劇上での密室殺人事件が起こったたまたま見ていたケント州警部コックリルがスコットランドヤードの警部と共に捜査に乗り出した。そして生首を送りつけられる事件が発生、事態は混沌としたものにヤードもコッキー右往左往するばかりだ。作者の作品は初めてだが、伏線といいトリックさらにプロットといいミステリーとしては完璧ではないかと思う優れた作品だ。
水原秀策著「サウスポー・キラー」、 日本野球界きっての名門オリオールズに入団して2年目のサウスポーの投手である沢村が、ある日暴行を受けそれが二回続いた、その後在らぬ疑いつまり八百長疑惑が持ち上がった。その文章がメールにて複数の新聞社を始め報道機関の送付され、沢村は四面楚歌の状態に陥りしかし自分でケジメを付けるべく調査に乗り出し犯人を特定した、その男は同じ球団の同じサウスポーの三浦だった。このミス大賞受賞作品でそんなに冒険も無いストーリながら楽しく読ませてもらった。
サマンサ・ダウニング著「殺人記念日」、ごく普通の家庭、夫はカントリークラブのテニスコーチそして妻は不動産仲介業をしている、そんな家庭に忍び寄る殺人志向を平々凡々と描いていく。後半はスリルがあり読者のページを繰る手を止めさせない力がある。妻であるミリセントの心の内にある殺人志向を読後考えさせられる。平々凡々とした日常に潜む人間の悪意を見事なまでに描き出している傑作だ。
アガサ・クリスティー著「鏡は横にひび割れて」、ロンドンからほど近い村で、女優マリーナがパーティを催した、そして招待客の老婦人が毒殺された。少し冗長性を感じるがプロットはしっかりしているし伏線も計算された配置だ。ミスマープルの人柄も物語に登場する人間の描き方も詳細だ。ミスマープルのミステリーは初めて読んだがポアロと違った面白さがある。
畠山健二著「本所おけら長屋 十九」、十九巻も続いているおけら長屋は、まず気軽に読める、江戸風俗が解る、長屋の住人それぞれの人情味が解る、そんな物語だ。今回も待ったなしに笑いと涙を誘う、中でも三祐のお英と松吉の祝言まで到達はてはて次巻はどうなることやら楽しみだ。
藤原伊織著「テロリストのパラソル」、70年代大学紛争全盛の時代に全共闘を戦った主人公菊池と親友桑野、その後の人生を辿りながら物語は進展してゆく。アル中の菊池は当時の犯罪歴から島野と名を変え場末で小さなバーでバーテンをして孤高を凌いでいた。ある日何時もの日課で新宿中央公園に散歩に出掛け、バンダン事件に遭遇そして巻き込まれ死んだ中にかっての恋人の名前があった。バーを閉め一人犯人に立ち向かう。様々な過去を背負い生きてゆく人たちの孤独と携える懊悩プロットといい背景といい計算されたシュツエーションに感動。乱歩賞受賞作品は実に面白い。
野沢尚著「破線のマリス」、著名なテレビ局の報道番組編集マンである離婚経験にある女性、遠藤瑤子が手掛けた作品というか報道はテレビ局の番組の視聴率を確実に稼いでいた。ある郵政官僚だという男から渡された一本のテープを基に事件はあらぬ方向へと進展して行く一女性の日常と非日常を巧みに織り交ぜたプロットは読者を離さない。また最後tのどんでん返し的結末も爽快だ。
首藤瓜於著「脳男」、不遇で障害児として生を受けた男の人生を米国から帰国した精神科の医師鷲谷真梨子が賢明に過去を調査し男の人生を解き明かそうとする物語だ。着眼点も素晴らしいそして男に纏わる数多の関連人物を描き出しミステリーとして完結していくプロットは読者を離さない。乱歩賞受賞作品だ。
望月諒子著「殺人者」、フリーのジャーナリストである木部美智子は、上司から取材対象としてしめされたのは関西での殺人事件の取材だった。現地に飛んだ木部は関係する様々な人間に取材し次第に核心に迫ってきていた。それは15年前の事件が切っ掛けで連続殺人事件が起きていると判明、殺害された被害者は高校の同期生でありまた彼らと接点のある被害者だった。プロットが実に上手く出来ていてかつ伏線もよく練られていて本屋で立ち読みで購入した割には正解だった。
