金曜日, 3月 29, 2024

杉井光著「世界でいちばん透きとおった物語」、著名なミステリー作家が死んで、彼の遺稿があると言うので藤崎燈真かれは作家と自分の母親との不倫で生まれた息子だったそして実の息子と二人で遺稿捜しを始めることになった。生前付き合いのあった人たちへ会いに生き様々な意見を聞いたが遺稿の原稿は無く遂に突き止めた時には作家の元妻によって償却されてしまっていた。遺稿捜しに協力してくれた女性編集担当の霧子さんから自分の秘密を知ることになる。プロットこそ単純だが最後の衝撃的どんでん返しに魅了された。
阿津川辰海著「蒼海館の殺人」、600ページを超える大作であり、冗長性は否めないできだ。山中のY村の葛木家の法事に立ち寄った二人の高校生、そして大雨が台風となり曲川が氾濫寸前となり地区住民とも協力して葛木家を守り避難していた、そんな中で殺人事件が発生し葛木家の面々は疑心暗鬼となり互いを疑うという事態に。彼ら高校生の友人であり頭の回転も早く推理に長けた葛木輝義が事件を解決へと導く。プロットと殺人トリックは平凡でワクワク感がない。
沢村浩輔著「夜の床屋」、 読む前に目次を確認すると5作の短編集であると思ったが、読了してみて正に不思議な感覚に衒われて思わず物語自体を再考するようになる。平凡な短編だと思いながら行き着く所は正にファンタジーの世界であった。唖然とすると同時に、作者の発想の斬新さを称賛することになる。
笹沢佐保著「異常者」、都内を中心にして連続暴漢魔殺人事件が発生、弁護士の波多野は自分の妹が暴漢魔に襲われ死亡した、幼馴染の山城警部補と連携して犯人を追跡することに、そして遂に被害者の共通点を見出し逮捕になった。しかし以前の7人の被害者の共通点は見いだせなかった、ふと接点がひょんなことから旅行者を通じてギリシャ旅行で同じホテルヒルトンに宿泊した仲間であることが判明とこの小説のプロットは良く考えられていてさすがだと思うと同時に面白く読ませていただいた。
松岡圭祐著「瑕疵借り 奇妙な戸建て」、瑕疵借りを生業にしている賃借人藤崎は依頼により千葉県は八街市郊外の戸建てに向かう、その家主は依然知り合った松崎だった。奇妙にも松崎つまり所有者と一緒に住むことになる。築35年になる戸建ては郊外の分譲住宅地にあり住人は全て高齢者であり戸建てに住もうとする藤崎や松崎の言動にいちいち批判の声を上げる、なかでも交通事故で死亡した元妻とその娘の死を超え高に叫び二人を震撼とさせる。そして元調査会社での勤務経験がある藤崎は遂に犯人を特定した。
笹沢佐保著「軍師 竹中半兵衛」、 戦国時代に合って織田信長配下の秀吉の軍師として生きた竹中半兵衛の生涯を描いた作品である。著者の小説に見る絶妙な展開が素晴らしい。生涯裏方に徹し欲を持ち出さず軍師として生きた半兵衛こそ男道つまり武士道を全うした稀有な人物であり、そこに一凛の花として信長の妹お市とのプラトニックラブを絡ませ色を添える展開に小説に厚みを加え一層面白くさせている。
笹沢佐保著「死人狩り」、伊豆下田から沼図へ向かう定期運航の海南交通のバス、乗務員含め27人乗りのバスが猟銃で射撃され崖下へ転落し全員の命を奪った、浦上と伊集院の両刑事は捜査を担当し死んだ遺族の下を訪れ聞き込み調査を行ったが、果たして成果も無く暗中模索となり捜査は暗礁に乗り上げた。伊集院刑事がある日何者かに襲撃され鈍器で頭を殴られ昏倒したそして刑事の背中に置いて行かれた靴ベラ、その靴ベラを端緒に遂に犯人に行きついた。
