金曜日, 7月 27, 2018

ダン・ブラウン著「オリジン 下」、米国はハーバード大学教授ロバート・ラングドンシリーズ第5弾だ。宗教と科学との相克・対峙はシリーズの基本テーマで今回の「オリジン」もご多聞にもれずそうだ。エドモンド・カーシュ亡き後、プレゼンテーションの公開を急ぐラングドンは幾つもの試練を乗り越え遂に公開できた。人はどこからくるのか?この問いに自然界の物理法則によって生命が誕生し、科学の兆速な進歩により未来を生きることへ繋がるとその命題への答えだった。後半のどんでん返しは読者を引きずり込んで一気に最終ページへと。スペインのガウディの建築物をネットで検索し見ながらの読書は楽しい時間を与えてくれた。
ダン・ブラウン著「オリジン 上」、久しぶりに著者の本を読む。スペインを舞台にしたミステリーだ。グッゲンハイム美術館やらサグラダファミリアそしてバルセロナのアントニオ・ガウディのカサ・ミラなど正にスペイン一色だ。ハーバード大学教授ラングドンの友人であるエドモンド・カーシュはコンピューターの専門家でもり未来学者だそんな彼がグッゲンハイム美術館で哲学的命題、「人間はどこからきて、どこに行くのか」この二つの命題を宗教と対峙させプレゼンテーションを行うという。しかし事態は急変しプレゼンテーションの最中ラングドンが見守る中、射殺された。美術館の館長とラングドンは、友人の意思を継ぎ捜査に乗り出す。
辻村深月著「かがみの孤城」、本書は、2018年「本屋大賞」に輝いた作品である。七人の生徒が自宅の鏡を通して孤城にて出会うという不思議な物語だ。城の中で次第に各人との繋がり絆を深めていく、不登校の中学生を描く。プロットは新鮮で斬新だ。読後は何故か心が暖まるそんな感じがする長編小説だ。
アガサ・クリスティー著「ナイルに死す」、著者の最長編ミステリーと言われるこの作品は中東の異国情緒を漂わせ、ナイル川クルーズに設定し、様々な登場人物を配し船内での連続殺人というプロットを仕立てた彼女の手腕は強烈だ。今読んでも古さを感じさせない。ポアロを初めとして、医師、弁護士、盗賊、資産家令嬢と人物も多彩だ。傑作ミステリーだと思う。
山折哲雄著「親鸞をよむ」、著者はTVでも拝見したが、哲学者にして宗教家でもある。親鸞をからだで読むとの命題で解説した本書は、親鸞の哲学的著作「教行信証」と「歎異抄」との比較を紐解きさらに妻恵信尼の書簡集にも言及し親鸞の世界をやさしく解説している。悪、人間の根源的悪を往生という親鸞が生涯追及したテーマまた極楽浄土つまり浄土感、浄土に対するイメージは仏教の最大のテーマであると著者は言う。
エラリー・クイーン著「ギリシャ棺の謎」、1932年に記された本著、長編推理小説は現代でも十分通用する魅力を持った作品である。著者の初期の長編推理小説であるという。大学を出たてのエラリーが活躍する本作品は犯人特定が二転三転し暗闇に中に沈殿してゆく。この複雑なプロットは人物の配置設定はおろか全てに於いて完璧なもので最後まで読者の犯人特定を困難にさせる超ミステリーの傑作だと思う。
スティーヴン・キング著「キャリー」、キャリーとはこの物語の女性少女主人公の名前である。著者の初期の長編作だ。偏狂な家庭に育ち高校生となったキャリーは、性格も暗く常に不安に脅え高校生活を送っている。ただ彼女はTKテレキネシスという特異な能力を持った女性だった。ホラー小説の元祖と位置付けられた作品であるといわれるが、ソフトホラーというかミステリーも交じり結構痛快で面白かった。
大沢在昌著「新宿鮫」、一匹狼ではぐれ刑事、鮫島はキャリアでありながら警部という肩書で防犯課に勤務する。次々と新宿署の警察官が射殺され、犯人は庸として知れず辿り着いた先は拳銃密造する男だった。約30年にも前の作品としては今読んで見ても古さを感じさせないストーリー展開と物語で踊る各々のキャラクターは鮮明で嬉々とした出来具合だ。
松岡圭祐著「千里眼 ミッドタウンタワーの迷宮」、著者の人気エンターテインメント小説である。美貌で才智溢れる岬美由紀を巻き込んで展開する、ミグ25による核爆弾の退避、中国大使館に潜むいかさま賭博を巡る攻防と読者を圧倒するプロットだ。
ドン・ウィンズロウ著「ダ・フォース 下」、ニューヨーク市警の部長刑事デニー・マローンは、自ら大量の麻薬と現金を手にし同僚の刑事たちと分配した事案が明らかにされ窮地に立たされる。最後には同僚の刑事を見捨てる事態となった。ニューヨークに蔓延る大量の麻薬と殺人、人種差別、市警の違法捜査と恫喝、司法全体の金による汚職、そんな中で最後まで、警察官として生きるマローンの姿は人間として生きる姿を作者は提示してくれた。