クレオ・コイル著「名探偵のコーヒーのいれ方」、100年も続くニューヨークの老舗コーヒーショプの経営者として指名されたクレアはある日従業員でマネージャーのアナベルが階段から足を踏み外し転落し意識不明の重傷を負った。警察では事故として処理したが、クレアは自分で調査しようと決意した。そして競争相手の一味の犯罪だと判明した。コーヒーの香りとミステリーという相乗効果を狙ったライトノベルだ。

日曜日, 10月 30, 2022

真保裕一著「連鎖」、検疫所のGメンである羽川は、友人でジャーナリストである竹脇が車ごと海に飛び込んで救出され意識不明の重体だと聞かされ、果たして竹脇は何を探っていたのかを知りたいと竹脇の痕跡を辿ることにした。そこで調査に乗り出した結果、商事会社や卸売り業者、運送業者さらに赤崎組といったヤクザが複雑に絡み合い貿易でコンテナを利用した不正取引の実態が明るみに出た。そして最後のどんでん返しが検疫所の情報を流出していたのは所の課長であったことが判明。検疫所というミステリーの舞台として珍しい設定で伏線の複雑さ最後のどんでん返しを含むプロットは乱歩賞作品に相応しい。
川田弥一郎著「白く長い廊下」、病院勤務の外科医窪島典之は、手術を終え病棟に行く途中で息を詰まらせ死亡した患者に死亡の原因に不信を抱き独自に調査することにした。そして死亡した患者の妻から訴えられ総額一億円もの賠償を請求され草角会長らも腐心して支払いに応じたのであった。調査は薬剤師のちずると共に二人で行う過程で発見したのは看護師の榊田十和子の存在だった、患者の運搬途中で患者に注入している管の栓を捜査して死にいたる措置をしたことが分かった。患者の妻良美と榊田は繋がっていたのだ、作家が医師だけに専門用語や病院内の事情も交えリアリティに富んだミステリーだ。
赤井三尋著「翳りゆく夏」、乱歩賞受賞作品である。嬰児誘拐をテーマに大手新聞社関わる複雑な伏線を用意しプロットを進めてゆくベーじをくる手を止めさせない迫力があり圧巻だった。最後のどんでん返しも強力で圧巻だ。人生の機微も盛り込みミステリーとしても文学作品としても優秀だ。
文学部教授のニッキイと群検事がおりなす様々な事件を教授は卓越した頭脳で解決してゆく、軽快な文章とともに団欒中のひと時を至福してくれる名著である。ホームズと違って直接捜査に加わらず群検事の話からその卓抜な頭脳で解決してしまう安楽椅子探偵と故障すべき名探偵なのである。ハリイ・ケメルマン著「九マイルは遠すぎる」、
新野剛志著「八月のマルクス」、元お笑い芸人だった笠原は今はスキャンダルの後芸能界を去り、家賃収入を当てに細々と暮らしていた、ある日訪ねて来た相方だった立川は末期がんだと笠原に告げ数日後に失踪した。笠原は古巣の芸能プロの屋部から立川に関わる人物達と次々と接触していき、発見したのは5年前に若手芸人グルーチョ・マサのロケ中の突然死だった。マサの死に絡む両親の元へ未だに寂寥に苛まれ夫婦で苦悶に強いられ復讐に燃える両親の姿を目にしたマサに関わる人物が殺害されていた。芸人社会の殺人をテーマに複雑な伏線を用意してプロットが完結していく面白さこれぞ乱歩賞受賞作品に相応しい。
桐野夏生著「顔に降りかかる雨」、 友人でルポライターの燿子が失踪したしかもヤクザ紛いの会社の金1億円とともに、ミロは勝手に捜査に乗り出した。恋人の成瀬と彼を取り巻く人物燿子を取り巻く人物としかし杳として彼女の行方は不明のままだ。ベルリンの壁崩壊の東ドイツを舞台にしたネオナチが絡む殺人事件、密かに潜航する日本の裏社会、様々な伏線を絡ませプロットを確実な展開にそして最後にどんでん返しが待っていた、乱歩賞受賞作品に相応しい作品だ。
