木曜日, 9月 28, 2023

池波正太郎著「雲霧仁左衛門 前編」、雲霧仁左衛門はNHKのドラマを見て面白かったので原作を読んでみようかと思った次第である。読んでみてこれはドラマが数段上で脚本家力量をまざまざと感じだせてくれた。江戸で盗人一味として知られた雲切一味が次の標的としたのは尾州名古屋の地であった、そこで暗躍していたのは同じ稼業の一味暁だった。雲切配下の寝返り知った仁左衛門は突然松屋を襲い五千両の略奪にまんまと成功した、一方江戸より長屋の地に出向した火付け盗賊改め一行は雲霧仁左衛門一味を捉えるべく執念を燃やし雲切一味に近ずきつつあった。
東野圭吾著「祈りの幕が下りる時」、 日本橋署の捜査一課加賀恭一郎が体験した事件は、過去彼に係わる事だった。実の母親の死それは彼女が暮らす仙台の出来事だった。彼女の知人関係は実に悲惨な人生を抱え苦しんでいる過去そして現在だった。そこに横たわるのは貧困だった、何とか乗り越えようと必死の努力の先にあるのはつかの間の安寧と幸福だった、そして過去の出来事の復讐が始まり敢え無くその軍門に下った。人生とは格も悲惨で何と悲しいことなのか?著者のプロットは読者のページを繰らせる手を止めず最後まで最後のページまで一気呵成に進める、幸著である。
東野圭吾著「新参者」、離婚してこれからという40代の女性がマンションで考察された。彼女の交際範囲また離婚の原因と加賀刑事は詳細な捜査を開始、日本橋署の刑事として些細な疑問にも足で稼ぐ彼独特な捜査手法を駆使し犯人を追い詰めて行く捜査手法だ。一人の女性の殺人事件を契機に辛抱強く捜査を続ける加賀の姿勢を著者はプロットは単純ながら描きとうすことで読者の関心を最大限引き出した感がある。
森博嗣著[数奇にして模型]、西之園萌絵と大学助教授の犀川創平シリーズの長編ミステリーだ。N工大の実験棟で女性が殺害された、同じ時刻公会堂で実施された模型の交換会の会場の片隅で首のない死体が発見された。萌絵と犀川は様々な状況下で翻弄されながら事件の真相に近づいていく、一人の大学生の夢と妄想を体現すべく仕組まれたものだった。プロットは凝ったものではなく、伏線を豊富に散りばめた体裁でぐんぐんと読者を引き込んでいく筆力は著者の持つ類を見ない能力だ。
東野圭吾著「卒業」、卒業を前にした学生が体験する密室殺人事件が発生、加賀と沙都子は協力して事件について調査を開始、女子学生同士の確執と男子学生との恋愛それらが混ざり合い事件は複雑な様相を呈し解決は困難を極める。著者の殺人現場の設定が学校から離れた今回のように茶会の席で毒を飲まされ殺害される又はアパートで一人手首を切って自殺と青春ミステリーにありがちな安易な設定を避け、絡み合う伏線とミステリーとして仕上がりに納得。
西之園萌絵と大学助教授犀川創平シリーズの一冊で、中でも文庫本で860頁を超える大作である。著者の小気味良い文体と相まって快適に読書ができるのは有難い。長崎のある場所に建設されたユーロパークはヨーロッパの建築を模倣して建てられた壮大なドリームアイランドでありこの施設の中にナノクラフトというIT企業の本社及び研究所も併設されている。萌絵はこのナノクラフトに出資している関係で社長の塙とは面識がありこの施設に招待を受け現地に友人二人と赴いた。しかしそこで見たのは殺人事件だった。あとから参上した犀川と共に事件解明に向けて乗り出すが、施設そのものはVR等最新のテクノロジーで覆われ実態が中々掴めない、その施設に住まうという真賀田四季という天才科学者と出会う、現代版魑魅魍魎の世界が展開され思わぬ結果となった。森博嗣著[有限と微小のパン]、
東野圭吾著「どちらかが彼女を殺した」、愛知県豊橋署の交通課に勤務する👮警察官和泉の妹園子は東京で一人暮らし、ある日園子から不吉と思われる電話を受け心配した兄の康正lは急遽妹を訪ね発見したのは妹の死体だった。勿論康正は犯人特定へ独自の捜査を行い必ず捕まえることを妹に誓う。現場は練馬警察署管内であり当然加賀恭一郎刑事が捜査に乗り出す。物証が中々集まらず捜査は暗中模索の状態であり特定が困難とされた。
東野圭吾著「赤い指」、公園のトイレで女の子死体が発見されたその死体は近所に住む前原家の長男によって殺害されたものだった。前原昭夫は妻八重子と相談し痴呆が進んでいる母親にその責任つまり犯人として警察に連絡する案を実行した、妻と長男と3人で口裏を合わせ万事抜かりなく行くと思ったが、思わぬところで水が漏れた。家族内での緊張感が伝わり面白かった、加賀恭一郎刑事のしたたかな捜査に完敗だ。
東野圭吾著「私が彼を殺した」、高名な作家兼映画製作という男が、結婚式場バージンロードを歩いている途中で倒れそのまま息をひきとたそれは新郎が常日頃服用していた鼻炎薬そのカプセルの中に毒薬が仕込まれていたと判明した。彼穂高は女性との確執がとかく多く冷淡で、その彼に轢かれた神林美和子はよりによって結婚することになり、兄の貴弘がっかりさせる。緻密に練られたプロット、愛憎、兄妹間の愛情、怨嗟と人間の持つ暗い裏を描写しながらミステリーと仕立てていく筆力はさすがだ。
東野圭吾著「麒麟の翼」、一人の中学生の父親が日本橋近辺でナイフで刺され殺害された、そして現場近くでいた若い男が殺害された男の金品を盗み自動車に接触して亡くなった。事件としては単純な構造だったが、加賀恭一郎は不信に思い捜査を続行し殺害された男の足取りを掴み、そこから事件の全貌へと迫り遂に犯人を特定するという、警察ミステリーの王道行く物語だった。