笹沢佐保著「死にたがる女」、5編の短編集である、いずれも珠玉な作品でテーマは勿論人間の生であり生きることの不思議というか意味を問う作品である。著者の卓抜な視点が随所に鏤められ読者を楽しませてくれる、何時読んでも面白い。
笹沢佐保著「白い悲鳴」、4編を含む短編集である。いずれも短編としてはミステリー感タップリと楽しませてくれる設定で著者の女性の心理描写といい官能表現といい見事でそれでいて人生を考えさせてくれる、本物のミステリー短編集だとおもいました。
笹沢佐保著「天鬼秘剣」、若狭湾の近くの山に住んでいた青年は近くの村では鬼と呼ばれていた図体はでかく顔は赤黒くまるで確かに見た目まさしく鬼のような相貌であった、青年は伊藤一刀斎という剣の達人と一緒に住み日々剣の研鑽に精進していた。青年は17歳の時に日本海の砂浜で一刀斎に拾われ育てられたという過去を知っていたがその出自は自分では一切記憶が無かった。29歳になり鬼は一刀斎に海渡天鬼と命名され一人武者修行に出かけ各地で事件に向き合う、そして熊本に渡った時に遂に自分の出自が判明する、彼は日本海の荒波台風の時沈没したイスパニア船に乗船していたイスパニア人の青年だっという落ちである。

水曜日, 2月 28, 2024

笹沢佐保著「新・一茶捕物帳ー青い春の雨ー」、時代物でしかも有名人が出てくる探偵ものとなると読む前から期待が高まる。その有名人とは若き日の小林一茶であって、彼は深川伊勢崎町の源右衛門店通称お月見長屋の一間に弥次郎兵衛として住んでいた。弥次郎兵衛つまり一茶は錠回童心片山九十郎の知恵袋として事件解決に寄与する重要な存在である。長屋の隣に住む後家さんのおりんに思いを寄せる描写も面白い。
笹沢佐保著「絶望という道連れ」、共に殺人者として逃亡を続ける田宮史郎と金沢真由美、沖縄から鹿児島さらに東京と愛の逃避行を繰り返していた、すっかり開拓された真由美の肉体は田宮の想像を遥かに超えていた。暴力団を絡んだ恐喝事件の余波を喰らい巻き込まれた二人はそこで目にしたのは5人もの殺害であった、二人は逃避行を続けながら犯人を次々と特定していった。しかしそれは何処まで行っても絶望との道ずれ逃避行だった。絶対絶命の状態で追い詰められた男女の心の揺れを見事に結集させる著者の迫力ある描写に感激。
笹沢佐保著「断崖の愛人」、 大手の部類に入る中外軽金属の会社の係長を務める井ノ口一也は家庭での嫁姑間の対立に日々悩まされていた、彼の妻純子は策略を施し夫に愛人を持たせるべく画策した、何故か姑の春江が愛人という状況に毛嫌いしているのを知っているのが原因だった。彼の勤務する部署で部下の安城由布子との不倫間関係に遂に井ノ口は陥った。ある日春江は息子の一也に愛人がいることにきずき愛人由布子の住まうマンションに出かけ由布子と春江は対決した、結果春江はマンションの屋上から転落し死亡した。さらに沖縄へ出張した一也を追って来た由布子との逃避行の近くの岬の断崖から探偵が身を投げ死亡と家庭の不和から始まる件が殺人までに発展したミステリーのプロットとしては単純で結果もそれほど驚くべき結末とはいえないが、ここに至る道程、男女の心理の描写はさすがである。
笹沢佐保著「闇狩り人犯科帳」、 領国元町で営業する「春駒」そこの主人である小夜のもとに起居する源太剛毛の黒い髭を蓄え体が大きいわりに猫背で歩く近所の子供たちがウスノロの源太と囃し立てるほどの目立たない人柄であった。その源太が果敢に事件の下手人を取られる姿はまるで必殺仕事人のようである、次々の事件を解決してゆく痛快江戸活劇で読んでいてすっきりするようだ。
