土曜日, 10月 30, 2021

松岡圭祐著「千里眼  堕天使のメモリー」、スーパーヒロイン岬美由紀新シリーズの最終版は、国際的犯罪組織メフィストコンサルティングのジェニファー・レインとの対決そして過去を心理士としての美由紀に悔いの残る西之原夕子人格性記憶障害を持つ彼女を救い出し愛情にきずかせるという困難な行動に及ぶ岬美由紀の波乱万丈の活躍、エンタメ小説でありながら人間をとことん感じさせるところが著者の力量だ。
松岡圭祐著「千里眼 の教室」、今回のテーマは社会風刺か格差社会、学校でのいじめ、総中流意識そんな起きたある病院経営者が提案を切っ掛けに事件が発生する岐阜の片田舎の氏神工業高校で起こった籠城事件だった。氏神工業高校国と名乗り自主独立国家を目指す高校生1000人の意志虐げられた自身の再生を目指す物語だ。臨床心理士の岬美由紀の活躍で平和を取り戻す。
松岡圭祐著「千里眼  美由紀の正体 下」、雪村藍の機転で伊吹に連絡をとり、奇しくも難を逃れた美由紀だった。その後も自分の過去幼少期のデジャブを確認すべくあらゆる手段で目的へまい進する。数々の法規制を突破して遂に辿り着いた先に首謀者を発見した。幼少期の記憶が蘇りさらに怒りがこみ上げた。拉致された幼女を救い出し晴れて裁判に臨んだ美由紀は裁判長の計らいで際どくも無罪を勝ち取ることに成功した。プロットが映画の脚本のように特徴あるシーン描き出し、美由紀の全体像を余すことなく描写する。
松岡圭祐著「千里眼  美由紀の正体 上」、隅田川の花火大会に託けて尺玉を爆発させその記事を予め創刊号に印刷して部数を伸ばすという計画を知った美由紀の行動はまたしても躊躇なく幾つもの法を犯しながら成功理を勝ち取った、しかし裁判で被告人として法廷に立つことになった。休廷の間美由紀は既視感を覚え藍とともに米軍キャンプ地の相模原団地に向かいそこで窮地に立たされ今にも死を待つ身となった。藍の機転でようやく百里基地の伊吹一尉に連絡をとることができた。下巻へ。
ヘニング・マンケル著「ピラミッド」、中短編5編を含むクルト・ヴァランダーシリーズのヴァランダーの警察官として駆け出し28歳頃の物語を含む5編だ。ミステリーとしては今一の感が無くも無い。最後の編ピラミッドは幻のおんぼろ軽飛行機の墜落、手芸用品店のオバーさん姉妹の殺害と事件が勃発し中々捜査の進展が無い中で、糸口を見つけそれを辿り事件解決に向かうが警察小説としても面白みに欠ける。ヴァランダーの性格や妻との別離、親父との交流とこのあたりのサブプロット伏線は面白い。
松岡圭祐著「千里眼  ミッドタウンタワーの迷宮」、千里眼シリーズ第四弾、破天荒な事件が次々と発生し度肝を抜かれるそのプロットや伏線たるや作者の力量を余すところなく披露する出来栄えだ。執筆当時、ミッドタウンは開業寸前だった。旧防衛庁跡地に建ったミッドタウンから超望遠鏡を使い中国大使館で行われている賭博を監視し不正を行う筋書きには恐れ入る。岬美由紀の心情を余すところなく描く今回の作も強烈だ。
ピエール・ルメートル著「傷だらけのカミーユ」、妻を亡くして数年経たパリ警視庁警部カミーユが知り合った女性アンヌ彼女が宝石店へカミーユに送る腕時計を引き取りに行ったまさにその時強盗団に出くわし瀕死の重傷を負った。知り合いの女性の被害を署に申告せず捜査に当たる警部は、独断専行で捜査を開始したが依然として行方を掴むことができなかった。ふと数年前の妻イレーヌの殺害犯人を刑務所に訪れ情報を掴む、それは数年前警察官を辞めた者の犯行だと、カミーユの苦悩それは捜査と愛という忸怩たる格闘だった。
