火曜日, 6月 28, 2022

ロス・トーマス著「神が忘れた町」、罠に嵌り刑務所暮らしとなった元最高裁判事アデア彼は元弁護士と共に米国の小さな町ドウランゴに向かった。その町は若い女市長ヒキンズと警察署長との愛人関係で運営されていた。そこで連続殺人事件が発生した、市長再選を目論む市長と警察署長は戦い、アデアとヴァインズも事件に絡まり右往左往する。目まぐるしく展開する事件と小気味よい会話文章と相まっての物語の展開は秀逸で楽しめる。
大江戸科学捜査ー八丁堀のおゆうーステイホームは江戸で、今回の騒動は、市中での拐かしつまり3歳くらいの男の子誘拐である。材木問屋の信濃屋は大店でその主人が病に臥せり承継者を考えて騒ぎ出したのは、自分には孫がいると。これにより身内縁者が右往左往し躍起なって孫を探すという事態が誘拐を誘発した。おゆうは宇多川を使いDNA鑑定を駆使して犯人を追い詰める、江戸と東京を跨いだハイブリット捜査だ。
ジョセフィン・ティ著「時の娘」、ロンドン警視庁の警部グラントは病院のベッドの中で、知人の女優が持ち込んだ顔写真の中にリチャード三世のがあった。興味を惹かれ歴史書の類を読み進めるうちに没頭するようになる。世の中で悪の権化と言われるリチャード三世について読み進め彼リチャード三世の真実の姿を発見する。警部いやミステリーとしての歴史探偵として難問に挑戦し真実に迫る面白さがこの書にはある。
大江戸科学捜査ー八丁堀のおゆうー妖刀は怪盗を招く、今回の物語は、名刀村正が絡んだ事件だ。例によって南町奉行所軍団におゆうが絡み殺人事件の捜査が開始された。今回も領有宇多川が江戸に現れおゆうの手助けをする。名刀がある旗本家から盗賊により持ち出されさらに長屋に住む浪人が殺害された。かつネズミ小僧並に盗んだ金子を貧乏長屋の住人に分け与えるという不可解さだ。プロットも良いしなかなか楽しめる。
ドン・ウィンズロウ著「ザ・ボーダー 下」、貧困、略奪、強姦、殺傷その根底にある麻薬ドラッグは進化を遂げクラックからメタンフェタミンそしてヘロインへと、そしてメキシコ周辺で栽培製造されアメリカへ流入する。ドラッグにる死亡は女子供まで蔓延し多数の死者を数えるアメリカ、そこに登場するのは主人公で麻薬取締局局長であるアート・ケラー著者が描写するケラー潔癖で揺ぎ無き信念を持ち悪と勇気をもって対峙するヒーローだ。ケラーの人生こそが生きる勇気を鼓舞してくれる。壮大な社会悪麻薬との闘争その悪にはアメリカの議員はじめ大統領まで弾劾して行くケラーの正義感に拍手だ。
大江戸科学捜査ー八丁堀のおゆうー北からの黒船、南町奉行所定廻同心鵜飼伝三郎チームおゆう、源七その配下らが活躍する今回の事件はロシアから訪れた外国人を巡る騒動に巻き込まれた事件である。プロットしてはまあまあですが、伏線が少し弱くワクワク感がイマイチない。
大江戸科学捜査ー八丁堀のおゆうードローン江戸を翔ぶ、東京と江戸をタイムスリップする優香こと八丁堀で十手をもつおゆう、今回は江戸の大店の蔵に入る強盗事件を発端に大店それぞれの主人の過去をそして寺社奉行の欲望らが絡まり豊富な伏線を用意し読む者を飽きさせない著者のタグ稀なる才能に拍手だ。何より同胞でオタクの宇多川まで江戸に引っ張り出しスタンガンやらドローンを使い捜査を進める方法もアイデアに富んだ伏線だ。
ドン・ウィンズロウ著「ザ・ボーダー 上」、著者の作品は長編が多いが、今回のは上下巻文庫本で1500頁に及ぶ最長編だ。物語はメキシコを中心にまたアメリカへの麻薬の流入を防ぐ麻薬取締局長アート・ケラーを中心に彼を取り巻く人物、勿論メキシコでの麻薬ビジネスを行うカルテルとの攻防と伏線が多数織りなすこの物語は何処に行き着くのか見当もつかない。
アン・クリーヴス著「水の葬送」、英国は最北端、シェトランド群島は大小100の島からなる北海油田、ガスの産地でもある。ジミー・ぺレス警部シリーズで非常に良く出来たミステリーだ。伏線といいプロットといい最高。例によって殺人事件が発生、地元の新聞社からロンドンの大手新聞社の記者が殺害され、本部インヴァネスから登場するウィロー・リーヴス警部を中心にまだ妻の死から立ち直れないでいるぺレス警部との捜査が進んでいく。
アン・クリーヴス著「空の幻像」、今回も舞台は英国最北端シェトランド島での物語で、地元出身の結婚披露宴にロンドンから出席したTV企画会社のエレノアが失踪し翌日浜辺で死体となって発見された。地元警察署の警部ぺレス、サンディーそしてインバネスかの警部らと捜査を進めるも依然として正体不明だ。登場人物がディテールを語り小説本体のプロットは落ち着き先が見えない、そこに地元で伝承されているリジーなる幽霊話を絡め事件の真相を一層闇に包む手法は作者ならではのミステリーだ。
宮部みゆき著「長い長い殺人」、面白いことに登場人物の財布が所有者のディテールを語り殺人事件の物語が展開してゆくという奇抜なアイデアである。プロットそのものは当時としては妥当だったかも知れないが、今では陳腐で面白さはほとんど無いと言っていい。
アガサ・クリスティー著「そして誰もいなくなった」、1939年の著作だと言われても信じられないほど、この書は魅力に溢れている。現代にも通じる正にミステリーの古典的名著と言っていい作品だ。絶海の孤島兵隊島、その島に招待された10人の客は脛に傷を持つ面々だった、そして一人づつ殺害されていく、童謡の詩にあるように。殺人だったとしても法の世界で正に見逃された殺人者、これらの人々を弾劾し死に追いやるというプロットの素晴らしさ、嫌みやオカルト的でもなく殺人が実行され、読者を一気に最後まで読ませるミステリーの原点がここにある。
ロビン・ハサウェイ著「フェニモア先生、人形を診る」、彼女の作品を読むのは初めてだ。米国はフィラデルフィア郊外の地元の富豪で名士のパンオースト家はドールハウスで有名だ。この一家の住人そして家族を廻る連続殺人事件が発生する、しかもドールハウスの人形に示唆を与えてフェニモア心臓外科医は個人診療所を経営しパンコースト家のかかりつけ医だ。先生が事件に乗り出すが、複雑に絡まり合うこの事件の真相が一向に見えてこない。そして勇敢な看護士ドイルの手を借りて事件を解決する物語だ。今一伏線が弱く犯人当ては難しい。

