火曜日, 9月 28, 2021

宮部みゆき著「おまえさん 下」、20数年前の大黒屋でのザク殺しから以降町方平四郎を始め同心、親分手下らが血眼になって捜索したが依然として瓶屋の文乃と哲次郎の行方は不明のままだった。この捕り物に関わる登場人物の身の回りのゴタゴタをユーモアを交えて語る著者の力量に感心する江戸の時代ミステリーとして少し冗長性はあるが傑作だ。
宮部みゆき著「おまえさん 上」、江戸は本所の町方、井筒平四郎は至って怠け同心であるが部下手下には粒ぞろいの精鋭が揃っている同心の間島信之輔、政五郎親分就中美形の少年平四郎の甥っ子の弓乃助は頭脳明晰で物語を面白くしている。町中で辻切りと思われる殺害が連続して発生し捜査に当たる筋から薬問屋に関連している事が判明した。しかし下手人を挙げることは出来ない。。
松本清張著「馬を売る女」、都内の繊維会社に勤務する30歳独身の星野花江は秘書でケチで金をしこたま貯め将来に備えていた、当然社内の評判は良くないさらに同社社員に金を融通して利子を取るというバイトまでしていた。彼女が務める会社社長は馬好きで馬を保有して馬主仲間と連絡を取り合ってレースの予想、分析まで電話でしていた、その電話を花江は盗聴して会員と称して情報を提供して月1万円の会費を取っていた。社長が二次下請け業者に相談を持ち掛け電話を盗聴されているが調査して欲しいと、相談に乗った八田栄吉は調査する段階で星野花江と親密になり遂に殺人に至る。
アガサ・クリスティー著「秘密機関」、トミーとタペンスものの初期の作品である。仕事も金も無く退屈していた二人が考えたのはヤング・アドベンチャラーズという会社で何でも引き受ける調査会社であった。思わぬ仕事が舞い込みそれが発展して国家の秘密機関に接触することなるトミーとタペンスは互いに拉致監禁されるが持ち前の勇気と機転で困難を乗り越えることに成功した。最後でどんでん返しが待っていた秘密機関を牛耳るドンは実は身近にいる人物だった。ミステリーの中にロマンを盛り込み読者を飽きさせない物語だ。
小西晴彦著「モンスター」、著者は35年間も教師を続けていたとプロフィールに書かれていたのには驚いた。事件の現場はまさに学校であり校長が殺害されたからである。道警の田舎の警察署の刑事二人、村雨と加賀が事件を担当し捜査に乗り出す。一方犯人である山川愛の人物像が綴られてゆく。クリスチャンで神を絶対と信じる山川の過去はまさに悲惨で虐げられた過去だった。神からの啓示により次々と殺害し火をつけてゆく。刑事コンビと犯人の人物像が交錯して物語の世界を構築し読者を離さない。
黒川博行著「桃源」、大阪府警泉尾署の刑事コンビ新垣と上坂が大規模詐欺、沈没船をサルベージして財宝を取得という荒ての詐欺を企み、法外な資金を集めくすねという手口だ。捜査にあたる府警のコンビは沈没船の場所を特定し沖縄、宮古、石垣、奄美と渡り証拠を握るべく奮闘するが一向に状況は闇の中、コンビの遣り取りを中心に捜査を続ける何時もの著者の軽快な文章が心地よい。
橘玲著「ダブルマリッジ」、桂木憲一は会社での移動でフィリピンはマニラに数年間滞在中に出会ったマリアと結婚し子供までがいたことを知り、さらに戸籍謄本が書き換えられその子供ケンまでもが載っていた事を知った。本書の物語はここから始まった。現在の妻とは当然発覚してからは疎遠になり娘の茉莉愛にまで疎まれる存在となった。弟が居たという事実を知った茉莉愛は必死になって捜索し突き止めさらにフィリピンまで行って父憲一と結婚していたというマリアを突き止めた。フィリピンには日本人の父を持ち今でもスコーターというわれる貧民街スラムで暮らす子供が十数万人いるという現実をこの小説が突き付けている。
綾辻行人著「びっくり館の殺人」、館シリーズの一作で少年少女向けにい書かれたミステリーだと言う。謎の建築家中村青二が施したびっくり館に住まう老人と子供その子供の俊生と知り合いになる三千也の語りで物語が進む。館で起きた殺人、老人が殺害される。しかし犯人は?三千也の追憶の中で語られる犯人とは。
橘玲著「永遠の旅行者 下」、麻生棋一郎の孫であり20億円の資産の継承者でもある麻生まゆを守る為に奮闘する真鍋恭一そこは日本であり香港でありハワイでありニューヨークであった。国際金融、税務の知識をフル活用しながら徐々に依頼された目的それは孫のまゆへの遺産相続そして日本政府には税金を一銭も払わないという二つの条件の成就を目指して恭一の奮闘は続く。プロットといい複雑な伏線を幾つも用意周到に準備したこのミステリーは本当に楽しい。
橘玲著「永遠の旅行者 上」、弁護士を辞めて日本国籍を捨てパーマネントトラベラーとなった真鍋はハワイに在住し元弁護士として法務や財務の相談業務を私的にしていた、そんな時にカナイという知人から相談を持ち掛けられ乗ることになった。それは老人からの依頼で孫12歳になる女の子を保護し財産を継承させたい父親は失踪して行方不明という案件だった。日本に帰り本人や依頼した老人に接見したり、ゴロツキに狙われている現状に遭遇しまずは香港で口座を開設し資金の手当て相続税対策、遺産相続を念頭に仕事を開始した。