日曜日, 7月 28, 2019

山崎豊子著「二つの祖国 中」、戦況は一刻を争うほど危急を高め遂に太平洋戦争に突入した。賢治は二か国語を理解していることから戦線に参加しフィリピンでの戦闘に巻き込まれ日本軍に参加している正と図らずも正対し誤って弟を撃ってしまう。死を覚悟した日本軍の戦闘は飢えと弾薬不足で次々と命を落として行く日々だ。そんな中米軍はユダヤ人が開発した原子爆弾を広島に投下し一瞬で市を滅亡させ甚大な被害を被らせた、間もなく戦争は終結し天皇陛下の勅撰により国民にしらされた。以後ロサンゼルス在住の天羽乙七は強制収容所を出所し知人の勧めでランドリーを再開した。賢治は戦争裁判、東京裁判の通訳兼モニターとして潰させに東京裁判を目の当たりにすることになった。
真山仁著「シンドローム 下」、サムライキャピタル社長鷲津政彦は、買収の為「首都電」株を着々と買い進め礎石を打った。政府内の総理及び側近と大臣関連する役所経産省、エネルギー庁らの高級官僚は右往左往している事態で全く方針が定まっていない。実際に起きた事態を垣間見るようで面白い。鷲津は日本が存亡危急の折に日本を救い再生するという理念の元に首都電にTOBを掛け買収・奪取した。膨大な利益を背に責任を果たした。
山崎豊子著「二つの祖国 上」、アメリカロサンゼルスのリトルトーキョーでランドリーを営む日系一世天羽家は、太平洋戦争の終盤日本による真珠湾攻撃により非国民扱いとなり一家して北部の収容所に収監される。収容所での過酷な生活の中で日系二世は米国籍を持ちながら誹謗中傷に会い右往左往し精神的にも大きな痛手を受けざるを得ない。祖国とは何か?一万数千人にも及ぶ収容所の中で暮らす人々の疲労感が募る、そんな中天羽賢治は大学を卒業し日本語と英語を習得したため収容所の管理部に登用される。
真山仁著「シンドローム 上」、サムライキャピタル社長鷲津政彦は再び日本に上陸し首都電を買収しようとした矢先に東北大地震に見舞われた。SBO(ステーション・ブラック・アウト)になった第一原発は冷温停止すべく必死に作業を進めていいるが遅々として進まず発生から10日経っても事故調さえ立ち上がる気配は無い。彼鷲津政彦は慰問に続いて救済基金を立上げさらに政府要人とも折衝して事故調を立上げ買収案を練る算段だ。
サラ・ウォーターズ著「半身」、19世紀後半ロンドンのテムズ河畔に建つ獄舎ミルバンクを舞台にした一人の女性で貴婦人のマーガレットと監獄に収容された女囚シライナとの出会いの物語である。獄舎の慰問を繰り返しながらミルバンクの陰湿な全貌を描写し、女囚との出会いもまた静寂と孤独中で出会う設定だ。全編に渡り孤独と寂寥と闇を描写し、そんな中でも希望に取りすがろうとする絶望の淵から這い出そうとする二人の人生そして最終的なミステリー的トリックが解る。