日曜日, 5月 29, 2022

アン・クリーヴス著「地の告発」、お馴染みのイングランドの北方のシェトランド諸島の警部ぺレスシリーズである。今回は前回の殺人犯と目されていたマグナム・テイトの葬儀に出席中に発生した地すべり、その崩れた土砂の中で発見されたのは赤いドレスを着た女性だった。しかも検死の結果絞殺による殺人だと判明、一躍被害者の情報探るべく本土からリーヴス捜査官らを招き展開する捜査の中で被害者元女優だと判明。シェトランドの風土それは人間関係をも支配する過酷な環境を描きながら事件を結末へと導くプロットは英国ミステリーの神髄と思えるものだ。
大江戸科学捜査ー八丁堀のおゆうー北斎に聞いてみろ、今回は、優香の友人で分析オタクの宇多川から依頼された件、内容は美術館を開館させる事になりメインの美術品として江戸浮世絵北斎の真贋鑑定だった。真贋鑑定を調査する中でおゆうは江戸の今贋作が作られその事で、2人も殺害される事件が持ち上がっていて伝三郎をはじめ町方の捜査中であった。今回は北斎や滝沢馬琴やらを含み見事なプロットで感心させられた。
キャロル・オコンネル著「クリスマスに少女は還る」、正に長編警察捜査小説だ、ミステリーを間に挟み奔放に展開するその醍醐味は別格だ。湖の岸のボート小屋で誘拐された二人の少女サディーとグウェンそして監禁拉致された場所はキノコを栽培する四階建ての工場だった。必死に捜査を開始する地元警察署の警部とニューヨーク州警察そしてFBI捜査官依然として犯人の特定も少女二人の行方も判明しない。本書に描かれているのはミステリーというより生への飽くなき欲望、個々の登場人物の造形を緻密に描き出して展開する好著だ。
大江戸科学捜査ー八丁堀のおゆうー千両富くじ根津の夢、お馴染みに顔ぶれで事件の解決に奔走する同新鵜飼伝三郎、源七親分そして江戸時代にタイプスリプしたおゆう、平成の科学捜査で伝三郎支える影の捜査官だ。今回は盗賊一味による蔵破りを発端に一味のやり手弥吉が僧侶に化けて町方に目の届かぬ寺社地からの悪巧みを一網打尽として解決する痛快ライトミステーとしてプロットともにうまく纏めている傑作だ。
M・W・クレイヴン著「ストーンサークルの殺人」、英国ダガー賞に輝いた長編ミステリーだ。ストーンサークルでの老人の杭に繋がれた焼死体、地元警察署の警部ポーは休職中だったが、捜査に引っ張り出され上司フリンとともに捜査にあたることに。本格始動した捜査でポーが指名した女性ブラッドショーは天才児だったが引っ込み思案で虐められる性格の持ち主、彼女とポーのタッグは本書を楽しませてくれたもう一つの魅力だ。捜査は26年前の男児売買まで遡りそこから一つ一つ手繰り寄せ事件解決へと。最後には現役警察官でありポーの友人だった男が犯人と解る。
ロス・マクドナルド著「さむけ」、結婚して1日足らずで失踪した夫から捜索の依頼を受けたリュウ・アーチャーは私立探偵だ、捜索する中で次々と明るみに出る真実それは女と男強欲そして金、さらに家庭へと連鎖する負のスパイラルである。アーチャー私立探偵はもちろん主人公だが、もう一人大学教授のロイ・ブラッドショーも特異な性格、嘘で固め母親の元と恋人の元と二重生活をしている、母親はまた富豪で彼女の息子を溺愛するといった家族に悲劇にも視点を据え物語を展開する。
アガサ・クリスティー著「アクロイド殺し」、富豪の家主がある夜殺害された、探検が胸に突き刺さっていた。富豪の姪のフローラに依頼されたポアロが捜査を開始した。地元の医師シェパード氏と共に捜査に奔走する毎日だ。そしてポアロの灰色の脳細胞が炸裂する。事件は意外な結末へと収束する。ミステリーの古典的な本書は今でも色をうしなく事なく堂々とその地位を揺るぎないものにしている。彼女アガサの作品は現在でも名著の位置を確保している。
佐々木譲著「沈黙法廷」、前半は警察小説で後半は法廷小説という括りでかつ長編ミステリーだ。独自でヘルパー家事代行サービスを行う山本美紀が訪問した北区赤羽の独居老人宅を要請により訪問、その後その老人が死体となって発見された。赤羽署が捜査に潜入し状況証拠しか無いにも拘わらず彼女の起訴を決定、ここから物語は法廷闘争へと移行し検察側弁護側双方の弁論が展開され最終的には彼女は無罪を勝ち取ることになった。やはり子供の頃の貧困は大人になっても貧困状態のままだ、社会がそれらの人々に寄り添うことはない。
山本巧次著「八丁堀のおゆう 両国橋の御落胤」、おゆうは、平成の東京では関口優佳と名のる元OLだった。祖母の死とともに家屋を引き継いだその家にはタイムトンネルがあり200年前の徳川家斉の時代にワープできる何とも秘密を抱えた家だった。江戸ではこ洒落た家に住む捕り物の補助助っ人をするといった面白い設定で、今回の話は小藩の世継ぎに関して御落胤が居たという設定で小藩やら奉行者果ては城内まで巻き込んだ騒動に来てんがきいて未来人のおゆうが活躍する。
山本巧次著「八丁堀のおゆう」、ファンタスティックミステリーとでも言おうか奇抜な発想としっかりとした文体と相まって無難に親しめるミステリーに仕上がっている。おゆうは平成の東京から江戸中期徳川家斉の時代にワープした時の名前だ。定回り同心の鵜飼伝三郎や岡っ引きの源七らを手伝い捜査に当たるというのが主題だ。今回は薬問屋回りで藤屋という薬種問屋の大店の長男坊の死を回り店主より死因の特定を依頼され捜査に当たる。奉行所の役人から上の方の役人、盗賊を交えて多彩な顔触れの中で犯人を特定するといった面白い展開が続く、最後にはどんでん返し的結末がまっている。