松岡圭祐著「千里眼  水晶体」、岬美由紀は元自衛隊空佐で現在心療カウンセラーとして働いている。今回の事件は旧日本軍が開発されたとする生物兵器「冠魔」カンマと呼称される兵器が盗難に遭いばら撒かれたそして感染した美由紀の友人藍も感染し瀕死の状態だ。国防会議に出た美由紀をまっていたのはF15戦闘機で当時の米兵ハワイに住む、面会しワクチンの製法を聞き出すことだった。無事難局を切り抜けた美由紀はさらに一歩成長した感じだ。
松岡圭祐著「千里眼  ファントム・クオーター」、今回はサイドストーリーを配した岬美由紀の冒険活躍第二弾だ。ロシアンマフィアの一家が企む日本国滅亡及び破壊絶滅計画を阻止する美由紀の活躍だ携帯SAMと呼称される迎撃小型ミサイルをぶっ放しトマホークから発射されるステルス性ミサイルを迎撃し難を逃れた。
松岡圭祐著「千里眼 The Start」、スーパーウーマン岬美由紀の新シリーズだという、だがどこまでが旧でどこまでが新か良く分からない、只管のいつものような乱読である。しかしエンタメ小説として十分楽しめる物語となっていることは間違いない。今回も千里眼を駆使して人の心を読み、麻薬密売から航空機旅客機爆破計画を見事に誰何し未然に食い止める美由紀の活躍には読者を楽しませてくれる。
R・D・ウィングフィールド著「夜のフロスト」、デントン警察署のエースフロスト警部の破廉恥な捜査全開の物語で、読んで楽しいミステリーだ。相変わらずよれよれのコートにマフラーそしてタバコを離さずエゲツナイ罵詈雑言の数々新任の部下は家庭崩壊それでも勤務に励むフロスト警部の造形に作者の力量を感ずる。今回も連続老女切り裂き魔事件に果敢に望む警部の捜査が魅力だ。
ピエール・ルメートル著「死のドレスを花婿に」、順風満帆な結婚生活を送っていたソフィーはある日から記憶障害にオークション運営会社の務めを辞めベビーシッターとして働くがそこの家で6歳になる男子を死亡させ自分の責任と思い警察からの逃亡生活が始まる。ある男フランツはソフィーにひとかたならぬ歪んだ愛情を注ぎソフィーをどこまでも追い詰め遂に自分のものにしようと画策するストーカー的愛情を纏い。そして最終章でどんでん返しが待っている。ソフィーは正常者だった。愛情と人生を深く感じさせる本格ミステリーである。
松岡圭祐著「千里眼 ノン・クオリアの終焉」、元自衛官で女性でF15戦闘機を始めて操縦したとされる臨床心理士岬美由紀は、招待状に沿い政府の認可の元役人と道ずれに中国は国際クオリア理研に向かう。そこから波乱な幕開けとなり次々と襲い掛かる魔の手をもろともせず岬美由紀の攻防が始まる。全世界をノン・クオリアの手に核爆発を目論む国際的暴力集団一方でクオリアの存在を信じるメフィストコンサルティングの集団とうの攻防の最中で戦う岬美由紀の姿は圧巻だ。新シリーズの復活に惜しみない賛辞を贈りたい。
R・D・ウィングフィールド著「クリスマスのフロスト」、著者のフロストシリーズ第一作の作品だと。若くて美人の売春婦の娘女児が誘拐された。フロスト警部さらに新人クライブを伴った捜索活動が指導した。同時期にまた連続殺人事件が発生デントン警察署は大わらわだ。著者のフロストの人物象の描写さらに登場する他の人物の造形の見事さに感心する。事件は32年まで遡り殺人事件の犯人を特定する。
アリス・シーボルド著「ラブリー・ボーン」、14歳の少女スージーがトウモロコシ畑でレイプされ殺害されたしかもバラバラ死体となって、その後肘だけ見つかった。天国に上ったスージーは地上の出来事とりわけ家族を見つめ続ける優しい眼差しを注ぎ続ける。家族の一人の死が家族を変える、そして再び家族が一つになり蘇る。家族と愛をテーマにそして特異な天国の描写にも感銘する物語だ。
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