会社の同僚で元愛人関係にあった木島の妻が、自宅マンションで殺害された、恨みを持つ者として澟子は容疑者リストに掲載された。保安士と働く澟子は意を決し捜査に乗り出した。流通業界、大手スーパーやコンビニ業界の裏側から実に良く調査しプロットを固めている、そこに現代社会での男女の悲哀を混ぜさらに犯人の過去の境遇を重ね物語の厚みを増し終盤へ乱歩賞受賞作品だ。 渡辺容子著「左手に告げるなかれ」、
中嶋博行著「検察捜査」、 著名な弁護士が拷問の末殺害された、担当検事は若干28歳の岩崎検事及び伊藤事務官になった。色々と捜査を進めて行く中で殺害された西垣弁護士を取り巻く状況が少しづつ判明しそれは検察をも引き込んだ体制云々と言った際どいものだった。江戸川乱歩賞受賞作品でるだけに、読み応えがあり検察官を知る上で面白い。
福井晴敏著「トウェルブ Y.O.」、作者の圧倒的な才能の豊かさを感じさせる作品である。江戸川乱歩賞を受賞作品である本書は、自衛隊員の日本を救うという矜持で全力で国家権力の破壊を実行してゆく熱血漢の隊員たち生きる意味を教えてくれるミステリーだ。プロットはそんなに複雑ではないが、伏線というか自衛隊を知り尽くしたあらゆる事に圧倒される。
宮部みゆき著「悲嘆の門 下」、結局連続切断魔として殺害された被害者は個々の事由により殺害されたのだと判明し、孝太郎そして都築は協力して殺害犯を特定し逮捕に漕ぎ着けた。勿論ガラの透視能力を借りて。そして幸太郎は、ガラと共に漆黒の闇に向かって歩進め遂に悲嘆の門到着そこで見たものは全てがフェイクでガラもまた想豫したフェイクだった。プロットといい著者のイマジネーションの素晴らしさに感心しきりだ。
宮部みゆき著「悲嘆の門 中」、幸太郎のバイト先クマーの女社長が殺害された、彼は戦士ガラの力を借りて犯人を特定してガラにより制裁を実行した。しかし依然として全国で展開した連続殺人事件切断魔シリアルキラーの正体を掴めない。物語はオカルト的ホラーの様相みせその中にミステリーが詰め込められいく、ガラとの拘わりそして謎が一層深く浸透してゆく中巻だった。
井上夢人著「ダレカガナカニイル・・・」、作者は、岡島二人の片割れで二人が別れて井上のソロデビュウー作という事らしい、しかも文庫で700頁もあるという超大作である。内容はモダンSFそして恋愛小説さらに加えてミステリー小説というコングロマリット的小説である。ある警備保障会社に勤める西村の脳に女の意識が突然彼の心の中に突入し、彼は混乱しその原因を究明し意識からその得体の知れない女を追い出そうと努力する。その過程は山梨県に新興宗教まがいの建物を警備する西村らの仕事中の出来事だと判明そこからの展開はこの作品に魅了されぱなっしだ。
アンドリュー・メイン著「生物学探偵 セオ・クレイ 街の狩人」、 ロサンゼルス郊外で息子の失踪の相談を受けたセオが捜査に乗り出した、深い闇に次々とぶち当たり真相に迫るべく奮闘するセオはヒューマニストだ。小児性愛で連続殺人鬼を追い詰める、そこには政府要人も絡んだ殺人事件だった。

木曜日, 9月 29, 2022

アンソニー・ホロヴィッツ著「モリアーティ」、非常に巧みなプロットで面白い。ホロヴィッツの作品は何冊か読んでいるが、今回の書はスコットランドヤードのジョーンズ警部、アメリカのピンカートン探偵社の雇われ人チェイスが殺人事件を追う、しかもアメリカでも評判の大悪党とされるディバルーなる人物がイギリスに乗り込んだという設定だ。後半にどんでん返しが待っていた。実はチェイスなる人物はイギリスでも有名なホームズの宿敵モリアーティだったという落ちだ。
宮部みゆき著「楽園 下」、等が描いた火事で焼けた場所に横たわる灰色の女の子、それは紛れもなく土居崎家の茜だったのだ、滋子は各方面の手掛かりから手繰り寄せ真相究明の路を歩む。それは結果的には家族あるいは人間の悲しい側面でしかなかった。日常を丁寧に描く作者の器量はとてつもなく凄い。