金曜日, 4月 29, 2022

アン・クリーヴス著「大鴉の啼く冬」、英国の北海に佇むシェトランド島、そこで発生した女子高校生殺人事件、そして8年前にも少女が殺害されていた。地元警察署の警部ぺレスとインヴァネスから出向した警部と共に捜査に当たる。辺鄙な島の住民や気候風土が混ざ合わさり雪と氷が張り詰めた荒涼とした世界を巧み描きミステリーに赴きを与えている。幾つもの伏線を用意してプロット或いはロジックはクールに展開され一気読みの感がある。
D・M・ディヴァイン著「悪魔はすぐそこに」、本書は、大学ミステリーとも呼ぶべき英国は地方都市のハードゲート大学での様々な人間模様とそれらの人々の業と欲を根底に人間を描きミステリーとして様々な伏線を用意して殺人事件ミステリーとして纏められている。古典的な本格ミステリーと呼称すべき名著である。
綾辻行人著「どんどん橋、落ちた」、本書は、短編集である中編に近い作品もあり、なかでも「伊園家の崩壊」という中編は密室殺人を扱ったテーマで少々込み入った内容である。著者が作中出てくる物語である、事は知り合いの恋愛小説の先輩から連絡された燐家の殺人について本格ミステリー作家を標榜する綾辻に一考願うという依頼だった。ある日伊園家の妻女が二階の和室で殺害されその時点では他殺と見なされたが、捜査の結果は密使状態だったことが判明した。さて問題提起した先輩から解決を望まれた綾辻の解答は実に見事なものだった。
アンソニー・ホロヴィッツ著「ヨルガオ殺人事件 下」、本書は二度楽しめる稀有な作品で、傑作といっていいい。つまり遠大な伏線を絡めて殺人事件解決のヒントを与えてくれるという近年の作家ではジェフリー・ディーヴァーと同様感動したといってしまうほど素晴らしい。アンソニー・ホロヴィッツ恐るべし作家だ。まだ正月だが、既に今年読んだあるいは読むことになるミステリーベスト3になることは必死だ。
アンソニー・ホロヴィッツ著「ヨルガオ殺人事件 上」、ギリシャのクレタ島に住むスーザンは、英国の知り合いでホテルを経営している主人から力を貸してほしいと依頼されクレタ島から英国のそのホテルに到着、依頼内容は依頼人の二人の姉妹で妹のセシリーが突然姿を消した、さらにその出来事は依然出版社の編集者だった彼女の手がけたミステリー小説の内容にヒントがあるとのことだった。 スーザンは関係する多数の人物と合い話を聞き、ある程度犯人を特定できる段階まで来ていたが?
坂本光一著「白色の残像」、ある意味で、本書は乱歩賞受賞作品ではあるが青春小説ともいえる。高校野球を舞台とした高校生の必死な青春と孤独を中心に甲子園大会に絡み群がる野球賭博とヤクザ、野球から奇しくも挫折し去っていった人々の思いが入交る。甲子園大会出場を果たし今はスポーツ紙に記者となっている中山の眼を通して大会の裏側と球友の殺人事件について調査解明していく姿に感銘を覚える。
西澤保彦著「神のロジック」、御子神衛11歳はアメリカ南部と思われる荒野に佇むY字型の校舎それも全寮制の建物の中で勉強していた。その校舎の周りには沼がありワニが無数に住んでいた、従って逃げ出す事は不可能だった。博士と寮長それに料理賄のミズ・コットンこの3人が管理する特殊な学校で特殊な授業を受ける。そして生徒達が次々と殺害される連続殺人事件が発生する、原因を特定できない不可思議な殺人、共同体での幻想を抱いた彼らに一体何が起こったのか?結末は傑作と言えるほどどんでん返しだった。
ホーカン・ネッセル著「悪意」、短編集である。 第一話トム 二十二年前に逃走した息子からある日電話があった。ユーディットは老いた夫と二人暮らしだ夫は深刻な病を患い余命幾許も無い状態だった。二十二年前養子の息子に彼女はレイプされそうになり手近の包丁で息子を刺し夫に森の中に埋めて貰うよう依頼した。その息子トムが生きていた。そして彼女の夫は連絡した自分の息子と谷底に車ごと転落して撃破して二人とも死亡した。しかし息子と言った男は偽物だった。そして本当の息子から電話があった。 第二話 レイン ある作家の死 翻訳家のダーヴィッドは、著名な作家レインの遺書の原稿を翻訳すべくAという町に滞在し仕事を続けていた。彼の妻エヴァは3年前に失踪したまま不明で妻が立ち寄りそうな町Aを選択して懸命に妻を捜し続けていた。そして遂に妻を発見したが、そっけないものだった。人生とは角もあっけなく孤独を誘うものなのか。 第三話 親愛なるアグネスへ 幼馴染の二人の女性一人はヘニーで一人はアグネス、仲良し二人は文通をしていた。ある文書の中にヘニーからアグネスに夫が不倫をしていて死ぬほど悔しいと呟き、そして殺人計画を持ち出した勿論アグネスへの殺人依頼、対価は10マンユーロそして何度も手紙を交換しヘニーの夫ダーヴィッドの出張に合わせた殺人計画を思いつき実行する段になった。しかしダーヴィッドの不倫相手は実は殺人を依頼されたアグネスだった。彼女は窮地に、女性の執念を捉えた傑作だ。 第四話 サマリアのタンポポ 高校卒業時開かれたパーティーでヘンリーはヴェラと一夜を共にした、朝起きてみるとヴェラは既に去っていた。しかしその後ヴェラが失踪したことを知った。30年後友人の別荘で起きた事はヴェラの連絡だった、そして最終的に解った事とはある教団の牧師であるヴェラの父親は、パーティーから帰った娘の行動を非難してヴェラを殺害して地方に埋設したという事実だった。
染井為人著「悪い夏」、郊外の町のケースワーカーが、生活困窮者つまり生活保護を受けている人たちを見回り状況を確認しながら、支援を打ち切り就労させるべく説得をする。生活保護を受けているのをヤクザが取り囲み上前を撥ねかつMDMAエクスタシーを売り捌き売人として生活保護者を扱き使う。ヤクザにまんまと騙され落ちていくケースワーカー人生の悲劇であり俯瞰すれば喜劇ともなると作者は言う。人間の性、腐臭と退廃、欲望と憧憬小さな希望そして天国と地獄正に喜劇だ。郊外の町のケースワーカーが、生活困窮者つまり生活保護を受けている人たちを見回り状況を確認しながら、支援を打ち切り就労させるべく説得をする。生活保護を受けているのをヤクザが取り囲み上前を撥ねかつMDMAエクスタシーを売り捌き売人として生活保護者を扱き使う。ヤクザにまんまと騙され落ちていくケースワーカー人生の悲劇であり俯瞰すれば喜劇ともなると作者は言う。人間の性、腐臭と退廃、欲望と憧憬小さな希望そして天国と地獄正に喜劇だ。
ロバート・ベイリー著「ラスト・トライアル」、リーガルサスペンで物ある。川岸に浮かんだ男の死体を回り、遂に老弁護士でありロースクールの教授でもあるトム・マクマートリーが乗り出す。シリーズ四部作の内の三作目だそうである。シリーズで最初に読破したのが三作目であった。裁判での丁々発止の臨場感あるやりとり、老いた弁護人トムは既に肺がんに犯され余命も宣告されていた。人生の喜雨そして絶望と希望が本書の根底にありまた最後のどんでん返しは見事だ。
宮部みゆき著「火車」、生まれ育った環境、貧乏という経済的な負荷それは人生を狂わせ生きる道を誤らせる。東遠から依頼された休職中の本間刑事は人探しをすることになった関根彰子という婚約までして失踪したとされる女性だった。捜査を開始してから彼女の破産経験母娘でそだった環境を見つめそしてクレカという重宝な手段を利用して破産していく過程を具に感じ、人間の欲求は際限なくそして墓穴を掘ってゆく。
宮部みゆき著「荒神」何とも楽しい小説なのかSFミステリーの時代版といったところか、時は元禄東北は福島あたりを想定して物語は進む。この地に小藩二藩があり、互いにいがみ合い境界を設け越境者を厳罰に処すというものだ。この藩に弾正という御側衆を束ねる男とその妹朱音この二人を中心に、その二人の生い立ちそこから生み出す怨念を具現化したつちがみさまという怪物、翻弄される領民、人間が持つ強欲と性を見事に描いてさらに物語は楽しい限りだ。
東野圭吾著「真夏の方程式」、玻璃が浦という風光明媚な海に面した田舎町に海底鉱床探査で依頼を受けた物理学者の湯川が緑岩荘という旅館に泊まっていた。もう一人塚原という刑事を退職した男性も宿泊していたが、ある日海岸の岩場で死体なって発見された。湯川の機転により宿の夫婦が怪しいと判断を付けて警視庁の親友草薙に調査を依頼した。様々伏線を設けて最後のどんでん返しはは見事しか言いようのない傑作に仕上がっている。
ジェフリー・ディーヴァー著「ネヴァー・ゲーム」、リンカーン・ライムシリーズさらにキャサリン・ダンスに次ぐ第三弾はコルター・ショウ主人公は懸賞金ハンターと呼称される米国中を走り回り事件を解決そんな男が、引き受けた案件は少女の失踪あるいは拉致で少女を救い出すことだった。ショウが捜査を開始し辿り着いた先にはゲームが絡んでいた。ゲーム業界、それにゲーマーその闇に切り込むゲーム業界の深奥はやはり人間の剛欲だった。連続した事件を設定し複雑に絡み合う伏線を辿るミステリーの王道を行く正にディーヴァーの真骨頂ともいいうべき傑作だ。だが、今回のどんでん返しは少し物足りない。
エラリー・クイーン著「十日間の不思議」、今年読んだミステリーの中で間違いなくベストワンだと思う。ミステリー小説を超越してミステリー文学つまり融合だ。クイーンの作品全て愛すべき著作で古典的ミステリーの範疇だが今読んでもその魅力は果てしなく面白いと実感させてくれる。友人から引き受けクイーンは単身ライツビルへと赴きそこで不倫の片棒担ぎを否応なく負わされそれが引き金となり殺人事件が発生する。巧妙に仕組まれた殺人だった。最後のどんでん返しはジェフリー・ディーヴァーもびっくりの代物だ。