笹沢佐保著「少しだけの寄り道」、小山内千絵は、銀行員の夫を持つ平凡な主婦である、ある日新宿のデパートであった精悍なマスクの三十代の男性と接点を持ちその後深みに嵌り込んでいくことになる、つまり不倫であった。凡庸な性生活しか知らない主婦千絵が男性藤城三樹夫との逢瀬は激しく千絵は幾度もエクスタシを感じ眠っていた性感を掘り起こしてくれたのであった。まさに官能小説と言ってもいい小説である。
笹沢佐保著「愛人岬」、大手ハウス建材メーカーに勤務する水沼雄介は次長としていた、一方同じ社に勤務する古手川香織とは愛人関係にあった、二人で水沼の新車に乗り京都丹後半島に向かった先で殺人事件が起きた。濃密な官能表現と揺れる香織の心の描写は流石である。プロットは平凡で最終的な結末も今一ながら読者を飽きさせない工夫が至る所に潜んでいる。
笹沢佐保著「北町奉行定回り同心控」、 北町奉行同心暁蘭之介の活躍を描く五編の短編集である、それぞれ工夫を凝らした設定で脛に傷を持つ蘭之介の気性を描き素の顔は悪を絶対に許さないという心情とまた多面では優しさを持つ蘭之介の活躍を描く優れた短編集である。江戸の仕来りや風情を盛り込んだ傑作である。
笹沢佐保著「遅すぎた雨の火曜日」、 東京都下の四階建ての小田切病院の長男哲也を誘拐しようとした女、名前は花村理恵彼女の暗い過去は小田切病院の院長夫妻と強く結びついていた。病院を見渡せるマンションに越して来た理恵は哲也の誘拐に成功する。電話での脅迫を繰り返したが一向に効果はなくしまも誘拐した哲也に縛っていたテープを解かれ逆に理恵が囚われそうな状況になった、理恵とのセックスを通して仲良くなり二人で北軽井沢の別荘に居を移して二人の愛情を確かめ合った。そして二人の復讐への決意が徐々に固まっていった、運命とでもいえる邂逅を通して赤裸々に綴る愛情表現は著者の描写力を遺憾なく発揮する、ミステリーとしてのプロットはやや弱いもののこれはこれで満足である。
笹沢佐保著「殺意の雨宿り」、東北の遠野に旅行に出かけた奈良井律子は突然の豪雨に遭い、近くのプレハブ小屋に避難した、そこに次々と非難してきた三人の女性、ホテルで一緒になり話は交換殺人へと発展した。プロットの展開もいいし、伏線もミステリー伴うまた著者の持ち前のアイデアも盛り込み本格的と言われるミステリーに仕上がっている、但し結末はあっけなく終了した。
笹沢佐保著「狂恋 二人の小町」、江戸時代初期の悲恋、官能小説という著者の時代物の実力が遺憾なく発揮され、非常に面白い。江戸で八百屋のお七と財問問屋柏谷の小駒この二人何れも十七歳にして絶世の美人で小町と噂された。この二人が夫々姓に目覚め奔放なセックスに溺れていき、それを焚きつける極悪人でありお駒の相手の吉三郎に誑かせられ殺人に加担して極刑をうける、またお駒の母お葉が淫婦と呼ばれるほどの者であり材木問屋を切り盛りし殺人のまさに首謀者として吉三郎とともに刑場の露と消えた。
笹沢佐保著「人喰い」、花城由紀子は本多火薬銃砲店の社員である日銃砲店の社長の息子と失踪した、妹の佐紀子は銀行に勤めている。昇仙峡で見つかった死体は息子の昭一だけであった、この事実は佐紀子にとって非常に不味い状況になった。銀行の上司から退職を迫られた、三日間お休暇をとり彼女は自分で調査する旨を誓い乗り出した。紆余曲折があり、たどり着いた結論は正にミステリーのこれが王道だと言わんばかり結末だった。プロットといい巧で複雑な伏線を用意ししかも恋愛も絡ませる絶妙さには驚嘆すべきものがあlる。
