日曜日, 2月 03, 2008

コーディ・マクファディン「傷痕」を読んで。

米国新進気鋭作家の最新作「傷痕」は、米FBI特別捜査官スモーキー・バレットを主人公とする刑事物の犯罪サスペンスである。主人公の過去から始まる物語は上巻で、その悲劇夫と娘を惨殺されしかも自分はレイプされ額に傷を残すといった重苦しい過去を踏み台に新たな類似した残虐な犯罪に臨む下巻とに分かれている。実は私は上巻を読んでいる途中で既に犯人がわかってしまった。物語の伏線は容易に犯人を特定想像させるものである。犯罪は、害虫駆除業者として堂々と玄関から押入り女性をベッドの支柱に縛りつけ切り裂きレイプし内臓を抉り出すといった残忍さにもかかわらずスモーキーの言動はあるいはFBIの犯罪捜査チームの面々の人生までも描写しその結束力と友情は一服の清涼剤のように読後に不快感は残らない。ジェフリー・ディーヴァーのように最後の最後まで犯人が誰かと科学的に追い詰めて行く面白さとは違い従来の犯罪サスペンスに分類される組み立てながら新しいと感ずる何かをこの作者は描き才能を持っている。

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