水曜日, 3月 30, 2022

クリスチアナ・ブランド著「招かざる客たちのビュッフェ」、短編集である。作家の才能を遺憾なく発揮した珠玉の作品集である。機智に飛んだプロットそして伏線どの作品にも作家が冷ややかにつまり冷徹に人間を見ていると感じる。そこに横たわる生きることへの不条理性と錯覚が存在すると思える面白さがこの短編集にはある。
宮部みゆき著「ソロモンの偽証 第3部下巻、学校内裁判が改訂されそれぞれ検事側及び弁護側は証人を召喚し真実を追い求めその度に法廷は紛糾しそれでも確実に真実に近づいていく。そして最後のどんでん返しが待っていた。他校からの弁護人神原の証言は自他殺が議論の中心になったこの裁判の決定的証言となって収束する。数多の人物を繰り出しバブル崩壊の日本社会に生けるそれぞれの家族の様子を詳らかに描き最後に生きる道を求めて右往左往する中学生の真剣さを描き出した傑作である大長編ミステリーだ。
宮部みゆき著「ソロモンの偽証 第3部上巻、いよいよ学校内裁判が開始つまり開廷された。双方とも陳述を意見陳述を繰り返したが、三宅樹里の証言による大出君の卓也君の殺害と弁護人の証言との圧倒的な食い違いは果たして真実はどこに存在するのか?著者の圧倒的な想像力と筆力に感服。
宮部みゆき著「ソロモンの偽証 第2部 下巻」、学校内裁判の資料作りで忙しい毎日を過ごしていた生徒達の前に裁判の被告人大出の父親の放火事件から逮捕状が出た。父親が連行された地上げ屋その裏に暴力団も絡んでいるという。また森内先生も隣人の住人から襲撃を受け病院に担ぎ込まれたが幸いに意識が回復し無事だという。告発状を書いた三宅樹里は暫く声が出なかったが、法廷で証言できるやりたいと涼子に声を掛けて来た。いよいよ15日に開廷だ。しかし作者の引っ張りというか伏線を多数用意しここまでの長編に仕立てる技術に驚くばかりだ。
宮部みゆき著「ソロモンの偽証 第2部 上巻」、二人の生徒の死そしてTV報道と事件を廻り慌ただしく周囲が動く中で、藤野涼子は友人に学校内裁判をして真実を捜そうと提案した。そして受け入れられ、その準備に忙しい毎日を送っていた。検事、弁護側と裁判の体制を整えそれぞれの立場で証言を取りに行ったりして準備を進めていた。
宮部みゆき著「ソロモンの偽証 第1部 下巻」、自殺と思われる男子生徒を回り、告発状が3者に届けられいよいよ中学校は騒然となり、就中テレビ局まで報道に乗り出した。報道から学校では保護者集会を開き事態の収拾に取り組んだが一向に収まる気配を見せない。告発状を書いたとされる生徒の一人が交通事故で死亡した。校長は辞任し担任の女性教諭も辞任、そんな折に3人組の主犯格とされた大出の家で放火時間が発生し、事態は混沌とした状態なってきた。
宮部みゆき著「ソロモンの偽証 第1部 上巻」、中学2年生の男子生徒がクリスマスイブの朝、学校の工程の通用門の植え込みに雪に埋もれて死んでいた。この男子生徒の死を契機に学校中が喧噪と疑問に包まれ涼子の父親は警察官だが、たまたま配達された封筒を訝しく思い開けた、そこには男子生徒が自殺だと思われていた内容と異なる他殺だとする文章が綴られていた。そして校舎の屋上から突き落としたのは悪ガキ三人員組だとハッキリと書かれていた。

火曜日, 3月 29, 2022

ブラッドフォード・モロー著「古書贋作師」、ニューヨーク東端の町の部屋で殺人死体が発見されたその死体はウィルの愛するミーガンの兄貴であった。父親は弁護士であり就中凄腕の古書コレクターだった。父親の影響からか早くから書に興味を持ったウィルは贋作師となった。同じ贋作師であるスレイダーという男は殺害されたミーガンの兄貴とは昵懇だった。その彼がウィルの回りに出没し彼を恫喝し苦しめる。そして最後に真相が明になるまさにどんでん返しだ。人間の心理の複雑さ紆余曲折する心、微笑と脅え相反する葛藤人間の全てを描く格好のミステリーだと思う。
ニック・ハーカウェイ著「エンジェルメイカー」、主人公ジョー・スポークは時計修理職人である。彼の父親は間違いなく悪党であるが、何故かジョーは父親とはちょっと違う正義感の持ち主だ。ジョーの悪への闘い、愛人ポリーとの交際、彼の家族へのしがらみ、友人達とうの交渉これらを全て引きずりながら自分の成長も含めて戦う。様々に入り乱れる伏線をそしてそれらを超越した悪との根源的な闘争、700頁を超える超長ロングなミステリーかつ冒険活劇的な書でした。
柚木麻子著「BUTTER」、おじさん達3人も食い物にして殺害した梶井真菜子、出版社の記者である町田里佳は彼女を取材するため、度々東京拘置所を訪れ面会し談話を続けて行く。そして取材対象の彼女の意見で彼女の実家である新潟県阿賀野市まで足を延ばして母親、そして妹にあう。彼女が通っていたフランス料理の料理教室にも通い徹底的に理解しようと努力する。そして最後に記事にして好評を得るが彼女は混乱し記者を外された。取材中に里佳を廻る様々な友人同僚先輩とを廻る人間関係を伏線としてミステリーというより人間を日本社会の根底女同士の友情までもが主題となっている。