笹沢佐保著「金曜日の女」、終日働きもしないで怠惰な生活を送っている青年波多野卓也は実業家であり世間でいう大物の長男である。次々と起こる殺人事件に親父が関与していると思われ調査に乗り出した、そこには想像を絶する深くて暗い闇が横たわっていた。大物実業家波多野理の会社の重役鬼頭の娘と知り合い遂に、二人で闇を探りながらの逃避行になった。幾つもの伏線と結果を予測できないミステリーまさに著者真骨頂の傑作であった。
笹沢佐保著「どんでん返し」、短編集である、6編を含む短編集でこれらの短編一つ一つが殺人に関与したウイットに富んでいて登場人物のつまり人間の思考というか状況次第で殺人も犯しかねない危険な心情をもっていると証明するような物語であった。
笹沢佐保著「愛人は優しく殺せ」、山林王といわれた小木曾善三、その一人息子高広と六本木のクラブでそこのママであるナミとも知り合いとなった春日は警察署捜査一課の刑事である。そして善三の秘書兼愛人である三人の秘書が次々と殺害された、高広に相談を受けた春日が捜査に乗り出した。著者の本作は今も古さ感じさせず、一流のプロットと読者を楽しませる伏線と相まって傑作となっている。
笹沢佐保著「花落ちる」、戦国時代信長に仕えた明智光秀の物語で、一つの視点は信長に対する反逆は光秀の何処から派生したのか、また光秀の人間像は?という視点である。著者の小説家としの伏線として名倉助四郎という架空の武士部下を置き、光秀の人物像を掘り下げえさらに麻衣という女性を配して助四郎との恋愛悲運を描くといった心憎い設定により物語をより一層深みを与え読者を喜ばしてくれている。

火曜日, 1月 30, 2024

司馬遼太郎著「峠 下」、遂に継乃助が理想とする一藩として独立国家としての道程を示すことは困難な状況になり、自体は一路戦争へと傾斜していく運命にあった。官軍に一矢報いたが、遂に長岡城は官軍の手に落ちた、継乃助は配送し会津への途中で部下に棺を作らせ火葬させた。一人の侍否人間としての生き方を追求した作品だと思う。若い頃、放蕩遊学を繰り返し思想を育ててきた継乃助にとってこの時代に家を藩を出ることはできなかった運命にあった。超大作であるが非常に面白く読んだ。
司馬遼太郎著「峠 中」、 風雲急を告げる幕末、京都を中心に薩長土藩は朝廷を持ち上げ既に大政奉還をした慶喜は引退を願い出て大阪より江戸へ逃げ帰り蟄居してしまっている。混乱の中長岡藩牧野家の継之助は家老に抜擢され政治家として藩を支えて行くことになり多忙な日々を送り再度江戸へ出て異人とあったりまた福沢諭吉とも親しくして改めて御身の思想を自覚した、どこまでも武士であり長岡藩士であると。江戸に官軍が迫る中継之助も決断せねばならない状況である
司馬遼太郎著「峠 上」、幕末の時代に生きた越後藩牧野家七万五千石は、この時節にあっては裕福のようであった、この班での河井継乃助という当時としては考えられない理論を持った人物がいた。江戸や京都で放浪しこれはと思えば何処へでも出掛けその人物に師として請うという継乃助であった。横花ではスイス人と親交を結び長崎ではオランダ人とそして継乃助は広く世界を見て現状を分析能力に優れ、遂に長岡藩の殿様に請われ登城することに、しかし世の中は不穏になり激動の時代に入っていくことになる。
笹沢佐保著「見かえり峠の落日」、著者の股旅物は今回初めてである。都合5篇の短編集であって、興味深いのは物語の背景が私の住む群馬県あり知れた地名が頻々と出てきて興味深いものがある。渡世人の悲哀と旅行く姿は正に人生を生きる男の世界を哀愁と共に描かれている。当時の時代背景は良く調査されていて勉強になる。