宮部みゆき著「楽園 上」、フリーライターの前畑滋子が興味を持ったのは、事故死した荻谷等という少年についてだった、彼は幻視、透視能力を持ったと思わずにはいられない少年だった。少年について調査を進める中で家庭、学校環境、友人関係と進めていくうち、やはり幻視能力があるという信念に変わってきた。
ヴァン・ダイン著「僧正殺人事件」、ある教授宅を中心に次々と発生する連続札事件、検事マーカムの要請でファイロ・ヴァンスそして部長刑事ヒースが捜査に乗り出した。マザーグースの詩を真似て起こる殺人事件、捜査は一向に進展なく手掛かりも掴めない状況が続く、そんな中でも検討つけたチェスの名人が自殺を遂げた、衝撃を受けた捜査班は沈黙しかない状態だった。しかしヴァンスは卓越した推理で滔々犯人を特定した、この書のプロットは完璧といっていい、そして伏線も完璧で最後まで繰らせる力があり古典的名著として歴史に残るだろう。
宮部みゆき著「悲嘆の門 下」、結局連続切断魔として殺害された被害者は個々の事由により殺害されたのだと判明し、孝太郎そして都築は協力して殺害犯を特定し逮捕に漕ぎ着けた。勿論ガラの透視能力を借りて。そして幸太郎は、ガラと共に漆黒の闇に向かって歩進め遂に悲嘆の門到着そこで見たものは全てがフェイクでガラもまた想豫したフェイクだった。プロットといい著者のイマジネーションの素晴らしさに感心しきりだ。
宮部みゆき著「悲嘆の門 中」、幸太郎のバイト先クマーの女社長が殺害された、彼は戦士ガラの力を借りて犯人を特定してガラにより制裁を実行した。しかし依然として全国で展開した連続殺人事件切断魔シリアルキラーの正体を掴めない。物語はオカルト的ホラーの様相みせその中にミステリーが詰め込められいく、ガラとの拘わりそして謎が一層深く浸透してゆく中巻だった。
宮部みゆき著「悲嘆の門 上」、三島幸太郎は友人を通してサイバーパトロールを専門にしている会社にバイトで務めた、ある日突然同僚の森永が行方不明になって調査に乗り出した。その頃新宿に建つ廃墟ビルの屋上に置かれたガーゴイル絡みで不審な動きが町内会で話題となり元刑事の都築も調査に乗り出す、新宿の廃ビル周辺でリヤカーを引き資源ごみを蒐集していた老人がゆくえにもなっている。
井上夢人著「ダレカガナカニイル・・・」、作者は、岡島二人の片割れで二人が別れて井上のソロデビュウー作という事らしい、しかも文庫で700頁もあるという超大作である。内容はモダンSFそして恋愛小説さらに加えてミステリー小説というコングロマリット的小説である。ある警備保障会社に勤める西村の脳に女の意識が突然彼の心の中に突入し、彼は混乱しその原因を究明し意識からその得体の知れない女を追い出そうと努力する。その過程は山梨県に新興宗教まがいの建物を警備する西村らの仕事中の出来事だと判明そこからの展開はこの作品に魅了されぱなっしだ。
ヴァン・ダイン著「グリーン家殺人事件」、大金持ちの邸宅グリーン家には、当主は既に他界しその妻は中風で臥せっている、息子二人と女性が二人そして養女が一人と言った家族構成である。ある夜長女が何者かに射殺された、検事のマーカムと部長刑事のヒースそしてヴァンスが捜査に乗り出した。しかし次に長男のチェスターも射殺され事件は手掛かりさえも無く迷宮を彷徨い捜査の進展も期待できない状況だった。長男に続いて次男とグリーン家を構成する者たちが次々と殺害されてゆく。そしてヴァンスが発見したのは過去の書物犯罪便覧にあった事件の概要とそっくりだときずき事件の真相が明らかにされた。本書はミステリー小説傑作古典だ。
望月諒子著「腐葉土」、高級老人ホームで暮らす一人の老婆笹本弥生、彼女は戦前戦中戦後と希望を持って数々の死体を乗り越え悲惨さに屈することなく生き抜いた、闇市で品物を売り売春宿を経営し数十億円という金を稼いだ。そんな老女が何者かによって殺害された雑誌記者の木部道子、東都新聞の亜川と強調して事件の真相を追及する。複雑で的を得た伏線そしてシッカリした文章力、表現力を伴うプロット500頁を超える大作で傑作ミステリーだ。