日曜日, 2月 27, 2022

ジョセフ・ノックス著「スリープウォーカー」、マンチェスター市警巡査部長のエイダン・ウェイツの三部作を全部読んだ事になる。印象から言うと作者の並々ならぬ能力を思い知らされるといったことだ。市警の警視、警部、エイダン・ウェイツの仲間の軋轢、次々と発生する殺人事件何故かその事件の担当となってしまうエイダン・ウェイツの面白さ。自分の過去を取り混ぜ物語は最後のどんでん返しまで続く。複雑なプロットから推理する面白さ、本書シリーズには警察小説の神髄がある。
新川帆立著「元彼の遺言状」、女性弁護士で大手法律事務所に勤務する麗子は、知り合いからの相談で奇妙な遺言状を廻る案件に乗り出す、その遺言状は自分の遺産を殺害された後にその犯人に譲るさらには過去に自分に関係した人達にも遺贈するといった誠に奇妙なものであった。登場人物達の描写が伏線となり最後のどんでん返しも巧みに用意したプロットといい主人公麗子の現代女性の描写といいこのミスの大賞となる理由が解る。
法月棆太郎著「頼子のために」、作者自ら探偵として活躍するシリーズらしい。大学教授西村は十数年前に交通事故で妻を身障者にさらに身ごもっていた子供を死なせた経験をしていた、今は一人娘頼子と3人家族だ。頼子は有名女子高校に通い妻に良く似てきていた、そんな頼子が殺害され法月の親父である警視からの依頼で警察とは別個に調査を依頼され事件に関わっていく。作品に登場する人物の過去を描きながら真相に迫っていく。伏線は数少ないがプロットとして、最後のどんでん返しを含め十分楽しまる。変形な歪な愛というテーマが浮かぶ。
ジョセフ・ノックス著「笑う死体」、マンチェスター警察の刑事、エイダン・ウェイツ彼の休暇中にパレスホテルで殺人事件が発生した。ホテルに着いてみると殺害された犠牲者は何故か笑っているようだった。前回の衝撃から辛くも刑事として留まり通常夜勤勤務に戻ったエイダンはサティ警部補を上司として仕事に励んでいた。複雑な伏線、エイダン兄妹の子供時代の悲惨な生活を挿入しながら物語は展開するプロットは複雑だ。
米澤穂信著「氷菓」、高校の古典部姉貴の勧めもあり入部した折木は、学園祭に部が依然30年以上歴史のある文集を発行しようという事に決まった。過去の文集を捜して見つけたのが題名「氷菓」という文集だった。序文を見て読んで疑問が浮かび皆で調査した結果は33年前の出来事だった。
ジョセフ・ノックス著「堕落刑事」、マンチェスター警察署刑事エイダン・ウェイツは、潜入捜査の目途して麻薬密売組織に入り、密売の実態を探る。そんな中で国会議員の娘17歳と出会う、彼女は家から逃亡し密売組織の元で集金係として働いていた。エイダンは彼女を無事に自宅に帰宅させる使命をも担っていた。しかし彼女がある日フラットで死んでいた。そこから事態は複雑に伏線を配して展開を早める。マンチェスターの夜に展開する麻薬、売春、警察官の不正とダークな世界で正義を貫く刑事の物語だ。
我孫子武丸著「探偵映画」、映画界の鬼才と言われる大柳監督が撮影の途中で失踪した。このことで制作スタッフやら俳優やら大わらわの態だ。しかし何としても期日までにはフィルムを完成するしかなく一同必死に考えて考えて遂に完成させた。そんな時突然監督が姿を現し映画はすでに完成していると豪語する。どこがミステリーなのかわからないミステリーというのが落ちだ。
歌野晶午著「動く家の殺人」、小劇団が回る舞台つまり動く家で演技中に起こる殺人、それは劇団員の皆にとって不可思議で考えても考えても真相は掴めなかった。物語は冗長だが、最後のどんでん返しは意外な結末を用意し制作担当者は実は詐欺師だったという落ちだ。プロットといい伏線といい今では読者を驚嘆させることはできないミステリーだ。
アンソニー・ホロヴィッツ著「絹の家」、コナン・ドイルの正当な後継者というべき出色の作品の出来栄えだ。幾つもの伏線をよういして、最後に全てが連携し事件解決への糸口を披露するその手腕に感銘し、ドイルの作品としても優秀なものである。
P・Dジェイムズ著「女には向かない職業」、本書のタイトルが示しているのは私立探偵のことである。プライド探偵事務所を経営するプライドが不治の病に倒れ助手のコーデリアは探偵事務所を継続していくべきを悩んだがある日依頼が飛び込んだ。微生物学者の卿からの依頼で死亡した息子の原因を調査して欲しいというものだった。伏線を絡ませ最後のどんでん返しに持っていく描写は正当で本格ミステリーの領域に入る名著だと思う。
まさにSFの名著といわれる本書である。宇宙市とニューヨークシティとの交流そして一刑事とヒューマノイドロボットとタッグを組み殺人事件の解決捜査する中で様々な困難にぶつかる、つまりSFミステリーだ。現代では許容できる範囲にある描写だが半世紀以上前に書かれた作品だと思うと著者の想像力と知識は格別だ。SFミステリーといっても全てが破天荒なわけではなく、人間の心理、欲望、絶望、不正といった事象もキチンと描かれている。アイザック・アシモフ著「鋼鉄都市」、
今邑彩著「卍の殺人」、久しぶりに日本のミステリーだ。亮子は恋人の安東匠に言われて匠の実家に行くことになった、そこは東京からは2時間も掛かる場所だった。家に着いてみるとその家は卍の形をした相似形の建物だった。2家族が居を共にしていた不思議な形をした住居に。そして殺人事件が発生した、しかもそんなに時も空かず二人が殺害された。そしてさらにもう一人。卍屋敷を知り尽くし、愛情と財産を渇望する二人の犯行だと解る。
アリス・フィーニー著「彼と彼女の衝撃の瞬間」、ロンドンから車で2時間ほど離れた田舎町ブラックダウンで死体が発見される。その後次々発生する連続殺人事件に地元の警察署警部ハーパーと部下の女性刑事、そしてこの事件を取材するBBCの女性アナが事件の中心に巻き込まれて行く。過去と現在、そしてジャック・ハーパー彼とBBCの女性記者アナ彼女との間の確執そしてアナの母親の存在これら全てが複雑な伏線となり物語が進行してゆき、最後に思いもよらぬ犯人が浮かび上がるといった読者の翻弄する傑作ミステリーだ。
著者の古典的な作品で、ミステリーとしての面白さを全開で出力した名著といいと思う。フーダニットとハウダニットが上手く調合して雰囲気を出している。最後まで殺人犯が不明で、その後に待っているのはまさにどんでん返しだ。ある数学者教授の妻が不倫して身投げする。この謎を解明すうのにヘンリー卿やら関係者らが奮闘し二転三転しながら追い詰め最後に辿り着く経緯は読者を翻弄すること間違いない。カーター・ディクソン著「貴婦人として死す」、
アンソニー・ホロヴィッツ著「その裁きは死」、前回読了した著者のメインテーマは殺人の続編ホーソーンをホームズそしてワトソン役はアンソニーそう著者その人の殺人ミステリーである。物語は仲良し3人の趣味の洞窟探検で起こった悲劇つまり一人が洞窟内に侵入した大量の水ぜめで死亡した、それから数年後に起きた当時の残り二人が次々と死に至る。さて犯人はホーソーンとアンソニーが動き出す。冗長さ相変わらずだが、最後まで読者を煙に巻く描写は必見だ。