司馬遼太郎著「燃えよ剣 下」、京都での新選組の活動が名を馳せ市井の人々の認識が上がりもはや新選組の知名度頂点を極めた。そんな中においても政変が次々と起こり激しい戦闘を繰り返し幕府軍と官軍の闘争は熾烈を極め遂に新選組は京を離れ江戸に降りることになった、近藤は怪我をし沖田は病床に臥した。著者は土方歳三の目を通して幕末から明治維新の激動の世界と蠢く人間模様を詳細に描いていく、歳三の稀なる人間像を描き幕末の動乱と土方の人生を通して十分人生を学ばせてくれる長編小説だ。
司馬遼太郎著「燃えよ剣 上」、時は江戸末期日野の田舎剣法理心流の兵、近藤勇そして土方歳三が田舎から京に上り新選組として京を仕切るまでに活躍する隊になる話である。土方歳三を中心に物語は展開し、薩長同盟が云々という物騒な時代背景を必死に生きる新選組と組みに関わる人間の機微を詳細に描いてゆく。
司馬遼太郎著「関ケ原 下」、関ケ原の盆地に武装して集結した軍勢は東軍、西軍を合わせ十万余であり日本最大の合戦、その東軍を束ねるは徳川家康であり方や西軍は石田光成であった。巧緻な戦略を遺憾なく発揮した家康の策謀は間諜を使い次々と西軍の諸将に働きかけ寝返りをさせ自軍の重要な戦力とした、一方で光成は計算知能に優れているが孟子の言う義でもって戦争を乗り越えようと全く現場を把握できなかった得意の性格の持ち主だった。家康の知略と胆力に完全に光成は敗れた。戦場に集う武将たちの置かれた状況と右往左往する気持ちの描写力はまさに著者の得意とするとこれである。
司馬遼太郎著「関ケ原 上」、関ケ原合戦に至る家康の野望それを支える老獪な本田正信の知略、秀吉亡き後誓紙を秀頼に捧げ遺訓尊び秀頼を補佐することを誓った豊臣諸侯もまた家康正信の巧緻な戦略の中で次々と家康側に屈していった。著者の人間を描写する鋭さと情景を描く繊細な筆力には何を読んでも感嘆するしかない。
笹沢佐保著「不倫岬」、吉祥寺署捜査一課部補である向坊長一郎は大富豪のサラ金女社長黒柳千秋の殺害現場に立ち会い捜査に乗り出すが、向坊は捜査本部の指針と違う結論を出し独自に捜査を進めることになった、容疑者は死亡した社長の秘書小田切丈二だった。小田切は向坊が妻由紀子と結婚する前の恋人であり、由紀子の体を不妊に貶めた男であった。事件は錯綜して次々と死体となって見つかる異常な状況、しかし向坊の意思は変わらず小田切の飽くなき追及であった。プロットの組み立てさらに複雑な伏線そしてロマンと人生下敷きにした本格ミステリーそして結末は意外な事実を告げる、読者が楽しく読める工夫が何か所にも隠されて最後のぺーじを繰らせる。
笹沢佐保著「逃亡岬」、薬品大手の会社に勤務する九門愛一郎は、銀座のホステスのミサと不倫関係にあった、既に妻とは断絶し彼女は勝手に愛人と仲良くしていた。ミサと別れ話を持ち出し関係は最悪な状況になりアパートを出た、そして間もなくミサは刺殺されたことを知る。そして九門に嫌疑がかかり四苦八苦する中でマンション近く富豪の娘千秋と知り合い一緒に逃亡することになる。ミサのマンションを出て間もなく一人の女性と会話を交わしている途中窓からミサがリンゴを階下に投げた、このことが殺人容疑となった九門を救う方法、つまり名前も判らない女性を探すべく千秋と一緒のアリバイ探しをして何か所も地方を訪れた、遂に彼女の正体がわかるが死体となって佐渡島で発見された。著者の人物描写はに細微に入り入念に描く技術は松本清張を彷彿とさせる、しかし最後の落ちは今一迫力にかける。