土曜日, 1月 29, 2022

アンソニー・ホロヴィッツ著「メインテーマは殺人」、その日葬儀屋を訪れ自らの葬儀の相談をして帰った老婦人が何者かによって殺害された。ロンドン警視庁殺人課より委託された元刑事ホーソーンが、推理作家アンソニーに対してこの事件の顛末を本にしないかと持ち掛ける。そして二人はこの不可解な事件捜査に臨むことになる。老婦人の息子でハリウッド映画スターの息子ダミアンが老婦人の葬儀のその日に残酷な形で殺害された。叙述的なホームズ・ワトソン的なミステリーだが随所に伏線を散りばめ組み立てたプロットは圧巻である。
コリン・デクスター著「死者たちの礼拝」、英国オックスフォードの教会を舞台にした連続殺人事件に休暇中のモース主任警部が挑むミステリーだ。礼拝中の聖具室の中でモルヒネを飲まされ最中を刺されて死亡、そして尖塔から落下して死亡した神父謎は深まるばかりでモースとルイスのコンビは右往左往するが依然として犯人を特定できない。これらのモースの心理描写はやはりTV ドラマでは出せない小説独特のものである。
エラリー・クイーン著「フォックス家の殺人」、ライツビルという町で起こった十二年前の殺人事件が齎す悲劇を知った故郷の英雄フォックス家のデイヴィーの若妻リンダがエラリーに相談して事件解明に向けてデイヴィーの父ベイヤードの妻殺しの無実を証明するために奮闘する。様々な伏線と主要なプロットは読了して感銘するほど巧みでキレがあると思う。
ジョン・ハットン著「偶然の犯罪」、彼コンラッドは教師である、出張先の帰りにヒッチハイクしている女性を車に乗せた。そして途中で放り出して帰ってしまった。その後で殺人事件が持ち上がり嫌疑を受けたコンラッドはただ茫然として質疑を受け立場上嘘を並べ立てた。学内で人事を巡るゴタゴタの最中に容疑者として執拗に追い回され精神的に追い詰められてゆく心理家庭を実に見事に描写している。
ジェフリー・ディーヴァー著「オクトーバーリスト」、著者の作品は全部読んでいるが、今回注目したのは時間の逆行という新たな手法に果たして強烈なるどんでん返しができるのかと興味を持って読んでみた。結果はリンカーン・ライムシリーズのようなまず爽快感が無い。この小説手法はたいてい叙述的な表現にならざるを得ないし遡り犯人を特定することに余り興味を感じない。
エラリー・クイーン著「レーン最後の事件」、現役を退き探偵事務所を開設したサム警視の元に意外な案件が舞い込んだ。封筒の保管依頼だった。その後ブリタニック博物館でシェイクスピアの稀覯本が盗まれた。稀覯本を回り殺人事件に発展しサム元警視、娘のペイシャンスさらに博物館司書のゴードンらが推理を繰り広げ真相に徐々に迫るが依然として犯人を特定できなかった。そして最後にレーンが身をもって示した犯人とは衝撃的な結末だった。レーン氏が自死した。
コリン・デクスター著「キドリントンから消えた娘」、英国オックスフォード郊外キドリントンからバレリー・テイラーという女性が家出失踪した。失踪して2年数か月経た時点で捜査がモース主任警部の手に渡った。中等学校での校長と教頭そしてフランス語を教える教諭、バレリーの母親、義父と翻弄されるモース主任警部とルイス巡査部長、二転三転しながら懊悩し捜査を繰り返し原点に戻りながら進めていく過程を十分に楽しめる警察物ミステリーだ。
コリン・デクスター著「ウッドストック行最終バス」、テレビでモース警部シリーズをしこたま見ているせいか、読んでいる最中警部とルイスの顔が出てくるが小説の中の二人はちょっと違う感じがする。オックスフォードのパブの庭で女性が強姦され殺害された、モースとルイスコンビが捜査をする中で一転二転と状況が変化し中々犯人を特定することができない。不倫中の大学講師と若い女子そしてモースに愛情を注ぐ女性、複雑な伏線ををたっぷり用意して読者には中々犯人を特定させない巧妙なトリックとプロットが用意され読み応えのある本書である。
ミシェル・ビュッシ著「黒い睡蓮」、フランスのノルマンディー地方のジヴェルニーは、晩年モネが30年間に渡り暮らしていた小村である。ここに睡蓮の池がありモネは多数の絵画をここで描いた。この小村で連続殺人事件が発生する二人の警部の必死の捜査に関わらず犯人を特定することはできなかった。ただセレナック警部は直観から犯人を特定していた。物語は冗長であり、かつ最後のどんでん返しは時間差というかあまりピンとこない結末だ。
真山仁著「神域 下」、宮城県警の楠警部は自分の母もアルツハイマー病を患って徘徊していた。失踪徘徊した老人たちが、次々と遺体となって発見され法医学室で解剖された脳は膨張し頭蓋に罅が入るほどだった。開発中のフェニックス7の人体実験をアルキメデス科学研究所で極秘に人体実験をしていた、そしてフェニックス7は米国サンノゼの研究センターと治験を共同で行うという。県警はアルキメデス科研に踏み込んだが、警察庁でまったを暗い空中分解した。

水曜日, 12月 29, 2021

真山仁著「神域 上」、アルツハイマー型認知症の克服は国家戦略でもある再生先端医療の千峰である。この件について大手IT企業社長が動いて医療センターを大々的に立上げ研究が開始された。医療センター及びアルキメデス科学研究所が目指す再生医療の眼玉はフェニックス7と言われるアルツハイマーを遅延させる投薬だ。その頃東北の宮城市の周辺で俳諧老人の連続死体事件が起こっていた。宮城署が乗り出し捜査に当たるが殺人事件かどうか?判断はまだできなかった。
ロード・ダンセイニ著「二壜の調味料」、エラリー・クイーンが名作と認めた古典的作品で本書は作家が唯一書いたといわれるミステリー集であり、26編もの短編集である。ホームズとワトソンに似せたリンリーとスメザーズはちょっと機転が利いた物語で読者を楽しませてくれる。他にも短編が色々とあり一気読みの感がある。
ケイト・モートン著「湖畔荘 下」、セイディの調査も佳境を迎え、ロンドンに住む作家アリスに面会しコーンウオールのローアンネスの屋敷の鍵を渡してくれたつまり調査しても良いと認めてくれた。屋敷に入り様々な手紙を繰るうちに段々と全貌が明らかになり、それまでの定説が覆った。当時の母親が愛人で庭師のベンと共にセオを匿ったという事実だった。そして終幕でどんでん返しが待っていた、セイディ叔父バーティこそがセオだったと。1930年代と現在とが交互に絡み合い交錯し登場人物の過去にも翻弄されながらの最後のどんでん返しは素晴らしい。
ケイト・モートン著「湖畔荘 上」、英国ロンドンから少し離れた森と湖に囲まれたその屋敷はエダヴェイン一家が1930年代に暮らしていた優雅な屋敷だった。その一家に1歳になる末っ子のセオという男の子が誘拐された。警察始め総出で捜索したが男の子を見つけることができなかった。70年前のこの事件に興味を示したのはロンドン警視庁でミスを犯し上司から休暇を迫られ叔父の住むコーンウオールに来たセイディだった。彼女は未解決事件の情報を図書館から当時担当していた警部まで聞き込みをしたりして事件解決に向け鋭意努力中だ。
アントニイ・バークリー著「ジャンピング・ジェニイ」、古典的名著と言われた本書であるが、少し冗長でありプロットそのものも平坦であり面白みに欠ける、最後にどんでん返しは用意しているが脈絡に欠ける点は否めない。仮想パーティで主催の弟の嫁が屋上で自殺した、そこに参加していたロジャー・シェリンガムは殺人だと断定して犯人に目星を付けその人間を守ろうとする。嫁は分裂症気味で鬱を患い自殺願望があった。しかし裁判では自殺と断定された、そこから最終章にどんでん返しが起きた。しかし脈絡がない。、
ドロシー・L・セイヤーズ著「誰の死体?」、1920年代の作品だという。ある朝発見されたのは浴槽で仰向けにされた遺体だった。当然英国ではスコットランドヤードの警部が早速事件の捜査を開始、しかし手掛かりも無く途方に暮れていた。スコットランドヤードもう一人の警部バーカーはピーター・ウィムジイ卿に取り次ぎ二人で事件の解明に乗り出す。シャーロックホームズを彷彿とさせる探偵は勿論ウィムジイ卿で雇用人のバンターがワトソン役だ。今ではプロットも在り来たりなものだが当時は画期的なミステリーだったに違いない。
真山仁著「トリガー 下」、韓国のスーパースターであり検事そして現大統領の姪のキム・セリョンが凶弾に倒れ、日本・韓国双方の捜査が開始されたが、北朝鮮及び米国と日本の防衛システムを揺るがす民間の軍事受託会社に防衛を委ねるそしてそのカネをばら撒き覇権を競う軍事会社の陰謀と目まぐるしく展開する物語は圧巻である。スパイ小説として一読に値する価値を本書は提供してくれる。著者の周到な調査と思考の上で組み立てられたプロットは圧巻である。
真山仁著「トリガー 上」、2020年東京オリンピックが舞台となった事件だった。韓国の大スターであり韓国地検の検事で馬術でのオリンピック参加を決めていた。馬場に入場して間もなく500m先からスナイパーによる狙撃によって額を撃ち抜かれその場に倒れ即死だった。韓国地検と日本の警察の軋轢の中、事件の真相究明すべく警視庁特別斑が始動。元外事課で今はカウンセラーの冴木、北朝鮮の工作員、米国大使館と物語は壮大で小気味よい文章とともに楽しめる。
松岡圭祐著「千里眼 優しい悪魔 下」、新シリーズの最終巻のこの書は、岬美由紀とメフィストコンサルティングのダビデ及びジェニファーレインとの相関を締めくくる巻となった。様々な事件の中でスーパーヒロイン美由紀が全力で戦い勝利してきた経緯そのものが美由紀の信念だ。弱きを助け困窮している者に救いの手を、そして何よりも著者の破天荒なセッティングは度肝を抜かれまた苦笑せざるを得ないことが、やはり岬美由紀を通して直に感じられるエンタメ小説の究極だ。
セバスチアン・ジャプリゾ著「シンデレラの罠」、不思議なミステリーと言っていいと思う。物語の進捗の語り手が変化し続け登場人物がつまりドかミか判別できなくなる。しかしこの物語の真意は、莫大な遺産相続にともない、もたげた殺意その底辺には遺産を持つ叔母への愛情の獲得争いといったいたって現実的な命題があるのが主題だと思う。語る人称を変える技法にどんなメリットがあるのか今一不明だ。
ギョーム・ミュッソ著「ブルックリンの少女」、人気作家のラファエルと医師のアンナは恋愛関係にあり、既にアンナのお腹には二人の結晶が宿っていた。アンナの過去を知るべく問い詰めたラファエルはアンナが差し出した写真を見て仰天し彼女の元を去った。後からアンナを追いかけたが捕まらず、そのまま深い闇の中に沈んで行くのだった。アンナを探し出すべく捜査に乗り出し、近所の元有名警部マルクの協力の下に関わりあるとされる人物を一人一人その過去をそして行く着いた先は正にどんでん返しそのものだった。ニューヨークとパリを舞台に様々な登場人物を描きそして頁を最後まで繰らせる迫力は著者の持つ圧倒的な力量そのものだ。
ウィリアム・L・デアンドリア著「ホッグ連続殺人」、40年も前の作品だが、その面白さつまり本格ミステリーとしての要素を余すところなく備えたミステリーだ。プロットも最後のどんでん返しも現代にも通ずる面白さを持っている。またイタリア人の犯罪学専門の教授とアメリカで探偵業を営む教授の教え子がタッグを組んで連続殺人事件を解決する設定も素晴らしい。
松本清張著「鴎外の婢」、「書道教授」、銀行の渉外担当の川上はパチンコが趣味で良く行きつけの店内でバーに勤める女と知り合いになった文子という名の女であった、懇ろになり勿論遊び半分で肉体関係となった。文子は金を川上に要求し、終いには友人仲間とバーを出店するこになったと言い大金を要求してきた。そんな地獄の日々を過ごす中で渉外で回った場所に書道教授の看板を掲げる家があり、川上は書道をすることにした。そして妻の着物を買った後、空き巣に入られ着物を盗まれた妻保子の執念から犯人が特定できた。しかし妻の証言から文子を殺害した夫の犯行がバレてしまった。男の心理状態を伏線に著者独特の語りは圧巻だ。 「鴎外の婢」、編集者から依頼され明治の文豪の回りのエピソードを書いている浜村は、つと浮かんだ発想を基に九州に旅することにした。鴎外が小倉に住んだ3年間の時、鴎外の面倒見た家政婦モトに纏わる話を書くためだった。旅館に宿泊し主人も古代史ファンと聞いて話をしたが、その後モトの縁戚のハツの行方に気にかかり行方を追う内に旅館主と恋仲になり妊娠したハツは殺害されたのではと思いある土地を掘り返した結果骸骨が無数に出てきた、古戦場の跡だったのだ。しかしその無数の骸骨の中にハツの死骸があったのではないかと。
松岡圭祐著「千里眼 優しい悪魔 上」、スーパー女子岬美由紀、元航空自衛隊空尉で優れた動体視力を見つけ臨床心理士に転身しカウンセラーとして悩める人々を救っている毎日だ。そんな美由紀の身に度重なる危機が及ぶメフィストコンサルティング傘下のジェニファーレインそしてダビデの魔の手が迫る。
アントニイ・バークリー著「ジャンピング・ジェニイ」、古典的名著と言われた本書であるが、少し冗長でありプロットそのものも平坦であり面白みに欠ける、最後にどんでん返しは用意しているが脈絡に欠ける点は否めない。仮想パーティで主催の弟の嫁が屋上で自殺した、そこに参加していたロジャー・シェリンガムは殺人だと断定して犯人に目星を付けその人間を守ろうとする。嫁は分裂症気味で鬱を患い自殺願望があった。しかし裁判では自殺と断定された、そこから最終章にどんでん返しが起きた。しかし脈絡がない。

日曜日, 11月 28, 2021

ドロシー・L・セイヤーズ著「誰の死体?」、1920年代の作品だという。ある朝発見されたのは浴槽で仰向けにされた遺体だった。当然英国ではスコットランドヤードの警部が早速事件の捜査を開始、しかし手掛かりも無く途方に暮れていた。スコットランドヤードもう一人の警部バーカーはピーター・ウィムジイ卿に取り次ぎ二人で事件の解明に乗り出す。シャーロックホームズを彷彿とさせる探偵は勿論ウィムジイ卿で雇用人のバンターがワトソン役だ。今ではプロットも在り来たりなものだが当時は画期的なミステリーだったに違いない。
真山仁著「トリガー 下」、韓国のスーパースターであり検事そして現大統領の姪のキム・セリョンが凶弾に倒れ、日本・韓国双方の捜査が開始されたが、北朝鮮及び米国と日本の防衛システムを揺るがす民間の軍事受託会社に防衛を委ねるそしてそのカネをばら撒き覇権を競う軍事会社の陰謀と目まぐるしく展開する物語は圧巻である。スパイ小説として一読に値する価値を本書は提供してくれる。著者の周到な調査と思考の上で組み立てられたプロットは圧巻である。
真山仁著「トリガー 上」、2020年東京オリンピックが舞台となった事件だった。韓国の大スターであり韓国地検の検事で馬術でのオリンピック参加を決めていた。馬場に入場して間もなく500m先からスナイパーによる狙撃によって額を撃ち抜かれその場に倒れ即死だった。韓国地検と日本の警察の軋轢の中、事件の真相究明すべく警視庁特別斑が始動。元外事課で今はカウンセラーの冴木、北朝鮮の工作員、米国大使館と物語は壮大で小気味よい文章とともに楽しめる。
松岡圭祐著「千里眼 優しい悪魔 下」、新シリーズの最終巻のこの書は、岬美由紀とメフィストコンサルティングのダビデ及びジェニファーレインとの相関を締めくくる巻となった。様々な事件の中でスーパーヒロイン美由紀が全力で戦い勝利してきた経緯そのものが美由紀の信念だ。弱きを助け困窮している者に救いの手を、そして何よりも著者の破天荒なセッティングは度肝を抜かれまた苦笑せざるを得ないことが、やはり岬美由紀を通して直に感じられるエンタメ小説の究極だ。
セバスチアン・ジャプリゾ著「シンデレラの罠」、不思議なミステリーと言っていいと思う。物語の進捗の語り手が変化し続け登場人物がつまりドかミか判別できなくなる。しかしこの物語の真意は、莫大な遺産相続にともない、もたげた殺意その底辺には遺産を持つ叔母への愛情の獲得争いといったいたって現実的な命題があるのが主題だと思う。語る人称を変える技法にどんなメリットがあるのか今一不明だ。
ギョーム・ミュッソ著「ブルックリンの少女」、人気作家のラファエルと医師のアンナは恋愛関係にあり、既にアンナのお腹には二人の結晶が宿っていた。アンナの過去を知るべく問い詰めたラファエルはアンナが差し出した写真を見て仰天し彼女の元を去った。後からアンナを追いかけたが捕まらず、そのまま深い闇の中に沈んで行くのだった。アンナを探し出すべく捜査に乗り出し、近所の元有名警部マルクの協力の下に関わりあるとされる人物を一人一人その過去をそして行く着いた先は正にどんでん返しそのものだった。ニューヨークとパリを舞台に様々な登場人物を描きそして頁を最後まで繰らせる迫力は著者の持つ圧倒的な力量そのものだ。
ウィリアム・L・デアンドリア著「ホッグ連続殺人」、40年も前の作品だが、その面白さつまり本格ミステリーとしての要素を余すところなく備えたミステリーだ。プロットも最後のどんでん返しも現代にも通ずる面白さを持っている。またイタリア人の犯罪学専門の教授とアメリカで探偵業を営む教授の教え子がタッグを組んで連続殺人事件を解決する設定も素晴らしい。
松本清張著「鴎外の婢」、「書道教授」、銀行の渉外担当の川上はパチンコが趣味で良く行きつけの店内でバーに勤める女と知り合いになった文子という名の女であった、懇ろになり勿論遊び半分で肉体関係となった。文子は金を川上に要求し、終いには友人仲間とバーを出店するこになったと言い大金を要求してきた。そんな地獄の日々を過ごす中で渉外で回った場所に書道教授の看板を掲げる家があり、川上は書道をすることにした。そして妻の着物を買った後、空き巣に入られ着物を盗まれた妻保子の執念から犯人が特定できた。しかし妻の証言から文子を殺害した夫の犯行がバレてしまった。男の心理状態を伏線に著者独特の語りは圧巻だ。 「鴎外の婢」、編集者から依頼され明治の文豪の回りのエピソードを書いている浜村は、つと浮かんだ発想を基に九州に旅することにした。鴎外が小倉に住んだ3年間の時、鴎外の面倒見た家政婦モトに纏わる話を書くためだった。旅館に宿泊し主人も古代史ファンと聞いて話をしたが、その後モトの縁戚のハツの行方に気にかかり行方を追う内に旅館主と恋仲になり妊娠したハツは殺害されたのではと思いある土地を掘り返した結果骸骨が無数に出てきた、古戦場の跡だったのだ。しかしその無数の骸骨の中にハツの死骸があったのではないかと。
松岡圭祐著「千里眼 優しい悪魔 上」、スーパー女子岬美由紀、元航空自衛隊空尉で優れた動体視力を見つけ臨床心理士に転身しカウンセラーとして悩める人々を救っている毎日だ。そんな美由紀の身に度重なる危機が及ぶメフィストコンサルティング傘下のジェニファーレインそしてダビデの魔の手が迫る。
アルネ・ダール著「時計仕掛けの歪んだ罠」、スウェーデンはストックホルムの犯罪捜査犯の警部サム・べリエルは、少女連続誘拐事件を捜査していた。有力な情報を基に踏み込んだが、もぬけの殻だった。そんな折スウェーデン公安警察の警部モリー・ブロームその捜査に当たっていた。二人は統合して組織を無視して捜査に没頭する。そこで浮かんだのは中学生の頃、いじめにあった男ヴィリアム・ラーションに思い当たり次々と困難を突破して漸く追い詰めた。長編ながら全編に緊張が漂いページを繰らせる力が漲っている、作者の力量を思い知らされる好著だ。
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